Last update Aug.22,2001

ソッリドメモリプレイヤーについて

最近ようやく使い物になるレベルの製品が出揃ってきたので身内を巻き込んでいろいろと調べました。 著作権が絡むこともあってメーカーのサイトのほうでもイマイチはっきりと書いていないし、音の方もメモリカードをパクられないようってことでまともに試聴出来る店もなかなか少なくて、かなり結構苦労したので何かの役にでも立てばと思い書いております。

そもそもソリッドプレイヤてなによ?

CDやテープといった既存の記録メディアだとデータを読み込むさいに駆動部分が必要になる。 対して記録メディアにフラッシュメモリ(プレステのメモリーカードみたいなもん)を採用したソリッドプレイヤーでは駆動部が無いので音跳びとは無縁で、故障も少なく、筐体サイズも小さく出来ると昨日までのオレ、グッバイ!的に技術の進歩をうかがわせる革新的ポータブルデバイスなわけですわ。 なんせ駆動部分なしで電気的にデータを読み込むので、電池切れを除くと再生がおかしくなるのは=壊れたときという感じ。

しかし、一般的に採用されているフラッシュメモリである「スマートメディア」ではまだまだ容量が小さく最大でも128MBしかないので、一般的な音楽ソースを入れようとしてもわずか数曲しか入りません。 そこで許せる範囲まで音質を劣化させた圧縮音楽ファイルを記録することによって実用的な範囲まで持ってきたものです。 圧縮フォーマットはいくつかありますが、取りまわしの利便性、音質、を考慮すると実用に耐えるのはMP3とWMAだけです。 ほかにもAACとかTwinVQとかAtrac3とかあるにはありますがウザったい著作権まわりの制限と他フォーマットとの親和性(ハード、ソフト共に)の余りの少なさから実用に耐えないです。 そしてこの音楽の圧縮が出来るのは事実上PCだけなのでソリッドプレイヤーを買ってもPC持っていないとなんの役にも立ちません。

たくさんあるけど・・・

一応流行り物で、将来のオンライン音楽販売もにらんで各社から様々なプレイヤーが出ていますが上記とわたしが常々主張しているように実用に耐える音声圧縮方式はいまのところWMAだけなのでほとんどのプレイヤーには目もくれる必要はありません。

WMAの再生に対応した物だけに絞るといきなり数種類まで減ります・・・ RioとNomadとintelのとMapioだけです。 一応TDKとかからも出てますが筐体小さすぎで液晶表示や操作ボタンが使い物にならないので眼中なしです。

そして候補に残った上記の四つの中でもRioはバッテリパックと一体な無駄にゴツい独自パッケージでしかメモリの増設が出来ないので却下です。 intelのは内臓のみとはいえ一応128MBあるので何とかなりそうなのですが増設も出来ないくせに値段が他社製品に比べてムチャに高いので却下です。 同等の機能を持ち、メモリの増設も可能な他社製品よりも1万くらい高いです。 しかもヤンキー製なのでデカくて重いです。さようなら。

結局残るのはmapioとnomadの二択というどうしようもないこの状況、ここは東京。 ていうか、本当にどうしようもないな・・・

どっちを選ぶ?

実に悩ましいです。 後輩S-gelがNomadを、相方なおっちがMapioを持っているので両方隅から隅までしゃぶり尽くしました。 intelのもなおっちとヘッドホン持参(AKGの3.5万とAKGの1.3万とゼンハイザーの1万)して店で散々いじりたおしました。 操作性、音質すべて把握済みです。

人それぞれの好みもあるし、繋ぐヘッドホンとの相性によって最終結果は変わるのでアレですけど、一応自分の感想。

ま、試聴できる店に手持ちのヘッドホン持って出かけましょう。 アキバだとLaoxのコンピューター館で三種類全部プラス大概の物は聞けます。rioもあります。 新宿のヨドバシでもいろいろと聞けます。 んで実売はアキバでも新宿でも同じなので購入はポイントバックのつく新宿の方が良いですね。2.5万クラスになると15%のバックは相当でかいです。

音質

それはともかく音ですが、nomad、mapio、intelのなかであからさまにnomadが一番上です。 さすがにクサってもプロユースな音源やシンセ作ってる音系のメーカーです。 CPUやチップセット作ってる会社やアジアのメモリデバイスメーカーごときとは比べるのも失礼ってもんです。

EQは三製品ともにLo Hiのツーバンドです。 所詮EQなんて補正用なので素の音で負けてるのものがひっくり返るはずも無いので機能が同じなら音質の順番は変わらないです。 どういじろうともほかの二つはNomadを超えられないです。

さらにmapioはEQにマイナス設定が無い。 (と思う。耳で聴いただけなので確証無し。 ラインアウト端子ないので断言できない) というわけでmapioに繋ぐヘッドホンの特性が中域スカスカな場合は、補正のしようが無くなるので、自分が使いたいヘッドホンが中域の弱いタイプだと覚悟しといたほうがいいかも。

ラインアウトといえばnomadはヘッドホンアウトをラインアウトに切り替えることが出来ます。 カーステなどに繋いで使いたい方には非っ常ーにありがたい機能ですね。 さすがは音メーカー判っていらっしゃる。

音量ですがintelだけは11mWと他社に比べるてデカイです。 普通の人には関係無いところですがAKGみたいに並みのヘッドホンの数倍のインピーダンスを持つものを使用している自分やなおっちには無視できないアドバンテージです。 残りの二つは標準的に7mWです。

