伝説の教師

第5話

 

<今夜の風間先生>
風間先生は家に帰ってきた。疲れていた。
疲れて帰ってきたら、生徒がいた。ちえみだ。
あ?と不審を覚える風間先生だが、大好き!と言われ、照れることないじゃん、と言われ、あたしと大輔、ラブラブなんだからと言われ、え?え?え??とハテナの人になってるうちに、風間先生、ソファに投げ飛ばされてしまった。
女子高生のソファに投げ飛ばされる!
なんと不条理な!!
しかし投げ飛ばされた挙句、風間先生はちえみに馬乗りされた。「あたしから逃げようったって無理だからね。うちらの関係は、理事長も校長も知ってるんだから」
ガーン!!それは結構ショックじゃねぇか!でもなんでそんなこと!
「あたしって魔性の女らしいんだ?小悪魔とかいわれるし」
そのちえみは、馬乗りのまま風間先生のほっぺをぺちぺちとはたく。
「もし別れたいとかいったら、殺すよ?いっそのこと死んじゃおうか?うちら、生きてたってバカな恋愛くりかえすだけだもんね」
すらりと取り出した包丁を取り出され、振りかざされ。

「うわ!!」

風間先生は目を覚ました。
「はー・・・」
夢か、よかったー・・・。と心の底からホっとする風間先生に、どしたの?と声をかけてくれる女の子。
くにゅん、と甘える風間先生は、「すんげー怖い夢見たよ」とよしよししてもらうのだ。「だぁいじょうぶー」とよしよししてくれる女の子に「モモコちゃんがいてくれてよかったぁ」となおも甘えようとしていたら。
「モモコぉ!?あたしはアカネですぅ!今度、前の彼女の名前言ったら別れるからね!」
「は、はい・・・!」
ぎくっ!として答えた風間先生だが、「・・・何番目のアカネ・・・?」と解っていなかったりするあたり、なかなか大変な朝だった。

<今朝の風間先生>

「そんな寝覚めの悪い朝でも、生徒の前では笑顔。こんなとき、俺は自分で自分を誉めたくなる」
しかし、そんな風間先生は後ろからやってきた南波先生の自転車にはねられてしまう。ブレーキがきかなくなっているからって、今時自転車でつっこんでこられるなんて!!
「さすがの俺もこいつの前では笑えない・・・」
お互いにすっころんだままの風間先生と南波先生だったが、先生大丈夫?と声をかけてきたのが、夢に出てきた女子高生、ちえみだった。
幼い顔をしている女子高生だが、その無邪気な顔にダマされて去年一人の美術教師が学校を辞めさせられている。それ以来、風間先生は、生徒にだけは手を出すまいと決めていた。
しかし、ちえみはあくまでも無邪気な顔で風間先生を助けようとしてくれるが、その手はやんわりと断る。ちえみは気にせず南波先生も大丈夫?と自転車ごと倒れている南波先生を助けに行った。

ぴーん!
その時、風間先生のある種高速回転脳はひらめいたのだ。
「この男、ちえみの魔の手にかかれば、間違いなくクビだ・・・!」

うふうふ思っていると、ちえみから相談があると持ちかけられた。スムーズに悪いけど後でいいか?会議があるんだとかわす風間先生は大人だ。しかし、あたしの人生より会議の方が大事なんだと口に出されてしまえば、いくら本当でもそうだとは言えない。
改めてちえみに向き直り、なんだ?相談ってと聞くと、明るく笑って、こう言われた。「あたしね、学校やめようかと思って」
呆然とする風間先生。
そして、南波先生は自転車のハンドルを必死で直していた。

