2009/3/14

『細野真宏のよくわかる日本の金融・経済』

聞いてきました!細野真宏さんの講演会!
元々、なんでこうもお金のことが解らないかね、と思ってた時に、この人の本がとても面白くて、また、自分で描いてるっていうイラストが可愛くて、よかったんですよねー。
でも、そもそも、予備校の数学の先生ですから、セミナーとかをすることはなさそうだなって思ってました。
なのに、まったくの偶然で地元で講演会があることを知って、ひゃっほー!電話で予約して、当日訳のわからない強風の中、でかけてきました。

登場した細野さんは、華奢!ってイメージ。中でも、手!細い指、長い指が好きな人にはたまらない手!ほっそい!なっがい!その手でペンを持ってホワイトボードに色々書くんですが、その長い指で、だけでも美味しいのに、さらに左利き!なんか、あっちもこっちも抑えやがってぇぇ!と、無意味に興奮したダメな私でした(笑)

そんな私はダメですが、講演はまったくダメじゃありません。講演をするのはどれくらいぶりか思い出すのも大変だという出不精の細野さんの講演内容をちらっとご紹介〜。

●テーマ1『日本の借金の現状・・・約800兆円』
国のお金が足りなくなると国債を発行しますが、これは、利子をつけて返さないといけないものなので、借金となります。これが(これだけかどうかはしらんのですが)800兆円。この額は先進国一ひどい金額。
800兆の借金がどのくらい利子を産んでいるかと言うと。なんと!
1分で約3000万円!1時間で約20億円!

●テーマ2『そもそも国が「破綻」するとは?』
国の借金800兆円。
マスコミの論調はすでに日本は破綻しているなどと言われますが、それは実際どうなんでしょう?それには、実際に破綻した国と比較してみればいいわけです。1998年、ロシアが財政破綻。その時のロシアは、足りないお金を手に入れため、国債を発行していました。そろそろロシアの経済やばいんじゃないの?と言われていた時期、3ヶ月もの国債を買ってもらうためには、高い金利が必要でした。金利10%でも買ってもらえないとなるとどんどん金利を上げるしかありません。なんと最終的に金利172%!3ヶ月で172%の金利!1万円の国債を買うと3ヶ月後には17200になるってことか?いや、27200円か?
しかし、それでもロシアの国債は売れなくて、資金が回らずついに破綻したそうです。
このように国債を買うか買わない、その結果、お金が回るか回らないかはマーケットが決めます。金利がどうか、その国は大丈夫かなどを複合的に考えて。危ない国だと、金利を上げなきゃ買ってもらえない。では、すでに破綻していると言われる日本の国債、一般的な十年定期国債の金利は今いくらか。
1.数%だそうです。このくらいの金利なら、破綻しているとは言いづらい状態です。

●テーマ3『日本の構造的な問題・・・少子高齢化』
少子高齢化が進むスピード、日本が世界一。先進国一ではなく、世界一。ただ、こちらの項目は、ちょっと後からということになり、時間切れになりました。

●テーマ4『「大増税時代」は近い将来に訪れる?消費税は、将来、何パーセントまで上がる?』
なんとなく、消費税を上げないといけないんだろうなぁ、というイメージはありますが、実際どのくらいまで上がるのか。上げなきゃいけないのか、ということについて。
基準となる時点を2025年とします。団塊の世代が75歳くらいになるあたり。この時点で9〜10%になってないと回らないようです。
この頃と、今の、年金、医療、介護にかかるであろう費用負担がどのくらい増えているかといいますと。

こういっちゃなんですが、介護の大変さに比べれば年金なんてかわいいもんだそうです。ただ、年金に関しては99%以上の人が誤解をしているし、マスコミも誤解しているし、制度に対する根強い不信があるのが大変なところ。
それはそれとして、1.4倍の年金に関しては、消費税1%アップでカバー可能。医療・介護を、今と同じサービス度合でカバーするには、3〜4%の消費税が必要になるので、9〜10%に消費税を増やさないといけないだろうと。
これ、今と同じ水準というのは、介護の仕事は給料が低いまま。少子高齢化が進まない前提での話です。

