'96 11.12刊 某大学文芸誌「くらうであ」編集後記より

 編集後記

 今号の発行が非常に遅くなってしまいましたことをまずお詫びいたします。全ては今号の編集人にいつの間にか指名された私の責任・・・と申し上げたいところですが、実はそうではありません。

 先日、ふと気が向いたので、白山(標高300メートル程)をよじ登っていると、手先に何か丸いものが触れました。よくよく見ると、人の頭骨であります。形状から資料的価値のない現世人類のものと判断したので、そのまま投棄してしまいました。するとその夜、夢枕に頭をざっくり割られて血を流し、恐ろしい形相をした武者(足軽)が出てきてこういいました。

「ぬしゃあ、よくも儂のしゃれこうべを投げ捨ててくれたな。本来ならこの場で切り捨ててくれるところだが、今後、お前がくらうであの編集を行わないならば許してやっても良い。もし編集を行ったときには必ず祟るであろう。」

このように月並みな脅迫セリフを残して怨霊は消え去ったのですが、その日以来、風邪をひく、朝早く起きられない、レポートが書けないなどの霊障と思われる出来事が続いております。

さてここまで来ればもうおわかりでしょうが、今号の発行が遅れたのは全部この頭を割られて阿呆になった死霊の責任なのです。捨てた頭骨には割れ目なんかなかったのに、それを自分のしゃれこうべと思いこんでいる阿呆な死霊の仕業なのです。

 とにかくこういうわけで編集は他の人にやってもらおうと思っていたのですが、ある人のせいでついに編集に関わらなければいけなくなりました。よって、当然この冊子は呪われます。この冊子をとってしまった人、本誌を懇ろに供養してやってください。