リレー小説(らんま1/2編)その2

<1999年11月27日〜2000年3月8日投稿分(2/2)>

そこに何処から出てきたのか、良牙が廊下から走ってきたのである。
「貴様ー!まだあかねさんを困らせる気か!!」とやっぱり怒ってる良牙。
「あ?何言ってんだおめーは。あかねは泣いてなんかいねーぞ。」と乱馬が言うと、
良牙はきょとんとした顔で「へ?そうなんですか?」とあかねに尋ねると
「そうよ。あくびして目をこすってるとこをたまたま良牙くんが見かけただけよ。
ごめんね、心配かけちゃって。」とあかねが言う。
すると良牙は「は、はあ、そうだったんですか。はやとちりしたみたいですね。すいません。」
と謝ってると乱馬が「けっ、迷惑なやろーだぜ、ったく。」と文句を言っている。
「心配してくれてありがとう」をあかねが良牙にいう。
「そっ、そんなとんでもないですよ。」と赤くなる良牙。
その場が面白くないのか、乱馬はふてくされている。
「どうしたの乱馬?」
乱馬のふてくされているのに気づくあかね。
「え?い、いや・・・べつに・・・。」
あかねは、不思議そうに乱馬を見ている。良牙もまた、不思議そうにではないが、乱馬を見ている。
(でも、俺ってあかねのことよく悪口言って悲しませたことあるよなー・・。
 だいたい俺が突っかかっているけど・・・。今回はあくびだったけど、本当に泣いたこと、
 あるのかなあ・・・あかねのやつ・・。)
乱馬は大きくため息をついた。そして良牙の顔を見た。
「な、なんだよ乱馬・・・。」
「べつに。」
少し良牙をにらみつけた乱馬はそのままあかねの部屋を出て自分の部屋へ戻っていった。

「何なの?乱馬のやつ・・・。変に今日は元気ないじゃない・・・。」
「気にしてるんですか・・?乱馬のこと・・。」
良牙は、悲しそうな目であかねの顔を見た。
「え?う、ううん。べつに・・・・。」
あかねは顔を赤くしながら首を振り、乱馬が出ていったドアの方を見た。
(何考えてるんだろ・・・あいつ・・・。)
良牙はまた、悲しそうな目であかねの顔を見ていた。
「あ、そうだあかねさん。もう俺、帰りますね。ちょっと今日は用事が・・・。」
「え?でも・・・・。」
あかねは良牙の気を遣っているようだった。
「いいえ。ちょっと急ぎのようなので・・・。でも、あかねさんを泣かせるようなことを、
また乱馬がしたらこらしめに来ますから。」
良牙はにこりと笑いながら、バッグを持って出ていった。
「やっぱり、良牙君は優しいなあ・・・・・。」

それから2時間が経過した。
夕食の時間になり、乱馬とあかねも下に部屋に降りてきた。
みんな揃い「いただきます」と食事を始めた。
「出口はどこた。」と、依然として天道家をさまよっている良牙。
出口はここか?と、なびきの部屋の扉を開ける良牙。
しかし、幸い、なびきは食事中で部屋にいない。
方向感覚を失っている良牙は出口を求めて、なびきの部屋の入ってしまった。
「あれ?なぜあかねさんのお姉さんの部屋に・・・・」
良牙はドアに「なびきの部屋」と書いているのにもかかわらずはいっていたのだ。
「う〜む・・どうしよう・・・はっ!こっこれは・・・あかねさんの写真!!」
そこへなびきが食事を終えて部屋に戻ってきた。
(げえっ!!や・・やばい・・・!!)
良牙は話をよけいこじれさせるかのようになびきのベットの下に隠れるのであった・・・

「さて、ご飯も食べたし、お金の計算でもするかっ。」
と椅子に座ったなびき。
ベッドの下では・・・・。
「どうしよう・・・・・・出るに出られん・・・・・。仕方ない、寝るのを待つとするか。」
と寝るまで待つ覚悟を決める良牙。
「ん?誰?!誰かいるのっ!いるなら出てらっしゃい!!」
と気配を感じ取り身構えるなびき。さすがは天道家の娘。
格闘をやってなくても気配を感じ取れるようである。
「やばいっ、気づかれた!!どうする、響良牙・・・・・・・。」
と焦る良牙。
「あきらめて出るか、それともしらばっくれるか・・・・。」
悩む良牙。
「変ねえ・・・・。いないのかしら?確かに気配を感じたのに・・・・。
外れるなんて滅多にないのになあ。よしっ、探してみるか。」
と探し始めるなびき。

