-貴方の好きなところ





「エンにぃって、シーにぃのどこが好きなの?」

唐突に、足をぷらぷらとさせながらケーキを頬張っていたキリが
目の前にあるソファに座っているエンストに興味のあるかのように瞳を輝かせながら問いかけた。
その問いにエンストは、キリの隣に座って仕事の資料を見ているシークから視線を外した。

「なんですか急に。随分今更な質問ですね。」

エンストは紅茶の入ったカップを手に取る。
シークは一度だけ資料から目をはずして、向かいに座るエンストを見た。
けれども、すぐにまた手元へと視線を戻す。
興味がない。という言葉が当てはまるかといえば、それは違う。

ただシークにはなんとなくだが、予想が出来たのだ。
目の前の男なら「そりゃあ全部ですよ。」と平気で言ってのけると。自惚れではなく。
一番差し障りのない答えで、一番軽く聞こえる答えでもあるからだ。

「そうですね、」

喉を潤したエンストが口元に手を寄せて、考える仕草をする。
答えを期待するように、そんな彼を見つめながらキリは残りのケーキを口にいれた。
少しばかり二人から視線をはずしていたエンストは、カップを置くと向き直った。

パラリとシークが資料を捲る音がする。

「・・・暖かい、ところですかね。」

優しい声で紡がれた言葉に、予想しなかった答えにシークが視線をむけると
柔らかく微笑んでいたエンストと目があって、笑みを深くさせた。

「へー。キリ、わかる気がする。シーにぃ優しいもの。」

軽い金属音をたててフォークをお皿に置いたキリがソファに座りなおした。
その間にもエンストから向けられる笑顔がどこかむず痒くて、シークは誤魔化すように黙ったまま資料を見るのを再開した。









シークにめろめろエンスト・・・。
どんだけ好きなんだよってのを表したかったんだけど・・・!






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