しばらく車を走らせていると"神門の滝"の案内板が・・・。 「ここから12kmか・・・。大した距離じゃないけど地図で見るとずいぶん山奥だぞ・・・。ま、行ってみるか。」 しかし今回ばかりはこの判断は甘かった。 断崖にへばりつくように伸びた道は曲がりくねり、途中途中にむきだしの花崗岩がするどい牙を剥いている。 「こんなところでパンクなんかしたら・・・。」 と思っていたら案の定、"ヒグマ出没注意"の看板・・・。 岩を踏まないように時速10kmでそろりそろりと進む。 (気軽に入れる場所じゃなかったか・・・。あ、携帯も使えない・・・。) 携帯が使えないと知った途端、手のひらから汗が噴き出してくる。 所詮僕の冒険心など携帯という道具に支えられたひ弱なものだったのか・・・そんな自嘲が頭をかすめる。 戻るにしても車をUターンさせるスペースも無い。 距離計を確かめると6kmくらいもう入り込んでいる・・・。 (行っても戻っても同じくらいか・・・。ならば・・・。) この時点で僕はもう完全に開き直った。途中キタキツネが飛び出し、見慣れぬ野鳥が目の前をかすめて行く。 (もう何が出ても驚かないぞ。クマでもなんでも出てきやがれ。) と、道が急に開けた。ちゃんとした駐車場もある。 「着いた・・・。」 奥の駐車場に一台の車。安堵感がどっと押し寄せてくる。 その車の脇に車を止めて辺りを見渡すと、撮影が終わったのか三脚を担いだカメラマン風の青年。 「こんにちは。撮影ですか?」 「ええ。もう撮り終わりましたけどね。」 「滝の方へは下りて行けるんですか?」 「下りては行けるけど・・・。その格好じゃ無理ですよ。」 と言われて、改めて自分の姿を見る。どう見ても山に入るような格好をしていない。 そこらへんのあんちゃんがコンビニに弁当でも買いに来たような格好だ。 「そうですよね・・・。この辺はクマはやっぱり出るんですかね?」 青年の肩に付いている熊除けの鈴に気が付いて聞いてみた。 「ええ。出ますよ。たまにね。」 青年が笑って簡単に答えた。 「じゃ、僕は撮り終わったので、これで失礼します。」 その青年の車を目で追いながら、そして僕はまたこの山奥にひとりぼっちになってしまった。 「とっとと撮って俺も帰ろう。(^^;」 というわけでたった1カットしか撮らずに帰るハメに・・・。 これはその貴重な1カットです。 (えっ?こぼれ話が長すぎるって?笑って許して下さい。(笑)) 教訓・・・思いつきで山に入ってはいけません。(笑) |
撮影データ | |
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Body | Canon EOS-55 |
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Lens | Canon EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM 250mm付近 |
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Exposure | 絞り優先 f8 1/6 評価測光 +1.0 |
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Film | FUJICHROME Velvia(RVP) ISO 50 |
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Filter | |
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etc | 三脚、リモートスイッチ使用 |
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