竿掛け・玉の柄の自作




 

二郎さんのホームページから、情報をいただいて竿掛けと玉の柄を作成しました。丁寧に根気よくすれば比較的手軽に作成できますので是非二郎さんのホームページを参考に挑戦してみては如何でしょうか。また二郎さんに私の作品をホームページで紹介してもらっています。

 

二郎さんのホームページはここをクリック



材料の準備

小節等は非常に高価ですが、こだわらなければ安くて良い物が釣具店等で比較的安価に販売されています。購入に関して注意することは、火入れをしてあること、節が抜かれていること、違う竹をつないで使用する場合は、色が合うか、節の間隔がそろっているか、曲がっていないか、虫食いがないか等を注意します。(買わないで調達できればベストです。)


・・・漆・・・

本物の漆は高価で、扱いも難しいのでカシューの塗料がおすすめです。重ね塗りを繰り返しますので、薄め液も専用の物を購入します。釣具店で一般に漆と書いてあるチューブの物はカシューです。色は、胴拭き用、口巻き、握り用、目地用と数色用意します。


・・・絹糸・・・

市販の物で代用できます。段塗りをする場合は結構量を使用します。絹糸の代わりに木綿糸でも代用できますが仕上がりが厚くなってしまいます。


・・・ウレタン・・・

握りの部分や全体に薄く塗り、仕上げに使用します。二液性の透明の物を用意します。長年使用しても割れや黄ばみが来ない物を購入します。模型屋で販売しているラジコン用のエンジンウレタンがおすすめです。


・・・耐水ペーパー・・・

中目から仕上げ用、二種類は必要です。最終的な仕上げ(つや出し)は、コンパウンドを使用します。


 
・・・その他小物・・・

塗料を混ぜ合わせる皿、ウレタンの二液を混合する容器(この容器はシンナーで落としてもウレタンが取れないので捨てても良い物)、マスキングテープ、段ボール(ほこりがつかないようにします。使用方法は後述)ストッキング(胴拭き用に使用) 籐(使用する場合) 新聞紙(握りの元になります。) 塗料用筆


・・・有れば作業がしやすい物・・・

込み調整用のヤスリ  購入すると非常に高価です。私は懇意にしている釣具屋から借りました。無ければ少し乱暴ですがドリルの刃を手で回しておおかたの調整をして、市販のヤスリで仕上げます。ドリルを使用する場合竹が割れてしまう可能性が非常に強いので取扱には十分注意が必要です。


製作工程

竹が曲がっている場合は、なおしますが難しいので曲がっていないと仮定して進めます。購入時に充分注意して購入しましょう。二本物にする場合は、節の間隔を慎重に合わせて、つなぐ場所を決定します。これだけは切ってしまうと修正できません。一本の竹を切って二本にする場合は切る場所を注意します。万力につなげるため、竿じりの部分は節がない部分を使用します。(竿先も同じ)


下処理

竹全体に耐水ペーパーで塗料が乗りやすいように磨きを掛けます。薄皮が軽く剥ける程度でOKです。このときに節の部分のゴミや汚れを丁寧に取り除きます。
その後胴拭きをします。胴拭きはカシューの塗料を薄く延ばした物を使用します。基本は、竹の素材と同系色の色を使用します。明るいと軽い仕上がりになり、くらめの色を使用すると重厚な感じになります。下処理した竹に薄めた塗料を、ストッキングにつけて拭くように塗っていきます。ほこり、指紋に注意しましょう。(余った材料で試し塗りをすると失敗がありません。)
一度に全体を塗ると乾燥させにくいので何回かに分けて塗っていきます。
初めの作業はここまでで、後は塗装が完全に乾いてから、塗っていない分を塗ります。胴拭きは基本的に一回ですが、完全に乾燥後、重ね塗りをしておくと防水効果も高まり良いようです。竹の前後は、違う処理(口巻き)をするので塗らなくても大丈夫なので全体を一回に塗ってしまってもOKです。ただし完全に乾燥させるが基本です。




