☆☆☆春月報道官part・start☆☆☆『晴天の霹靂』
「は? あのトラックに轢かれても怪我の一つもなさそうな奴が入院した!?」
「庵ちゃん……それ言い過ぎ……
いくら京ちゃんでもトラックに轢かれれば……。」
ここの所、雨、雨、雨でじめじめした天気で久しぶりに晴れたと思ったら、
いきなり、あの万年高校生の親友、二階堂からこんな情報を聞いてしまった。
ここの所の天気のせいで来ていないと思ってたのだが、まさか、事故にあって
たとは……。
なんでも、睡眠不足で蛇行運転をしていて、事故ったらしい……。なんてバカ
なんだろうと思ったが、あえてここは言わないことにする。
「それでね、庵ちゃん。京ちゃん、入院したでしょ?」
「あぁ、入院したな。だが、見舞いに行くつもりはないぞ?」
確かに、行くつもりはない。
たとえ、天地が引っ繰り返ったって、俺は行かない。
行く筋合いがないじゃないか!!
「やっぱり? でもね、行かなきゃいけないの。」
「何故だ? あいつが来いとでも言ったからか?」
「そんな所……もう見舞い行く度に『庵はぁ?』とか、『庵〜庵〜』って看護婦
さんにまで迷惑かけてるの……。」
聞いてるだけで恥ずかしくなりそうだ……
なぜにそんなに俺の名を連呼する……恥ずかしい……仮にもKOFやバンドで
俺の名は知れているのに、看護婦にまで迷惑を……。
看護婦だって俺の名は知ってるだろうし……。
見舞いはもう無理だな……。
「迷惑かけようがかけまいが、俺は行かん。」
「そこを何とか……ね?見舞いって言っても、顔を見せるだけでも
いいから……。」
お願い! と二階堂が頭を下げる。
それでも、行く気はしない。
そんな自分にメリットが無い事なんてする気は起きない。
「じゃぁ、松阪牛1年分で‥‥それでどう?」
「よし、行こうか。病院はどこだ?」
肉1年分で行く自分に悲しくなりつつも、食費がかからないことを計算して、
俺は行くことにした。
行った時に何が起こるかも予想せずに……。
☆☆☆かごめpart・start☆☆☆『松坂牛と俺』
「庵ぃ〜〜っ!! やっと来たか。もう、この恥ずかしがり屋さんがぁ〜〜っ。」
ああっ、この抱き心地っ。やっぱ良いわぁ。
「な、離さんかっ、このっ馬鹿者。止めんかぁっ!!」
ふんふんっ。う〜〜んっ、良い匂い。
これだよ、これ。あぁ〜ぁ、真っ赤になっちゃってホントに可愛いぜっ。
「だから離せっちゅうに」
ボカッ。
「痛ってえなぁ。ホント、庵は照れ屋さん何だからな」
だから見舞いに来たくても来られ無かったんだよな、判ってるって。
「ふんっ。誰が、恥ずかしがり屋で照れ屋なんだ?」
お前だお前。オレ様のスィ〜ツハニ〜の庵ちゃんだって。
「松坂牛一年分が無ければ、誰が見舞いなど……。」
ピキッ。
「へっ? 松坂って……何言ってんの、庵」
「あっ、お見舞いに中々『うん』って頷いてくれないもんだからね?」
うっせぇっな、紅丸。お前になんかにゃ聴いてねぇ。
眼光一発、黙らせる。
「庵?」
来ねぇっちゅうのか?
あのウットウシイ雨の中お前に逢いたくて逢いたくて。
昼夜問わず、お前の柔肌を想い眠れずに居たこのオレを。
やっと雨が止んで逢いに行こうと事故ったこのオレ様が。
たかが松坂牛にすら劣るっちゅうんかいっ。
はっ庵、脅えてる? ここは取り敢えず満面の笑顔・笑顔。
「でも、来てくれたんだ。オレ、嬉しいぜっ♪」
どうしてくれよう。オレ様の純真の代償は高いぜ?
「(あうっ)庵ちゃん、買ってきたケーキ、食べましょ。
京ちゃんに渡したげて?」
「ん。判った」
よし、紅丸。取り敢えずお前は許してやるよ。
庵を近付けさしてくれたからな(邪笑)。
「京、お前はどれが良いんだ。選べ」
ケーキを持って庵がほこほことやって来た。
「そうだなぁ…、オレが喰うのはお前だっ庵っ!!」
腕を捕まえ、鳩尾にワンパン喰らわす。流石オレ様。一発ぢゃん♪
「おい、紅丸。暫くここに誰も近付けさすんぢゃねぇぞ?
