リーファイア(東映動画 1990)

ここで東映動画のソフトを紹介するのは「バルトロン」以来ですなぁ。
さて、ゲームボーイ用ソフト「バリーファイア」は相手と向き合って打ち合う対戦型シューティング。 アーケード業界では「カメレオンアーミー」くらいしか思いつかない直接対戦型は、そもそも 考えてみれば通常のシューティングと真逆のシステムだ。
通常のシューティングはきわめて強力な少数精鋭の自陣が、能力はかなりアレだが数量で押してくる 相手方を撃退するという構図なのに対し、直接対戦型は基本的に互角に近い能力のキャラクター同士が 撃ち合わなければならない。これはプレイヤーの能力(精神力も含めて)が直接モノをいうだけに、 CPUのアルゴリズムが難しい。その辺は対戦格闘と一緒のような気がする。
この両者の間に、 「ティンクルスタースプライツ」のような、落ちモノパズル的要素を クッションにしたアプローチや、もう少し直接対戦寄りの「チェンジエアブレード」などが 含まれるだろうか。 まぁそれはともかく、直接対戦型の1990年的アプローチ、「バリーファイア」を見てまいりますか。 おっと、今回の紹介は基本的に1人用なので要注意。なぜって?対戦相手がいないからさHAHAHA!

システムは単純で、左右に動きながらショットで相手にダメージを与えるというもので、両者(画面の上下に 分かれている)の間には当然のように障害物がある。まぁここまでなら「カメレオンアーミー」まんまなのだが、 ショットを反射させる障害物や撃つ事で相手側に押せる障害物、中間に現れて両者を攻撃してくる奴、自機の 後ろからカマ掘ってくる奴、更には縦スクロール面とステージそのもののバリエーションUPがなされている。 更にアイテムがある辺り、リメイクらしいリメイクになっている。
とりあえずここでそのアイテムとやらを紹介。

B:ボーナス
イエーイ点が入るよ。…しかし正直なところ、激しくハズレっぽい。

S:一定時間無敵
自機が点滅して一定時間無敵。この隙に一方的に攻撃だァーいと言いたいところだが、 意外と攻撃しにくい。

L:ライフ回復
ライフが最大まで回復する。ライフがほとんど減ってない場合とかに出ると甚だくやしい。

P:パワーアップ
自機のショットが太くなり、威力が増す。初期から2段階までパワーアップする。 このゲームの最重要アイテムであると思われる。詳細は後述。
パワーアップはコンティニューするとなくなる。

1UP:1UP
文字通りの1UP。

さてゲームは、マップ上に散りばめられたステージを順に攻略していき、最終的にボスラッシュのある 惑星PARIAステージを攻略すればクリアとなる。PARIAを除く各ステージは3つのエリアとボス面からなっている。 また、クリアするためにステージは全部攻略する必要はなく、最短で3ステージでクリアできる事になるが、 どうも上記パワーアップは特定のステージ、特定のエリアでしか出現しないようなので、それなりに遠回りするというのも アリだ。



さて、俺が色々試した結果、このゲームの基本戦術は、相手の動く先にショットを「置いておく」事で、 「弾に敵が当たってくれる」事を狙うというもの。になるようだ。 というのも、自ら敵の正面近くに出てショットを撃つというのはリスクが高いからだ。 実際には、敵がそろそろこっちに来そうだな…と思ったらショットをパパッと放っておくような感じかな。
敵の動きはちょっとランダム要素を含むので、運が悪いと結構長期戦を行う羽目になるんだが、 これがねぇ、シンプルなゲーム内容も相まって段々とウザったくなってくるんだよ。 とくに最初のうちは攻撃力が弱いため、敵に与えるダメージも微々たるもの。ついつい面倒になって正面から ガシガシ撃ちにいきたくなってしまうのが人情というものだが、血がアタマに上った状態でそんなリスクの高い 戦いを、しかも結構な時間続けなければならないので、結果的に困難になってしまうのだ。
ところが、パワーアップすると攻撃力のおかげで戦いも割と短期決戦になるし、 多少強引に敵を倒す事もできるようになる。
更に中盤以降は反射板や途中にいる敵からの攻撃などもあるため、ゲーム展開は段々とハイリスクハイリターン、 サクサクと進むようになる。これは果たしていいポイントか悪いポイントか?
最初が弱くて苦戦、しかし段々強くなって相手を段々速攻で倒せるようになる、というカタルシスは ゲームの演出として非常にまっとうなものに見える。 しかしこのゲームの、「最初がかなりチマチマしてしまう」と言う点が、ネガティブに映るのもまた事実。 慣れてくると、とかく最初の頃のステージが退屈で適わん、という気分になってくるのだ。 最初の頃のステージは、間にただの障害物を挟んで普通に撃ち合うものが多いため、ゲームの基本を覚えるのには ちょうどいいのだが…難しいものだ。

