あ行


 青髭八人目の妻 


  
Bluebeard's Eighth Wife ('38) アメリカ
監督:エルンスト・ルビッチ 出演:クローデット・コルベール、ゲーリー・クーパー、デビッド・ニーブン

フランスの避暑地。没落貴族の娘はアメリカの大富豪に求婚される。彼には他に過去に7人の妻がいて…。怒った娘は結婚してすぐ離婚して慰謝料を稼ぐつもりだった…。

偉大なる監督ルビッチのロマンティック・コメディ。
脚本にはルビッチの意志を継ぐビリー・ワイルダー。このあと二人は名作「ニノチカ」発表するのです。
今回はハンサムと言えばこの人、ゲーリー・クーパーを迎えて、存分に笑わせていただきました。
伊達男クーパーがコルベールに振り回される図は最高に可笑しかった。
だけど、それはクーパーの秘めた(笑)コメディ・センスがあったからかもしれないけど、私はコルベールのおかげだと思う。
コルベールって「或る夜の出来事」ですでにコメディエンヌとしての才能は発揮してましたよね。
ちっちゃくて可愛いくってお転婆で、だけどちょっとズル賢いんだけど、それでもメロメロになっちゃう男性たち。
ルビッチの映画のヒロインはこんなタイプが多いなぁ。
たぶんルビッチ自身がそんな女性に弱いんだろうな、クーパーみたくメロメロ状態(笑)
      


 暗黒街の女 


  
Party Girl ('58) アメリカ
監督:ニコラス・レイ 出演:ロバート・テーラー、シド・チャリシー

伊達男ロバート・テーラーが片足麻痺ってのがいいじゃない、美しいモノが不自由ってのはゾクゾクしちゃう(笑)
男顔シド・チャリシーはそのまんま男らしいし、設定は好きだなぁ。…設定はね。
ニコラス・レイは基本的に男っぽい映画作るひとよね。血の描写が素敵、生々しいし。
女を道具扱いするところが大好きなのだ。
  


 イグジステンズ 


  
eXistenZ ('99) アメリカ
監督:デビッド・クローネンバーグ 出演:ジェニファー・ジェーソン・リー、ジュード・ロウ、ウィレム・デフォー、ドン・マッケラー、イアン・ホルム

新作体験ゲーム「イグジステンズ」の発表会場で、天才女性ゲームデザイナーが狙撃される。警備見習いの青年が彼女を守って逃走する。

待ちに待っていたクローネンバーグの新作。初めて彼の作品を見たのは「ビデオドローム」。あまりの世界観に圧倒されて、次々と過去の作品を見たっけな。本作は、前作「クラッシュ」のような感覚でクローネンバーグするんじゃなくて、視覚的でも楽しめそう♪なんて、スキップまじりで映画館入りしたのであります。

…がっ!何でしょうか、この寂しい気持ちは。本作は、とってもきっちりまとめちゃっています。
いっつも、どこか中途半端な感じがして、そこが大好きだったんだけどなー。
頭ではなく感覚で生きている人なはずなのに(泣)
「デビッド・フィンチャーか、おまえは。」って一人ツッコミする私。

とは言うものの、相変わらずグロかったし、ジュード・ロウは綺麗だったし、ま、いっか。
あ、でもでも、最近とかくよく見かけるイアン・ホルムを、またまた見ちゃったから、マイナス1点(笑)
マッケラーと共に、エゴイアン役者が2人出演してるのよね。
確か、撮影舞台がカナダだからかしら?…いや、考え過ぎね。失礼。

ふふふ、今回は背中にケツの穴とは(笑)。「ビデオドローム」はお腹にアレでしたな。わはは。
  


 熟れた果実 16歳の夏 


    
The Opposite of Sex ('98) アメリカ
監督:ドン・ルース 出演:クリスティーナ・リッチ、リサ・クドロー、マーティン・ドノバン

16歳の主人公はゲイの恋人から遺産を相続した異父兄ビルの家で居候に。
自分からビルの恋人を誘惑し、妊娠したのを彼のせいにして西海岸へ旅立つが。

当時は、とんでもなく成熟しちゃったリッチに驚いたワケですが、今では立派なビッチ女優になりました。
サスペンスかと思ったら、オフビートコメディなんですよね、これ。
この作品は未公開なんです、もったいない。内容も面白いし、出演者も豪華。ジュリア・ロバーツの元ダンナだって出演してる(笑)
でも一番良かったのはリッチではなくて、リサだと絶対思う私。
   


 ウィッカーマン 


    
The Wicker Man ('73) イギリス
監督:ロビン・ハーディ 出演:エドワード・ウッドワード、ブリット・エクランド、クリストファー・リー

主人公である警部補は、行方不明の少女の捜索するためにスコットランド沖のサマーアイル島を訪れる。島民が豊穣を祈る祭りの準備を進める中、警部補は島を支配する異教的な雰囲気に困惑してしまう。
ウィッカーマンとは巨大な絹柳の枝で編んだ人形という意味らしい。キリスト教以前の新興宗教のシンボルだとか。