なびきは、自分の部屋のありとあらゆる所を、探した。
「さて、あとはベッドの、下だけど・・・」
良牙は、
「ぎくっ!(やばい・・)」
ばっ。良牙の眼に光が、
「あーら、良牙君じゃない。どーしたの?」
「あ、いや、その・・・」
「また、方向でも間違ったんじゃないの?」
「はい。そうです・・・・。」
「ところで、良牙君。お願いが、あるんだけど・・。聞いてくれるよね。」
と、念を、押されてしまった。それに、弱みを握られてる。ここは素直に
「はい。聞きます。」
「よかった。あのね、乱馬君と、あかね、二人の気持ちが、知りたいの。」
「え!!」
「今。二人とも仲悪いのよね。だから。」
と、なびき。さて、なにが目的でなびきは、こんなことを・・・

「・・・・・それで、俺は何をすれば・・・・?」
と渋々聞く良牙。ほんとは断りたいのだろうが、女の子の部屋に無断で侵入したことがバレれば、
あかねに嫌われてしまうから、背に腹は変えられないのである。
「良牙くんは乱馬くんに率直に『あかねのことはどう思ってるのか?』って聞くだけでいいわ。
それで真面目に答えないようだったら、「自分の本当の素直な気持ちを言え。』って聞いてね。
うまく聞けだせたら何かお礼するわ。」
と手短に説明を済ませるなびき。しかし、なびきがお礼とは一体どういうことなのであろうか?

「・・・・わかりました。ですがその前に一つ聞きますが、俺はあかねさんのことが好きです。
諦めるしかないんでしょうか?」
と自分の気持ちを言う良牙。
「あら〜、良牙くんて案外浮気性なのね〜。意外だわ〜。・・・・
そうねえ、単刀直入に言うと諦めたほうがいいわね。
あれでもあの二人が相思相愛だってことは周りもわかってるからね。
あかねの幸せを考えるのなら、諦めるべきね。それがあかりちゃんの為でもあるんだから。」
と正論を述べるなびき。あんまり良牙の気持ちを考えないところから、やはり商売がらみのようである。
「・・・・・そうですか。そうですよね、俺にはあかねさんはふさわしくないですよね。」
と落ち込みのブラックホールに沈んでいく良牙。なびきはやはり魔性の女であった。
「いいじゃない、良牙くんにはあかりちゃんがいるんだから。」
と慰めにもならないことを言うなびき。
「しかし何故、いきなりそんなことを思いついたんですか?」
とふいに聞く良牙。
「決まってるじゃない、金稼ぎよ♪」
と、さも当然のように言うなびき。

10分後・・
「なんだよ良牙。人をこんな所に呼びだして・・・なんかたくらんでるのか?」
「ばかやろう!俺は乱馬と違うからな。」
乱馬と良牙は屋根の上にいた。良牙は矢文で誰にもばれないように乱馬を呼んだのだ。
どこから出したのかは知らないが、当然のごとく乱馬と良牙しかここにはいない。
「んで、用件は何だ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
良牙は言おうとしたが、言葉がのどからでなかった。
おめえ、あかねさんのことどう思ってるんだ?そんなこと聞けるはずがない。もし・・・
乱馬があかねさんのこと好きで、あかねさんも乱馬のこと好きなら・・ほんとうに
なびきの発言が真実になってしまう・・・。だいぶ前から、あかねさんは
乱馬のことを好きじゃないのか?とは思ったことある。だが・・・・・・
「・・・・・・おい、何なんだよ!!黙りこくって!早く用件を言えよ!俺今日は用事があるんだよ!」
「わかった・・・・・じゃあ、短刀・・・直入に言う・・。」
良牙は、拳を握りしめて言葉をのどから出した。
「乱馬、おめえあかねさんの事どう思ってるんだ?好きなのか?」
「・・・・・・・・え・・・?」

