「うわ〜でっけ〜!」 「本当ですねぇ。」 「資源の無駄遣いってやつ?」 「…ちっ。」 砂漠の黄砂に吹かれながら、件の四人がそれぞれ勝手な感想を漏らす。 目の前にそびえ立つのは巨大な建造物。 砂漠のど真ん中に、仰々しくも造られた双子の塔は、別名「ツインタワー」と呼ばれ、塔を 境に半径数キロにもおよぶ障壁を作り出していた。 もちろんこの「ツインタワー」を、こんな場所にわざわざ造ったのは、牛魔王の…正確に言 えば玉面公主の一派によるもの。 この障壁を避けて砂漠を渡ることも可能だったが、それはかなりの遠回りとなり、当然時間 も大幅なロスとなってしまう。 もちろんその間の食料や水の不足も覚悟が必要。 「どうします?」 「聞くまでもねぇ。」 「やりっ!タイクツだったんだ〜俺!」 「強行突破って事ですね。」 「いや〜ん三蔵サマったら強引〜♪」 「…今ここで人生終わらせてやろうか?」 この障壁を打ち消す為には、塔のそれぞれ最上部にあるスイッチを同時に解除する事。 それ以外は、塔に仕掛けられた自爆装置が作動するという罰ゲームつき。 木っ端微塵でハイサヨウナラ。 「やはりここは、二手に別れて…って事ですね。」 「そうだな。」 「どうやって決める?くじでもひく?」 「そんなの簡単じゃん!」 悟空の提案で、ジャンケンの変形…いわゆる「ウラオモテ」でメンバー決定。 右の塔には三蔵と悟空チーム。 左の塔には八戒と悟浄チーム。 ほとんどゲーム感覚。でも彼ららしいといえばそう。 「せっかくだから何か賭けようぜ。」 「面白そうですねぇ。」 「なになに?何賭けるの?」 「ふん。」 目指すは塔の最上階。 中にうじゃうじゃいるであろう敵をけ散らしまくり、先にたどり着いたチームが、ひとり ひとつだけ望みをかなえる事ができる。 それが今回の勝者の特典。 景品は魅力的で刺激的。単調な行程の旅を盛り上げるにはもってこい。 負けず嫌いな四人には、とりあえず戦闘意欲を沸かせるには充分な程。 「バカ猿、行くぞ。」 「またな〜!」 「はい、また後ほど。」 「行こうぜ八戒。」 そして十数分後。 悟浄と八戒は案の定ザコ妖怪の群れに囲まれていた。 *NEXT* |