Last update Jul.04,2001

すげーよザルマン

まずはこれを見ろ! さんざん際物扱いをされているようだがなかなか理に適った構造だ。 CPUコアに接触する部分と放熱フィンが一体成形の銅である。 しかも薄いフィンの集合体なので、分厚いヒートスプレッダー→フィンという構造の一般のヒートシンクよりも熱伝導が見るからに良さそうで、放熱フィン全体に無駄なくコアの熱を伝えることが出来る。 しかし、扇の要の部分ではフィン間隔が狭いので見た目よりは放熱実効面積は少ない。 加工に手間を掛けて根元の部分の間隔が広くなるようにしているとさらに効率は増すだろうがさすがにそこまではしょうがないか・・・その分スリットを開けることで対応しているんだろうな。でもそうするとかえって気流が乱れる気もする・・・ま、流体力学は実際にやってみるまでなんとも言えない部分が多いので安易な予測は禁物なのだが。

そしてこのトリッキーなヒートシンクを通常のCPUファンよりも大きい8cmファンで冷やそうってんだからすげー発想だ。 冷却能力はヒートシンクの有効表面積と風速に依存する。(流体だからほんとうはもっと複雑なんだけど・・・) でかいファンとでかいヒートシンク(熱の移動が速やかでないと意味ないけど)の組み合わせなら回転数が低くても十分な冷却能力を得ることは可能。 ていうか、速度は遅い方がいい。 流体には層流と乱流という二つの状態があって、乱流となると不規則な振る舞いをするので理論通りの結果を生じなくなる。 細かい話は省くが概念的には船のプロペラで考えると分かり易い。

ゼリーの中をプロペラが回転して切りながら進んでいく状態を仮定する。 プロペラの回転が速くなるとゼリー自体を破壊してしまいプロペラはその場で空転してしまうことになり、プロペラからの回転力を推進力として伝えることが出来なくなってしまう。そんなかんじに冷却ファンも低回転で大口径の方が効率は良いのだ。

層流と乱流ということを考えるとフィンの間隔があまり狭いのも考え物なので、じつはフィンの数が少ない下位製品のほうが能力は高いかも。 ま、メーカの方も設計段階で何度もテストを取ってベストの結果がこれだったのだろうからこの構造だと枚数/サイズ/間隔のバランスはこれが一番良いんだろうな。と信じるしかない・・・

ということでリーサルウエポンの登場。こいつだ! この抵抗をかましてやることによってファンの回転数を下げる。 1700rpmでなんと20dBでっせ!? 通常のファンに比べれば回ってんの?って感じのノイズレベルだ。 スペックシート

面倒なのでいちいち計測はしていないがセレロンの800MHz(内部倍率*8)をFSB133で1GHzという現在の激貧DOS/Vユーザーの常套手段であろうと思われる組み合わせに対しては、上の抵抗で回転数を落とした状態でも楽勝で冷却可能。 とりあえずパイ100万桁を三回ほど走らせといたんで問題ないでしょう。

しかもこのザルマンクーラーにはもう一つ画期的な点があって、通常のソケットタイプのマザーボードだとCPUソケットとAGPの間にNorthBridgeがあるので8cmファンだとNorthBridgeの冷却も可能になる。 FSBが素で133MHzを超える現状ではNorthの冷却はかなり重要で、しばらく前のマザーから以前はなかったNorthBridgeへのヒートシンク及びファンの実装からも分かってもらえるだろう。

ケースによっては取り付けられなかったり、そもそもPCIカードの固定ブラケットにネジ留めするなど面倒なところもあるがそれを補ってあまりある利点があるのでマジでオススメでございます。