伝説の教師

第8話

<今日の風間先生のモノローグ>

「昔、黒沢明の、いきる、という映画を見て、僕は涙したことがある。しかし生きるという意味を僕らは知らない。もし、生徒にそれを尋ねられたら、僕は何も答えることができない。これは僕にとって、いや、キミカ先生にとっても、忘れられない生徒の物語。そして、ここに生きるすべを閉ざされた男が一人・・・」

<生きるすべを閉ざされた南波先生>

パチンコ屋で大当たりした南波先生。そのパチンコ屋にはあのダウンタウンのマネージャーまで来ていた。有名店かもしれない・・・!
大当たりして意気揚揚とアパートに帰ってきた南波先生は信じられない事態をみた。
アパートが取り壊されているではないか!
取り壊されてる瓦礫の中で、ご陽気な音楽がなっている。携帯だ。
『これで家賃の心配はなくなったな』
あぁ・・・!先週借金取りが言っていたのは、このことだったのか・・・!
『その分、こっちに回せる訳だ』「そういう意味だったんですかぁ・・・」『ジロウ。生きるって、大変だろう?』「ありがとうございまーす!」
ともかく瓦礫の中から荷物を拾わなくては。
これと、これと、・・・・
あぁ、南波先生。さすが南波先生・・・!拾い上げているのはカーディガンばかり・・・!
「緑がないぞ!!」

<おうちデート準備中の風間先生>

コーヒーおっけ、アロマ、あぁいい匂い!ワインOK、バラの花束はカーテンの陰に隠そう。
今日は彼女がおうちにやってくるので、風間先生はウッキウキだ。ウッキウキでとっても可愛い。自分のうちにいるからリラックスしているし、また部屋着が可愛らしい!
「人生と女は演出次第。これが俺の座右の銘」
などと悟ったようなことを言っても、顔は可愛い。しかし、口元を指先でなぞっていくのは、何か大昔のうーん、マンダムのようであまり似合ってはいないのだった。

ぴんぽーん。おぉ!今日の彼女、ミカちゃんがやってきた。きゃあ!と玄関に急ぐ風間先生。とてもウキウキだ。私の友達のミカちゃん(中居ファン)も喜んでいることだろう。
「ミカちゃん♪」と喜んでドアを開けたところ。
「来ちゃった・・・」
そこにいたのは、巨人のキャップを被った南波先生だった。

ばたん!!

しかし、再びチャイムを鳴らされた。
「なんでうち知ってんだよ!」
南波先生はともかく入れてくれとうるさいのだが、入れる訳ねぇだろ!帰れ!とドアを閉める。
でも、さらにチャイムが鳴らせれる。
「いいかげんにしてくれよ!!休みの日まであんたの顔なんか見たくないんだよ!」
怒ってドアを開けると、そこにいたのはミカちゃん。
「あれ?」「風間さん、ひどい・・・」
薄幸そうな顔のミカちゃんは今にも泣き出しそうだ。風間先生は必死にいい訳をする。そう、ミカちゃんが悪いんじゃない。今ここに変なおじさんがいたんだ!
と思ったらカープの帽子を被ったおじさんが、すかさず風間先生のスタイリッシュな部屋に侵入!
はぁ!なんてことを!
ミカちゃんに一生懸命状況説明しようとしていると、南波先生は勝手にタバコを吸っている。
「なにやってんだよ!匂いが切れるだろ!これは灰皿じゃねぇ!!何しにきたんだよ!このカープ!!」
しかもそのカープは、演出上の問題としてカーテンの陰に隠していた花束まで持ち出してるじゃないか!
「何やってんだよ!」「綺麗」「綺麗じゃねぇよ!作戦立ててたのに!」「あの。風間さん?ミカちゃん大丈夫なんですか?」
大丈夫ではなかった。
ミカちゃんの姿は、すでになかったのだ。
それにしても風間先生の部屋。室内のスタイリッシュ感に比べて、ドアの安っぽいこと!古いこと!

