エンジン 第8話

05/06/06

あぁ、次郎ちゃん。
なんて可愛い次郎ちゃん。

☆タイヤ運び次郎ちゃん。
風の丘ホームが閉まることになってしまった・・・、ということを思い出しつつタイヤを運んでる次郎ちゃん。
メカニックの制服の上を脱いで、自分もリフトに乗ってどこぞにタイヤを積み上げていくんですな。
あーーー、腕ーーーと腕のストレッチなんぞをしながらガレージに戻っていくと、石垣くんが。
石垣「先輩ってすごいっすね」
次「何いきなり言ってんの?」
石垣「俺、正直言って先輩にメカニックなんて地味な仕事、勤まらないって思ってました」
次「やってらんねーよ!!」
石垣くん、ぎょっ!
次「て?」
にこ、と微笑む次郎ちゃん。
石垣「やっぱ。・・・辛いじゃないすか」
次「あ、そっか。そもそもお前もドライバー志望だったんだもんな」
石垣「俺なんて、結構荒れてましたからね」
次「ほんとに毎回違う女いってたもんな」
石垣「あれは、先輩の真似しただでけですよー」
次「そうなの?」
おっ?とガレージの外の気配を感じる次郎ちゃん。
石垣「けど監督、一体何考えてんだろ」
次「えっ?」
石垣「このままずっと先輩にメカニックやらせるつもりかな」
次「(にやり)意外と何も考えてないかもよ、あの海坊主監督」
石垣「いーや、海坊主は海坊主なりになにか考えてるでしょ、さすがに」
監督「(背後から登場)海坊主で悪かったな」
石垣「うお!!すみません!」
次「俺は言えねーな(笑)」

☆監督ルームの次郎ちゃん。
監督「少しは慣れたようだな」
監督の車椅子を押していた次郎ちゃんは、タイヤの運び方解ったくらいですよ、なーんてことをな。
監督「久しぶりに飯でも食うか。今後のとこについて、ゆっくり話をしたい」
それを聞いて、喜ぶでもなく、わりとじっとしている次郎ちゃん。そして暗い表情の岡本綾。
次「はい。ぜひ」
監督「明日のオフは、俺も空く筈だから、うちにこないか」
次「はい。・・・あ、監督、監督。明日なんですけど、俺、ちょっと無理なんですよ」
監督「なんか予定があるのか」
次「えぇ・・・。せっかくなんですけど、ちょっと。すみません」
監督「しかたないな。また声かけるよ」
次「はい」
車椅子で去っていく監督に、すみませんでした!とお詫びの次郎ちゃん。しかし、岡本綾は不機嫌。
岡本「プライベートの用なの」
次「うん、ちょっと」
岡本「ずらすことはできないの?監督がせっかく言ってくれてるのに」
イスの背にちょん、と座る次郎ちゃん。
次「悪いんだけど、無理」
そうして次郎ちゃんは行っちゃったんだけども、人の気もしらないで、って言われて、すすすーーっと戻ってきました。
次「んっ?」
汗くさい?と自分の体を匂って。
次「何怒ってんの?」
色々とやってあげてんですけどね、次郎ちゃんからの感謝がどうにも薄いんですねぇ・・・。

★その頃の元一郎先生。
風の丘ホームは、明日で閉鎖になります。なんで、子供らも、先生たちも、お片づけで大変。元一郎先生も、お気に入りのトモミ先生とお別れ・・・。
なので、連絡してもいいですか?と大変お行儀よく訪ねたりなんかして。
風の丘ホームで一緒に働いたものとして話がしたいんです、なんてことをゆったら、人の言葉を額面通りに受け取ることで有名なトモミ先生は素直に「はい♪」言いますよね。
元「もう一息ですね、がんばりましょ!」
でも、元一郎先生は、未だかつてない勢いで軽やかに階段を駆け上がってしまうのです・・・!可愛い・・・!なんて可愛い人なの!元一郎先生!!

