キャプテン・トマディー(ビスコ 2000)
ネオジオ末期、とあるアーケード雑誌のビスコ広告にそれはあった。
オリジナルスポーツゲーム「フリップショット」、
アクションゲーム「武蔵巌流記」と並んでシューティング「キャプテン・トマディー」
とのロゴと画面写真。
この御時世にサイドビューアクションやらシューティングやらオリジナルスポーツをリリース
してくるとは、いったい気でもふれたのか?なんてのがその広告を見ての感想だった。
もちろん、この感想には多分に好意的な心理を含んでいる。
俺はこれらのゲームを見たら是非ともコインを入れてやろうと思っていたのだが、
どうにも出回りが悪かったのかなんなのか、殆ど目にする事はなかった(2001年10月現在、
上記のうち「フリップショット」は未見)。まぁ、「武蔵巌流記」は海外のみ発売となった
らしいが…。
そんな感じでようやく目にした「キャプテン・トマディー」だが、これが中途半端に
センスオブワンダーに溢れた一品となっており、妙に印象に残る事請け合い。
という事で、今回は「トマディー」をよく知らん人への紹介と相成るわけ。
まずはストーリーから…と言いたいところだが、よく分かりません。デモ画面を見たら、
トマディー誕生秘話が流れるものの、なぜに敵と戦うのかが全然語られてないのだ。
まぁ、とにかくトマトのミュータントたるトマディーを操って全5ステージを踏破だ。
8方向レバー+3ボタン。Aは左手攻撃、Bは右手攻撃、Cはフォーメーションの変更になる。
取り敢えずこのゲーム、カルトシューティングで紹介してはいるが、AとBは必ずしもショットとは限らない。
というか、ノーマルのトマト形態がすでに手を飛ばしての攻撃なのだ。これをシューティングと
見るかどうかはかなり微妙なラインだが、取り敢えず勘弁してもらうとしよう。
右手と左手が別々の攻撃と聞いて「何やら戦略的シューティングの香りがするのぅ」と
ほくそ笑んだ方には申し訳ないのだが、このゲームでは左右の手に別々の武器があって…とか
そういう事は一切なし。純粋に左手と右手で攻撃(形態によっては違うが…)するのだ。
気を取りなおして、AかB片方のみを連打していると、使ってない方の手が段々とパワーを
増してくる。ここで使ってない方の手を放てば高威力の攻撃が可能という訳だ。
ただ、これも形態によって使えたり使えなかったりするのだが。
とりあえず片方を連続5発で、反対側の手が最強状態になる。意味もなくジャブ3発からストレート
などとやると面白いような「気がする」。
次にCボタンについてだが、上記の操作説明を見るまで、Cボタンの存在を知らなかった人も
結構いるんではないかな?一応操作説明には出てくるのだが、
大抵の人は忘れているのがオチ。でも、実際フォーメーションは、横に自機どうしが並ぶ
ものと縦に並ぶものの2種類しかない。ましてやこのゲームがネオジオ(MVS)の横画面縦シュー
とあれば、縦に並ぶ必然性など皆無。とくれば、Cボタンの存在は忘れてもあまり問題なしと
いう事になって結果オーライ。
次にこのゲームのキモと言える「形態」について。さっきから「トマト形態」なんて単語が
出てきた事が気になっている人もおられるだろう。そう、このゲームはパワーアップ(薬のカプセル)を
取ることで自機の形態がどんどん変化するのだ。まるで「ダーウィン4078」のようなシステムだが、
あちらほど外見に統一性がないし、あちらほど攻撃が多彩になるわけでもないという、
割と企画倒れチックなシステムになっているのが残念だ。
まぁ、取り敢えず紹介。ちょっと形態の順序が怪しい部分があるのだけど、誰か知ってたら
御一報を。
- トマト形態(初期形態)
- 左右のパンチを前方に放って攻撃。片方のパンチを溜めきって放つとイワン・ドラゴもびっくりの1tパンチ
になる。
- 小型トマト形態
- 小さい。他に違いがあるのだろうか?攻撃も一緒。
- 大トマト形態
