仏具屋へ行こう(2000.10.29) 上野駅周辺にはどうしてこうも仏具屋が多いのだろう。まあ、上野駅と言ってもいろいろあるのだけれど、ああ、ないか。とにかく私が東京行きのバスに乗った日には、ちょうど地下鉄浅草駅、だったかなあ、ええと、まあそのような名前が付いた恐らく地下鉄の駅を少しばかり過ぎると、仏具屋が所狭しと並んでいるのであった。それでは上野駅周辺ではなくて浅草ではないか。しかし、そんなことはどうでも良いのであった。この場合、所狭しという表現がぴったりくるのかどうかは別として、それこそ彼の通りは、二軒に一軒の割合で仏具屋が並んでいると言っても過言ではないほど華厳の滝なのである。
私の地理に関する知識は多分に当てにならず、あの場所が上野なんだか浅草なんだかはっきりしやがれと意気込んでみたところで、多分、地図をみればはっきりしているんだろうけど、とにかくまあ、上野駅までバスで3から4分程度の場所であるのは間違いない。これだけは譲れない。譲れませんとも。もし、今の私にどうしても譲れないものがあるとしたら、上野駅からバスで4ないし5分のところ、もしくは地下鉄浅草駅の近くには仏具屋がひしめき合っているという事実である。あ、やっぱり浅草ということにしておこう、だって、なんだかほら、浅草っていうとMade in Japanって感じがするじゃない。ああ、もっと大事な譲れない何かはないのか私。
他の雑文サイト、とは言っても、私の知る限りにおいてだが、の作者たちは、こういった疑問を文章のテーマに掲げたとき、兎に角、その理由をきちんと調べているようである。ある人はインターネットで、ある人は件の書籍を紐解き、ある人は憂いの森に住むという巨大な亀に聞くべく、哀しみと共に憂いの沼へと深く沈み、そういえば巨大竜フッフール、あ、映画ではファルコンとなっていましたが、あの鼻、そそると思いませんか?噛みたいですねガジガジと。知ってるかなあ、知らないだろうなあ、みんな。と、とにかくある程度は調べてみるもののようである。
勿論、その答えがはっきりと出ないときだってあるだろうし、きっぱりはっきりすっきり出るときもあると思う。まあ、いずれにせよ一応の解答を得て、それを踏まえて全然、出鱈目の事を書いたり、ネタにするなりしているようである。ところが私は違う。徹底的に調べない。その理由については紙面の都合上、割愛させていただく。
しかしながらこういったテーマを掲げて書き出した以上、何らかのオチはあって然るべき何じゃないかなあっと少しばかりの義務感が無いわけでもない。一番、手っ取り早いのはもっともらしい大嘘を連ねることではあるんだけど、嘘は嘘で、なかなか、これがまた難しいもんで、ある程度の知識なり信用なり持ってないとつまんない嘘になってしまうという寸法。曰く、寛永十七年の江戸城大火の折り云々...などと言ってみたところで今では誰も信用してくれないほど私の信用は地に落ちている。
本題に戻る。私が疑問に思うのは何故、彼の地に仏具屋がひしめき合っているか、ではなくて、あれだけ仏具屋が密集していて商売になるのか、ということに集約されよう。そもそも仏具、仏壇などと言うものが飛ぶように売れるなどということは恐らく無いだろう。見たいなあ、飛ぶように売れる仏壇。仏壇 in ASAKUSA Spring Collectionとか。なんなら飛ぶ仏壇でもいいけどね。加えて言うならば、あれだけ限られたスペースに同業種がひしめき合えば過当競争を引き起こすんじゃあないだろか。ここんところを解き明かせば自ずと冒頭に掲げた命題は解決されるのではないでしょうか。いや、なると思うんだけどね、ね、なって、お願い。
しかし仏具屋は安泰なのであった。おそらくは何代かに渡って受け継がれてきたであろう店舗の軒先にはショーケースを磨く店の主人と、沿道を掃除するその妻、そして所在なさげに張り切っている七五三スーツの跡取り息子。この光景は変わることなく、ずっとずっと受け継がれ、これからも七五三スーツの彼はアウスレーゼか何かで頭髪を整え続けていくことだろう。この光景を支え続ける経済的基盤は何か。出た、出ましたよ、経済的基盤、やってしまいましたねえ、知りませんよ私は、そんな小難しい事言っちゃって、要するに仏具屋は儲かってんのかってことなんだけどね。まあ、余計なお世話だというのは重々承知の上であるけども、そこんとこがよく分からない。年間10台ほどの仏壇を買っていく仏壇マニアのような人が居るのだろうか、それとも仏具屋とは名ばかりで、カジュアルウェアなんかを格安で販売していたりするのだろうか。釈迦如来フリース、1900円、毎週新色発売とか、そういうことだろうか、その場合ユニクロ辺りと全面戦争になることは必死である。
そんなわけで新色フリースをゲットするべく、今度、仏具屋に行ってみようと思う。
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