きぃっ!南波先生が座っているソファを蹴っ飛ばす風間先生。
「どゆこと、これ!」「えぇ、あの・・・。お久しぶりです。あの時助けていただいたおじそう様でございます」「面白いこと言ってんじゃねぇよ!」再び蹴っ飛ばす。
そこで南波先生は説明した。事情があってアパートに住めなくなったので、しばらくここでごやっかいになろうかと思っていると。理事長も担任と副担任は一心同体と言ったことだし。
「どうでしょう。この上はこれからの教育問題を朝まで酒でも飲みながら語り合うというのは。いや、教育問題はともかく、酒を出せ」
酒を出せぇ!?きぃぃーーー!!と怒り狂う風間先生に、せっせと謝る南波先生なのだった。
それにしても、このお休みの日の風間先生というのは、随分と綺麗なものだなぁと思うのだ。

<今週のオープニング>

トロフィーは壊れる。

<翌朝の風間先生たち>

風間先生の朝ご飯は、パンと牛乳。スタイリッシュなリビングでもぐもぐ、コクコクと食べてると、南波先生が起きてきた。基本は挨拶。風間先生はおはようございます、とちゃんと挨拶をするけれど、南波先生はあはようじゃない!!と怒っている。
それは風間先生が起こしてくれなかったから。そうは言っても、風間先生だってそろそろ出なきゃ遅刻なのだ。食器をそのままに出て行こうとする風間先生。南波先生は一緒に行こうや!と急いで準備にかかるのだった。
後1・2分ですよぅ?と不服げな風間先生。だって、南波先生ったら寝てたらうるさい。いびきも寝言もはぎしりも全部うるさい。そんなはずないやん!と驚く南波先生は冷蔵庫から森永LOVEを取りだし勝手に飲みだす。勝手に飲まないで下さいよ!怒る風間先生。しかしさらに南波先生は朝の準備。蛇口の下に頭を突っ込み洗い出す。
寝癖がついているから!
そして、キッチンミトンを両手にはめて頭を拭き、ドライヤーまで!しかし顔は濡れたまま!風間先生はもう学校に行きたくて行きたくてしょうがない。
なのに!今度は眉まで!眉まで描きはじめ・・・!
「喋るなや、いがむやないか。授業もあるし、キリっとしとかな」
そんな南波先生に、キリキリと胃を傷めている風間先生なのだった。

<職員会議での決定>

風間先生の学校は、6月12日が創立記念日で、保護者もやってくる発表会をやっている。そこで毎回好評なのが教師による出し物。そんな話をしている頃、ようやく二人は学校に到着。こぉっそり、後ろのドアから入ろうとしていたところ、その教師の出し物を二人にやってもらうことになったという決定がなされた。
「何で僕たちが!!」

<HRでの決定>

何すりゃいいんだよ・・・。という気持ちでHRにやってきた風間先生たち。生徒たちはすでに二人が出し物をすることになったことを知っていた。真剣に考えないとなぁ〜・・・と、ふと見ると!
「うわお!この靴下!僕のじゃないですか!!」
南波先生の足元には、しっかりと風間先生の靴下が!
「ばれた?」「なんで僕の、うわ!!このシャツ!僕のじゃないですか!なんで勝手に!」「いやいやいや。共同生活してるから、それも共同でいいのかなって。それにあれやで?おまえも俺のカーディガン着れるんやで?」「きるかこんなもん!そんなおじさんくさい、ダっサい・・・」「まてや!誰がおっさんや!ゆーても36・7やぞ!?おっさんくさいなんてこと(カーディガンを匂って)あったがな」
このやり取りに受けた生徒たちから漫才やったらいいじゃん、と言われ、おぉ!とその気になる南波先生。しかしスタイリッシュに生きる男、風間先生はそんなことやるつもりはなかった。漫才なんて、低俗な関西ノリのもの!
差別的な発言が続いたな!?とカチンとくる南波先生だが、風間先生は理路整然としていた。すぐに漫才なんかできるという関西人がいるけど、本当にできるのか?と。大体、風間先生は南波先生のことを面白いと思ったことなんて1度もない。
しかしそれは南波先生が風間先生を笑わせようとしたことが一度もないから。
「物まねとかできます?」「一番得意や。できへんものがあらへんがな」「えー、いきますよ。赤川次郎」「・・・・・・。できるかぁ!!赤川次郎!この間を見て欲しかった」「うわーー!!こわこわこわっ!」
それを踏まえ、風間先生はデュエットをやろうと言いきった。
生徒たちはえぇーーー!!と抵抗するが、俺が歌うんだぞ!?と風間先生は強気だ。
しかし決を採ると漫才が大多数を占めた。