でなきゃ、解ってんだろうな?」
「き、京ちゃん? 此処、病院何だよ、解ってる?」
事の成り行きに付いて行けずに慌てて様が構わない。
「これからはお仕置きタ〜〜イムっ!! 邪魔すんなよ?」
腕の中に居る庵を。愛しいだけに許せない庵の肌を暴きつつ。
紅丸を追い出す。
さて、本当にどうしてくれよう。
シャツを肩から剥し後ろ手に絡ませる。何時ものボンテージパンツは中途半端
にズリ降ろし足の自由を奪っとくか。
口はっと、おっ。ケーキ箱のリボンで飾ってやるか。
鮮やかな赤がやっぱ、似合うもんな♪
くくくっ、普段温厚な奴ほど怒った時は怖いんだぜ? 庵。
此処は一発、躯に教え込まんといけねぇよな♪
「おいっ、寝てねぇで何とか言えよっ。」
ぺしぺし叩くと、目を開けやがった。ううっ、やっぱ可愛いぜっ。
「……っ!!」
自分のあられもない姿を見て真っ赤に成ってやがる。緩みそうになる自分に活
を入れつつ囁く。
「フザケタ事抜かしてんぢゃねえぞっ、コラ。お前はオレのモンなんだ、
忘れたんか?」
左手で顎を捕らえて睨み付ける。
「だったら二度と忘れんようにお仕置きが必要だな♪」
右手に包み込んだ花芯を握り潰す程に力を込める。
「ーーーっ。」
庵が声にならない悲鳴を上げる。
目尻に涙を浮かべてるけどダメ。許さない。許してあげない。
本番はこれから。
「言っとくけど、面会時間中だから騒ぐと誰かしら来るかもよ、
良いのぉ? 庵ちゃん。」
身動きのまま成らない庵をうつぶ背にして、極上の細腰にのし掛かる。
絡め取った腕を腕を掲げる。引き抜いておいた庵のベルトを
鞭のように振るう。
真白い庵の背に朱い線が刻まれて行く。
☆☆☆さや(ボス)part・start☆☆☆『俺の特効薬』
「っんんんっっ!!!」
「痛い?庵ちゃんが本当の事言ってくれたら許してあげる」
京は手を止めて、幾重に重なった庵の背の朱い線に口づけた。
紅い線の上に別の、紅い印が残る。
「ねぇ・・・俺に会えなくて・・・寂しかった?」
低く切なく、耳元で囁きかけ、そのまま耳朶を優しく咬む。
「ーーっ!」
さっきまでの痛みとはまた別の熱を含んだ呻きが、庵の口から零れた。
京は庵の口のリボンを外し、自由にした。
「ねぇ・・・」
ねだるように囁きかけながら、耳に息を吹きかける。
「はっ・・・ぁ・・・」
庵の口から漏れる息は既に切れていた。
そろそろと、京の右手が庵の花芯に近づく。
おもむろに手を触れる。そこからは、既に透明な液が零れだしていた。
濡れ始めたソコを、先程とは違って優しく握りしめる。
「あぁっっっ・・!」
か細い声を上げながら、庵の手が無意識にシーツをたぐり寄せる。
「寂しかった?」
そんな庵の痴態に鼻の下を伸ばしつつ、声だけは先程と変わらぬよう、
京は庵に囁き続ける。
「さ・・・み・し・・かった・ぁ・・・・・っ!!」
ようやく絞り出したように呟く庵の言葉に満足して、京は微笑んだ。
そして右手を花芯から離し、花弁へと近づけていった。
そのまま庵から流れる透明な液で濡れた指を、一気に突き入れた。
「っっ!!!」
声を出さないようにしているようだ。がその姿は、
これでもか!というぐらいに京を煽っていた。
「・・ごめん、庵。久しぶり過ぎて俺、手加減できそうにない」
ほんの少しだけ反省の色を込めて、京が語りかける。
その間も、指は庵の中をぐりぐり掻き回していた。
「・・・だ、いじょうぶだから・・・」
か細く庵が応える。
お許しを得た京が、勿論手加減などする筈が無く・・・
「んぁっぁあぁっっはぁあっ!!」
俯せになった庵の腰を上げさせ、京はそのまま己の花芯を突き入れる。
右腕で落ちそうになる庵の腰を押さえ、左手は庵の花芯を握る。
「やっぱ・・いいよ。庵の身体・・・・・」
噛み締めるように、京は抜き差しを繰り返す。
「ふっ・・あぁっっ・・・・・」
耐えきれなくなり、庵が蜜を吐き出す。
絶頂の瞬間の声のあまりの色気さに、京も我慢ができなくなる。
「なぁ・・庵・・・俺、もうイキそう・・・・」
絶え絶えにそう語りかける。
「・・・いぃっ・・・」