<異性に異性問題を相談する時、相談相手に気がある率は、72%だ。(総研調べ)←ウソ>

風間先生の頭は、基本的には高速回転だ。これは南波先生とちえみを近づけるいいチャンスになるかもしれない、と一緒に相談を受けることにした。
ちえみは、彼氏のことで頭が一杯で勉強どころじゃないと言い出す。
カメラマンか、と、先生はなんでも知ってる風にしてみるが、その人とは2週間前に別れていた。
そして今の彼氏は、と写真を見せてくれたらうちの生徒。南波先生は言った。
「うちのクラスの横分シロウ」「3年の」「あぁ、ロバート小谷」「外人じゃないですか!日本人でしょ?3年2組の」「あぁ、猫背にゃー」「ナラサキサトルですよ(笑)!」
猫背にゃー・・・!そんな名前の生徒がいたら、きっと心の底から愛してしまうに違いない、猫背にゃー!猫背にゃーがどれだけ愛らしいか!と思ってしまう。あぁ、猫背にゃー・・・!風間先生の別名が猫背にゃーであっても構わない!そうも思う。
さて、彼氏のことで頭が一杯で勉強どころじゃないから学校を辞めるというちえみは、頭が一杯というより、頭がおかしい。いろいろ尽くして、先輩のお嫁さんになるのが夢だという。しいかも、うっっ!と口元を押さえ、部屋を出ていってしまう。
あっけにとられる風間先生たちだったが、ともかく女子トイレにかけつけ、そっとドアを開けると、中からは苦しそうなうめき声が・・・。
ドアを閉め、二人は顔を見合わせた。
「・・・昨日、なんか変なもんでも食べたんですかね・・・」「イカの仲間やな」「なんですかそれ」

そんな可愛い二人だったが(南波先生は可愛くないが)、ちえみは妊娠したかも、と言い出しやがるのだった。
「今、思い返せば、これがすべての悪夢の始まりだった」

<今日のオープニング>

毎週色々なものが割られているが、今週のスイカは割れなかった!素敵だ・・・!割れない!と驚く様子が・・・!

<職員室で>

ちえみは何分頭がおかしいので、産みたいなんて言っている。生徒が妊娠したら20ポイント、退学したら50ポイントのマイナス査定を食らうことになってる以上、風間先生の顔色は冴えない。
やはりここは学長が提案したように、コンドームを配るべきではないか、という論調が職員室に満ちた。今回だって避妊してれば、と上目遣いで喋っている風間先生は綺麗だ。
が、伝説のぉ〜♪と伝説の教師の歌を歌う南波先生はその論調に同意しなかった。南波先生は、つけない方がいいと思うのです。
つまりこれは、生ハムメロンと一緒で、せっかくの美味しいものがマイナスになってしまうのと同じことなんです。
いや、生ハムメロンは美味しい!という職員一同。
な!なんてことだ!南波先生に信じられなかった。そんなものを許しているとは!ということは、美味しいものと美味しいものを足したら2倍の美味しさになると思っているタイプですね!?と糾弾する。
ポテトサラダの上にみかんを許すタイプなのか!ジェットコースターにヤクザとのると倍怖いのか!人を待っているキリンは、首が2倍になっているのか!!
「誰が上野動物園とコンドームを一緒にしてるんですか」
誰が上野動物園って限定しとるんじゃーーー!!
うきぃー!!となった南波先生、セックスは認めるけど、妊娠は認めないって言うんやな!!と文句をつけるが、対策を講じるべきだと思ってるんです。と風間先生は冷静に言い返します。そう。今はリスク管理をする時代なのです。
さらに言うなら、学校側としては、リスク管理ができない教師は即リストラ。なので、リスク管理ができる二人には、何をどうすればいいか、解りますね?と追い詰められてしまった。
風間先生は綺麗な顔で聞いているが、場合によっては即バイバイですからといわれ、むぅ、と不機嫌になる。その顔も可愛らしいのだった。

<ちえみを探せ>

二人でちえみが実際のところ妊娠してるのかしてないのかを確認するため探していた。するとファミレスで座っているところを発見。ちえみも気がついて嬉しそうに手を振って出てきた。
二人そろってどうしたの?というちえみに、妊娠したって言うから話を聞きに来たんじゃないか、と尋ねると、あぁ、あれ?ウソ!とあっさり言われた。
猫背にゃー、こと、サトル先輩を試そうとしたウソだったが、そういうことをするなと叱られたのだった。
「怒っちゃった?」「怒ってないけど、力抜けたな・・・」「心配してた?」「当たり前だろ?」
そう言いながら、組まれた腕を、さっさとほどく風間先生。当然、退学もなしってことで無事リスク回避をできてほくほくだ。
晴れ晴れとした気持ちでそこを離れることができた。遊びに行こうといわれたって、生徒なんかと遊んだってつまらない。風間先生にはおデートの約束があるのだ。微笑みながらさっていく風間先生は幸せそうだった。