盛り上がるクラス。
しかしその中に、一人、デュエットにも、漫才にも、手を上げなかった生徒がいた。
第1回から、ちらちらと姿を見せていたほっそい女の子だ。
「おい!おまえなんやさっきからしらーとした顔して!」
前から気になっていた南波先生は文句を言う。人が何を言ってても屁理屈じじいが何ゆってるって顔して!と怒鳴ると、風間先生は小さな声で慌てて、あいつは体が弱いんです・・・!と止める。
が、彼女は出ていってしまい、なおも激昂する南波先生。風間先生は、おそらく今までもそのようにその場限りの言葉で場を収めてきたのだろう。漫才やりますから!と言ってしまった。
「やるってゆったな?はっきりゆうたな?漫才やろ!」「いや、ちょっとまった・・・・」

<漫才をレクチャー>

「ぼけとつっこみ?なんやそれ」「はははははは!!」
風間先生はおかしくてしかたがないみたいに笑った。漫才をやると言ったくせに、南波先生は漫才の基礎知識である、ぼけとつっこみを知らなかったのだ。風間先生はぼけとつっこみという役割分担をしないといけないのだと教えてやった。
「だから言ったのに・・・。結局勢いだったんだ・・・」
こんな状況で漫才をしなきゃいけないなんて、俺って不幸。風間先生は、ぼけとつっこみについて更なるレクチャーを続けた。
ぼけの非常識な発言を、常識的なつっこみが訂正するという形態が・・・といったところで、「常識・・・?」と南波先生の目の色が不穏になる。
いや、そういうことでは・・・!と落ちつかせようとする風間先生。が。
「解った。俺、つっこみするわ」「逆じゃないですか!?」「おまえは非常識や!ぼけやれ!ぼけ!」

<南波コレクション>

疲れてうちに帰ってきた風間先生。
「うわ!!うわうわうわ!!なにこれ!ちょちょちょ、何!?」
あのスタイリッシュの部屋が!!風間先生の憩いの場が!
男おいどん(古すぎる)の部屋のように!壁には、たくさんのカーディガンがかけられている!
「何このカーディガン!」「南波コレクションやないか!」「ふざけんなよ!!」
それ以外にも、自転車が家の中にある。それも、きったないママちゃり。バクられるかい!こんなもん!という代物だ。
きぃーー!!と怒る風間先生。そんな風間先生に南波先生は言う。
「そんなことより風間ちゃん。誉めて誉めて。ええのんできたで?」「はい。ぼつ」
漫才の台本を考えていたのだった。
最初の挨拶は、「南波ちゃんでーす!」「風間ちゃんでーす!」「二人合わせてナンバーズでーす!」
南波先生だからナンバーズなのだ。自分勝手と言われたって、それでいく。それが南波先生だ。
そしてそれ以降の台本には、南波先生のつっこみしか書かれていない。ぼけ役の風間先生がぼけたらつっこまなくてはいけないのに!
しかし、とりあえず一つやってみる。
「風間ちゃんは教師になってなかったらなんになりたかったの?」「パイロットですかね」「なんでやねん!」
・・・・・・・・・・・。
「僕、ぼけてないじゃないですか!!」
最初から難しい応用問題をやってしまったか・・・。反省した風間先生。簡単なぼけからやってみせることにした。
「風間ちゃんは教師になってなかったらなんになりたかったの?」「スチュワーデスかなぁ」「・・・うん」
つっこまない南波先生にスチュワーデスっておかしいでしょう!?と詰め寄る風間先生。「あぁ、そうか。女の職業やもんな」「今ぼけたでしょう?」「そういうことか!」
解った!という南波先生と、もう一度同じところを練習したら、それはもう、長すぎてしかも面白くないつっこみともいえないことしかやらないのだ。「どないやねん!」でいいのに!
長大なつっこみというのは、相当おもしろくないていけない。それはもう相当!!シャーペンゆーたらシャンデリアペンダントの略であり、シャンデリアペンダントとは、についてかなり面白いことを長く言えないといけないように!
「全っ然!噛み合わない!!あたたたたた・・・!」
風間先生の胃が、またキリキリと痛み始める。病院行った方がええんちゃうか?と南波先生も言うのだが、その南波先生が原因なのだから盗人猛々しいの一種だろう(笑)

<検査中の風間先生>

不安一杯の顔でうぃーーんと台にのったまま動かされている風間先生。助けて・・・という目で操作している人を見ているが、残念ながら検査している人は石仏。助けては貰えなかった。
検査もいやだか、検査結果を待つ間もいやなものだ。風間先生は、手を握り、じっと検査結果を待っている。その儚げな風情は、子を持つ母なら、いや、いつか母になるはずの女なら誰でも、どぉしたの?と聞きたくなるものだったが、そういう人たちは風間先生の側を通過しなかったようだ。一人、風間先生に目を止めたのは、担任クラスのほっそい白い女の子だけだった。
そして、もう我慢しきれなくなった風間先生。いいから検査結果を言え!と診察室に乗り込むと、そこは空。あら?とキョロキョロしていると、あの学校の患者さん、もう手遅れってことですね、と言う看護婦の声が聞こえてきた。もって後半年・・・!
うちの学校!!
てことは俺!!!!