乱馬は言葉を失った。今までそんなこと聞かれたことはない。しかも、それを良牙から聞くとは、
何とも信じられない話だ。
(な、なにいってんだこいつ・・・。)
乱馬は、良牙が冗談で言ってると思った。だが、良牙の目は真剣だった。少しずつ顔が熱くなってくる
「言えよ・・早く・・・。」
「あ、あの・・・・おれは・・・。」
「冗談とか嘘とか言ったら、俺で勝手に解釈して、あかねさんに言うぞ」
乱馬は、ぞくっと悪寒が走った。
「な、何でそうなるんだよ!!!」
「言え!!!早く!!!こんな空気いやなんだ!!!早く俺も戻りたいんだ!!!」
「・・・わ、わあったよ・・・・おれは・・あかねのことを・・・。」
「好き・・・・・・・なんだな?」
と良牙が乱馬の口よりも早く答えた。
「えっと・・・・・・いや、まあ、その・・・・・。」
「そうなんだな?」
「ああ・・・・・。」
「そうか、分かった。あかねさんに伝えておくぜ。」
と言った良牙の声は寂し気である。
「あ、ちょっと待てよ!」
と良牙を止める乱馬。
「なんだ?なんかあるのか?」
「俺が、自分で伝えるよ・・・・。」
と、誰もが思いもしなかったことを言った乱馬。
「きさまが?ほお〜・・・・・・これは面白そうだな・・・・。」
何を思ったのか、少し元気になったような感じのする良牙。

「Pちゃん?Pちゃん?」
一方あかねは道場の方で良牙(Pちゃん)を探していた。
その上で乱馬達が話しているともしらずに、草の根をかき分けて探していた。
「くしゅん!」
あかねは大きくくしゃみをした。
(なんか先から、くしゃみが多いのよねー・・・・。誰か噂しているのかなあ・・。)
「おい、あかね。」
「え?あ、乱馬。いつの間にいたの?」
あかねの後ろには乱馬がいた。そしてその陰では良牙もいた。
あかねは良牙のことは気づいていなかった。
「いや・・・ちょっとさ・・・その・・・話してえ事が・・あるんだけど・・・。」
「話したいこと?」
乱馬はちらっと良牙を見た。良牙は、こくこくとうなずいて何かを合図した。
「・・・・・・・・・・・。」
「なによ。話したい事って。」
「だ、だから・・・・あ、あのさあ、ちょっと違う所にいかねえか?」
「へ?」

「そ、そうだ、おめえの部屋で話すぜ。いいだろ?」
「別に良いけど・・・・・。ここじゃ話せないの?」
「ああ・・・・・大事な話だからさ。」
「わかったわ、あたしの部屋で聞くわ。」
と言い、二人は天道家母屋へと消えて行った。

「さて、あかねさんの部屋に行く前になびきの部屋に行って報告だな。」
と言い、なびきの部屋に向かう良牙。
そして、何故か迷わずになびきの部屋へとたどり着いた良牙。
「へ〜、乱馬君にしちゃあ思い切った行動に出たわね〜。」
と、感心したような声を出すなびき。
「んで、何の話よ。いったい。」
さっそくあかねの部屋にやってきたあかねはすぐに話を出した。
ぱたんとドアを閉めて、乱馬も部屋に入る
「・・・いや・・・あの・・その・・。」
乱馬は口をもごもごするだけで、はっきりと言いたいことが言えない。
「・・・んもー。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ。だらしないんだから。」
「し、しかたねーだろ!!!」
あかねは、大きくため息をついて乱馬を見た。半分喧嘩を売っていたのだ。
だが乱馬は喧嘩を買わずに、ただ顔を赤くしているだけだった。自分で言うと言ったものの
本番になると、やはり恥ずかしい。言いたい言葉がのどに詰まって出せない。
「・・・・・もうー。・・あ、そうだ!昨日ね、おばあちゃんからブローチもらったんだ!
 いらないからって。今つけてみよーっと。」
「あ、おい!話はまだ・・・。」
「だったら早く言ってよ。」
あかねは乱馬をにらみつけながら、机の引き出しを開けた。
きれいに光っているブローチをあかねは服につける。
「と、とにかく、話を聞けよ!い、言うから・・。」
「・・・・・・・。」
あかねはブローチをつけて、なにも言わなかった。ぴくりとも動かない。
「・・・あかね?」
「乱馬、あのね・・・・。」
あかねがいきなり乱馬の方を見た。いつもと違う。目がうっとりとしている。
乱馬は一瞬びくりとした。あかねの服に付いているのは、反転宝珠だった。

<続く>