<スター千一夜風>

そうなるとちえみは南波先生で我慢するしかない。なんじゃい、ついてくんなと言う南波先生についてあるくちえみ。生徒に南波ちゃんなどと呼ばれ、南波先生はご機嫌斜めだ。
しかし、日々の楽しみインスタントくじは2枚買った。10万円、5万円、運命の分かれ道ぃ〜♪と唱えながら1枚を削っていく南波先生。その頃ちえみは頭がおかしいため、南波ちゃんもあたしがいなくなるのがさびしいなんて、なんであたしなんてこんなに持てちゃうんだろう!無駄にテンションが高い。
南波先生のインスタントくじは外れた。そんなの当たる訳ないのに何で買うの?というちえみに、人生なんて元々楽しいもんじゃない。だから楽しいことをするんだと答える南波先生。
「今日もインスタントくじ、明日もインスタントくじ」という声は、なつかしのスター千一夜を思い出させる語り口調だ。
ちえみは、南波ちゃん、いいこと言う!とすっかり喜んでしまっている。
自分も人生を楽しんでて、いつだって幸せだって。
しかし南波先生は、ほんとに幸せなヤツは、そない幸せ、幸せって言わへんのちゃうんか、と言うのだ。ただそう思われたいだけやないんか、と。
虚を疲れたチエミだったが、いいこと言うね!あたし惚れちゃいそ!やっぱ愛はパワーだね!と腕を絡めてくるのだった。

<今夜の風間先生>

にっこり笑ってデートに向かった風間先生だったが、大変なことになっていた。今日の彼女が帰るというのだ。なんてことだ!!それってそれって俺への愛がないから帰っちゃうんだろう!?とバックを取り上げ様とソファの上でこちょこちょしている姿の愛らしいこと!
でも、彼女は、さっさとお洋服を整え、バックを取り返し、少しは一人で過ごすことも覚えなよ、と頭よしよしして帰ってしまうのだ。
ソファに一人残された風間先生。あぁ、どぉしよお!と落ち着かない様子で視線をきょろきょろと宙にさ迷わせた風間先生は。
「覚えたよぉー!?」
と追いかけていくのだった。
かっ!!可愛いすぎる!!風間先生!!!

<今夜の南波先生>

何が愛はパワーや、と帰ってきた南波先生は、借金取りに部屋に引きずり込まれた。借金取りにはパワーがあるから、待つのはへっちゃらなのだ。愛はパワーってどういう意味?借金取りは優しく尋ねる。愛はお金より重いとかって、借金返さない言い訳じゃねぇよな、って。
返さないんじゃなくて、返せないんですよ!と言うのだが・・・!
あぁ、南波先生の部屋は、愛のパワー、シャベルで破壊されてしまった。
愛。あぁ、愛のパワー!おそるべし!!

<性教育は大変だ>

ついにコンドームを配る日がやってきた。はい、南波先生、配ってください、と引導を渡す風間先生。いくつ配るねん、という南波先生に、まぁ1つでしょ、と答えた風間先生だが、それじゃあこの先1回しか許さへんってことやないか!と絡まれる。
南波先生のことは無視したが、教室に入ったら生徒たちの浮き足だちぷりも半端じゃない。
あーもー、とうんざり気分で、南波先生に配るように指示する風間先生。しかし南波先生は、胃までも、つけない方が気持ちがいいと思っているのだ。
男子生徒はウケまくっているが、笑ってる場合じゃないだろ、彼女が妊娠して困るのはおまえらだろ?ん?とたしなめる風間先生。整った顔が綺麗だ・・・!
ここで、風間先生と南波先生は、それでは、セックスはよくても、妊娠はいけないのか、という問題について討論するのだった。
年齢とか関係なく責任もってやるのがセックスちゃうかなという立場の南波先生と、妊娠を前提としたセックスは認めない風間先生。
ということは、コンドームさえつけたらなんぼでもやってもいいってことやな!?と生徒たちに、今あなたたちはセックスを楽しみなさいと言われたんですよ!?と南波先生は主張するのだ。
風間先生は、愛のないセックスはしちゃいけない。愛というのは、相手を思いやる気持ち。好きな人を傷つけないってこと。不本意な妊娠を避けるのも、その一環だと考えている。
その風間先生の考えが南波先生には気に入らない。相手を思いやっているのに、それでできた子供は不本意な子供か!そもそも必要なものなら、産まれた時からついてるわい!!
配ってやらあ!!と南波先生はキレてしまい、コンドームに穴をあけるのだった。

