殴られて 蹴られて 犯された 泣いて 叫んで 懇願して 獣達は、ただ嗤った 嗤いながら、私を嬲った 毎日のように繰り返される暴力 私は何度も殺された それでも死ねなくて 死にたいのに死ねなくて 「ご…のう…」 愛しい人の名を呼んでみる きっと、来てくれるから 間違いなく、あの人は来るから だから、今はまだ死ねない 死ぬのは、あの人に謝ってから 先に死ぬ私を許してと あなたを置いて逝く私を 命が宿った 私のお腹の中に あの人との子ではなくて 獣以下の…妖怪の子 同じ禁忌の子供なら あの人の子供がほしかった 私が愛した人 私の半身 私の弟 それでも、愛していた たとえそれが自己愛でも 愛は、愛 ごめんね、悟能 先に逝くね あなたがどんなに傷つくか 解っているけど でも、もう駄目だから あなたはきっと許すでしょう 私の中に誰の子がいても 産んでくれと言うでしょう わたしの子だから でもね でもね悟能 あなたが男だから解らないように 私は女だから解ることがあるの 耐えられる?悟能 私のお腹が膨れていくのに 耐えられる?悟能 見知らぬ男の顔をした化け物が 私の腹から出てくるのを あなたはそれでも受け入れて しまうかもね だって優しいから どこまでも私に優しいから だから私は耐えられない きっと狂うわ きっと殺すわ 私達の親が私達を捨てたように 私も私の子を捨ててしまうわ そうでなければこの手できっと その命を止めてしまう きっと、そうなる そしてあなたはもっと傷つく 私がずたずたにしてしまう あなたを ごめんね やりなおす勇気がないの 何もかも破壊して 全てを失って もう一度最初からなんて そんな勇気はどこにもなくて 許さなくてもいい 憎んでくれてもいい だから先に逝くね 私があなたをこれ以上 傷つけないうちに あの人の声が聞こえる 私を呼ぶ声がする 愛してるわ、悟能 誰よりも一番愛している 愛してくれてありがとう そしてさようなら 悟能、悟能、ごめんね 私あなたに消えない 傷をつけて死ぬわ でも生きて 生きぬいて それがどんなに酷い願いか 解っているけど さようなら、悟能 愛しているわ ずっと これからも …ごめんね さようなら… |