雨の降る森の中 血溜りの中に横たわるお前を見つけた 死んでいると思ったお前が俺に向けた瞳は 深い森を思わせる緑色をしていた 助けずにはいられなかった どうしてもその瞳が俺の心に焼きついた 生きることを諦めて 濁ってしまったその瞳 死なせてなんかやらない・・・ 俺がその瞳に光を灯してやる・・・ ふと、目が覚めて時計を見ればもうすっかり夜も更けていた あの時の夢を見るなんて・・・珍しいこともあるもんだな 起き上がりベッドの背に凭れ 煙草に火をつける 紫煙が天井へと昇っていく 窓から月明かりが入ってくる 降っていた雨は上がったようだ 隣で寝ている八戒を見つめる 今、八戒は俺の側にいる あのとき 八戒を助けたこと 本当に良かったと思う こんなにも愛しいって気持ち 今まで知らなかった気持ち たくさん教えてもらったからな・・・ 今度は俺が伝えるよ 俺がずっとお前を守るって でも直接八戒には言えないな 俺には似合わないだろ こんな台詞・・・ 苦笑いをして、吸い終わった煙草を灰皿に押し付け そして再び布団に潜り込む 隣で眠る八戒を抱きよせて、頬に口付ける・・・ 今、お前はどんな夢を見て いるんだ? もう、つらい夢は見てほしくない 俺といれば大丈夫だって思ってほしい 「いつまでも俺の側にいてくれよな?」 眠る八戒に呟いて 瞳を閉じる 目が覚めたら 綺麗な緑色の瞳が俺を見つめて微笑んでくれますように・・・ *END* |
《ちーさまのコメント》 使用したお題:煙草、月、時計、夢 今回のポエムは、前回のポエムと対になっています 前回が八戒編で今回は悟浄編って感じになっています 改めて思うと、悟浄と八戒の出会いって劇的ですよね。 劇的すぎて、一歩間違えたらそのまますれ違っていた可能性も あったんだと思うと、今の二人があるのは一種の奇跡なのかも しれないなあっと思ってみたり。 |