●テーマ5『消費税が上がると本当に景気が悪くなるのか?』
消費税が上がると、必ず景気は悪くなる、というのは本当でしょうか。確かに個人消費は落ちます。でも、経済は、お金が回ることですから、別に個人が使わなくても、会社が使っても国が使ってもいい。
日本の個人が保有している金融資産は、総計1400兆円(金融資産なので、土地などの不動産は含まない)。生まれたばっかりの赤ちゃんでも、1400万くらいある計算になる。・・・・なるのか?140万か?桁が大きすぎて計算できない。いや、ともかく!私にはそんなお金はないけども、あるところには決してお金がない訳じゃないのに将来が不安なのは、年金、医療、介護がどうなってるか心配だから。
もし、消費税が上がった分が、全部年金、医療、介護に使われますという確約があれば、今支払った税金は、将来返ってくる。安心して老後を迎えられるとなれば、初めて資産を持ってる人が手持ちのお金を使えるようになります。
消費税が上がった分は、全部そこに使う、という前提があって、実際に、あ、楽になった、という実感があれば、たとえ消費税が上がったとしても、景気が悪くなるとは言えないのではないか。
ちなみに、消費税1%で何ができるか。
→今、65〜69歳の人が病院の窓口で負担している医療費は3割。これを1割にするには、0.3%で可能。
→現役世代の人の医療費も、現在3割負担。これを2割負担にするには、0.7%で可能。
合計1%でこれだけのことができます。消費税が6%になったけど、医療費の負担が減った、となれば実感ができるのでは。
また、世界には消費税20%超えの国がありますが、そういうところは、軽減税率というのがあって、食品は低い税率にするなどの違いがあるそうです。
消費税は10%だけど、食品は5%にすると、トータル9%くらいになるそうですが、そうすると、負担する税率はあれこれ買うお金持ちの方が増えまして、意外と弱者に優しいものになるということでした。
お金には色がないですから、消費税が増えた分を800兆円返すのに使うとなるとまた大変ですが、1400兆円を動かすためには、将来への安心が絶対的に必要となりますので、そこらは政府に口出ししていかなきゃいけないようです。

●テーマ6『未納が増えると本当に年金は破綻するのか?』
これについては、細野さんも所属している社会保障国民会議ってとこで、去年の5月、破綻しないという証明がされたそうです。でも、去年の5月ですから、それまでは、断言できない状況で、日経新聞の社説で、未納が増えると年金が破綻するということが書かれていたようで、それに対して日経新聞たった一人の年金担当の方に細野さんが説明をされました。
年金未納者4割、という風に言われてますが、そうすると払わなきゃいけない人のうち、4割が払ってない、というイメージになりますが、みんな払わなきゃいけない国民年金しか払わない人、のうち4割、だそうです。会社勤めの人、公務員の人などは、国民年金+厚生年金、共済年金など払っていて、しかも給料天引きですからここは未納のしようがない(会社が払ってないとかいうのは論外ですよ)。自営業の人、学生の人のうちの4割で、全体からすると5%くらい。全体の5%をもっと払うか、払わないかで、4%になったり6%になったりってことなので、全体への影響は低い。
年金は、仕送り方式で、昔だと、実家の親にしていた仕送りを、代わって政府がやるというイメージ。自分でやらなくてもいい人もおりましょう。私なんて私なんて絶対できない!現在は、年金のうち2/3が私たちが納めたもの。1/3が税金。これが、来年度?もう次の4月?からは、半分が税金に変わります。この1/3から1/2になることで必要な税金は、年間2.3兆円。消費税1%が大体2.5兆円。本当は、今から消費税を上げてないと間に合わないですが、そこらは、いわゆる埋蔵金で数年やっていくようです。
そうしますと、年金を払ってない人も消費税なんかは払ってる訳です。そして受け取る年金の半分は税金なのに、未納のままだと、一円も年金はもらえない。払えるのに払ってない人は別にいいですけど、ほんとにお金がなくて払えないんですって人は、申請などして、調整しとかないとまずいです。
こういう知識が知られてないのが色々と問題ありますね。