「神経性胃炎ですね」「・・・・・今なんつった・・・?正直に言えよ」「いや、だから・・・」「何動揺してんだよ!ほのめかしてんじゃねぇよ!正直に言えよ!おいっ!!」

<帰ってきた南波先生>

伝説のぉ〜♪ご陽気に帰ってきた南波先生は、暗闇の中座っている風間先生を見つけて、死ぬほど驚いた。暗闇の中、ぺたん、と座っている風間先生は、もって後3日、とい風情がたまらない。
「なんやおまえ!電気もつけんと!」
南波先生は、今日は面白い漫才のヒントを見つけたとウキウキだ。
「実は僕、ガンなんです」
風間先生は衝撃の告白をした。
「後、半年くらいの命らしくて・・・」「・・・そうか・・・いきゃ、なんかな。もしかしたらそうなんちゃうかなって・・・・。それはそれとして、漫才の練習しよか」「人の命を何だと思ってるんですか!」「くよくよしてもしょうがないやないか」「ひどぉい!あんたひどいよ!ひどすぎる!!」
うっ、と口元を押さえ、泣きながら去る風間先生。
電気を消していくあたりが、まだ冷静だ!風間先生!!

<勘違いだった風間先生>

ガン!?キヌカ先生(永作先生やめました)は驚いて風間先生が貰ったという薬を見る。「僕、どうしたらよろしんでしょうか・・・」すっかりぐったり来てる風間先生の声を聞きながら、キヌカ先生は笑った。風間先生が処方されていた薬は、ただの胃薬だったのだ。それも軽めの。しかも、ガンなんてその場の検査で解る訳がないのだ。解る訳ないのにすぐ手術されてえらいことになった事件があったが。
ガンじゃないんですか!胃薬!大喜びの風間先生は、あぶねーー!!と笑顔になる。思いっきりな笑顔に。でも、うちの学校の名前が出たのは間違いがない。
それを聞いて、キヌカ先生は、拾った薬の袋をそっと取り出す。2Dの川村ユウリが落としたのが同じ病院の薬で、入っていたのは痛み止めだったのだ。

<漫才練習中の風間先生たち>

その頃、ユウリとキヌカ先生はえらいことになっていたのだが、そんなことまるで知らない二人はノンキに漫才の練習をしていた。
風間先生は、ナンバーズというコンビ名に疑問を感じていたので、いい名前を考えていた。南波の南と、風間の風をとって、「お笑い南風」!
「南波ちゃんでーす!」「風間ちゃんでーす!」「「お笑い南風でーす」」
その上、南風のポーズまで考えた。
風間先生は、ガンじゃないことが判明したため、病的にテンションが高かった。もう何を聞いても何も見ても面白い。
「スチュワーデス」「なんでやねん!」
というだけで、転げまわって笑う。南波先生も、どんどんテンション上がってきた。なんだかいける!これでいけるんじゃあ!!
二人のテンションは上がっていたが、南波先生のたばこが切れてしまったのだ。
風間先生は、そんなのこれで買ってきなよぅ〜!と500円を渡す。しかも釣りはいらない!!あぁ、風間先生のテンションは天井知らずであがっていく!
出掛けにも、スチュワーデス、なんでやねん!を繰り返し、もう、風間先生は倒れてしまう。もう、胸にどん!ときて、どん!!と(笑)これはいけるな・・・!とご満悦だ。

<エレベーター借金取り>

こっちもご満悦な南波先生。500円〜♪とエレベータが開くのを待っていた。そして開いたエレベータ。中には借金取り。
「漫才やるんだってなぁ」「相変わらずお耳が早いですね・・・」
500円は取り上げられた。そして残りの借金は、創立記念日に借金取りを笑わせることができたらほんの少しだけ待ってやってもいいと言われたのだ。
ふふふふ・・・・、不敵に笑いながらエレベータを降りた借金取りは、「おめえら、ぼけとつっこみ、逆じゃねぇのか?」と天の声を残して去っていった。