☆帰ってきた次郎ちゃん。
そんなところに帰ってきた次郎ちゃんは、結構、かなり、不機嫌。
トモミ先生「明日、よろしくお願いします」
次「え?」
え?って、忘れたんですか!?ときゃーー!となるトモミ先生。
次「明日なんか来ないほーがいいの」
トモミ先生「ちょっと」
次「あいつらのことさー、よそに送り届けるために運転手引き受けた訳じゃねぇし」
トモミ先生「でも、園長が決めたことですし」
次「そもそも俺が運転したいのは、ぼろバスじゃなくてフォーミュラーカーだっつーの。なんで次郎なんて呼び捨てにされなきゃいけねーの」
頭にカバンをひっかけて不機嫌に階段を登る次郎ちゃん。子供だ・・・!

☆最後の晩御飯ですよ、次郎ちゃん。
食堂でみんなでご飯を食べるのも、今日が最後。いやーん、ってなってる次郎ちゃん。パパや、元一郎先生がお話します。
元「園長先生からお話いただこう」
パパ「みんな今までほんとにありがとう。最後の日は楽しくやりましょう。歌でも歌うか」
はーー・・・ってなっちゃう次郎ちゃんだけども、子供たちは普通でいいよ、と。
レイコさんもそう思って、おかずも普通に。でもちょっと違うのは、今日はレイコさんも一緒にご飯食べます。
え、うそ!!と盛り上がる子供たち&次郎ちゃん。
急いでイスを出そうとする次郎ちゃんは、まんまとシュウヘイに先を越されました。レイコさんに関しては、いつだって先を越される次郎ちゃんですねぇ。
で、いただきます挨拶については、パパと元一郎先生が譲り合ってました。
パパ「その声で。そのいい声で」
元「園長もなかなかいい声で」
次「(パン!と手をあわせて)いただきます!」
子供たち「いただきます!」
遠慮されてもとにかく何度かおすすめする、という日本の美しい伝統を知らない次郎ちゃんは、もしかしたら外国人かもしれませんね。えっ!と驚愕の元一郎先生(笑)
そんな外国人次郎ちゃんは、目玉焼きの一番美味い食い方教えてやろっか!と、じゅるっ!と上から一気にすいあげてしまいます!こ、子供!!
子供ら大ウケ!
次「コレが俺は一番好き。未成年には無理!」
わいわいと賑やかな晩御飯となりました。
パパ「(ナナエに)これさっきずずっってやった人いたねー、ダメよー?」
次「レイコさんのハンバーグ美味い人ー!はいー!・・・俺だけかよ!!」
そんな楽しい夜だったのに・・・。

☆翌日の次郎ちゃん。
子供らの行く施設と、そこに行く子供らの名前が入ったポストイットを、バスの窓に貼っていってる次郎ちゃん。4つの施設に子供らは分かれていきます。ちょっと不思議な割り振りになってますけどね。最後の二人は、残り3つの施設に割り振ってくれてもよかったんちゃうんかなぁ、とか。
一番小さいナナエをのぞき、子供らが乗り込み、トモミ先生ばかりか元一郎先生もバスに乗ります。
次「行くぞ、いいかーーー。・・・・・・・出発ーー・・・」
子供らはもちろんしょぼんですし。先生も黙り気味ですし。まったく元気のないバスの車内。
最初についた施設には、ダイスケ、シュウヘイ、もっちゃん、アキラが入ります。4人は、元一郎先生、トモミ先生に付き添われてバスを折り、次郎ちゃんは、ポストイットをはがしてはふーーんな感じ。だったのですが。
アオイ「じろーー、これ・・・」
もっちゃんがマヨネーズを忘れておる!
次「あのばかちん・・・」

