痩せた娼妓(しょうぎ)の哀しさは


痩せた娼妓の哀しさは
潤んだ瞳と薄笑い

女の性(さが)から逃(のが)れられない
顔の造形(つくり)と春の匂い
それは 危うく危うく生きてきた
女の暦を物語る

痩せ細る両腕は青く血管が浮き
肌は浅黒くカサカサとして
それはまるで飢餓図のようなのに

女は
そんなことなど気にもとめずに
「この温もりのお陰で生きていける」
とでも言いたげに
その、艶やかな黒い目で
こちらに向かって訴えている

高塀のてっぺんを
バランスを取りながら歩くように生きて
ようやく辿り着いたのが今
これからも そんな風に生きていくのか

深い穢れに身を委ねながらも
それが彼女の生きる術なら
私は
どうしてそれを嗤(わら)えよう