よく、シューティングにおいては「難易度曲線」ということが言われる。ゲーム導入部から終盤にかけて、 どのようにゲームが難しくなっていくか、という事を表すものだが、難易度曲線を語る場合、 突発的に難易度が高くなるとか最初から難易度が高い、という話題が最近では多い。
しかしこのゲームの場合、特に序盤における難易度のありかたが他のゲームと違う。 敵と1対1で撃ち合うというスタイル、しかもプレイヤーに求められるファクターの一つに 「じっとチャンスを待つこと」が含まれるがゆえに、「敵をズバッとやっつけたい」という当然の欲求が 強い事が、結果的に自らリスクを取りに行ってしまう(このゲームでは裏目に出やすい)という ストレスの原因になってしまうのだ。その点パワーアップして後なら、一撃当たりのダメージが大きいので、 多少リスクを取りに行っても見合うわけ。
これは単に「面白さがツカミの段階で分かりにくいゲーム」としてこのゲームを片付けてよいものだろうか?という 疑問を残すポイントだと思う。前半の、相手を伺いつつチマチマとダメージを与えるゲーム性、 中盤以降の、一撃で死ぬ巨大ミサイルとか自機の後ろからカマ掘られるのを警戒しつつ、2〜3発で 敵を始末するというサクサク感溢れるゲーム性。この違いにプレイヤーの性格(チマチマいくのを良しとするか、 回りくどいのを避けて一気にズバッといくのを好むか)が相まってゲームの評価は決まる。
「そらアンタ、ゲームの評価なんて元々個人の好みによる部分が大きいだろ」
というのは確かなんだが、このゲームだと前半と後半のコントラストが強いためか、改めてそれを感じずには おられんのだ。

ジャンルは違うが、対戦格闘などで1人プレイをやっている人がCPU相手に延々同じ連続技を決めたりするのを 観る事があるけど、あれも結局のところ「CPUと人間を対等に近い条件下で戦わせる事は、現状では困難すぎる」 という事の表れなのかもしれない。
そういえば、かつてUPLでゲームデザインなどをしていた藤沢勉氏(故人)も、「人間とCPUとが対戦する」 というゲーム性を追及していた人であったが、結果として激ムズゲーになってしまったものが多かった、 という印象だ。
更に、MSX2用の大戦略だかSUPER大戦略だかのマニュアルに、開発者のコラムのようなものがあって、 「シミュレーションにおいてCPUは結局は負けるのだから、いかにいい負け方をさせるかがポイントだ」という ような意見も載っていた。
「人と人を直接対決させればいいじゃない」ではなく、「人と、擬似的なヒト(CPU)をいかにアツく戦わせるか」 というのは、何か一つの大きなテーマのような気がするが、それはしかし同時に、ゲームを提供する事に まだ余裕があった時代でなければできない芸当なのかも知れない。 なんというか、
「よう、ちょっとこんなアルゴリズムにしてみたんだけど、人間ぽく戦えるかな?」
みたいな仕事に遊びの要素を取り入れてみた感じというか。
最近のスポーツゲームとかどうなってるのか知らないけど、CPUのアルゴリズムってそれっぽいのかい? やっぱりスポーツゲームも、対人戦あってのものになっているのだろうか。 オンラインゲームってのはつまり、「CPUは人間の対戦相手になれない」という事に対する大きな回答なのだろうか。
「バリーファイヤ」でちまちまCPUと単純な撃ちあいをしていると、そんな事を考えてしまう。

Location

PaCIfIC PASSER-BY/ Cult Shooting 100/ バリーファイア