Last update Feb.19,2001

SETTEN No.1の「PC向けパッケージ」を販売中を見て

久しぶりにこいつの話題を見たので(from AKIBA PC Hotline) 記憶を頼りに書いてみる。

そうあれは・・・もう二年以上前になる気がするが 開発元の熱研の社長とうちのオヤジが知り合いで、ビッグサイトで展示会をいっしょに行ったときに手伝いに行ったオレにも試供品だといって一つくれたんだったな。 ちょうど発売されたばかりのころで、オーディオマニア向けに一つ一万くらいで出していたように思う。 なぜか今は¥4000くらいのようだがラインナップが複数あったような気もする。

前振りはこんなもんかな。 このSETTEN No.1とはダイアモンドの微粒子がオイルの中に混入されたもの で、一見平らに見える金属の表面も実は無数の細かい凹凸はがあるので、 そこにダイアモンドを爆砕させて作った微小な炭素の結晶(たしかミクロの単位だったはず)を流し込むことにより接触面積を増大させて電気信号の円滑な伝送を行うという代物である。

うむ、なかなかに理に適っている。 実際に使用してみたが、一番効くのは電源周りに使用したときだった。 これはオヤジも同じ結論に達していたが、まぁ、電気で動くものならば大元である電源周りに使用したときに最も効果が上がるのは当然の話。 オーディオ、PCに限らず電気が流れる接触部分になら何処でもつかえる。

この原理から分かってもらえるように元の作りが安ければ安いほど(要するに接点の研磨がおざなりなもの)劇的な効果が出る。 つまり、このSETTEN No1を使用して効果が上がる製品を作った会社は大いに猛省すべきなのである。

それはともかく身近な例で一番効果がわかりやすいのは ヘッドホンステレオなどのポータブルオーディオプレイヤーの電池の接点につけることだろう。 もう、一発で分かります。 イヤホンジャックにもつけるとさらに効果的ですが電源周りに比べるとそこまで劇的な効果が上がるわけではありません。

で、肝心のPCに使用したときですが以前も実はこのサイトで書いたことがあるのですが、私が以前試したときの感想からいくと、 確かに「塗るだけで性能や画質がアップする」のは事実です。 しかしメーカーの謳い文句にあるように 「パソコンCPUの基板ターミナルに塗布すると(中略)CPUおよびメモリーボードの処理スピードが速くなります」「HDDのターミナルに塗布するとHDDのエラーレートが減ることによって、シークタイムが短縮され、レスポンスが向上します」 というのとはちょっと違った印象を受けました。 試したのはCPUの足とメモリモジュールの接点についてとあとは各電源端子です。

処理速度が上がるというよりも今まで渇入れしないと動かなかったクロックでの動作が渇入れしなくても動くようになる、ようするに信頼性が向上するという効果は見られました。たしかに原理を考えるとそんな気がします。 というわけでオーバークロックユーザーが使うには少々微妙な代物だと思っていたのですが、昨今のオーバークロック事情の変化から結構有効なアイテムに変貌を遂げるような気がします。

それというのも、最近のハイエンドPC向けCPUではその動作クロックがいい加減コア設計に対して限界に達しているので(Pen3-1.13GHz、Thunderbird 1.33GHzなど)発熱の問題から当たりロットを拾ってきてむしろVcoreを下げた方が結果的に高クロックで動作することがあるという始末。(by PC info) たしかに私もそう思います。

しかし、ここで問題なのは最近はBIOS上からVio/Vcoreの設定が出来るマザーなんてあたりまえのようにありますが、初期のボード(ex. Abit BH6)にあったような電圧のマイナス設定が無いということです。 つまり、昇圧は出来ても減圧は出来ないものがほとんどなのです(というか、最近のマザーで減圧できるの知らない)。 これはマザーボードの設計者には声を大にして言いたいのですが、 昇圧機構を組み込めるのなら減圧機構を組み込むことはさして難しいはずも無いので導入して欲しいということです。

質の向上(画質、音質)に関してはオーディオケーブルやディスプレイケーブルに塗るのは試してそれなりの効果は出ましたが、 それよりもPCIバスとAGPのピンアサインを調べて、電源を供給している端子に塗布するのがその原理上最も効果的と思われます。(試してないですが間違いないでしょう。だって、めんどくさいもん)

ここまでは作りが安い製品についての話、お次はハイエンドオーディオです。 上で述べてきたようにこのSETTEN No.1、理に適っていて救世主的に優れた製品のようですが実は思わぬ落とし穴があります。 何かといえば、オイルが含まれているということです。 これが実は結構曲者で、使用対象が高級なものになるほどマイナスの面が目立ってくる。

画像に関してはハイエンドなものを持っていないので未確認だが、 すくなくとも音に関しては 良くなる部分もあるのだが、音域全体に渡って見たときにやたらとドーピングされる帯域とそうでもない帯域があり、 音の全体の調和が崩れるのでかえってよくないことになる。

音とは不思議なもので、作りが良いものになればなるほど見た目のイメージと音が一致してくる。

たとえば、電気抵抗の面から言えば金が一番優れているが銅製のケーブルに比べてとにかく音が派手になって静かな音楽には向かない音になるとか(ちなみに銀だと音は細い、やはり銅が一番バランスがよい)、 スピーカーの側に使用する木の硬さによって出てくる音も硬くなったり柔らかくなったりしたり、 インシュレーターがアルミ製だと音は硬くて高域が強調されるけど温かみのない音になるし、手軽で導入している方も多いであろうブチルゴムにすると低域は一見向上したように聴こえるがその実、単にぼやけて締まりがない音になっただけで繊細な表現は減殺されるとか、 真鍮はやっぱり暖かい音がするとか、 エボニー、ローズ、ハードメイプルの順に音が硬いとか、 まぁ、上げれば切りが無いですがそういうことです。

ギタリストだと分かってもらえるかもしれないですねェ。木が変われば出てくるギターの音は全然違いますから。

それで話をSETTEN No.1に戻すと、 油から想起される、つかみ所が無い、芯が無い、透明感が無い、といったイメージがそのまま音に出ることになります。 まぁ、こんな話は一般のユーザーには手が出ない製品の次元での話(金額的に)ですのであまり気にしないでください。 普通の人間が買える製品については幸か不幸か劇的な効果をもたらしてくれます。

というわけで、¥4000程度なら興味がある方は試しても良いんじゃないでしょうか? また熱研さんは年二回ほどオーディオビレッジさんとつるんで展示会を東京でもやっているのでオーディオ雑誌なんかで見つけたら言ってみると面白いですよ。 ほかにも変なものをいろいろと開発していて楽しいです。 うちのオヤジもだいたい一緒に出展しているので音聴けますし。 (というか、買ってやってください!オレの学費のために!!)