- 大きい。攻撃も一緒だが、ここで被弾すると赤ん坊形態になる。
- 赤ん坊形態
- A,Bどちらでも、正面からガラガラなどのおもちゃショットを前方に放つ。
ここでカプセルを取ると羽根トマト形態になる。被弾したらミスだったかな。
- チューリップ形態
- 大トマトからカプセル取得でこの形態に。
植木鉢に植えられたトラディショナルなデザインのチューリップ(青いけど)。
何が嬉しいのか、常に首を左右に振っている。
ショットは前方と斜め前の3方向。ただし攻撃力や連射能力が低いので、使いやすくはない。
- 羽根トマト形態
- 羽根が生えている。だからどうしたという感じの形態。
- 猿形態
- やや見た目が大きく、当り判定がデカそうな猿。左右の手からバナナをブーメラン的に
発射する。斜め前にも発射できたような…。なんか強そうな形態。
- ケンダマ形態
- A,Bどちらでも前方にケンダマを飛ばす。リーチがトマト系のパンチと同じく短い上に、
ケンダマは一つしかないので数で押してくる敵をオラオラ(トマト形態などで、左右の
パンチを適当に連打して繰り出すこと)で捌くこともできないというトラップのような
形態。
- にんじん形態
- 個人的には最強と思われる形態。手が4つ生えており、Aで前方左手と左斜め前、Bで前方右手と右斜め前に
手を発射する。にんじん*2はかなり愉快。
- 飛行機形態
- おもちゃの飛行機のようなデザインをしている。A、Bで左右からミサイルを前方に発射する。
一応射程が画面上まで届いたような覚えがあるので、トマトに比べると戦いやすいはず。
- 魚形態
- 前方に爆風を発生させる単発弾を発射する。爆風は結構デカいものの、単発とあっては
これまたザコを相手にするにはツラそう。自機は小さいっぽいんだけどねぇ。
- うさぎ形態
- うさぎの左右ににんじんがついており、これを前方に射出する。はっきり言ってトマト系と
やってる事はいっしょなので、有り難味がない。
- ねこ形態
- なんか前方に肉球グローブがあり、これを前方に射出する。つまり、この機体もまたトマト系と
同じタイプ。詳しく調べてないので、威力の違いとかあるのかも知れないが
(なかったら笑えるが)。
- 天使or悪魔形態
- どういう条件でどっちになるかは分かりません。ルックス的には赤ん坊形態に近いです。
攻撃は矢を射るというもの。なお、この形態からカプセルを取ると最初のトマト形態に
戻ります。
なんつーか、途中の赤ん坊形態など、「ダーウィン」をかなり意識していると思うんですが、
もしそうならオリジナルより劣ってどうすんだよ!という感じです。
似たような攻撃ばっかりなので新鮮味に欠けます。
パワーアップについては、前述のカプセルによる形態変化の他、トマトが2つ並んだようなアイテムが
出てきます。これを取ると、自分の横にトマトが並びます。いわゆるデュアルファイター形態ですな。
で、この相棒にもカプセルをくれてやるとしっかり形態変化します。さっき「にんじん*2」と
述べましたが、ちゃんとカプセルを渡せばこういう芸当も可能という訳です。
もっとも、相棒も敵や敵弾と触れるとやられてしまうので、実際にはにんじん*2は結構キツいと
思います。
そうそう、もっと重要な事。相棒がついた状態で自分がやられると、あとは残った相棒を
操作してゲームは続行です。もちろんプレイしていると、またトマト2つアイテムが出現
するので、それを取れば新たな相棒がつきます。もはやオリジナルもクローンもあったもんじゃ
ありません。ついつい、「今戦っている奴は、オリジナルトマディーの意思に沿って戦っているのか?」
などという安っぽいSFめいた想像までしてしまいます。
続いて簡単なステージ紹介を。ステージは全部で5面。途中、4面がボーナスステージになっていて、
アイテムが色々出て来ます(確か全面通じて1UPが出るのはここのみ)。
全5面というとあっという間っぽいですが、
結構ボスが長期戦になるので、それなりに時間がかかります。
