ある戦士のお話3 〜ラスボスに寄せる思い〜
邪悪な気配が辺りに満ちる
扉の向こうから流れてくる妖気は
手で触れられほど 目で見えるほどに
重く、冷たい
この扉の向こうには
長きにわたって追い続けた魔導師がいる
俺は
俺をここまでたどり着かせるために散っていった友たちを思い浮かべた
最初にこの迷宮に入ったときは5人
そして今は俺ただ一人
俺の足下には
たった今、自らの命と引き替えに
魔物から俺を救ってくれた女戦死の死体
俺はもう一人
失う物はもはやない
涙さえもかれ果てた
だがまだ死ねぬ
扉の向こうの
かつては親友であった者の命の火を消すまでは・・・・
俺は扉に手をかけた