☆泣かせる・・・パート1
先生たちが出てくるところで入れ違いに入っていく次郎ちゃん。
もっちゃん「じろーーー」
次「おぉ、忘れんな」
もっちゃん「さよならー」
次「なんだよ改まって。大食いすんなよ」
マヨネーズを投げ渡し、わかったな、っていつもの、半眼の顔をしたんだけども、もっちゃんがやらない。
アキラ「じろー、もうれーさーだってうそつくなよ?」
次「あいたたたた!おめぇこそ、大法螺ふくんじゃねぇぞ。ダイスケ!挨拶ねぇなぁ!」
ダイスケは頭をさげて。
ダイスケ「さよなら」
次「なんだ、その他人行儀な。シュウヘイ」
ちょっと来い、と指先で呼ぶ次郎ちゃん。
次「さてここで問題です。バスの運転手さんは、いつも帽子を被ってます。どうしてでしょうか」
シュウヘイ「・・・」
次「解んない♪」
シュウヘイ「教えてください」
次「じゃ、今度な」
シュウヘイ「今度はありません。今日でお別れですから」
次「今度っつったら今度なんだよ!!」
ちゅーってやってから憎たらしい顔して出ていく次郎ちゃん。外したポストイットをハンドルに貼って、それをはがして、くしゃっ!と。
・・・したんだけども、ポケットにいれるんですね・・・。
その頃、施設の中のシュウヘイは、それは無謀(帽)運転しないためですよ、と答えを知っていることを表明していたりなんかして。
天才子役たちが、じわじわと私を泣かしにかかっている・・・!

☆泣かせる・・・パート2
バックミラーを見ると、5人減ったためにがらんと感じが目立つ車内・・・。次に降りるのはアオイとお兄ちゃん。
ここで、元一郎先生ともお別れです。
アオイ「じろうをよろしくね」
トモミ先生「え?」
アオイ「かれ、こどもみたいだから、トモミせんせいみたいにまじめなひとがついてないと、なにするかわかんないでしょ?」
なんだとーーーー???となる元一郎先生がいい!!
トモミ先生「・・・!?次郎お兄さんと先生・・・」
次「こらこらこら!なにマジに困ってんの!!」
あ、そっか、となるトモミ先生。
次「アオイ」
アオイ「なにー?」
次「おまえ、浮気すんなよー」
アオイ「やーよ。わたしたちはもうおわったのよ。ここできっぱりわかれましょ」
次「おまえ、そんなセリフどこで覚えてくるんだよ」
アオイ「おたがい、あたらしいみちをあゆみましょうね♪」
次「かっくいぃ」
と、元一郎先生が運転席の外に。窓をノック。えいえい!と無理やりあけようとしてるのを、中から乱暴に開ける次郎ちゃん。
元「あなたとは、これでお別れになりますね」
次「あぁ・・・、あ、そうかも知れないっすね」
元「一度、ゆっくりお話してみたかったですね」
次「・・・そうなの?」
元「僕は、子供との付き合いのにつねに経験を優先させてきました。だけどあなたはそんなことおかまいなしに子供たちの中に土足でふみこんでいく」
次「土足」
元「その土足を、子供たちが多少なりとも喜んでいたのは認めざるを得ない。それがなんだったのか、知りたかったものですから。では」
最後まで冷静で落ち着いている元一郎先生♪
ふっと笑った次郎ちゃんは、3人を見送り、3人はまだ残る仲間たちに手を振るのです。
アオイ・・・!かっちょいいぜ、いつだって・・・!
ここのポストイットも外し、またぽっけへ。
そんで、しんみり目の次郎ちゃんですが、その次郎ちゃんを寂しいんじゃないのーー?とからかうのは、さすが女子!女子チーム!でございました。

