華麗なる一族

07/02/18

第6話

<昭和43年1月2日の鉄平しゃん>

元旦から何ゆーてんねん、というアメリカからの連絡。契約書もあるんだから、今からシカゴに行って!って鉄平しゃんだけども、もう行ってもムダなんです。
ベアリング社は吸収合併されてしまったのです!
正月早々。

<昭和43年1月4日の鉄平しゃん>

神戸の街で、車を降りて新聞買いに行く鉄平しゃん。
阪神特殊製鋼の株価は、250円から150円に下落しちゃってます。道を渡りつつ新聞を見ている鉄平しゃん。途中で立ち止まってますが、その奥からは車が!
ひかれちゃうよ?ひかれちゃうよ!
鉄平しゃんはこの後阪神銀行に行かねばなりません。このままでは高炉建設が頓挫してしまうんで、気まずい〜〜・・・お父さんと顔合わせしないといけないのです。
阪神銀行ではうつむきがちな鉄平しゃん。
しょぼーんと頭取室へ。
鉄「このような事態になってしまい、大変申し訳ありません」
大「これだけの大事ならまっさきにお前が私に報告すべきだろう。私とお前にどのようなことがあったにせよ、ビジネスの話は別だ。追加融資の件は、しばらく考えさしてもらう」
ぷくっとした唇だわ〜。鉄平しゃんの唇、ぷくっ♪

<港の鉄平しゃん>

三雲頭取が来てくれてます。
三「頭取はなんとおっしゃってるんですか」
鉄「役員の独断といっていますが・・・」
三「鉄平くん」
鉄「はい」
三「私が一度、万俵頭取とお話してみてもよろしいでしょうか」
鉄「・・・」
三「君の会社とメインバンクの関係悪化は、協調融資をする我々としては不安ですし、大同銀行の反対派に追加融資を納得させるためにもメインの融資は必要不可欠です。よろしいですね?」
鉄「・・・はい。お願いいたします」
ぽんと腕を叩いていく三雲頭取。

『この三雲頭取と父の会談から、僕と父の悲劇は一気に加速したのだった』

会談中、気持悪い映像がまじったことをお詫びしますって感じですね(笑)赤い怪獣ちゃん見たら泣くわ!いわしくんも泣くかも。私もやですがな〜!

<本宅に呼ばれた鉄平しゃん>

鉄「芥川常務を解雇したんですか」
大「大川先生の件に対する私なりのお詫びのつもりだ。二人には本当に辛い思いをさせた。すまなかった。これから大川先生の分も鉄平を支援するつもりだ。20億の追加融資もきめた」
鉄平しゃん、びっくり。
大「親子のわだかまりは水に流してほしい」
え、え??きょっとーん。
早「・・・鉄平さん」
鉄平しゃん、ちら、とお父さん見て。
鉄「お父さんにそこまでおっしゃっていただけるとは・・・」
目がきょときょと泳ぎますねー。
鉄「僕も少し、感情的になりすぎたのかもしれません」
寧「よかった・・・!これで仲直りというわけですよね?今日お食事を用意しました。一緒に召し上がっていってください。どうぞ」
早「すみませんお母様」
珍しくウキウキしているお母さん。でも鉄平しゃんは、おどおど。
お父さんに自分を追い抜かせて、その背中を見ています。んーー??ってなってる。小動物チック。

<通帳に2000000000の数字を見る鉄平しゃん>

あぁ〜、見てみたい〜。
という数字ですが。
工場内を歩いておりますと、銭高が車でやってきます。
銭「専務ー!」
鉄「どうしました」
銭「専務、阪神銀行から20億の追加融資、入金されました!」
鉄「ほんとですか?」
銭「ほんとですとも。見てください、通帳です」
そこには、2000000000って丸が続いてるんでしょねー。でも、ん???ってなってる鉄平しゃん。
四「どうしたんですか?専務」
鉄「いや、そんなに入金が早いなんて・・・」
四「よかったじゃないですか!」
でもなんかおかしい、なんかおかしい、な鉄平しゃんなのです。