●テーマ7『そもそも年金が「破綻する」とは?』
厚生年金を払っている人だと、今生まれた赤ちゃんであっても払ったお金の2.3倍くらいもらえるという計算だそうです。税金が半分入るし、年金は会社も負担してくれてるから。
国民年金でも、今生まれた赤ちゃん基準で1.7倍。
でも、将来のことは誰にも解りません。何を基準に計算して、この数値なのか。よく、国の試算は甘いと言われてますが。

●テーマ8『国の年金試算は本当にアマイのか?』
年金の計算をするための重要な数字は出生率と、実質経済成長率。こういうものは100年先くらいまでを見越して計算するそうです。
出生率は、これまででの最低の数字、1.26。2005年の出生率です。2006年は1.32、2007年は1.34、微増してますが、とりあえず最低の数字をチョイス。
実質経済成長率は、0.8%で計算。ほとんど増えない、という前提です。
年金は、おさめたお金をすぐさま使うというわけではなく、年金積立金というのがあります。今は少子高齢化が進んで、払う人より受け取る人が増えてきてますが、昔は逆で、払う人は多いけど、受け取る人は少なかったですから、その頃の余ったお金が200兆円ほどあります。これを7割は国債、残りを安定的な株式やら、債権やらで運用しつつ100年くらいかけて切り崩していく予定。この200兆円の実質運用利回りを3.1%で計算。
それは多くね!?今どき利回り3.1%って多くね!?と思われますが、なんですか、実質経済成長を0.8と決めますと、自動的に、実質長期金利見通しって決まるもんなんですって。そうすると2.7%ってなるんですって。でも0.4%足りないじゃんってなるんですが、これは分散投資効果でいけるようです。どっかがへこんでも、どっかが上がるという。
めちゃめちゃ甘い数字ではやってないようです。

●テーマ9『世界経済はこのまま世界恐慌に?今、世界経済で何が起こっているのか?』
100年に一度の大不況というキャッチーなフレーズもあり、1920年代のアメリカ発大恐慌がやってくる!という不安がありますが、あの頃と今とは世界の状況が大きく違ってます。世界恐慌の時のアメリカの失業率25%現在は1桁台。また失業保険などもない時代でした。あの大恐慌の時に、政府はこのように動くべきだということをケインズが発表して、それが採用されて、立て直しができたというようなことだそうです。
さらに、日本のバブルでの失敗を世界は参考にしているので、このまま世界恐慌になるというのは考えにくいとのことでした。

●質疑応答
とはいえ、消費税が3%から5%になった時に景気が悪くなったじゃないか、という意見もあります。しかし、あの頃は、今と同じような経済状態だったんですって。もう忘れてますね、昔のことなんて。世界的にそもそも景気が悪い時だった、という周囲の状況を含めての景気なので、消費税が上がったことだけが原因で景気が悪くなった、とは言えない、・・・というようなお話でした。よく解ってない(笑)

細かい話は、「未納が増えると年金が破綻すると誰が言った」を読まないといけないかと思いますが、ちょっとでも安心できるシナリオがあるとありがたいなーと思ったり。
でも、医療、介護は大変かーー。とりあえず元気でいないといかんなと思ったりとか。

それはそれとして、社会保障国民会議のHP(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyoukokuminkaigi/)の、年金が破綻しないというシミュレーションを見てみたんですが、さっぱり解りません。
この解らないからほっとくというのが問題。
NHKで、出社が楽しい経済学っていう番組をやってるんですが、それで、価格差別というのをたまたま見たんです。
http://www.nhk.or.jp/shussya/word/07.html
これ、なんでクーポン券はあんなちっぽけなのか、というような話だったんですけど、あのちっぽけなクーポンを切って、ちゃんと持ち歩いてでも使う!という人には安い価格を出しますよ、という価格差別なんですって。携帯電話の、あの複雑な料金体系。あれを読み解いてでも安く使いたい!という人には、よくがんばった!と安い料金を提供すると。
だから、解らないからいいやー、っていうくらいのぼーっとした人は、あの人ぼーっとしてるから少々高くても払うよ、と判断される訳です。
年金が本当に心配だ!って人は、社会保障国民会議などのHPを見て、理解できるまで読み込まないといけないってことですね。そうじゃない人は、本当は、たいして心配じゃない、と判断されるのかも。

なーるほーどねー。勉強が必要な訳だ。色々と勉強になった週末でした。

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