口巻きの処理

竿先より絹糸を重ならないように、透き間が空かないように慎重に巻いていきます。仕上がりに影響するのでくれぐれも
慎重に巻きます。巻く幅は、二本の竿で違わないよう、全体のバランスが崩れないようにします。
巻き始めは糸を少し手前に余らせて、余らせた糸との上に巻いてずれないようにします。巻き終わりの処理は絹糸より強い糸で輪を作り、最後にその輪の中を通して巻き込ませます。

細い糸を丁寧巻くのは大変ですが根気よくやらないと仕上がりに影響します。丁寧が基本です。
巻き終わった部分に塗料を塗りますが、竿に塗料がつかないようにマスキングテープを使用すると便利です。この部分は数回塗っていきます。初めのうちは塗料が糸に吸われてしまいますが、乾かして塗るを繰り返していると糸の模様が見えなくなってきます。模様が見えなくなって完全に乾燥させた後にペーパーで磨いて、希望するところまでコンパウンドで磨けば完成です。ただし糸が見えるまで磨かないように注意しましょう。初めは塗料を厚めに塗って、磨いた方が無難です。塗装は丁寧に行いほこりがつかないようにします。この口巻きの部分を籐でさらに補強する方法もあります。


印籠継ぎの作り方

印籠継ぎは本当は竹で行うのですが、ちょうど良い物を探すのが大変です。私はホームセンターに行ってちょうど良い太さの丸棒を購入し代用しました。良い竹が有れば竹で作りましょう。
継ぐ部分の太さが同じで、丸棒が少し余裕で入る場合は問題有りませんが、違っている場合は加工が必要です。丸棒が太すぎて入らない場合は均一に丸くなるように丁寧に削ります。細すぎる場合、継ぐ方(竿に固定してしまう部分)は、木工用のボンドを重ね塗りして、曲がらないように差し込み、固定します。継がれる方(抜き差しをする部分)は、カシューを重ね塗りして厚みを稼ぎます。少し厚めに塗って、相手の込みと調整しながらペーパーで磨いて、最後はコンパウンドを掛けて艶を出します。込みの調整は無理なく抜き差しが出来、抜く瞬間空気が一気に入って‘ポン’と抜ければ最高です。途中で印籠の部分が折れたりしないよう、なるべく太い素材を長めに使うのがコツです込み調整がうまくいかず、込みの部分に油を塗ると非常に入りやすいですが乾燥したりすると、抜けなくなったり、入らなくなったりしますので油は使用しない方がよいです。ロウを塗るのは問題ないようです。




玉の柄 握りの部分

握りの製作は、二郎さんのホームページ に書かれていますので良く読んで下さい。
ここでは籐を使用する場合を書きます。握りの下処理が出来たら、握りに使用する色を決めます。基本的には竿口と同じ色を使用します。
籐を使用する場合は、気持ち握りを細めに仕上げます。新聞紙で出来上がった握りの部分のデザインを決めます。私は、最初と最後の二カ所に籐を巻きました。
籐は初め水につけて柔らかくしておきます。裏表に注意して丁寧に巻いていきます。籐の幅は細い方が仕上がりがきれいですが、細いと量も使用するため、コストもかさみ面倒ですが、買うよりは安いのでなるべく良い物を使用しましょう。巻き始めの部分と巻き終わりの部分は、目立たないように出来るだけ細く斜めに切っておきます。また巻き始めと終わりには瞬間接着剤で固定をします。




