「惹かれるんだろ。八神は草薙に…。良い意味でも悪い意味でも…。
あいつがいい例じゃねーか」
廉ちゃんはなんで京が好きなのか聞いた俺にそう言った。
じゃあ、なんで、俺じゃダメ?
なまじ、顔が似ているからよけいに歯痒い。
どうせならこの顔、焼き払ってやりたい。
新しい顔でだったら、新しく俺を見てくれるかもしれない。
なら…。この京と同じ色の…紅蓮の炎で…。
綺麗な廉ちゃんは昔から人当たりもよくって、人気があったけど、1人の人間を見ていたことに、俺は気づいていたよ。
そして、寂しそうな顔をしてもなにも見なかったような顔をしてた。
だって、その人間の隣には、いつも必ず彼がいたから。
宿命という名のリングで結ばれ、離れられなかった2人。
宿命のリングがほしくっても、手に入れることすらできなかった廉ちゃん。
そして、見ることしか今も出来ない、俺。
廉ちゃんが笑ってくれるんなら、なんでもするよ。
それしか出来ない俺だから…。
いつもいつも、なんか知らないけど、俺のあとについてくる、宮。
「廉ちゃん、大好き…!」
俺のどこがスキだって?
そもそも、スキってナニ?
俺は草薙が好きだって言ってるけど、それも実はよくわからない。
本能、みたいな感じ。体のどこかが求めてる…みたいな。
草薙じゃないと、ダメなんだ。
じゃあ、宮は?宮も「草薙」だろう?
何度も何度も自問自答し続けてるこの疑問。結局最後は「わからない」。
でも、何も言わなくってもそばにいてくれてる宮は、たまにうざいけど、たいてい助かってる。
心の逃げ場所にしてるなんて、そんなんじゃないけど、
草薙とはまた別の、お前は『特別』だから、
まだしばらくはそばにおいて置いてやるよ。
END
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