哲学書


かの人へ

貸したる白き哲学書

元に戻りて机上に置きぬ

其を手に取りて 頁をめくり

かの人読みし  箇所を求む

一行一行見て 這いいけば

もしや ひと筆、落書きなりと

もしや ひと筆、言伝(ことづて)なりと

斯くと思いて 目を走らせて

文を追いつつ 探しいけども

其は 我一人の心なり

其は 我一人の心なり