庵の口から声が漏れる。
「・・なかに・・出して・・・・・いい・・っっ!」
庵からの中出しOK。
お言葉に甘えて、京は庵の中に蜜を解き放った。
☆☆☆ジューリュバールpart・start☆☆☆『雨のち晴』
「……あいててて……。」
欲望を満たした京はベッドに身体を横たえると、今更ながら、
治りかけていた傷にかけた負担にうめいた。
「……全く……全身打撲で入院していたのではなかったのか?」
「う〜、激しい運動しちまったから、治りかけたのぶり返したかも。」
痛みに若干引きつる成分を含んだ笑みに、庵はむっとした。
「ばっ……それも俺のせいにするつもりか?」
「だぁあってよぉ、お前の感触とか思い出してここの所ろくに
眠れなかったしぃ、寝不足で蛇行運転しちまって事故ったわけでぇ……。」
鼻にかかった甘える声。
「寝不足と解っててバイクに乗ったのは貴様のミスだ。」
「ちょっとでも早く庵に会いたかったんだよ〜……。」
庵はその声に惑わされないように、情事で少し痛む体を起こした。
「そんなに会いたくば、嘘でも何でも言って、俺を呼び出せばよかったのだ。
その方がもっと早かったろう。途中で事故る事も無く、
俺も買い物など済ませて一石二鳥だったろうに。」
「う。」
京は反論できなかった。
会いたい(=シたい)という気持ちばかりが募って、
そこまで頭が回らなかったのがなんとも恨めしい。
雨で遠出出来なかったストレス解消のデート(しかもタンデムとか)
なんかしちゃって、後はしっぽり……なんてコトになったかも知れなかったのに。
「……ああ、見舞いのケーキは無事のようだな。」
放り出される格好になったのに奇跡的に形を留めているそれを確認すると、
庵は剥ぎ取られ放り出されている服を引き寄せ、シャツを着る。
くちゅ。
欲望の残滓が、ズボンを穿こうと立ち上がった庵の股間で音を立てた。
ごくり。
京の喉が鳴るのを聞いて、庵は呆れ顔で先を制する。
「続きがしたければさっさと全快して退院するのだな。」
「そんなあ……。」
せめてもう1ラウンドしたいよお、と、あからさまな表情の京は
庵の腰に抱きついた。
庵はその手をぺしっと叩いて退ける。
「三日と空けずに来る貴様が部屋に居ないと、部屋ががらんどうのようだ。
さっさと埋めに来い。家のコトやらライブにバイト、俺は結構スケジュールが
詰まっていて忙しいのだぞ。」
「あう〜、だったらせめてケーキ食わせてくれ。あ〜ん、てやつ……。」
「誰がするか。そうやって傍に来たら雪崩れ込もうと言う魂胆だろうが。
下心がミエミエだ。」
「い〜お〜り〜。」
駄々捏ねモードに入る京に
「煩い、少しは静かにしてろ。」
「!」
庵は軽いキスを贈る。
京は目を見張った。
強要されでもしない限り、庵は自分からキスをしない。庵からの自発的なキス
なんて、これが初めてじゃないだろうか。
「……早く治して帰って来い。」
聞こえるか聞こえないか、ギリギリの声で囁かれた言葉。
「!!!」
庵は照れて少し上気した顔をぷいっと背けると、すぐには信じられなくて
硬直している京を置いて病室を出た。
廊下で所在なげにしていた二階堂にさらりと後のフォローを押し付けて、
退院した京がどんな風にやってくるかを想像し、ため息をつきつつ、
それでも退院祝いには何をしようかと考え始めている庵だった。
「甘いな、俺も……焼きが回ったか……。」
柔らかな日差しの中、長い雨に洗われて綺麗になった風が
庵の長い前髪を揺らした。
END
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しらす:いやああん☆☆なんてお礼を言えばいいのかしらっ!!
ありがたすぎてうろこが落ちるっつーの!!
不意打ちでこんないいもの貰えるとわっ!
わたしゃー、幸せっす!
コレがこのサイトで一番長い小説なのねん・・・。
みなさんのお2人、それぞれ違ってて楽しかったでーす☆☆
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