<ニヤリ>

私としては、避妊しない男なんてサイテーだと思うのだが、ちえみは頭がおかしいので「南波ちゃんったら大胆なんだから!」と大喜びだ。
「これって、あたしへの愛のメッセージなんでしょ?照れなくてよいぞ!先生の気持ち!しかと受け止めた!」と穴のあいたコンドームを手に、きゃあきゃあと走り去るのだ。
「完全にノイローゼやな・・・」

走り去るちえみを柱の影から見ていた風間先生は、思ったとおりの展開に、にやり、とほくそえむのだった。ニヤリ・・・。

<ニヤリ2>

ちえみはお弁当を持ち、職員室まで南波先生を探しにやってきた。割り箸を口に、丼を片手に持ったまま、ぱちん、と割る風間先生は、理化準備室じゃないか?と南波先生の居場所を教えてやる。そしてまたニヤリ。
「この時、俺はちえみの魔の手に落ちるあいつの姿を想像して、ほくそえんだ」
ニヤリ、の似合う風間先生だ。

<校内放送>

南波先生は理化準備室のビーカーで湯をわかし、シーフードヌードルを食べようとしていた。そんなのよりあたしのサンドイッチ分けてあげる!というちえみに、あっち行っとけ!と迷惑そうな南波先生。
しかしちえみは気にせず、なんで愛には重さも形もないんだろう、なんて言うのだ。愛に形や重さがあれば、もっと一つの愛を大事にすると思わない?と。
しかし、南波先生はそんなことは知らん、と切り捨てる。それより本日のお楽しみ。インスタントくじを楽しもうとしたのに、それを取り上げられてしまった。
南波ちゃーん!こっちこっち!とちえみがやってきたのは放送室。
はっ・・・!
南波先生危険だ!ここで、あらぬことを放送されてしまうかもしれない!!
しかし、ちえみの頭はおかしいのだ。浅いことは考えられても、この状況を自分の思い通りにさせようとは考えない。

ただ、好き好き、だーい好き!といえば、それでいいと思っているだけだった。
「その態度がムカつくねん!」「好きって言ってんだから、素直に受け止めてくれたっていいじゃない!」
そっか解った、と南波先生は、すべてのマイクをオンにする。
「そないに好きやったらな、今すぐやらせんかい。ここでやらせろゆーてんねん」
学校中に流れた声に、先生たちは青くなる。
何も言えなくなったちえみを尻目に、全校男子生徒、男性教諭に向け、ちえみの好き好き攻撃にだまされないよう、単にかまって欲しいだかなのですと放送してしまう南波先生なのだった。
ちえみは逃げ、先生たちはやってくる。
南波先生絶対絶命!

<ニヤリ3・・・?>

南波先生は理事長から叱られている。風間先生は、ペンをひらひらさせながらとってもとっても嬉しそうな顔だ。あれは生徒指導の一環であった、という南波先生は、じゃあなんで泣くようにして飛び出さないといけなかったんですか?と追い詰められている。
「こいつの教師生命は絶たれた同然だ」
くふふふ。って本当に嬉しそうな嬉しそうな、幸せそうな顔をしていたら。

「大体、風間先生も風間先生ですね」
いつの間にか、理事長に背中を取られていた。
「担任のスキャンダルは副担任のスキャンダルです」「関係あるんですか!?」「何事も連帯ですから」
「連帯責任・・・!この言葉を俺はすっかり忘れていた」
南波先生は、腰のひけた様子で、風間先生たちの方を見ており、風間先生もそちらを見る。じーっと見ている風間先生はカッコよかった・・・!
そこへ、ちえみが手首を切ったとの連絡が!
あぁ!どうなる、南波先生、風間先生!南波先生のくにゃんと様子をうかがう猫のような腰が素敵だ!!