☆泣かせる・・・パート3
ここで、女子3人が降ります。女子の下から3人が降ります。最初のとこにシュンタがいてもいいし、ここにミサエがいてもいいと思うんですが、なかなかそうもいかんようです。えらい遠いところに最後の二人はいくようです。
バスの中には、次郎ちゃんとシュンタだけ。
次「シュンタ、便所は」
シュンタ「・・・」
次「・・・俺行ってこよ」
そして、女子たちがわいわいしている施設の中に。入り口すぐのとこにバックがおいてけぼりになってましたんで、それを持っていってあげます。
女子たちにとっては大事な荷物ですからね。えぇ。
にこにこしながら、水飲んでる次郎ちゃんの背中に手を出すハルミ。
ハルミ「ありがとう、次郎」
次「ん?」
振り向くけども、手は出さない。
ハルミ「どしたの」
次「だから、手ぇ濡れてるっての」
ハルミ「テレてる(笑)」
次「テレてねぇ」
ハルミ「はは!ウブなんだから。ほらほら!」
明るく手を出され、ささっと手を拭いて握手。
次郎「俺、高校生にウブって言われてる・・・」
ハルミ「はい。トモミ先生。ありがとう。色々わがままいってごめんね」
トモミ先生「こちらこそ。ありがとう」
ハルミ「なんかトモミ先生にありがとうなんて言われると、泣けるな」
トモミ先生「なおちゃんも、ありがとう」
ナオ「トモミ先生も元気でね」
トモミ先生「ユキエちゃん。(手を出すトモミ先生)がんっばってね」
しかし、花粉症ちゃんことユキエは、もう泣く寸前。マジで泣き出す5秒前(←死タイトル)
トモミ先生「いいよ、無理しないで」
ぬいぐるみをぎゅーーーっとして、マジで泣き出す5秒前のユキエですが・・・!
ミサエ「じゃー、あたしバスに戻ってる。みんな元気でね」
はぁっ!!とマジで泣き出す1秒前になっちゃったユキエ。
トモミ先生「ユキエちゃん?」
次「ミサエ!!」
ミサエ「いい!・・・甘やかしたらダメなんだってば。今日から別々に暮らすんだもん。・・・泣かないって約束したじゃん、もー・・・」
そうだから、って、ぐぐっ!とガマンしてるユキエ。そんなユキエの前に立つ次郎ちゃん。
次「妹はもう卒業しろって」
ユキエ「卒業・・・?」
ミサエを見るユキエ。ぐっとこらえて。
ユキエ「・・・解った」
そして、ぬいぐるみを次郎ちゃんに差し出します。俺?って次郎ちゃんでしたが。
ユキエ「違うよ、ミサエちゃんにあげて?」
そのぬいぐるみをもって、じゃあな、とユキエの前を離れる次郎ちゃん。途中、有名になる前に握手してもらっていっすか、と、ナオと握手。
そして、出口のとこに突っ立ってたミサエにぬいぐるみをどん!と渡し、次郎ちゃんは出ていきました。
ミサエ「大事にするよ」
ミサエちゃん・・・!ユキエ・・・!そしてバスには子供が二人。ミサエはシュンタの隣に移動しました。もうバスには4人だけ。

