ちなまひめ キャプテンAT
いまとなってはむかしのことですが、あるところにとてもぜんりょうなおじいさんとおばあさんがくらしておりました。きもとりのおきなとよばれるおじいさんは、いつもかいどうでたびびとをおそってはいきぎもをぬいて、それをうりあるいてくらしておりました。
あるひおじいさんがかいどうにでてみると、むこうからなまりのはこをもっておおきなおなかをしたひかるおんなのひとがあるいてきました。
「なんというふしぎなことだろう」
おじいさんがそのおんなのひとのおなかをきってみると、なかからちまみれのおんなのこがでてきました。
「おお、なんとかわいらしい」
おじいさんがそのこをつれかえるとおばあさんもとてもよろこびました。
「すぐにりょうりしてたべてしまいましょう」
しかしぜんりょうなおじいさんははんたいしました。
「いや、きりょうよしにそだてばたかくうれる。きりょうがわるくなればたべてしまおう」
いっしょにひろったなまりのはこは、なやのなかにそうりこんで、ふたりはおんなのこをちなまひめとなずけて、だいじにそだてました。
そのひから、おじいさんがきもをとりにいくと、なぜかひとのおなかのなかからぎゅうおうがとれるようになり、おじいさんはたちまちおおがねもちになりました。
ちなまひめはすくすくとそだち、とてもきりょうのよいむすめになりました。くらいかがやきをはなち、ちなまぐさくかぐわしいかおりのするちなまひめを、たくさんのひとがめかけにしたいとおもいました。
なかでもみぶんのたかいごにんのおうじはとりわけねっしんにおじいさんにたのみました。おじいさんはすっかりこまりはててしまいました。
ごにんのしめしたねだんがあまりにもやすすぎたからです。しかし、このままではいちもんのもうけにもなりません。そこでおじいさんはいちばんたかいねだんをしめしたひとに、ひめをうることにしました。しかし、けちなおうじたちはたにんにつられて、たかいねだんをついしめしてしまうことをおそれて、だれもきょうばいにさんかしませんでした。
ごにんのおうじたちは、ついにちなまひめをめかけにすることができませんでした。
おばあさんはちなまひめをたべてしまおうかとおもいましたが、やさしいおじいさんはそのうちたかいねだんでかってくれるひとがでてくるかもしれないとおもい、もうすこしまってみることにしました。
なんねんかたつと、ちなまひめはへらへらとわらいながらよぞらをみあげるようになりました。
「いったいどうしたというのじゃ」
ふたりがたずねるとちなまひめがこたえました。
「わたしはひとのよのものではありません。はくちょうざ61Aちゅばな星こたぱ国ろえしゃ州いろへ群とっとぽくはへ町ごちょうめさんのにじゅういちのものなのです。こんどのじゅうごやのふたまるさんまるをもってわたしのきゅうしゅつさくせんがかいしされます。それがうれしくてわらっているのです」
おじいさんとおばあさんはおどろきました。
「ちなまひめはわしらのだいじなざいさんじゃ。ただでもっていかれてたまるか」
じゅうごやのひ、おじいさんはなかまをあつめてやしきをまもらせました。
やがて、よぞらがまひるのようにかがやき、ひかるえんばんがたのくもにのった、はくちょうざ61Aのものたちが、れーるがんとちゅうせいしほうのえんきょりしえんしゃげきのもと、やしきにとつげきしてまいりました。するとそのしゅんかん、やしきはだいばくはつをおこしました。
れーるがんがなやにあったなまりのはこをこわして、ちゅうせいしほうがそのなかにあったいしにめいちゅうしたのです。
おじいさんもおばあさんもつなまひめもはくちょうざ61Aのししゃもみんなしょうめつしてしまいましたとさ。めでたし、めでたし。