呆然と部屋に帰った南波先生。ぼけとつっこみを逆にしようと言い出し、風間先生はとても驚いた。
「なんでそゆこと言うかなぁ!テンションさがるなぁーー!!!」

<病院の風間先生たち>

二人がそんなことをしていた時、キヌカ先生とユウリは真剣にえらいことになっていた。後半年の命のユウリがキヌカ先生の車を奪って逃走。トラックに正面衝突しようとチキンランしたのだが、自ら仕掛けたゲームに、自ら負けてハンドルを切り、わき道に乗り上げてしまい、病院に運ばれていたのだ。
駆け付けた風間先生は、おまえの気持ち解るぞ、と言った。何せ彼も半日とはいえ、後半年の命だと思っていたのだから。何もかもどうでもいいやって思った、という風間先生に、車運転してみたかっただけだよ、とユウリは言う。
「だって、あたし、車の運転もできずに死ぬんだよ?あたしまだ17だよ?色々経験したいのに!」「なぁユウリ。先生ができることがあったらなんでも・・・」「じゃあセックスして」「ん?」「ねぇ、セックスしてよ。なんでも・してくれるんでしょ?あたし、処女のまま死ぬなんてやだよ。結婚もしたいし、子供も生みたかった。出来ないこと言わないでよ。勝手なこと言わないでよ。あたしはこのまま灰になるだけなんだよ?空に消えていくだけなんだよ?意味なんてないんだよ!」
キヌカ先生は、そんなことないという。キヌカ先生には弟がいて、病気で死んだけど、でも、ちゃんと自分の中に生きているって。
でも、ユウリは他人の心に残ってどうなるの?とバカにするのだ。「あたしはちっとも嬉しくないよ」

キヌカ先生はまたまたショックを受けた。キヌカ先生がショックを受けない週は果たしてあるのか!大丈夫かキヌカ先生!キヌカ先生がインターンの時、弟が病気になって、弟はターミナルケアを望んでいたけども、どうしてもキヌカ先生は治してあげたくて弟の心まで考えてはやれなかった。弟がどんなに苦しんでも一日でも多く生き延びさせてやることに必死だったのだ。
弟は、点滴止めて、もう死なせてよ、なんて言葉を残し、苦痛にゆがんだ顔で死んだ。ホントは笑って死なせてやりたかったのに・・・。
だから、医者を辞めてカウンセラーになったけれど、やっぱり同じ。自分の中で生きているなんて、そんなこと何もできなかった自分へのいい訳でしかない。「私は、誰も救えない・・・」

「なんかおまえらの話聞いてたらイライラしてきた。救えるとか救われへんとか、おまえらそんな偉い人間なんか。他人をそんな簡単に救える訳ないやないか。灰になるっておまえは詩人か。そんなな、不幸背負ったような顔みてたら腹たってくる」
明日死んでしまうかもしれんって頭抱えてる動物はいない。生き物は死ぬために産まれてくる。次の肥しになるために産まれてくるだけだ。
でも人間は灰になるから基本的には肥やしにはならないのだ。風間先生は聞いた。
「それじゃあ聞きますが、あなたはなんのために産まれてきたんですか?なんか意味があるはずでしょう?答えてください。僕たち人間はなんのために生きてるんですか!」
「・・・笑うためや」
「は!?」
「せや。笑うためや。人間に許された唯一の特権は笑うことや。笑いながら生きることが人間としての証なんや」
車の暴走しようが、セックスしようが勝手だが、笑いながらやらなければ意味Hなんかない。
「記念祭には絶対来いや!俺がおまえのこと笑わしたら!眉間に皺よせて苦しみながら死にたかったら勝手にせぇ!笑いながら死ぬか、笑わんまま死ぬか。おまえが決めたらええ」

そして南波先生は身を翻した。追いかける風間先生は、口からあんなでまかせいってどうするつもりですか!と責めるが、おまえはなんかゆうてやれたんか、と静かに言い返された。
「何が灰になるよや、何が空に帰るや・・・」
「その時、南波先生の目じりに涙がにじんだように見えた。おそらく、南波先生が自分の損得考えなく、生徒を救ってやりたいと思ったのは、これが初めてだったかもしれない。僕もこの時、ほんとにちゃんとユウリを笑わせてやりたいと思った。笑ったことのないあの少女を命がけで笑わせてやりたいと」
・・・しかし最初の方の回で、ユウリは微笑むくらいのことはしてたかもよ(笑)

