三面鏡


三面鏡の合わさる世界
その不可思議なる小宇宙に
不意に自分は迷い込む

幾百 幾千 幾万と
無限に続く自分の中に

こちらに向かって微笑んでいる顔を見る

(それが彼である)

ああ・・・
何と懐かしいのであろう
幼少の頃
僕は彼と話していたようだ
「久しぶりです元気です」

自分と同じに成長し得たその姿を見て
涙が出るほど嬉しくて

十余年ぶり面会に
声も出さずに浸っています

それでは 又しばらくのお別れです

そして鏡の扉を閉じていきます