Love Life―――――めそ様

 

 これは一体なんだろう。

 いや、『これ』が一般的になんと呼ばれる物かは知っている。
 ただ、『これ』がここにあるという現実を認めることができない。

「京、これはなんだ…?」
「何って、分かんねぇの?」
 それを掲げて問う庵に、京は笑って答えた。

 分かっている。分かっているから困っているのだ。
 そして、何故これがここにあるのかということも。
 絶対、言うに決まっている。

「なあ庵。これ着てくんない?」
 やっぱり……(汗)。
 絶対に嫌だ。
 そう言っても、無駄なのは今までの経験上分かっていた。
 けれど、素直に着てしまうのは、男としてのプライドが許さない。

 何故なら京が持ってきた『これ』とは、真赤なチャイナドレスなのだから。

「白いのも綺麗でイイとは思ったけどさ、やっぱりお前の色は赤だろ」
 着てみて、と再び強請る。
 削肩の右開式のロングのチャイナドレス。両側にスリットが生々しく入っている。
 飾りも至ってシンプルな、一般的なヤツ。

「わざわざ頼んで作ってもらったんだよ」
 そんなものを頼んでまで作るな!! しかも誰に頼んだんだ!?
 そう叫びたかったが、呆れて物も言えない。

 茫然としていると、京の手が庵の首筋に触れた。
 熱い体温が撫でまわす感触に、悪寒がする。

「着てくれないと、俺、何するかわかんないよ?」
 脅してまで、着せようと言うのか。
 嫌、こいつはこういうヤツだ…(泣)。
 庵は本当に、本当に仕方なくそれを着ることにした。

「あ、着替えから見してな♪」
 死んでしまえ、この色情狂!!
 

 
「ダメだろー、下着つけちゃ」
 そう言うと京は、スリットから手を差し入れた。

「何をするっ!」
 抵抗するが、前を掴まれその感触に前屈みになったところで下着を剥ぎ取られた。

「このラインがいいんだよな〜」
 腰のラインを猥褻な視線が撫でて行く。
 その視線に、体が熱くなったのが分かった。
 絡み付くような京の視線は、それだけで毒だった。

「なに視線だけで感じてんの? 淫乱だなあ、庵」 
「違うッ」
 思わず否定した庵の胸に、京の手が伸びる。
 肌触りの良いシルクの上から胸の突起を摘まれて、痛みに顔を顰めた。
 くりくりと捏ねまわされて、背筋を走るモノ。
 それがなんなのか知っていても、認めたくはなかった。

 そんな庵に京はほくそ笑むと、再びスリットの中に手を入れてきた。
 今度はあきらかに別の意志を持って。
「やめ、ろっ…!」
 自身を掴まれて、悲鳴を上げる。
 それを無視して扱きつづけると、立ち上がった先端から雫が零れた。
 立ったまま扱かれて、足から力が抜ける。
 京はしゃがみこんでしまいそうになる庵の腰に手を回して支えた。
 その間も手はスリットの中に差し込まれたまま。

「や、京! やめろっ!」
 くちゅくちゅと音が漏れ始めた頃、再び庵が中止を求めてきた。
「ばーか、止められるワケねーだろ」
「ひ、やぁああっ」
 先端に爪を立てれば、首を振って自分が感じていることを否定する。

(強情なやつ)
 そんな庵の反応が、一層京を煽るのだと言うことを、彼は理解しているのだろうか。
 プライドの高い彼を、貶めてやりたくなる。

 強情な彼を陥落させるには、あれが一番だということを京は充分過ぎるほど知っていた。
 京は庵の先走りの液で濡れた指を奥へと伸ばした。
 まずは一本。
 固く窄まる蕾を軽く撫で、中へと侵入する。
 熱い内部を蹂躙していく指に、庵は戦慄く。
 第一関節まで埋め、入り口を刺激するように抜き差しする。
 足を伝って落ちる雫にまで感じてしまい、その緩い愛撫に庵が涙を零した。
 しばらくして、指が二本に増やされる。

 洩れる淫猥な音に、聴覚まで犯される。
「きょう…ぅ、も…っ」
「ガマンできない?」
 こくこくと頷く庵。けれど、まだイかせてはやらない。
「まだだ。もーちょっとガマンしろよ」
 そう告げると、ポケットから何かを取り出した。