☆泣かせる・・・パート4
最後の施設に到着。はーー・・・・・・・って次郎ちゃん。最後のポストイットをはがして、後ろを見て、はい、終点でーす。
トモミ先生「私、挨拶してきます」
シュンタ「どしたのじろー、きげんわるいのー?」
次「疲れたの」
トモミ先生「シュンタくん・・・」
シュンタは、ちっちゃいので結構無邪気で、次郎ちゃんはそれがまた辛い。3人がバスを降り、最後のポストイットを外して、ぐしゃっとして、ポッケに。ポッケの中には、ぐしゃっとなった4枚のポストイット。
なんだこれ、ってぽいっとダッシュボードのとこに投げて、ラジオをいれたけども、なんの受信もなし。
ばん!ってとめて。
次「ボロだなー・・・」
ぼけーーとまってると、荷物を取りに二人が戻ってきました。
シュンタ「じゃあねー、じろー」
次「あぁ・・・」
シュンタ「じろー」
次「おぅ」
シュンタ「ばいばいー」
次「ばいばーい」
シュンタ「あしたもくるー?」
次「・・・明日はこねんじゃねぇかな」
シュンタ「ふーん・・・。じゃあこんどいつくるー?」
次「だからそれは」
ミサエ「シュンタ!行くよ」
シュンタ「どーしてー?」
ミサエ「いいから」
じーっとしている次郎ちゃん。先生も後ろが心配そうにしながら降りてゆきますー。
たった一人残ってしまった次郎ちゃん。振り向けば、だーれもいないバス。ラジオをもう一度かけてみても、雑音ばっかり。
次「はーー・・・。だよねーー・・・」
トモミ先生が戻ってきて、バスに乗り、バスの扉をしめて、助手席に。
トモミ先生「今日はお疲れ様でした」
次「お疲れ。・・・あそっか。先生とも、これでさよならか」
トモミ先生「・・・ですね」
次「送ってこうか」
トモミ先生「大丈夫です。どこか近くの駅で下ろしてください」
次「おけぃ。・・・最後だから言うけど。意外だった」
トモミ先生「何がですか?」
次「いや先生のことだから、今日大泣きツアーになるのかと思ってさ」
トモミ先生「・・・今日は、別れの日じゃなくて、出発の日ですから」
次「ふーん・・・。成長したじゃん。あ(いやいやって手でやって)あなたに言われたくありませーん!でしょ?」
トモミ先生「いいえ」
次「え?」
トモミ先生「確かに、これまでのあたしは、あまりにもダメダメでしたから。いつだって、泣きたいのは子供たちの方なのに、平気で目の前でめそめそ泣いたりして、ほんとにバカもいいとこでした。気づくのが遅かったですけど」
次「そうなの?」
トモミ先生「いつもそうなんです。ぎりぎりにならないと大事なことが解らないんです。迷って迷って、駅にたどりついて、汗びっしょになって、必死に階段かけあがって終電に飛び乗るって感じで」
次「・・・。でも乗れたんでしょ?じゃ、いいじゃん。始発だろうが、最終だろうが。乗れたんだったら目的地にはつくでしょ」
ふっと、片側の頬で笑って、バスは出発です。
が、ふと、トモミ先生がサイドミラーを見てみると!
トモミ先生「あ!!」
シュンタが走っておっかけてきてます!えっ!と止まろうとした次郎ちゃんですが、後ろの車にクラクション鳴らされて!ぐっ!と帽子を深く被り、見ないようにしていこうとするんですよ!
おぉ!次郎ちゃん!
トモミ先生「停めないんですか?」
次「だってしょうがねぇじゃん!」
なおも走っているシュンタ!追いかけるミサエ!後ろを気にするトモミ先生に、ついに立ち止まってしまうシュンタ・・・。
バックミラーに映る二人を、帽子を深く被ってみないようにガマンしてる次郎ちゃん・・・。
が、シュンタは再び走り出し。
シュンタ「まって!じろーー!じろーーー!!じろーーー!!!」
もうどうなってもかまうもんかぁーーー!!!ぎゅっ!って車を停めた次郎ちゃん。いっそいで降りていきます。
シュンタは、じろーーじろーーー!!言いながら走ってきてますよ。もーー、ガマンできるか!と帽子のつばでなおも顔を隠すしかない次郎ちゃん。
シュンタ「じろーーー」
次「何回も呼ぶな。犬じゃねんかよ」
シュンタ「じろーー」
次「なんだよ」
シュンタ「どうしてちゃんとこたえてくれないの?」
次「なにを」
シュンタ「こんど、いつくるの?ってきいたのに」
あぁ、もう、次郎ちゃん泣いてる!泣いてる次郎ちゃん、大好物!!
次「ごめんな、解んねぇからさ、次、いつ行けるか」
軽くシュンタをだっこ。
次「答えられねーよ。ごめんごめん。シュンタごめんな?」
後ろ向きにシュンタをだっこして、ぶいーんと振り回す次郎ちゃん。
次「ごめんな」
うえーんてなってる次郎ちゃん!大っっ!!好物!!
シュンタ「もっかい!もーいっかい!」
泣きかけで言うシュンタに、もーー、ダメ!!としゃがんで泣いちゃう次郎ちゃん。あぁーー、これまた大好物だ!!ご飯3膳いける!
シュンタ「もういっかい!もういっかい!」
ミサエ「泣かないの」
シュンタ「もういっかい!」
シュンタを反対に向かせて、連れていこうとするミサエ。
次「なんでだよ!」
ミサエ「え?」
次「なんで泣いちゃいけねんだよ」
ミサエ「だって、泣いたって、しかたないし・・・」
次「おめえらガキだろ!いい年こいてさ、泣いてる俺はカッコ悪ぃけどさぁ、おめーらガキだろ!だったら泣きたい時に泣いたってかまわねぇじゃないかよ!・・・哀しかったらその分泣いたっていいだろ!なぁ、シュンタ」
ミサエ「やめてよ。止まらなくなるだけだから」
次「どーしておまえ、そうやって物分りよくなるんだよ。なんでそんな急いで大人になりたがんだよ!」
ミサエ「だって泣いたってしょうがないじゃん!泣いたらまたみんなと一緒に暮らせるの?またみんなと一緒いられんの!?違うでしょ!?泣いたってどうにもならないじゃん!・・・泣いたって、どうにもならないじゃ!!」
うえーん!なミサエ。頭ぐしゃぐしゃってして、ぎゅっ!と抱き寄せる次郎ちゃん。シュンタもだっこだ!
次「せんせー」
トモミ先生「はい・・・」
次「まだ遅くないよね。まだ間に合うよねぇ。・・・最終のバス」

