「何もない」俺から「何」を取り出そうというのでしょうね
刃よ、降ってきなさい
できるものなら刺して御覧なさい
えぐって御覧なさい
見事に空振りさせて見せますよ
かつては確かにあったはずの俺の実体は
棘の道を歩くうち
少しずつ少しずつ削れていって
最後のひとつのかけらまで
あの棘の道に染み込んでしまいましたよ
あの深い棘の森に残された小さな俺のかけらたちは
いずれはまた寄り集まって再び俺を形作るのでしょうね
そしてまた
棘の道を身を傷つけながら少しずつ削りながら
小さなかけらたちを残しながら
歩きつづけるのでしょう
出口はたくさんあるはずなのに
見つけた出口はまたまた棘の道へと
続いています