曰く、
「お前めちゃくちゃ無口で、必要なこと意外全然喋らねーんだもん」 しかし、何故『ソレ』なのかと問えば、
「いいじゃん。お前の声いっぱい聞きてーんだよ」
という返事がきて。
二人して真昼間に『しりとり』なるものをすることになった。
「じゃあ、オレからな、〈しりとり〉」
「〈りんご〉」
「〈ゴリラ〉」
「〈ラジオ〉」
「お……〈鬼〉」
「〈肉〉…今日の晩飯、肉でいいな」
「く? 〈くるみ〉。ヤダよ、この間も肉だったじゃん」
「〈みそ〉。なら何が食いたいんだ?」
「〈そば〉」
「それは食いたいものか、それともしりとりの単語か?」
「両方」
「ならそれにする。材料はあったな」
「そばの麺あったっけ?」
「ない。後で買いに行く」
そこでいったん途切れて。
続けるか否かを考えていたが、自分がその遊びに付き合わなければならない
理由などないことに気がついた。
それに、することはたくさんあるのだ。こんなことをして、
時間を潰している場合じゃない。
(しかし……)
目の前の人物は、相手が次の言葉を言うのを今か今かと待っている。
きっと、自分が「やめる」と言えば、猛反対するだろう。
そこで彼はいい事を思いついた。要はこの目の前の人物が止めたくなるように
仕向ければいいのだ。
「ば、からだったな」
そう言えば、目の前にいた人物は大きく頷く。
「ば………〈バリ〉」
「りー…、〈リス〉」
「〈酢〉」
「〈すいか〉」
「〈蚊〉」
「…〈亀〉」
「〈目〉」
「……〈めだか〉」
「〈かもしか〉」
「………〈貝〉」
「〈胃〉」
「…………」
段々と相手がつまらなさそうな、自分を非難するような表情をしだした。
作戦は成功だ。このまま一人しりとり状態が続けばきっと飽きて、
止めると言い出すだろう。
「い、だぞ。…なんだ、続けないのか?」
相手が黙り込んだのをいいことに、彼はソファーから立ちあがろうとする。
それを押し止められて。
相手が自分をじっと見詰めてきた。見たこともないくらい真剣な表情をして。
「〈庵、愛してる〉」
とんでもないことを言い出した。
途端に顔が赤くなったのが自分でも分かった。体が熱を持って、瞳が潤む。
そんな彼の様子を認めた相手が、ニヤニヤと笑みを浮かべる。
「それが報復か」と呟くと、勿論、と返された。
「でもこれ、本音だぜ。俺はお前が好き。お前だけが大事。お前のこと本気
で………」
なおも恥ずかしい言葉を並べ立てる彼に、庵はガマンしきれなくなって、
耳を塞いだ。
必死で耳を塞ぎ目を瞑り、真っ赤な顔をして相手の言ったことを思考から
排除しようしている。
そんな、子供じみた仕草が可愛くて、いじめたくなるのだということに、
彼は気付いているのだろうか。
頬を優しく撫でてやると、困ったようにゆっくりと瞼が開いた。
琥珀色の瞳が迷いながらも自分を見つめてくる。
そうして、耳を塞いでいた手を外させると、「馬鹿が…」と蚊の鳴くような声で
呟いた。
「ひっでーの」
クスクス笑いながら抱きしめると、一瞬、体を強張らせたが、すぐに力を抜いた。
全身を相手に預けるように頭を肩に乗せて、
「まったく。貴様最初からこれが目的だっただろう」
とぼやく。
「あ、分かった? 俺、お前いじめんの好きだもん。可愛いから」
途中、一人しりとり状態になったことは予想していなかったけれど。
本当の目的は、彼のこの表情を見ること。こうやって甘えてきてくれた、
というのは嬉しい誤算だったが。
「男に軽々しく可愛いなどと言うな。言われても全然嬉しくない」
「うそつき」
「何がだ」
「お前俺に可愛いって言われて嬉しいんだろ。だってさっきより顔、赤くなったし」
言い返す言葉も見つからない。
本当は、本当は嬉しかった。
可愛い、と言ってくれるということは、好意を抱かれている証拠だから。
だから彼が、京が自分を誉めてくれるのが、恥ずかしくて嬉しくて。
黙ってしまった庵に、京は短く接吻ける。
「さて…と」
不意に立ちあがった彼に、庵がどうしたと尋ねると。
「そば、買いに行くんだろ。さっさと行こうぜ」
と告げて、庵がとても気に入っている笑顔を見せてくれた。
だから庵も、京が一番好きだと言ってくれる笑顔を返して、立ち上がった。
買い物に行くのもいつも二人で。短い距離だったが、それでもデートだと、
京が言ったから。
二人で連れ立って、欲しいもの、必要なものを買い、時には遠回りをして
散歩をしてみたり。
なんでもないことが幸せなのだと教えてくれた彼に、ほんの少しの照れと、
たくさんの感謝。
END
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<めそさんのコメント>
やっぱり恥ずかしいです。そして短い。さらに会話文ばっかりで読みにくい。
本当は二人の名前出さないでおこうかと思ったんです。
だって名前出すと本当に恥ずかしいんで…。
でも結局出しました。 京サマに庵さんの名前を呼んでほしかったので。
でも庵さんは京サマの名前を呼んでませんね。
最後の言葉は私が庵さんに実感して欲しいことです。
「なんでもないことが幸せ」って、庵さん知らなさそうだから。
何故「しりとり」なのかというと、昨日家族でしりとりしてたときに思いついたから。
それにしりとりって、本当に平凡な遊びだし、二人がやってたら可愛いかなって
思って。(夢みてる…白昼夢!?)
この駄文、HPに載せてもかまいませんし、捨ててもかまわないっス。
載せるんだったら、タイトル勝手に付けちゃってください。私の脳みそでは
何も思いつきません。
しかし、パソコンに直打ちはいけませんねぇ。構成もなにもあったもんじゃない。
でも楽ですな。
同盟の加盟者増えてて嬉しいです。これからもたくさん増えてくれることを願いま
す。切実に。
これからも頑張りましょう!!
それでは、このへんで!!!
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しらす:はい!頑張りましょう!!\(>▽<)/
こんなステキな小説に私が題名なんてつけてもよかったんでしょうか!?
案の定失敗しました!すいません〜〜〜!!
良いっすねぇ〜v何気ない日常話!!!大好きですよ!
ああもう、可愛い〜〜〜!!!
なんか、京に愛してるってセリフ、カッコ良さ7割増じゃないですかっ!??
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