いやー、怖かったですねぇ。序盤ののほほんとした島の風景が、徐々に変貌してゆく様…いや、島の雰囲気は同じなんです。
物語が進行してゆくにしたがって、警部補そして私たちの観点がずれてゆくのです。
それに、サスペンス仕立てなはずなのに、ミュージカル仕立て。その上エロスだってございます。
なんちゅー映画だ。これが70年代にあったとは。

ラストは怖かった、精神的に。私はこういったタイプの映画は怖いんです。
映像はやはり70年代の映画だけに、衝撃度は少ないですが。
私は浸食されてく感覚があって、ラストを迎えた時はビビりまくってました。ははは。「悪魔のいけにえ」とかは大丈夫なのに。

ラストに登場するウィッカーマン。あの情景は神秘的かつ不気味。当分は頭から離れない〜。

ふと、ここで思い出したこと。
「シャロウ・グレイブ」で、ユアン・マクレガーが見ていた映画が「ウィッカーマン」。当時はまだ公開されてなかったんですよね〜。
ダニー・ボイルはあまり好きじゃないけど、「ウィッカーマン」が私との共通点とは。
どうでもいいか。そんなこと。
    


 ウエディング 


    
A Wedding ('78) アメリカ
監督:ロバート・アルトマン 出演:キャロル・バーネット、ジェラルディン・チャップリン、ミア・ファロー、リリアン・ギッシュ

大司教立ち会いのもと、結婚式が厳粛にとり行われた。なにしろ新郎新婦の親はともに大富豪。豪華な披露パーティに入ったまではよかったが、花婿の祖母が老衰死し…。

いやー、ブラックですねー。アルトマンはこういの手掛けると俄然遊んじゃいますねー。
全員が一斉に喋り出すシーンや、独特なカメラワークなんか、まさにそんな感じ。。
両家の乱れた私生活が赤裸々になっていく様は、「ガハハ」笑いでなく「いひひ」笑いなんです。
私は「いひひ」派なんで、アルトマン大好きです。
ミア・ファローの可愛い顔してビッチな姉役、シシー・スペイセクと並ぶくらい好きです。
出演者が30人ほどいたんですが、おみごとなまでに混乱せず、一人一人の性格を描き出していたと思います。
誰が主役というのではなく、全員が主役という設定にちょっと疲れるかも。
私、こういうのが好きなんで全然OKでしたケド。
  


 オーディション 


    
audition ('99) 日本
監督:三池崇史 出演:石橋凌、椎名英姫、呉村哲弘、國村隼、松田美由紀

制作会社社長の主人公は息子に勧められ再婚を考えるようになる。映像プロデューサーでもある友人に相談すると、架空のオーディションに集まってきた女性の中から再婚相手を決定するという少々無茶な企画を提案する。そこで主人公は一人の女性に惹き付けられ、そしてのめり込んでゆく…。

最近、ホラー好きの友人と邦画ホラーを見るのが恒例となっています。
しかしホラー映画の見過ぎでしょうか、邦画に関してはあまり怖い思いをしたことがあまりないんです(「黒い家」ある意味怖かったけど)。
今回もダメかしらね〜、でも三池監督だしー。
DOAで思い切り驚かされた私たちは、三池監督にすがる(うそ)思いで見始めたのであります。

いやー、とんでもなく怖かったです。痛かったです。
視覚的にも痛かったけど、精神的にも痛かった。私が男だったらもっと痛いんだろうな。
そう、この映画は男の痛いところを突いてくるんです。男の甘さっていうか、弱さっていうか。
ま、女の私から見ても痛かったのは三池監督であります。
三池監督はイタい。DOAの頃からそう思ってたけど。んで、主演の石橋凌が椎名英姫に惹き付けられてる時のでっれ〜っとした顔はイタい(笑)ARBが泣くぞ、おい。

終盤あたりになると、映像がたたみかけるように展開されます。
えっえっと思っている間に、なんとなく謎解きの輪郭が見えてきます。こういうのって好きだな。
観客との距離を置いている映画って好き。
…なんだ、ってことは私はこの映画が好きってことか。なるほど。
感想を書きながら、答えが出てしまいました。

大杉蓮さん、あなたが好きです。やっぱり。
 


 エンパイア・レコード 


    
Empire Records ('95) アメリカ
監督:アラン・モイル 出演:リブ・タイラー、レニー・セルヴィガー、イーサン・エンブリー、アンソニー・ラパグリア