<病院で>

今回はかすり傷だったが、永作先生が言うには、ちえみは今までに何度も手首を切っているようで、左手首がケロイドになっている。両親は仕事で海外。ちえみは今、一人暮しをしているのだった。
全部あいつのせいだ、と遅れてやってきた南波先生を睨み、ちえみと話すため、病室に入る風間先生。
また死に損ねちゃった、というちえみに、どうしてそんなこというんだ、と辛そうな風間先生・・・。
「ねぇ、先生。人って、何のタメに生きてるのかな」
ちえみの質問に、綺麗な整った顔で風間先生は答える。
「多くの人に出会うためじゃないかな」
でも、ちえみはいくらたくさん出会ってもそんなのただのヒマつぶしじゃん、というのだ。次から次へ出会い、そして忘れていく。そこには何の重みもないと。
「そんなことないぞ」「ウソつき。南波先生ならそんな綺麗事言わないと思う」
ショックを受けた風間先生の顔は綺麗だ。
先生として心配してるだけでしょう?中途半端にかまわないで!
そのちえみの言葉は、南波先生をキレさせるに十分だった。

<死にたいというヤツに限って死なない率は、78%。(電通調べ)←ウソ2)

中途半端はどっちじゃ!この死にぞこないが!こんな傷で死ねる訳ないやろ!!
南波先生はちえみを部屋いから引きずり出す。止めようとする風間先生は跳ね飛ばされ転んだ。軽い・・・!風間先生はやはり軽いのだ・・・!
そのまま屋上に引きずりだし、ここから飛んだら死ねるわ!という南波先生。単に誰かにかまってほしいだけやろ!妊娠も、狂言自殺も一緒。好き好きの後は死ぬ死ぬ。ほんまにうすっぺらなヤツやなぁ!
追い詰められたちえみは、その場から逃げ出した。衝動で飛び降りるほど切羽詰っていた訳ではなかった。
「あんたが飛び降りろ!バカ!!」
追いかける風間先生!

<ちえみを探せ!>

風間先生はちえみを探して走っていた。いつも思うが、風間先生の走り方は不思議だ。なぜか握った手の親指が立っている。
「あの時、どうして必死にちえみを探したんだろう。教師として、人間として・・・。いや、それともあいつへの反発心から・・・。あいつを伝説の教師と認める訳にはいかなかった。ちえみの言葉が、いつまでも耳に残っていた」

その頃、南波先生は病室でタバコを吸ってるところを看護婦に発見。注意されたはらいせに、むちゃむちゃにすいまくっていた。

<再び学校で>

ちえみを見つけられないまま、風間先生は学校に戻ってきた。どうしてちえみを探さないんですか!と南波先生に言うのだが、中途半端な優しさが一番の罪やろ、と返される。
これには永作先生も怒った。教師として当然の勤めでしょう?と。彼女は、どんな人生にも意味がある、だから与えられた人生を無駄にしちゃいけないって教えてあげたいと思っているのだ。
しかし南波先生は、そんなことはないという。
人生に意味なんかない。意味があると思うから生きていけるというのもウソだ。なぜなら、人生に意味なんかない、さよならだけが人生だと思っている自分が生きているから。
「カウンセラーがなんぼのもんじゃ!偉そうな口聞くな!」
がーん!!永作先生ショーっク!!

その頃、理事長は眉を吊り上げ、懲戒免職の書類にはんこを押していた。

<その夜の風間先生たち>

まだ他の先生たちがいる時、永作先生はぼんやりとしていた。風間先生が何ぼんやりしてるんですか?と聞くが、この状況では、ぼんやりもするだろうと思う(笑)
人生の意味を探し続けるのが人生だって信じてた。そしてそれを伝えるのがカウンセラーの仕事だって、すっと思い込んでたとつぶやかれ、風間先生もシリアスな顔をするのだった。