目地

しなくても良いですが目地止めをすると仕上がりがきれいになります。巻いた籐のくぼみの部分に塗料を塗り、乾いてからペーパーを掛けると、籐の色と目地の色が合わさりきれいになります。竿の色と、握りの部分の色を考えて自由な色を使ってみましょう。注意点は、籐が完全に乾いてから塗料を塗る、塗料が完全に乾いてからペーパーを掛けるです。
籐を巻くと籐と握りの部分とに、段差が出来てしまいますので、ウレタンを重ね塗りして段差を無くしていきます。乾いたら塗る、完全に乾かす、ペーパーで表面を削る(次の塗料がのりやすいように)、塗るの繰り返しです。
ウレタンを塗る過程で、貝殻の破片を貼ったり、千代紙を貼ったりすると全く違う雰囲気になります。また研ぎ出しをする場合は、ウレタンを塗る前に仕上げておく必要があります。ここでかなりのウレタンを塗るので、新聞紙の工程では細めに作っておく必要があります。
段差が無くなれば後はペーパーを掛けてコンパウンドで仕上げれば完成です。磨いていると気づかない段差やへこみがでてきますので、仕上げて削るを数回繰り返します。




小節の作り方(参考)

非常に邪道な気がしますが、籐を竹に巻いて、他の節と色を合わせるとほとんど違和感無く節に見えます。
ポイントは、籐を少し斜めに巻くこと、色の変化を他の節と合わせること、節の向きを揃えること位です。節の向きを合わせるため、本来の節の間に入れる作り物の節は必然的に偶数になります。ただし四つは入れ過ぎなので二つが限度かと思います。小節を入れるため、わざわざ節間のあいている材料を購入する人もいるようです。またプロが作ると本当に見分けがつかないようです。作り小節の作品は価格が比較的安いようですが、購入するときは納得の上で購入しないと、後から作り物だったと後悔することになります。


段巻きの作り方(参考)

節が気に入らなければ最初の段階で節を削り取ってしまい、段巻きにすることも出来ます。経験はないので詳しいことは不明ですが、節を削って竿を均一な太さにした後、口巻きのように絹糸と塗料を塗れば仕上がると思います。段巻きは短く見えるので全体のバランスに注意する必要が有るかも知れません。また場所によってはかなり削られるので、胴拭きは丁寧に行い、最後にウレタンで再度胴拭きをしておけばより安心かと思います。
節を削ったあとに、エポキシ系のボンドで、節のへこみを修正するとよいそうです。


研ぎ出し

出したい色を先に塗って、異なる色を重ね塗りします。乾燥後に磨くと下の色が見えてきて研ぎ出しの感じがでます。ただし模様やイメージ、図柄を出すのは非常に難しく、前後や裏表、場所によって下の色を変えたりして、変化を出した方がうまくいきます。多少研ぐことによってゆがみが生じても、ウレタンを重ね塗りして真円に近づければ違和感は有りません。
黒地に紅が研ぎ出されていたり、紅の周りに白が薄く入っているのもおしゃれです。元の厚さと中間色の塗装の厚みを変えることでさらにバリエーションが広がります。
また黒地に濃い青が入っている作品を見たことがありますが、とてもきれいで見ていて飽きません。

竿掛け、玉の柄の製作工程はこの乾かす作業が入るので非常に長く掛かります。最後に薄いウレタンで、全体を拭けば完成です。この最後の胴拭きは、できれば漆を使いましょう。私はウレタンで済ませましたが本漆を使用すると出来栄えが格段に良くなるそうです。ただし本漆は取り扱いに注意が必要なのと100gで10,000円程度とかなり高価なようです。

竿掛け・玉の柄は、安くても高くても見た目が違うだけで、性能にそんさに大きな影響は無いと思います。
何万というお金を出して買うのは困難だし、しかし竹の竿掛け・玉の柄は欲しいと思っている時期に二郎さんのホームページを拝見し、作成して今は非常に気に入って使用しています。同じような思いの人が居たら是非、チャレンジしてみてください。高いお金を出して他人が作った物を使用するよりも数倍の満足感をお約束します。

次は手作り万力に挑戦したいと思っています。


印籠継ぎ


握りの部分

 



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