「庵、口開けて」
 半分意識の飛んでいる庵は、それに素直に従った。
 おずおずと口を開けると、何か楕円形のモノが口の中に突っ込まれた。
「舐めて」
「んぐ…っう」

 口内いっぱいに広がる物体に、息が詰まる。
 けれど逆らうことはできない。逆らえば京は、ずっとこのままイかせてくれないに決まっているのだ。
 無理に舌を動かして、それを潤す。

「もういいぜ」
 ようやく唾液が滴るほどに濡れた物体を口から取り出す。
 それを下肢へと持って行くと、蕾に押し当てた。
「きょ…っ、何す…っ」
「大丈夫だって」

 何が大丈夫なのだろうか。
 体内に異物が押し入ってくる感覚に、庵は腰を捻って暴れる。
 けれどそれも無駄な抵抗というもの。
 全てを押し込んでしまうと、京は庵を支えていた腕を外した。

「しばらくそのままで過ごせよ」
 京は無邪気とも言える笑顔でそう告げた。


 庵はチャイナドレスを着たまま、夕食の準備をしていた。
「っくそ…」 
 動くたびに体の奥に存在する異物を締め付けてしまい、庵は毒づく。

 そんな彼の様子を京は楽しそうに眺めていた。
 ちらちらと覗く白い足、そしてその足を伝う体液。
 くつくつ笑って、京は庵の名を呼んだ。

「庵、これ何だか分かるか?」
 小さなリモコンのような物を見せる。
 庵が首を傾げていると、京がそれを操作するように指を動かした。

「…っあ!?」
 ヴン…と体の奥から響く電子音。振動する異物。
 京を見やると、京は再び何かを操作した。
「ああっん…!」
 がくんと腰が落ちる。
 内部を蹂躙する動きに、庵は悶える。

 京が庵の中に埋めた物。それはローターだった。
 カチカチとスイッチを強弱を変更するたびに、敏感に反応をする庵が可愛い。
 庵はいやらしい笑みを浮かべる京を、快感に潤んだ瞳で睨みつけた。

(そんな目で見られても、可愛いだけなんだけどな)
 意趣返しにと、スイッチを『中』から『強』に変えてやる。

「っくああっ、あんっん、ああぁーっ!」
 足の間を白い液体が伝う。
「何、イっちまったの?」
 ぽたり、と布からも白濁が滴った。

「も、っう……とめ…ってぇ…」
 無慈悲に動きつづける異物に、庵が悲鳴を上げる。
 再び立ち上がり始めた自身に眩暈がする。

「しょうがねえなあ」
 苦笑を浮かべつつ京はスイッチを切った。
 けれど、抜いてはくれない。
 縋るような目で見ても、彼は動こうとはしなかった。

「メシ、まだ?」
 非情な声が、響いた。


 食事を作る間も食べる間も、京は玩具を弄くるのを止めようとはしなかった。
 つけたり消したりを繰り返し、庵が喘ぐのを楽しそうに眺めていた。
 そして、夕食を食べ終われば解放されるだろうと思った庵だが、それは間違いだったことを思い知らされる。

「ねえ、ソレ着たままオナってくれる?」
「…っ!」

 ベッドに腰掛けて膝を曲げさせられる。閉じられないように膝を押さえられ、下肢をあらわにされた。
「ほら、これ咥えてろ」
「んんっ」
 ドレスの裾を咥えさせられ、自身を掴まされる。逆らう術はなくて、庵は恐る恐る手を動かし始めた。

「ん…っ、ふ……ぅ…っ、くふ…ふ……うぅん……」
 京はそんな庵の様子をつぶさに見つめている。
 視線に耐え切れなくて目を瞑るが、京は何も言わなかった。
 だが抗議するように、飾りを弄られ、蕾に指を挿し入れられた。
 ぐいぐいと前立腺を刺激されて、涙を流す。
 性感帯を容赦なく攻められ、意識がかすむ。 

「うんっ……う…、ふ…く………っんぅう!」
 不意に庵が弾けた。
 裾を咥えたまま、ふっふっ、と苦しげに呼吸をする。

「よくできました」
 口からドレスを外させながらそう言って、接吻けた。
「も…ぅ、抜いて…っ」
 未だ体内に残されている玩具。
 動いてはいなかったが、いつ京が気紛れを起こすかと気が気じゃなかった。

