母校から見えた夕日に寄せて by 若月 裕 さん

 

誰かに優しくするのは 簡単だった

消えてなくなりそうな日々に つなぎとめてくれた手を

離さない為になら 何だってできた

誰かを傷つけたって 傷ついたって

 

いつだって 優しくされるのは嫌だった

本当は 優しくされてほっとする自分が嫌いなだけなのに

ただ 僕の言葉や笑顔で 誰かが幸せになってくれるなら

死んでもいい 本気でそう思ってた あの頃は

 

この街は 変わらないね

僕だけが 変わっていく

揺れている 見慣れたネオンサイン

あの日確かに 僕はここに居たのに

 

もう戻らない あの日の痛みさえ

皆何を抱えていくのさ

取り残された風景の中で「前に進むしかない」って

背中を押して欲しかっただけかもしれない

忘れないと誓ったから

 

去り行く夢屑の中で 確かにみんな笑ってた

消え行く夕日の向こう きっと今も笑ってるから

 


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2000.06.11

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