ベジマイトVEGEMITE

オーストラリアに来たら、一度は試して欲しい「ベジマイト」。
どっかで聞いておそるおそる買ってみた人、友達から無理やり貰い受けた人、
いろいろ事情はあるでしょうけど、正体を知れば知るほど、面白いヤツです、コイツ。

◆ベジマイトとは何ぞや ◆ベジマイトの唄 ◆ベジマイトの仲間たち
◆ベジマイトの光と影 ◆ベジマイトは働き者 ◆ベジマイトの未来

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ベジマイトとは何ぞや

「ベジマイト」はイースト酵母の入った「黒い」ペーストである。スーパーではジャムやハチミツ、ピーナッツバターなどと同じセクションに置かれているが、そもそもは健康食品である。このオーストラリアのアイコン的食べ物はいつも賛否両論を呼ぶ。でも大概は「マズイ」という感想。もともとが健康食品なのでマズくて当たり前なのだが、見てくれがチョコレートペーストに見えるため、勇んで買って口に入れて「げぼ」となるのである。怖いもの見たさでオミヤゲに買う輩は多いが、食べ方を良く知らないので、大概は食いきらずにゴミ箱行きになる。

そんな数々の外国人からの数々の仕打ちにもベジマイトはひたすら耐え、国民からの強い支持を頼りに、今日もジャムセクションで王者ヅラして鎮座しているのである。
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ベジマイトの唄

We're happy little Vegemites as bright as bright can be.
(私たちは思いっきり輝いてるハッピーな子供達)
We all enjoy our Vegemite for breakfast, lunch, and tea.
(みんな朝も昼も夜もベジマイトを楽しんでるよ)
Our mother says we're growing stronger every single week.
(おかあさんは毎週丈夫になっていくって言うよ)
Because we love our Vegemite.
(だって私たちはベジマイトが大好きだから)
We all adore our Vegemite.
(私たちはみんなベジマイトがだーいすき)
It puts a rose in every cheek!
(みんなを元気にするからだよーん♪)

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ベジマイトの仲間たち(?)

類似品というか、対抗商品しては「マーマイト」(UN/NZ)と「プロマイト」(AUS)が代表的だが、基本的にこの3種の違いはというと、 マーマイトの方が甘い(砂糖が入ってる) Aそのマーマイトよりプロマイトの方がもっと甘い(砂糖+スターチ) Bしかしながら、三種とも基本的にはめちゃくちゃ塩っぱい味である どうやらイギリスではマーマイトが王道らしい。カナダではどうだろうか(情報入手困難)。個人的な見解では、イギリス英語圏の国々ではこうした製品が必ずと言っていいほどの確率で存在するんじゃなかろうか。 ベジマイトは3種類の中で唯一、砂糖が入っていないので、オーストラリア国民はベジマイトだけが健康食品だと豪語している。確かにマーマイトとプロマイトは砂糖+カラメル(添加物として)が含有されているので、「まったり感」が強い。プロマイトはさらに「こってり感」がプラスされる。

ベジマイト マーマイト プロマイト
(画像は無断転写複製厳禁:コピりたい方は連絡されたし)

ニュージーランド移民が怒涛のように押し寄せてくる最近の状況に反映してか、あちこちで「ベジマイトvsマーマイト」論争がフォーラム形式掲示板(ディスカッションボードとも言う)で展開されている。「プロマイト」に関しては、どうしても「ベジマイトのモノマネ的商品」の域から脱出しきれない感があるのは事実。 ハウスメイトの韓国人JKは「プロマイト」を「ドッグフードの味がする」と形容している(ドッグフード食ったんか、お前は)。もう一人のおーじーAもこれには賛同。「プロマイト」だけが唯一自国ブランド品なのに、嫌われているかわいそうな事実。 「マーマイト」のブリティッシュバージョンとニュージーランドバージョンでは味が違うらしい。つーか、完全にそれぞれが独立して作られている、という説も。 おっと、こんなヤツもいました。イギリスっ子です。 「ボヴリル」とでも呼べばいいのか? (さるざけさん、ヘルプミー) あれ、お前には「ビーフエキス」が入ってるじゃないか。 しかもパンにつけるペーストじゃない(スープの素)。 仲間に入れてやるの、やめた。
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ベジマイトの光と影