 涙を流して訴える庵の頬を優しく撫で上げ、京は手を奥に伸ばした。
 やっと、この異物を取り除いてもらえると、庵が力を抜いた瞬間。
 京は膝を抱え上げ、唐突に侵入を果たした。

「――――いやっあぁぁあああっ!! きょ、京っ…きょおぉっっ!」
 まさかこのまま突っ込まれるとは思っていなかった。
 今まで触れられたことのない深い場所を刺激され、息も絶え絶えに庵は喘ぐ。
 信じられない程強い快感に、頭痛がする。

「あんっん…んんんっ…、や、やあ…ああっ……ぁひっ…ひいぃっ!」
 急激に追い詰められ、落される。
 たらたらと先走りを溢れさせる自身に布が絡み付き、擦り上げられた。

「可愛いぜ、庵」
 掠れた声で名を呼ばれ、背に腕を回してしがみつく。
 もう、理性なんてほとんど残っていなかった。
「もっとヨくしてやるよ」
 スイッチに手を伸ばし、いきなり『強』に設定し、オンにする。

「ひいっ、ひあっあっ…あはあああぁぁ―――ッッ!!」
 最奥で振動を始めた異物をに、思わず締め付けをきつくする。
 そうすると、京自身まで締め付けてしまい、快感が増大した。
 京も、先端部分を刺激するローターの振動と、包み込んだ庵の締め付けに、荒い息を吐く。
 二人して今まで感じたことのない快楽を味わい、共に果てた。




「最っ低だ、貴様!!」
「そう怒るなよ」
 未だチャイナドレスを着たままの庵は、京を睨みつけた。

「でも、今までにないくらい感じたんだろ?」
「死んでしまえ!!!」
 ボスッと枕が投げつけられる。

 確かに今までにないくらい感じていた。
 だが今は、今までにないくらい怒り狂っている。

 まだときどきピクン、と痙攣する体を労わるように、ゆっくりと体を動かす。
 スリットから真っ白な太腿が零れる。
 それを京が見ているのを感じとって。
「出て行け!!」
 射殺しそうなくらい強い瞳で睨みつけてやる。
 それに京も、少々残念そうにしながら、部屋から出て行った。

「はあ…」 
 出てくるのは溜息ばかり。
 このままこのドレスを着ておくのは嫌だったし、危険な気もしたが、如何せん体が自由にならない。
 仕方なく汚れた服のままシーツを被ると、体を回復させるために眠りについた。

 

 次の日。

「なんだ、これは…」
 自分の姿に唖然とする。
 何故か体は清められ、シーツも綺麗になっていた。
 それは、いい。どうせしなければならないことだったのだから、手間が省けたと思うことにする。

 それより、今のこの格好は…。

「あ、庵起きたんだ」
「京、…こ、この格好は…」
「あ、可愛いだろ。今度は白のミニチャイナ〜vv」

 やっぱり白も似合うねえ、と京は上機嫌に笑う。
 まさか、まさかまさかまさか……。
 嫌な思いがぐるぐると脳裏を掠める。

 まさかまた……っ!
 恐怖に怯える庵に、京が告げた。

「今日はどうやって遊ぼうか」
 誰か助けてくれぇぇぇぇっ!!
 声にならない悲鳴が夏の空にこだました。
 

END

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<めそさんのコメント>

 チャイナ服は乙女の夢(あれ、男の夢だっけ…)。
 んなことはどーでもいい。
 でも、庵さんのチャイナは我等の夢。
 赤か白か迷って、結局どっちも着せました。
 メインは赤のロングドレスだけどね。
 白のミニドレスも可愛いと思う。
 黒もシックでいいよなあぁ。
 しかし京はどこで手に入れたのだろうか…。
 (たぶん紅丸あたり) 
 エロはまだまだ精進せんと…。
 修行が足らんなあ…。

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しらす:これは「ネタがない」と言っていためそさんに私が半ば無理矢理頼んだリクエストものです。
今、マイブームのチャイナ服さ〜〜!!!
すくなくとも、庵のチャイナは乙女のロマンです。(でも普通に見ても好きなんだけどねvv)
BBSで、「コレは誰に着せるんでしょうか?」「え!?京とかに着せませんよねえ!?」「いや、最近人気のマキシマとか…」とか言う不気味な会話も成り立ちました。
ところでベニさんは京にチャイナ服を頼まれて誰に着せると思ったんでしょうか…?
(めそさんのとこのベニは2人の仲、知ってるんですか?)