武田家の終焉



西尾勇治  野田城にはまだいったことがない。本当に狙撃されたのかどうか。飯田の近くに信玄の墓があります。時代を思わせるかたちでした。人は城、人は石垣。これほど信玄の構想を明確に語った言葉はほかにありません。勝頼の終焉の地をおとずれたとき、私はあたりの殺風景な光景に驚きました。「黒髪のみだれたる世ぞはてしなき 思いにきえる玉の露の緒」勝頼夫人19歳の時世の句です。瀬田をとおるとき信玄の叫びが聞こえるような気がします。


宮下帯刀

> 野田城にはまだいったことがない 本当に狙撃されたのかどうか
 間違いなく誤伝なのですが、徳川方の史料にその記述が多く見られます。

>飯田の近くに信玄の墓があります 時代を思わせるかたちでした。
 長岳寺ですね。

>勝頼の終焉の地をおとずれたとき、私はあたりの殺風景な光景に驚きました。「黒髪のみだれたる世ぞはてしなき 思いにきえる玉の露の緒」勝頼夫人19歳の時世の句です。
 甲斐武田氏は、栄光に比してその末路はあっけなかったですね。滅亡の有り様は、誰が予想しえたでしょうか。


清正

> 甲斐武田氏は、栄光に比してその末路はあっけなかったですね。滅亡の有り様は、誰が予想しえたでしょうか。
 天正元年4月12日に信玄が病死し、天正3年5月21日に設楽ヶ原で織田・徳川連合軍に敗れ、勝頼は敗走するわけですが、勝頼が田野村で自刃するのは天正10年3月10日で設楽ヶ原の7年後です。多くの本は、有力な武将を失い又は信望を失い、急速に武田家は衰えていったとあります。そのとおりだとは思いますが、7年の間、勝頼は何らかの手を打ったはずです。結果的には実を結ばなかったのでしょうが、この辺が不勉強でわかりません。どなたか、ご教授下さいませんか。
 新羅三郎義光以来、5世紀も続いた名門武田の最後が余にあっけないのはくやしいですよね。最後に、もしも・・・はなかったのでしょうか?


上総介

> 7年の間、勝頼は何らかの手を打ったはずです。
 お尋ねの件、
『戦国大名の日常生活』 笹本正治 講談社
『定本武田勝頼』 上野晴郎 新人物往来社
に記述があります。

> もしも・・・はなかったのでしょうか?
 良く言われるのが『御館の乱』の対応、岩櫃城の真田昌幸を頼らなかったことが運命の分かれ道のように言われていますが、『御館の乱』で取った選択はベストの選択だったように思えます。岩櫃城の真田昌幸の話しは、後世の作り話しではないでしょうか。昌幸は北条と織田に繋ぎを取った形跡があります。妻の実家・北条家を頼って匿ってもらうのは、「御館の乱」の結果から難しいです。


清正

> 『御館の乱』で取った選択はベストの選択だったように思えます。
 この辺の事情がわからないのですが、起死回生を狙って、北条氏政の妹を室に迎えながら、北条方の景虎を敵に廻したのでしょうか。結果的には景勝が辛勝していますが、勝頼が景虎側についていれば景虎が勝利し武田・北条・上杉同盟で織田・徳川同盟に抵抗できたと思うのですが・・・。
 なにか大きな要因を見落としているとは思うのですが、よろしくお願いします。


上総介 当初、勝頼は景勝と景虎の和睦を計っていますが、不調に終わっています。この時期、経済的に辛かった武田家としては、景勝から提示された黄金・西上野・信濃国の完全領有は魅力的だったに違いありません。
 清正さんの武田・北条・上杉の三国同盟案は魅力的ですが、既に北条家は織田家に恭順の姿勢が見られます。上杉家と北条家の利権は複雑です。もしも、三国同盟が成立したとしても織田家との経済的格差から各個撃破された可能性が高いです。東国にこのような巨大な敵が出現すれば、信長の目が西に向くこともなく(当初の信長の目的も達せられず)、本能寺の変も起きる可能性も低いです。
 「御館の乱」に関しては、武田家の中心史料は『甲陽軍艦』を頼らざるえないので、北条・上杉家の史料から見ると、良いでしょう。


清正

>当初、勝頼は景勝と景虎の和睦を計っていますが、不調に終わっています。この時期、経済的に辛かった武田家としては、景勝から提示された黄金・西上野・信濃国の完全領有は魅力的だったに違いありません。
 なるほど、わかりました。

> 織田家に恭順の姿勢が見られます。上杉家と北条家の利権は複雑です。も> しも、三国同盟が成立したとしても織田家との経済的格差から各個撃破された可能性が高いです。東国にこのような巨大な敵が出現すれば、信長の目が西に向くこともなく(当初の信長の目的も達せられず)、本能寺の変も起きる可能性も低いです。
 私もこの可能性が高いと思います。ただ、同盟がなるかどうかは別として勝頼としては北条、上杉の力を利用するしかなかったのではないか、そう愚考したのです。
 でも上総介さんの書かれている事も十分理解できます。ありがとうございました。私も、もう少し勉強してみます。



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