只、それは悲願のために。
暗くて明るい闇の中。
夢を、みたの。
砂利みたいに散らばってるのは、肉片と血糊。
まあるい月。ううん、違う、か・・・が・・・み。
鉄錆のいやな臭いがする。
闇にこそ真実があると、光を嫌っていた。
赤い。私の手、赤いの?
ここ、神社なのに、牧師がなんで。
・・・血溜まり? たくさんの死体、逆巻く風・・・?
「えーと」
欠伸を一つかみ殺して、私は考える。
どうしてここにいるんだろう。
頭が、ずきずき痛む。
どうやら酔って、公園で少しの間寝ていたらしい。
それでなければ、夜中に普通、女性が公園にはいない。
けど酔ったからって、あんな夢見ることないじゃない。
寒気がするぐらい、妙なほどリアルな夢。
頭がずきりと、より一層痛んだ。
なんだろう。頭の痛さは、この夢のせい?
思い出さなきゃいけない。けれど、思い出せない。
「まあいいか」
難しいことをうだうだ考えるのは、好きじゃないから。
努めて明るい声を出すと、私はどさりとベンチに背を預けた。
きっと、悪い思い出だろうから。
『悪いことは、寝てさっさとわすれちゃいましょう』
そういつも言っていたのは、誰だったっけ?
大切な人、だった気がするんだけど。
そんな取り留めのないことを、うとうととしてきた頭で考えつつ。
とりあえず私は睡魔に逆らわず、もう一眠りすることにした。
キン・・・
魂の琴線に触れる、懐かしい感覚。
死ぬまで消えることのない絆。
双子の、タマシイの、片割れとしての束縛。
「姉さまっ!」
反射的にちずるはがばり、と跳ね起きた。
息が荒くなるのも無理はない。
彼女は消えてしまった、落ちてしまったのに。
「ささら・・・姉さ、ま・・・」
決しているはずのないひとの名が、唇から漏れる。
・・・オロチの封印など、どうでもよかったのだ。
ただ、姉を殺された私怨を晴らしたかっただけ。
ただ、彼ら一族に償いをさせたかっただけ。
彼女の我が儘に人を巻き込んだだけ。
けれど、その行為を責めることが、一体誰にできる?
「・・・・・・っ・・・」
広いホテルの部屋に、静かな嗚咽が響いた。
END
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<御調様のコメント>
えー・・・ギャグのつもりだったんですが、何故かこうなりました。
というか、数時間前に名付けたキャラが主役というのが、まず無謀ですね・・・
夢(回想)の順がおかしいのは、ささらの記憶が死でぐちゃぐちゃになっているから
です。
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しらす:京庵ばっかりの私の作品の中に、貴重な存在をありがとうございますv(笑)
ホント、私京庵ばっかりしかかかないですからねー…。
しかもシリアス!憧れてしまいます〜!!
本当に御調様は女キャラが描くのも書くのも上手くって…v
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