夏バテ解消法―――――めそ様

 

 ぱしゃん。
 水がはねる。
 夏は嫌いだった。暑いしだるいし汗かくし何するのも面倒だし…とにかく嫌いだった。

 うるさい蝉の声も、流れる汗も、纏いつく湿気も、全部嫌いだった。
 だから時折こうやって、水風呂に入る。
 上気していた体が一気に冷やされる。
 その時間が一番好きだった。



 なのに。
 なのにそれが阻まれた。いや、阻まれたと言うよりは、邪魔された。
 正確に言えば、されている。現在進行形である。
 今の自分の姿に泣きたくなる。
 後ろ手で縛られ、目隠しをされ。
 足は際限なく広げられている。
 その間には、自分をこんな姿にした丁本人が楽しそうに居座っていた。



「ん…やぁぁっ」
 バスタブの淵に座らされた状態で、庵は喘がされていた。

「なに、ここがイイわけ? ならもっとやってやるよ」
「っひ…あっ、ああっあっ」
 中心を弄られ、悲鳴に似た嬌声を上げる。
 絶頂を迎えるまでにはまだ足りないけれど、それでもある程度強い刺激を与えられて、庵は仰け反った。

 体中に赤い花びらを散らした庵の痴態に目が眩む。
 閉じることを忘れたように開いたままの下肢に、ボディーソープを塗り込めた。
 そのぬるぬるした感触にも、庵は身を捩って喘ぐ。

「洗ってやるよ」
 そう言ってスポンジを手に取ると、ゆっくりとソープを泡立て始めた。
 撫でるようにゆっくりと、決して追い上げないように。

 そんな焦れったい刺激に、庵は悲鳴を上げる。
「きょ、きょおっ…。もっ…と……強くっ…」
 理性をなくした庵が強請る。
「強く? こんなふうに?」

 一転して強く擦ると、嬌声を上げて思わず足を閉じようとする。
 それを許さず押し広げると、何を思ったか京が愛撫をやめて立ちあがった。

「な…に…?」
 目隠しされているせいで何も見えない。ただ、京がバスルームから出ていったのが音と気配でわかった。
 このまま放っておかれるのだろうか。昂ぶった体のまま。

 そんな不安に身を竦めていると、京が戻ってきた。
 安堵した瞬間抱きかかえられ、洗い場にうつ伏せにされる。
 そのまま腰だけを高く掲げた状態にして、京はソープの絡んだ指を一本突き入れた。

「っふ…や、ああっ!」
 急に潜り込んで来た指に、びくりと体が竦んだ。
 それでも京は指を動かし続け、ようやく蕾がほころんだところで何かをそこにあてがった。
 ざらざらとする何か。

「いいものやるよ」
 そう言われて、いいものだった試しがない。しかもこんな状況で。
 怯える庵をよそに、京は無慈悲な動きでそれを挿入した。

「動かすぜ?」
「ヤメッ……!」
 未知の感触が庵の内部を行き来する。それが与える快楽は、今までにないくらい強烈だった。

「いやあぁぁっん…ん、ンン…やあ、やああっ! う、動かさない……っで…ぇ……あっ、あああっ」
 くしゅくしゅと、どこかで聞いたことのある音が響く。

「なぁっに…ぃ、・・それっぇぇ……、あは、はあぁあん・・っ」
「これ? なんだと思う、庵」
「や、わかんな…っ」
「わかんない? いつも使ってる物なんだけどなぁ」

 細くて長いソレが何なのか、混乱した庵には分からない。
 京もそれが分かっている。分かっていてやっているのだ。

「んじゃ、ヒントな。今俺は、お前の体を洗ってやってるんだぜ?」
「くふ・・ふぅん……そ、れがっ…どうし……や、やぁ」
「じゃ、ヒントその2。毎日使う物です」
「は、はああ、もっ……イ……くぅ…っ」

 あまりの刺激に庵が絶頂を迎えようとした時。京の手がそれを阻んだ。
「やっ、手、手ェ離し…っひん」
 庵は必死になって体を捻り、手を外させようとするが、両手を縛られた状態では、その京の手を退けることはできない。

「ダメだぜ庵。ちゃんと答えられたらイかせてやる」
「やっ…だぁっ。イかせ…てぇ」
「だから答えられたらイかせてやるって。ヒントその3。主に使う時間は朝です」
「…あ……さぁ…? ……は…歯ブ…ラシ、っそれ、歯ブラシッ……?」
「ピンポーン。正解〜vv んじゃ約束通りイかせてやるよ」

 そう言うと、今まで以上に激しく歯ブラシを前後に動かし、握っていた手も同じリズムで動かした。
「あヒッ……あ、あぁっ、アアッ……!! きょ、きょぉっ…いやあぁぁぁっ!!」
 一層激しく声をあげて、庵は白濁した液を京の手に吐き出した。

