もどる


ゲーム産業はどこへいく?

今や家庭用ゲーム機市場はソニーのプレイ・ステーションの天下である。国内で850万台、そして全世界では2000万台という驚異的な売り上げを記録しており、なおソニーは「国内で3000万台を目指す」と吹聴し、その勢いはとどまるところを知らないように見える。しかしながら、この天下はいつまで続くのだろうか?大きく敗退した任天堂に復活はありうるのか?またセガの次なる戦略は?ここでは、次世代コンシューマ(家庭用ゲーム機)戦略を占ってみよう。
先頃、任天堂はファミコン以来、社の大躍進を率いてきた山内会長の勇退を発表した。そして、次期リーダーとして注目されているのがアメリカ任天堂(NOA)代表取締役社長、荒川實である(彼は山内会長の養子にあたる)。実は、国内でこそNINTENDO64はプレステに大きく惨敗しているものの、アメリカに目を転じてみれば、形勢は全く逆という事情がある。アメリカ本国において、実にN64のソフトは一本あたりプレステ用ソフト20本分以上を売り上げていると言われる。
この将来の荒川社長の指揮の下、任天堂は衛星通信やインターネットと連動したゲームシステムを構想していると言われている。
一方でこれを迎え撃つソニー(ソニー・コンピューター・エンターテイメント社)では、既に次世代機の開発に着手しており、これが99年頃投入と目されている。あくまでも開発者周辺の噂に過ぎないが、この次世代機は64ビット、DVD搭載といったものになりそうだ。価格は2万円弱、また、メモリ・カードを用いて携帯可能なものにするとの予測も流れている。現行のプレステとの互換性はなく、よって投入時点で再び大規模な市場の再編を私達は目にすることになるだろう。
2社に挟まれ、現在セガ・サターンでも苦戦が伝えられ、バンダイとの提携も破綻したセガ・エンタープライゼスだが、最近、何とあのマイクロソフト社との提携を図っていると言われている。サターンの次世代機はソニーの次世代機に先行して、98年末頃、32ビット、新規格CD―ROM(現行機との互換性なし)で投入される模様だが、注目されるのがウィンドウズCEの搭載、モデム内臓といわれるその仕様である。つまり、セガの次世代機はコンピューター端末やモバイル環境をめぐる巨大な市場の一端に組込まれていくだろうと噂されているのである。
恐らく、次世代機をめぐる争いは、そのまま家庭用ゲーム機市場のシステムの大幅な再編成に直結する。それは、いわば単なる市場内でのシェア争いに終わるものではない。つまり、現在のコンピューター間連業界の大きな流れである、通信やゲームや音響やビジュアル関連その他といった諸々を統合していこうとする動きに家庭用ゲーム市場は大きくさらされることになるのである。
見取り図的に言えば、任天堂は通信を中心とした統合を将来に見て、そこに賭けているのであり、セガはウィンドウズCEを基盤にした(つまりウィンドウズパソコンをその中心においた)情報諸器機の一体化に夢を託しているのである。そしてソニーは、現在の市場での覇権を維持すべく、よりゲームに特化した器機の開発によってこの市場を維持しようとしている。
今後の鍵となるのは、現在の家庭用ゲーム機向けに特化したゲーム開発のありかたの行方であろう。良く言われるように、ソニーの成功はその開発環境の広い公開や貸し出しにある。この結果、サードパーティでも気軽に、開発用ハードへの過大な投資なしにゲームを開発することが可能になり、よって数多くのゲームが巷に氾濫することになった。
しかし、それが市場の飽和を一方でもたらしていることも確かであり、現に中小のゲーム開発会社の買収や統合が盛んになっている。どうやって面白いものを生み出し、かつ開発会社に利益をもたらせる開発環境を整えるか、それが今後の市場の行方を握っているのだ。