冷たく暗い地下牢の中、転がるのは骸となった女がひとつ。
 鉄格子にすがり獣の悲鳴を上げるのは、かつて女が愛した男。
 己が魂の半身、同じ日同じ腹から共に生まれた弟。
 半身を失った苦しみと狂気から、男は妖へと変貌を遂げました。 
 そう、彼の姉を奪った、妖へと。
     
 物語はこれからが本題。
 しかしそれは、また後日のオタノシミにしまして。
 本日は、これで幕と致しましょう。
     
 さて、ここで観客の皆さまに質問をひとつ。
    
 女を得るために大量の命を奪った男と
 傷ついた男を残してひとり逝った女。
    
 どちらがより罪深いのでしょうねぇ?
     
     
 *一時・閉幕*      
     
      
      
      
      


 ちょっと思い立ってお芝居風。語りはあのお方。(笑)
 あの方にとっては、花喃の自殺も一族の死も、その程度の出し物にしか
 見えてない気がする。でも悟能の狂気には魅かれたのね。さすが変質者。
 花喃救済SSの筈だったのに、なんかナナメに傾いたような。
 私としては、花喃は自分の存在が、取り返しの付かないほど悟能を
 傷つける前に自分を消したのだと思うんですよね。
 親に捨てられたというトラウマも当然あるだろうから、それを自分がまた
 繰り返すかもしれない恐怖、っていうのはあるだろうし。
 彼女の死については賛否両論あるけれど、それがなければ少なくとも
 今の「八戒」は存在しないわけだし。
 もうちょっと花喃と悟能については書いてみたいなぁ。

    
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