 ぐったりと力の抜けた体から歯ブラシを抜き、両手を外してやる。
 シャワーの水で泡を落してやり、水を張った浴槽に一緒に入る。
 京には目的があった。
 それは。

「一度水の中でヤってみたかったんだよな〜」
 向かい合う形で庵の腰を持ち上げると、怒張している自分の上に落した。
 いくら緩んでいるとはいえ、潤滑剤もなしに入れるのは少し時間がかかったが、
 それでも何とか全部入れてしまうと、京はゆっくりと動き出した。

「ふ…」
 冷たくて、でも己自身は熱い内壁に包まれていて、何ともキモチイイ。
「…っく…い、おりっ」
「ぁ……きょ、う」
 揺らされる感覚に、徐々に庵が意識を取り戻し始めた。

 それに気付いた京は動くのをやめ、白い庵の肌に噛みつくように接吻けて、所有の印を刻む。
 そのうちに、意識がはっきりしてきたのか、庵の腕が背に回った。
 目隠しを外し、まだ幾分ぼんやりとしている顔を覗きこめば、自分から顔を寄せて接吻けてきた。

「庵、動くぜ」
 名前を呼んでそう告げれば、ぎゅっと強くしがみついてくる。
「っ…きょ、う…っ…あっ、あっあ、アアアッ」
 ぐっぐっと自分を突き上げる力強い動きに、庵は喘ぐ。
 庵の一番イイところをぐりぐりと先端で刺激してやれば、首を振って高く悲鳴をあげた。

「み…水が…っ、入ってく、る……ぅ…っ! あはぁっ、……くぅ…ん……っ!」
 浸入してくる水の冷たさと、穿たれる灼熱の杭との温度差に、眩暈がする。
「庵、キモチイイ?」
「ンッ…い、いっ……キモチッ……イイ! キョ、も……ッ…?」
「…っはぁ、俺、も。庵の、っ中…熱くてキモチイイ」
 そう言って接吻けて、庵の唇を思う様貪ると。
 絶頂に向かって動き出した。 



「最悪だ」
 庵が機嫌の悪いのも隠さずに呟いた。

 夏バテ予防に水風呂に入っていたのに、まさかあの男が邪魔しに来るとは思ってもみなかった。
 しかもお約束通りヤられてしまったし…。
 すっかり腰の立たなくなった庵を抱き上げてベッドまで運び、風呂場の後始末をした京は、今夕食の準備をしている。

「庵、できたぜ〜」
 得意げに差し出された料理に、溜息をつく。
 予想はしていたが、やっぱり出てくるとそういう反応しかでない。
 京の持ってきたものは、インスタントのカップラーメンだった。

「食わねーの?」
 ずるずると音を立てて麺を啜る京を見て、「こんなものをベッドで食うバカがいるか」と返事する。

 それでも、とりあえずは腹に入れておく。
 折角作ってくれたのだから、無下にはできない。
 汁がシーツに飛ばないように気を付けながら麺を啜っていると、先に食べ終わった京がじっと庵を見詰めていた。

「…なんだ」
「いや……、いっぱい付けたな〜と思って」
 何を、と言いかけてやめる。聞かなくても分かった。パジャマから覗く首筋や鎖骨に、赤い花びらがいくつも付いている。

「もう、あんなことはするなよ」
「あんなことって?」
「俺が風呂に入っているときは、絶対にヤらんからな」

 二度とごめんだ、あんなこと。
 告げて、食べ終わったゴミを京に渡す。
「それ意外ならいいわけ?」
 ニヤニヤと笑いながらゴミを受け取った京に、

「嫌だと言ってもどうせヤるんだろうが! だったら風呂くらい静かに入らせろ!!」
 と怒鳴ってシーツに潜り込む。
「分かった」
 京がそう呟くのが聞こえ、庵は一応安心して眠りについた。 
 その約束が、五日で破られることになるとも知らずに。

 

END

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<めそさんのコメント>

 庵の夏バテ解消法は、水風呂に浸かること。
 京の夏バテ解消法は、その庵とエッチすること。
 アタシの夏バテ解消法は、京庵で暴走すること(爆)。
 ってなことを考えてたら、できた話。
 浴室でする話は何度か読んだけど、水(お湯)張った浴槽内でする話はあんまり読んだことない。
 で、読みたくて読みたくて、んで、自分で書いちまったと。
 ゲホゲホゲホ……ゲフッ(喀血)。
 ただの欲求不満解消話(オレの)。

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しらす:エロエロ!!!キャ〜〜〜!!!!\(>▽<)/
私、エロ話好きだったけど、京庵ほどエロ話が好きなカップリングないです!!!
私も京庵のおかげで夏バテしないで済んでるぜ!!!
もー、好き過ぎてどうしよう!!!