その夜、南波先生も学校に止まり込んだ。屋上の柵にもたれ寝ている南波先生は、永作先生が毛布をかけてくれたことを知らない。

風間先生と永作先生は、職員室で泊まりこみだ。寝袋の用意をしながら、風間先生は嬉しそうだった。
「ほんと、助かりました。先生が付き合ってくれて。・・・夜、一人でいるのが苦手だったりするんですよ」
そんな可愛らしい風間先生の言葉を彼女は聞いていない。
「先生?」「あ、ごめん。いっつもそうやって女くどいたりしてるのかなぁ〜・・・?」「いや、そうじゃないくて・・・。つまりその、怖い夢を見た時とか、誰かに側にいてほしいなって」
ネクタイを緩めながらそんなことを言う風間先生は可愛らしいことこの上ない。

ちえみは、誰かに愛されているという確かな手応えが欲しかったんじゃないかな、永作先生はそう考えていた。

「耳が痛いですね。僕もちえみと同じところがあるんですよ。誰かがそばにいてくれればそれでいいって。そこにはなんの重さもないって解ってても、一人でいるようりかそのほうがいい。誰かと一緒にいるときしか、存在価値を確認することができないっていうか。・・・僕、あの恥ずかしいこといってますよね」
「ううん。あたしもそうゆとこあると思う。でも、だからこそ、一人で孤独に耐える強さ、身につけなきゃ」
風間先生は、その言葉をじっと聞いていた。整った綺麗な顔だった。
「ちえみは、この後どうなっちゃうんですかね」「多分今のままだと同じことの繰り返し」
すっかり寝る準備を整え、風間先生は話しをしている。
ちえみは、先輩から呼び出されれば出て行くし、笑顔もつくるだろう。でも、重さのない恋愛を続けるむなしさに気づき始めてしまったちえみは、もう1度傷つくようなことがあれば・・・。

柵を超えてしまうかもしれない・・・。

暗い夜。屋上の柵を乗り越え、飛び降りるちえみ。
あぁ!!と飛び起きた南波先生は、夢だったことにホっとするのだった。その夜、ちえみは屋上には現れなかった。

<HRで>

ちえみが発見されなかったため、今日付けで南波先生は懲戒免職処分を受けることになった。しばらくの間、臨時の担任は風間先生だが、先生としてもあまり嬉しくはなかった。
謝罪を求められ、何で謝らないかんのですかね、と謝る必要性を認めない南波先生に、教頭は謝りなさい!と厳しく言い。
そこにちえみがやってきた。
謝る必要も、学校を辞めることもない。何も悪いことしてないといい、南波先生の首をつなげてあげたのだった。
恋愛中毒だったちえみは、穴のあいたコンドームを究極の切り札として使い、サトル先輩とは終わりにしてきたのだ。
このあたりの理屈はかなりやばい感じもするので、彼の気持ちを確かめたいの!という人にはあまりお勧めしない(笑)別れたい時には有効かもしれない。しかしこいつちょっと頭おかしいかも、もうやめとこっかな、と思われるか、うっそつけなくてもいいってこと?ラッキーと思われるか、愛してるんだから、俺はそれでいいよ!と思われるかは相手次第の危険な技であることにかわりはない(笑)

ともかく、たまには一人ぼっちの人生も楽しんでみるね、とちえみは思ったのだ。

そっか、と微笑んだ風間先生は、隣の南波先生をちらりと見て、ちえみも一歩大人になりましたね、と囁く。そうなんかな、と教室を出ていく南波先生を見送る風間先生の目は優しかった。ふふ、と笑う顔は可愛らしい。

<一人で過ごすことを覚えた風間先生>

「今夜ぐらい一人ですごすかな・・・」
と携帯を見つめながら考えていた風間先生。そう。やっぱり一人で過ごせるようにならなくてはいけないのだ。しっかりと風間先生は思った。

そこに電話がなる。
「もしもし?あ、あかねちゃん?あ、ちょとまって」
席を外し職員室の隅にくる。
「今晩?いや今晩は・・・・・・・・。全然あいてる。超あいてる。なんならうちに泊まりにきたらどう?」
一人で過ごすことはもう覚えたから、問題はないのだった(笑)

<インスタントくじとお守り>

当たった!ついに10万円があたった!南波先生はちえみが穴のあいたコンドームをお守りにするように、自分もこれをお守りにしよう!と嬉しく思ったところ。
それを取り上げられた。
借金取りだった。
はがすためにつかっていた10円も取り上げられ、10万10円の借金返済。

よかったね!南波先生(笑)!!


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