<真剣に練習中の風間先生たち>

モノローグの時に流れたこの時の映像がまたよろしかった。なんと可愛いか、風間先生!練習中から寝ている姿まで、何もかもが可愛かった。

<創立記念日当日>

生徒たちの集合具合を見ていた風間先生たち。ユウリもやってきた。
「さぁ、それでは気合いれていきましょうか」「そうねぇ!」

<21世紀を担うコンテンポラリー演芸>

二人おそろいの赤いカーディガンで登場。お笑い南風のネタは、快調にスタートした。
暑いねー、から始まって夏の思い出についてのネタ。夏祭り。夏と言えば夏祭り。
「色々出店がありますが、りんごあめ!」「りんごあめ!あれはうまいよ、とくにうまいところが棒のところね!」「割り箸じゃねぇだろ!!」
「夏祭りといえば、金魚すくい!」「僕はこれでよくすくいましたよ。金魚のふん!」
風間先生、途中噛んだりしながらも、がんばった。
「夏祭りといえば、射的!」「これは言わして。僕は射的は得意!射的屋のおっさん倒して家に連れて帰ったことあるからね!」

さらに、夏といえば海ネタへ。
「これは言うこと言うね」「海も色々思い出ありますね。ボードもサーフィン、海水浴。スキューバ!」「これは女性の死亡率ナンバー1!」「子宮ガンでしょ!!それいっちゃダメでしょ!」「子宮ガンダイビング!」
最初、とんでもない、という顔をしていた理事長たちも笑いはじめる。
が、ユウリはまだ笑わない。
「ごめん、風間ちゃん。やったことないよの」「経験あるんですよ。教えましょうか?」「これは嬉しいな」「まずウェットスーツ着ちゃってください」「きついねん」「ブラジャーつけてどうするんですか!!」
勢いがつきすぎ、南波先生のつばもぺっぺぺっぺと風間先生の顔に飛ぶ。
「ボンベ背負って!赤ちゃんじゃないですから!」「噛まないでぇぇぇ!!!これちょとはずかしい(笑)」「僕らが吸うんです!ボンベは吸いません!」「これはうまいよーー!」

そして二人は海に入った。
「やっぱり海は気持ちええな!」「喋れないでしょ!「喋ったらあかんのか!」喋りたい、つまり上に上がりたいときは親指を上にするのだ。
そして上に上がり。
「伝説のぉ〜、教師ぃ〜♪」「今、歌うために戻ってきたんですか!!」
次の合図はパニくった時の合図。顔の横で、手をひらひらされるのがその合図だ。
と、すぐさま南波先生がパニくった。
なんだ!と上がったら。
「ブラが外れた!」「つけてないでしょ!!ブラは!」

そしてついにユウリが笑った。

「このソーセージなんですが、海中でかざすと魚ががーっと!」「餌付けすることができる!」
風間先生がソーセージをかざすと、そこに南波先生が!
「おまえが食ってどうすんだよ!飯くってこいよ!パニくるな!!」

風間先生は、最後の合図を教えた。危険なものがあったら、×印。これが重要だ。
すると、すぐさま危険なものを南波先生が発見した。
「危険危険!!人食い!人食い昆布!!」「食うわけないだろ!!」

「こうして僕らの漫才は幕を閉じた」

ユウリは公園のブランコに乗りながら、あの二人、イマイチだったね、と微笑んだ。でも嬉しかった、というユウリを見て、キヌカ先生は、伝説の教師・・・とつぶやくのだ。
「ね、先生、どっちが高く上がれるか競争しない?」「よーし、いくぞー!」

「その後、ユウリは笑って毎日を過ごした。前向きとかそんな理屈ではなく、ただ高校生らしく笑って生きた。そして半年後、彼女は死んだ。そしてぼくらは相変わらず何も変らない毎日をすごしている。一つ変わったのは、通学路に、公園を通るようになったことだ」
ユウリ・・・。ほろり・・・・・・・

「あぁ!このネクタイ!これ僕のネクタイじゃないですか!?」「借りたんやけど・・・。謝りついでに」「この靴下!僕のデート用の靴下じゃないですか!」さらに「うら!僕のパンツ!!これまではくことないじゃないですか!ま、そのパンツ洗ってないですけどね」「え!?え!?」「いやいや別にいいんじゃないんですか。一心同体なんですから」

そういえば借金取りは笑ってくれたんだろうか・・・!


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