コーナー初の古典作品です〜。
古文的な内容を現代文で読めるのにはちょっと違和感が…。
これを機会に古典が好きになるのでは…?


天の橋立 (3)

第四話 最終回

「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立」
彼女は定頼を見上げると確かにそう言った。
「どうか私の歌を母の代作と思わないで下さい」
歌合せを間近に緊張でもしているのか、彼女はか細い声でそう付け加えた。
「…」
彼女の付け加えを聞いてはじめて定頼は彼女の歌の余韻から覚めた。 彼女の歌はあまりに美しかったのだ。
「…これはこれは…はは」
定頼は彼女につかまれた裾を引き離し、数歩後ずさりしながらそう呟いた。それはほとんどがため息のようで、しかし、言葉は出てこ なかった。
“彼女は自分の悪戯にあまりに美しく答えた…。アレが代作であろ うはずがない。なんということか!歌はまさしく心であったのだ。 俺はなんと浅はかな人間だろう…”
「くっ」
定頼はたまらなくなってその場で踵を返した。
「あ…」
半ば驚いて声をあげた小式部の内侍の言葉は定頼の耳には届いていなかった。そして以後、二人が顔を合わせることはなかったと言う …。

あとがき

いかがでしたでしょうか?この物語は古典を題材にした小説ですが、 僕としては定頼の心境の変化なるものを描いてみたかった次第です。 彼がどうして歌合せに呼ばれなかったのか。そして、内侍にあんな ことを言ってしまったのかを…。それでは、皆さんの感想、酷評、 じゃんじゃん待ってますのでレス&ヨロシクお願いします。


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2000.02.29


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