操作性、というか機能

nomadは曲のリストを見ながら曲を選択することが出来ないので、たとえば100曲入れた場合は一応逆回しは効きますが50回曲を送らないといけないことになります。 mapioとintelはスティックやジョグダイヤルで曲選択が可能です。 (mapioは再生中にはできないが、停止時には可能) 20曲程度ならともかく、しこたま曲をつめ込むとこの機能差は無視できません。 ていうかNomad、使い物になりません・・・

早送り、巻き戻し時にnomadは無音になります。MDやCDから移行した人は相当の違和感があるはず。 曲のBPMがだいたい分かっていて、何小節飛ばしたいか分かっていれば感覚的に大体のところで止められますけど一応頭使わないといけないので結構不便です。 ま、前述のリストを見ながらの曲選択とは違って、無くてもピロピロ送りできるだけでとりあえずは問題無いんですけど。

そのかわりnomadには液晶表示付きのリモコンがあります。 使い勝手は本体と同じボタンが搭載されているので同等の操作が可能。 いちいち本体出したくない人にはかなりでかい存在。 廉価版で実売1.1万なnomad2-cにはリモコンついてないです。あとFMチューナーも。 でも内蔵メモリが32MBに減っている以外の基本機能はまったく同じで音も同じです。

オマケ機能

intelとnomadにはラジオチューナー機能があります。 んが! 両方共使い物になりません。

内部回路からのノイズが凄いのかどうか知らないですけど、全然受信できないです。 どこぞ掲示板とかで良く噂になってますね。 さすがにウソだろ?と思っていたのですがホントに入らないです。 一応家は23区内なんですけどねぇ・・・

ボイスメモ機能は三者共に搭載されていますがどれもいっしょです。 マイク感覚で手に持って、ちょっとメモ録音や鼻歌を取るくらいには使えますが、 会議などを離れた席の分まで収録しようとするのは無理です。 そういうことしたい人はボイスレコーダー買いましょう。

あ、忘れてた・・・nomadはA-Bリピートできます。 演奏練習とか語学学習には強烈に効く機能。

んでおすすめは?

基本的に音重視な自分ですが、実際に触ってみたところnomadの曲選択機能の不備はあまりにも痛いので、普通に再生するだけなら断然Mapioですね。 実売24800で内臓64MB。プラス増設で128MB付けると合計で34800+TAX。 同じくリスト見ながら選曲できるitnelはほぼ同等の金額で増設不可能な固定128MB。 そのかわりまったく実用に耐えないFMチューナー機能が付いています。

音質はどっちもどっち。 ただ出力はinelの方がデカい。ただし通常使用(数万円するとか、スタジオ用なヘッドホンじゃないの)においてはそこは問題にならない。 どうしても音が悪いのは耐えがたいというのなら選択肢はnomad以外に無し。 他社製品とはあからさまに違う。

でもnomadの音は割とフラットで抜けが良いので自分にとってはそれが良い音だけど、普通にラジカセとかコンポの音を聞いてる人にはその分ほかの二者に比べると迫力に欠けるように聞こえると思う。

しかも普通にみんなが買うヘッドホンだと低音だけがアホみたいに強調されるからなおさら。特にintelと比べるとその差が顕著に出ると思う。そんな感じに大体の人はintelのほうが好みの音かも。

mapioが一番中途半端な音。 でもちょっとレンジが狭い感じがする(そもそも高音があまり出ていない)けどそれ以外の素性は悪くないので15KHz以上もキッチリ鳴らせるヘッドホン持っていれば問題なし。じっさいなおっちのAKGで聞く分には許容範囲。S-gelのNomadに繋いで聞くとやっぱり物足りなくなるけど・・・

余談

今回いろいろと聞き比べて思い知ったのは圧縮音声の音の悪さ。 おまけにヘッドホンで聴くのでよけいに分かる。 160kbps以上でエンコードすればずいぶんと解決する(できれば320kbps欲しいところ)が、通常使用される MP3の128kbpsやWMAの96kbpsだと 楽勝で1万もしないカシオとかのCDプレイヤーよりもハイハットやシンバルといった高音が耳についてムカツク。だってCDプレイヤーは周波数特性がフラットじゃなかったり再生帯域が狭かったとしても、あからさまに音が変質するわけじゃないから。圧縮音楽の音の変調ってウソだもん。本当の楽器はあんな音しないもん!

自分が主に(出先で)聴く曲がそもそも高音域の変調具合が異常に目立つヘヴィメタルだってのも原因のひとつだと思うのだが、いささか耐えがたい物がある。 同じファイルをPCのHDDレコーディング用のAudioCardからステレオシステムに繋いで出力したときはそこまで気にならないのだが(とはいえ間に高音が削れまくるクソミキサーがあるんだけど)・・・それでも無圧縮なWaveファイルのままWavelabでかけると違いが一発で分かるからなぁ・・・いずれにしても微妙な話だ。やっぱ320kbpsは要るよ。 ちなみに言っておくけど、ステレオシステムのスピーカーから再生したときに高音域が出ないわけではないから。 真空管プリメインアンプとジョーダンワッツのフルレンジユニット搭載スピーカーとメートル当たり20万円からなケーブル類(端子はWBT製)で合計200万円くらいする世界最高ランクの製品なんで。 ヘボいミキサーに繋いでいるので結構音痩せてるけど・・・これでミキサーをBehiringerに換えると気になりだす気はしている。なおっちに借りて一度繋いだことがあるが。

音に拘る人は256MBもしくは512MBのフラッシュメモリが出て、最低でも160kbpsエンコード(できれば320kbps)のファイルが実用範囲になるまではCDプレイヤーにしといたほうが絶対に良いです。まぁMDが聞ける人なら大丈夫だと思いますけど。