ベジマイトは1992年に Fred Walker Companyって所で生まれた。父親は Cyril P Callister 博士。彼はビールを作るときに残るイースト酵母に着目。"Pure Vegetable Extract"という製品が出来上がる(ようするにビールを造った残り物から出来たのがベジマイト)。Fred は当時50ポンドの賞金をかけて商品名を一般から公募。誰がその賞金を獲得したかは記録に残されていないが、Fred の娘が「ベジマイト」という名前を選び、1923年に商標登録し発売開始。このあとすぐの1926年、会社名は Kraft Walker Foods に変更。クラフトはアメリカの会社。合併ってことだな。

当時は「マーマイト」の独壇場だった。人気が出始めたのはなんと14年後。Fred が1935年に死去した後のことだった。ベジマイトにはビタミンB群、ナイアシン、リボフラビンなどが豊富に含まれているため、第1次、第2次世界大戦の際は戦士達に重宝がられた。戦後の1950年、Kraft Foods Limited に会社名変更、というより Kraft が正式に買収したのである。

そう、「ベジマイト」はオーストラリアで製造してはいるが、アメリカンブランドなのである。

戦後、着々と「ベジマイト」は自らの地位を確立し、今やオーストラリアのアイコンとなった訳だが、こうなると、アメリカンブランドでは納得が行かなくなるのが国民感情。「ベジマイト」はおそろしいほどの利益をもたらすようになったため、「オーストラリアンブランドであるべきだ」という声が高まる(ずいぶん勝手だが)。 とはいえ、Kraft社そのものをおーじーが買えるはずがない。そこで考えたのが「ベジマイトだけの権利を買おう」ということである。しかし、奇特なヤツは出てこない。

しかし、しかーし!!最近このクラフトとフィリップモリスが合併したため(つーか、これも買収じゃないのか)、事態は思わぬ展開へ。 「我々のアイドルであるベジマイトを、毎年何人も殺すタバコ会社に売らせてはならーん!」「何を入れられるかわかったもんじゃない」「もう、子供に食わせられん」という怒りの声が国中に盛り上がる。 とうとう地元食品会社 Dick Smith が「オレがベジマイトを守ったる」と名乗りを挙げ、「ベジマイト買戻し計画」を発表。2004年には「同意されなければ、自社でOzMite(オズマイト)と言う名前で製品を発売する」と豪語。工場も「あんたがやってくれるんなら俺らはクラフトを辞めてそっちに行くでー」ってな始末。国民も「あんたが売るなら、もうクラフトの「ベジマイト」は買わんでー!」と叫ぶ。IMFやら首相ジョン・ハワードやら色々出てきて大騒ぎ。

そして2005年。ベジマイトはまだ、黄色い服を着て、「Kraft」の名札をつけてお店で座ってる。さて、「オズマイト」は誕生するのか、はたまた「Dick Smith」の名札をつけた「ベジマイト」が現れるのか。黄色い服は Dick Smith のブランドカラーである青い服に変わってしまうのか。 生まれてすぐに親をなくし、アメリカの里親のもとで育てられたオーストラリア人のアイドル、ベジマイト君。彼の稼ぐ金のほとんどはアメリカに行くため、オーストラリアにいる親戚一同は親権を訴えている、ってな状況なのである…と言ったら飛躍しすぎだろうか。


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ベジマイトは働き者

ベジマイトをただの食パンに塗るペーストと思うなかれ。 朝食以外にも活躍の場は多い。 昼間のランチライヴに夜のディナーショー、と ベジマイトは一日中働いているのである。

【初級編:ベジマイトチーズロール】
材料:

・食パン  (ゴージャスに行きたい人はロールパンやフランスパンをお試しあれ)
・ベジマイト
・スライスチーズ
・好みでパセリ
作り方:

1.食パンの耳を取りベジマイトを塗りスライスチーズをのせる
(ロールパン等使用の場合は、中身をくりぬいてベジマイトを塗り、チーズを細切りにして並べ、パセリをふり、くりぬいた中身を戻しいれる )
2.好みでパセリ、ガーリックペーストを使う (ガーリックトースト風味になる)
3.サランラップをしいて海苔巻き用のすだれで巻く (余計な空気を抜くため)
4.冷蔵庫で1時間以上寝かせる (切り分けやすくするため)
5.海苔巻きを切るように切り分けてオーブントースターで5分

面倒な人は食パンにベジマイト塗ってチーズのせてトースターでチーズが溶けるまで焼けばよい。

【中級編:ベジマイトチキン】

材料:

・鶏肉(手羽でも足でもなんでもよい、手羽はウマイ)
・ねぎ半本 細かく切る
・ごま油 大さじ1
・ニンニク 1かけ つぶして細かくする
・ハチミツ 大さじ2
・シェリー酒 大さじ2 (和風はみりんで代用)
・ベジマイト 大さじ2
作り方:
1.材料を全部ぶち込み、チキンをそれに2時間漬け込む
2.オーブンやBBQプレートなどで焼く (オーブン:180度で15-20分)
(プレートやフライパン:アルミホイルをかぶせて中火で、時々裏返す)

【上級編:イカサマ的ベジマイトカレー】
材料:
・普通のカレーの材料、じゃがいもは好みで
 (入れない場合は西洋風の味になって「グランド」だぞ)
・トマト 2-4個 皮をむく
・水 (トマトを入れるのでカレールーの箱の量よりちと少なめに)
・ベジマイト 大さじ1
・ニンニク みじん切り 1かけ
(肉は入れないほうがウマイ、代わりにマッシュルームやホウレン草、ナスなんか入れるとこれまた「グランド」)

作り方:
1.普通のカレーの材料にとトマト、ニンニク、ベジマイト水を加えて煮込む。これだけ。
いや、ホントにこれだけでゴージャスな味になるんだってばー。

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ベジマイトの未来

今回、政治や会社の利益がらみの色々な側面を見て、ベジマイト君も結構必死で生きているってことがわかりました。オーストラリアの子供達も甘いものが好きになってきていて、ベジマイトを敬遠する子も年々多くなってきています。売り手側もクラッカーと一緒のパックにしてランチに入れやすいようにしたり、工夫を凝らしているようですが、いまいち「コレだ!」ってなものに当たってないようです。

そこで!我々で新しいマーケットを開拓してやろうじゃないか!!ってなことでプロジェクトを企画実行してみようと思います。要はベジマイトが和食に合えば、日本人にも受け入れてもらえる!ってなわけで。別にだからと言ってKraft社の利益拡大に貢献しようって気持ちはさらさらないです。単純にベジマイトが日本でブームになったアカツキには、「オレラが一生懸命火付け役をやったんでー」と威張りたいだけです(笑)。 実はこの「オレラ」というのは、私「闘うゴールドコースト日記」のウラ日記、というややこしいサイトを持ってまして、そこでやっている一大プロジェクトなのです。

さて、そのプロジェクトとは?

Project A: ベジマイトはご飯に合うのか?
Project B: ベジマイトは日本食に使えるか?
Project C: 日本の食材でベジマイトは復元できるか?

この三本でーす、うんがっぐっぐ(古い)。

さて、ベジマイト:知識と教養編は今週で終了。
さらなる探究心のある方は ベジマイト公式ページ(英語表記)へどうぞ。
ほとんどの情報はこのサイトをベースに他のサイトの情報を組み合わせて意訳しました。
ニュースはVIC州のAGEのアーカイヴから情報収集しました。
「自分でベジマイトを買ったるわい」と言う方は、Yahoo!Shoppingまたは楽天ショッピングで購入できます。


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