LIVE IS DEAD (after 2002.6.15)

最悪だ・・・もう何もしたくない・・・今すぐ終わりにしたい・・・
この引き金を引けば全てから開放される・・・一瞬の苦痛と永遠の安楽を手に入れられるんだ・・・
周りは俺を責めるだろう・・・だがそれもすぐに軽蔑に変わりやがては消えてゆく・・・
そして何事もなかったかのように時は流れるだろう・・・俺など初めから存在しなかったかのように・・・

俺は追いつめられていた。体はとっくに限界を超え、危険信号を発し続けている。
狂いはじめた歯車はやがて精神をも蝕み全ての崩壊を加速させていった。
それでもまだ心の奥底で何かが最後の抵抗を試みていた。それが何かは俺自身にも判らなかったが、
今となってはそれだけが俺を現世に繋ぎ止めている唯一の欠片だった。

人は言うだろう。「何故そこまで行かねばならない?只の趣味だろ?」
確かにその通りだ。俺は趣味でバンドをやっているだけ。そしてそのライブが決まっただけ。
それが例え失敗に終わろうと大した事じゃない。そんなもの生活には何も関係が無い。
何事も無く翌日からもいつもの日常が繰り返されていくだけだ。そんな事は判りきっている。
それでも俺はこの場所に立っている。いや、この場所にしか立てないと言ったほうがいいだろう。
破滅と快楽の狭間であるこの酷く不安定な場所にしか自分の居場所を見出せないのだ。
この場所からの脱出法はいたって簡単だ。肩の力を抜いてあるがままに身を任せればいい。
そうすれば何のリスクを背負う事もなく、もっと気楽にバンドってものを楽しめるはずだ。
しかし、それは俺には出来ない選択だった。何故かは説明もしようがないが、どうしても出来なかった。
例え愚かな選択だとしても俺は俺のやり方でしか生きていけなくなっていた。

ライブが近づく度に苦痛は酷くなり、不安と確実な欠乏が行き場をなくし俺の中で暴れつづけていた。
その痛みの前にもはや最後の欠片すらその光を急激に失いはじめていた。
それでも無常に回りつづける時計は止まる事なく、確実にあの死刑台にも似たステージへと向かっていた。
俺の中にはまだその時計を叩き壊し全てを止める力は残されていたはずだった。
しかし、何者かがまだその行為を止めていた。どうやらそいつは俺を死刑台に向かわせたいらしい。
そして俺は何も解決出来ぬまま当日を迎えた・・・ライブの幕は開いた。

最悪だった。何もかもが狂っていた。不安は現実となり俺を打ちのめした。
何かが足りないなどという言葉では言い表せないほどに全てが足りなかった。
もはやそれはライブなどと呼べる代物ではなかった。まさにそこは俺にとって公開処刑場だった。
そして何も出来ぬまま全ては終わりを告げた。

俺は自分が許せなかった。なす術もなく打ちのめされた自分が許せなかった。
出来るはずだった事、しなければならなかった事、そんなのは山ほどあった。
それなのに俺は何も出来なかった。そんな自分の弱さに嫌気がさしていた。
もう終わりにすべきだろう。

悪夢のライブから数日が過ぎた。俺はまだ引き金を引いていなかった。
何故かは解らない。引き金を引き、全てを終わらせたほうがいいのは誰の目にも明らかだった。
俺にとっても、俺に関わってしまった全ての人達にとっても、それが最良の選択だろう。
それでも俺は引き金を引かなかった。いや、引けなかった。
苦痛の中でも俺を導きつづけた欠片の放つ微かな光がそれを許さなかった。

俺はまだ歩き続けている。
苦痛のほうがはるかに多いこの場所で、一瞬の安楽を求めながら。
そしてまたあの場所に戻るだろう。そこではまた深く打ちのめされるかもしれない。
だとしても、俺はそこに向かって歩き続けるだろう。
俺の中の欠片が完全に光を失い、死という別の安楽が俺を受け入れるその時まで。
もしかしたらその欠片は俺自身の魂なのかもしれない。

                             ALCOHOL SENSOR  神風

追記・遅筆ですまぬっ。あんど狂っててすまぬっ(笑)



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