1面:
なんか墓場のようなところのステージ。取り敢えずワンツーに慣れておくとしましょう。
コウモリ軍団の動きがなんか「シルバーガン」を思い起こさせる(ステージ2-Aか?)。
因みに途中と最後にボス出現。
途中のボスはナスに手を生やしてメカっぽくしたような意味不明なデザイン。
倒すと?一瞬頭身の低いモヒカン野郎のような姿になるのが見るものを不安にさせます。
最後のボスはロケットのようなそうでないような敵。ブースター部分に光が集まる演出があるので
さては巨大レーザー風攻撃か!と身構えると思いきり予想を裏切り、小さな高速弾が次々と飛来。
それにしても1面から結構ボスが固い。
2面:
ガケのようなところをどんどん上に上がっていくステージ。目のつぶらな怪獣があちらこちらから
迫ってくるシーンあり。速度は遅いが数が多いのできっちり捌いていきたい。
途中のボスがいたかどうかは忘れたが、最後はなんか薪をくべられた壷のようなボス。
動きが止まったかと思うととつぜん薪を飛ばしてくるので、そこだけ注意。
3面:
海の中だったと思うのだが、なんか全然思い出せない。情報求む。
4面:
ボーナス面。高速スクロールする基地の中で敵をやっつけるとどんどんアイテムが。
このステージはボスなし。
5面:
宇宙面。印象的な敵と言えば、くるくる回りながら飛んでくる人形。打つ(このゲームに
関しては「撃つ」よりは「打つ」っつった方がしっくりくるね)と胴体だけ壊れて頭が撃ち返し弾
として飛んでくるのだ。
それなりに攻撃も激しくなっていると思うが、まぁ近年の他のシューティングに比べれば
楽でしょう。宇宙基地についたかと思うと、そこは最終ボスだった。周囲からの攻撃を避けつつ、
中央上のナス野郎のバリアを破壊してナス本体にダメージを与える。かなり長期戦になるが、
ダメージを稼ごうとして焦らないように。
まぁ1,2面のボスなんかを見てもらうと、このゲームには近年のゲームがなくした奇想天外さが
結構息づいていて嬉しくなっちまいます。全5面というのはちょいと寂しい気もしますが。
さて、ことほどさように奇想天外な「トマディー」ですが、やはり欠点が存在します。
それも、これらの奇抜な(?)アイデアを帳消しにするほどのものが。
- (1)処理オチがひどい
- プレイしていると分かりますが、「なんでこの程度のキャラ数で?」というくらい、
ガクガクと処理オチします。それも弾幕系シューティングのような「じわーっ」とノロくなる
感じでなく、本当にガクガクッと処理オチするのでやりにくくて仕方ありません。
難易度が低いのでこれが直接死因となった事はありませんが、印象は良くないですわな。
- (2)破壊する爽快感がない
- 敵をパンチした時のS.E.がいまいち分かりにくい上、ボスなんかは体力ゲージもなく、攻撃してもリアクションが
ほとんどないので、折角「オラオラ」で戦っても爽快感を得られない。
- (3)自機の(ゲーム中の操作対象としての)バリエーションが少ない
- 「結局左右のパンチ」になっている形態が多いので、形態変化させてもあまり嬉しくないという
問題が。実際俺は、一通り形態を見てしまったらもう「飽き」の感情が芽生えてしまったんですけど。
とりあえずざっと見てきましたが、近年なかったコミカルなグラフィック、奇想天外な自機の
変化というアイデアはあるものの、練り込みの足らなさが随所に見られて残念なゲームです。
会社的にコレ以上の工数はかけられなかったのかも知れませんが、もう少し魅力あるゲームに
できなかったものかなぁ、と思います。
個人的に近年のシューティングはこれ見よがしに点数の稼ぎ方まで提示してたりして
鼻につくのが多いので、こういうアイデアと変化球で勝負するゲームは余計に擁護したくなる
のですが、もうちょっと頑張ってくれないと擁護する甲斐が
ありませんな。もちろん、出回りが悪いからコイン入れようにも入れられないという側面は
あるのですが…。