大手レコード店に買収されそうな町のレコード店・エンパイア・レコードを守ろうとする若者たちの青春コメディ。

映画っていうのは、内容がどうだの、役者の演技があーだのとのたまわる他に楽しむ方法があるんですね。
若手のキラキラな役者達を見ているだけで、わたくしとっても元気にさせていただきました。
あ!あんなとこにあの人が!的クイズ感覚で見るもよし、この曲あのバンドのじゃん!と喜ぶもよし、生きのいい若手役者に恋するもよし。
お決まりのストーリーと判っているから、違う面に目を向けられるのよね。
ブレンダン・セクストン君とイーサン・エンブリー君は可愛いな〜、マックスウェル・コールフィールドは相変わらず暑苦しいな〜。
   


 オープン・ユア・アイズ 


    
Abre Los Ojos  ('97) スペイン
監督:アレハンドロ・ア、エマーバル 出演:エドゥアルド・ノリエガ、ペネロペ・クルス、フェレ・マルティネス

莫大な財産を相続して安逸な日々を送るセサールは、親友の恋人ソフィアを好きになるが、車の事故でセサールは顔が破壊され失恋する。ところが気が付くとソフィアが微笑み、顔の手術も成功する。これは一体何故なのか困惑するセサール。

初めて観るスペイン産の近未来バーチャル作品です。
現実と虚実(今回は夢)を取り上げた映画はここ最近たくさんあるから、残念ながら新鮮味はなし。
でも新鮮味がなかったからこの映画はダメだとは言ってませんよ。
こういったテーマはSFXに頼りがちとなりますが、そこに頼らず映像化されています。
その為か妙な現実感が漂い、私個人としてはこの作品は好きだったりします。

噂によるとトム・クルーズがリメイクするとか。
オーノー!やめてトム〜!

ま、そんなことはどうでもいいです。
この映画での最大の収穫は、主演のノリエガが、愛しのベニチオ・デル・トロ似だったこと。
    


 オール・アバウト・マイ・マザー 


    
All About My Mother ('99) スペイン
監督:ペドロ・アルモドバル 出演:セシリア・ロス、マリサ・パレデス、ペネロペ・クルス、アントニア・サン・ファン、カンデラ・ペニャ、ロサ・マリア・サルダ

女手ひとつで育てた17歳の息子が交通事故で死ぬという悲劇から始まる。残された母親は息子の父への思いを行方不明の夫に伝えるため、青春の地バルセロナへ向かう。

私は映画に絡んでくる女って嫌いです。特に男の友情を壊してしまう女なんて大っ嫌い!
ペキンパーみたいに、女を道具みたいに扱ってくれると非常に嬉しいです。私、女なのにね。
…しかし、この映画を見て「女っていいなー」なんて、調子いいと思いながらも感激しちゃいました。
すんません、ははは。

劇中の女たちは、みんなみーんな強くてたくましい!不器用な生き方をしていながらも、凛としている。
特に舞台女優役を演じたマリサ・パレデス、あなたに惚れました。
あんなに赤いスーツとたばこの似合う女は滅多に居ない。
アンジェリカ・ヒューストンや、ローレン・バコールもビックリだ。

パレデスに夢中になって冷静を欠いてますが(笑)、作品自体は、かなり敷居を低くしているような気がします(アルモドバルにしちゃあ、珍しい)。
それぞれの女たちの生き行く先に焦点をあてることで、以前の過程が描かれていないような。
きっとそこを不満がる人もいるだろうなぁ。
でも私は、これで良かった。「今」を生きようとする女たちが見たかったから。

ふー、1日でもいいからパレデスになりたいー。
    


 オフィス・キラー 


    
Office Killer ('97) アメリカ
監督:シンディ・シャーマン 出演:キャロル・ケイン、モリー・リングウォルド、ジーン・トリプルホーン

ある出版会社で働く冴えないOLのドリーンはリストラにあって、在宅勤務に降格される。ある夜、上司を感電死させてしまったことがきっかけで、殺人の快楽に目覚める。

映画全体に漂うクラシカルな雰囲気。
まずキャロル・ケインのルックス。まるで70年代のような。
それは彼女だけでなく、リングウォルドもトリプルホーンも一昔前のようなルックス。
映画自体がクラシカルなサスペンス仕立てなような気がしました。
とりわけ、惹き付けられるストーリー展開はなく、あくまでもオーソドックス。

そんな中、シャーマンがこだわったグロテスクなシーンだけが突出していた。
それがいいのか悪いのかは、どんなもんか。

そこに絡む音楽、おどろおどろしさはない。
拍子抜けしたちょっと軽快な音。これを担当したのがエヴェン・ルーリー。
兄弟揃って脱力モードなのがいいね。欲しいな、サントラ。
シャーマンが名付けた「ファニー・ホラー」に大きく貢献してると思います、この音楽。

ちなみに脚本協力にドット・ヘインズが参加しております。