☆やってやるぜ、次郎ちゃん。
風の丘ホームにたった一人で帰ってきた次郎ちゃん。
パパ「おぅ、ご苦労さん」
パパは名札を磨いてました。
次「親父、ほんとにこれでよかったの」
パパ「・・・なんだよいきなり」
次「ここ閉めて、あいつらのことバラバラに放り出して、ほんとにそれでよかったのか、ってきいてんの」
姉「いまさら何言ってんのよ、お父さんが、考えに考えて出した答えなのよ?」
次「・・・ほんとに考えた?ほんとに、ほんとに考えたのかよ!」
姉「よしなさい」
署名までされて出ていけといわれ、地主からは借地料を4倍にするといわれ、そうすると、元一郎先生や、トモミ先生に出す給料も用意できないし、もう生活がなりたたなくなるんですよ。
姉「どーしようもないのよ!」
次郎ちゃんが握ってた手の中には、ぐしゃぐしゃっとされたポストイットが。
次「俺、解んねぇよ」
そのポストイットを置いて、部屋を出ていく次郎ちゃん。そのポストイットに書かれた子供の名前を見ている、パパ・・・。

☆マシンの前の次郎ちゃん。
これがどこなのか、ということを考えておるのですが。
都内の一之瀬レーシングなのか、富士スピードウェイなのか。どうやってトモミ先生がバスを追いかけてここまでやってきたのか。気になります。
ま、次郎ちゃんは、マシンの前にじーーっと座ってるんですね。そしてトモミ先生登場。
次「先生・・・」
トモミ先生「すみません。こんなところまで。どうしても今日言っときたくて。さっき答えられなかったですけど、私も、遅くないと思います。なんていうか・・・。私も、乗せてください。最終のバスに」

ナナエはそのまま養うんかなー思ってましたら、ナナエも別の施設にいくってことでなー。あそこも泣いたなー。天才子役たちの波状攻撃・・・。卑怯なり・・・っ!