<東京の鉄平しゃん>

1月11日。大同銀行に鉄平しゃんはおりました。
そこでは、20億の追加融資があったことを報告し、その席で、大同銀行からも20億の追加融資を2日後に入金してもらえる約束をとりつけました。
続いて、恵慈大学病院にやってきた鉄平しゃん。女将のお見舞いですが、手土産は聖って紙袋。・・・って生八つ橋?まさか?
しかし、生八つ橋だとすれば、そんなもん食べてる場合じゃなさそうです。
鉄「具合は?」
芙佐子、首を横に。
鉄「そっか・・・」
寝ていた女将さん、鉄平しゃんがきたことでちょっと起きて。
鉄「起こしちゃったみたいですみません、女将さん」
しかし、女将さんの場所からは、逆光の鉄平しゃん、顔が見えません。
女将「敬介、さん・・・?敬介さん?どして・・・?どうして、敬介さん?」
芙「お母さん、お母さん!」
もちろんよくみると、それはちゃんと鉄平しゃん。
女将「ごめんなさい、鉄平さん・・・」
鉄「いや、いいんですよ、そんな気にしなくても」
おどおどおかみさん。
女将「あんまり、似てたから・・・」
・・・あぁ、ってなる鉄平しゃん。涙ぐむ女将さん。本気でやせてるーーー?すごー!
廊下に出て、芙佐子と話す鉄平しゃん。
鉄「女将さん、そんなによくないんだ」
芙「うん。このごろ、どんどん弱くなってきちゃって」
鉄「先生はなんて」
芙「手術を勧められてるんだけど、もしかするともう長くないかもしれない」
鉄「・・・な。僕にできることがあったら、何でも、頼ってくれないか。な?ふっこ」
芙「・・・そんなに優しくしないで、てっちゃん」
鉄平しゃんは、じっと芙佐子を見つめてましたが。
鉄「・・・そいじゃ」
帰るしかないですからね。見送るふっこです。

<食堂でお昼ご飯の鉄平しゃん>

今日も二子が来てます。もちろん四々彦も一緒です。
お見合い話がうるさい!と逃げてきていた二子と四々彦の話は盛り上がっておるようですが、鉄平しゃんそれどころでなーし。
もくもくとラーメン食べてます。
どうもおかしい。どうもおかしい。
四「いいですよね、専務」
もぐもぐ・・・
二「鉄平お兄様。どうかしたの?
鉄「っ?あぁごめん。いや、・・・うちの父親が追加融資に応じてくれたのが、信じられなくて」
四「子供の会社が苦しい時に、父親が助けるのは当たり前じゃないですか。ねぇ」
そこに銭高登場。
鉄「どうしました」
銭「専務。大川先生が亡くなって、最も恐れていたことがおこりました」
鉄「・・・」
シーンとする食堂。出て行く鉄平しゃん。

<帝国製鉄の鉄平しゃん>

鉄「どういうことなんです!当社に潰れろとでもおっしゃるんですか!」
帝国「銑鉄供給は6月で更新しないと言ってるだけです」
しかし、高炉の完成は10月。6月で銑鉄がとまったら3ヶ月製品が作れません。
帝国「3ヶ月分の銑鉄くらいなんとできないようでしたら、企業として問題ですよ」
銭「しかたありません、専務。第一製鋼に相談してみましょう」
帝国「ムダだと思いますよ。あちらも6月一杯で銑鉄の供給を止めるそうですから」
きぃぃぃーーー、腹立つわーーーー!
会社に戻ってきても、銭高もあわあわですよ。
銭「このままではうちは潰れます。どうしたらいいんですか、専務!銑鉄供給が止まればらうちは潰れるんですよ!」
鉄「夢は潰さない」
銭「いや、でも!」
高炉をみる鉄平しゃん。
鉄「夢は潰さない」

<夜、ばったばたする鉄平しゃん>

夜、技術開発研究所に向かう鉄平しゃん。その途中、笑ってる沖中士たちを見ます。そっちを見てたらまんまと因縁をつけられますが(笑)、鉄平しゃんその空気はまったく気にしない。
ささーーーっ!と近寄っていって、なんややるんかい!となってる両手をぎゅっと握ったら、いたたたーー!達人なのか!鉄平しゃん!
鉄「あ、ごめんごめん!高炉現場の作業員を増員したいんだけど、ツテないかな。作業員もっと増やしたいんだ」
ゲ「そないに言われても畑違いやし、今は一番人手不足や」
鉄「そうか・・・」
ゲ「なんや、そんな困ってるのか」
困ってるんだなー、ってなってると。
四「専務!大変です!船上作業員が一名、海に流されました!」
鉄「それで!」
四「まだ見つかってません!」
ちきしょ!な感じで自らジープを運転してやってくる鉄平しゃん。阪神特殊製鋼、なんでもかんでも鉄平しゃんに言いすぎですよ(笑)!

ぎゅぎゅーーーっとジープを運転して海っぺりにやってくる鉄平しゃん。
鉄「どうなってるんだ!」
どこにいるのかが見えません。一生懸命探す一同。ついにおぶおぶなっちゃってる作業員発見。
鉄「いた!いたぞ!」
うわーーっと上着脱いで飛び込んでいこうとする鉄平しゃん。
四「専務!やめてください!危険です!」
鉄「鉄よりは安全だよ!」
ダーーイブ!
ゲ「なんちゅうやつやー!」
水の中の鉄平しゃん、すーてきねーー♪♪
髪の毛、さっらさら♪
そして、さっらさら鉄平しゃん、無事におぼれてる人を救出。中途半端なとこに沈んでましたんで、このままいくと、タイタニックみたいに沈んでいったんでしょう。タイタニック見たことないですけど、人なのに沈んでいったっていいますからね。
そして、蘇生させるのも鉄平しゃん。だから、阪神特殊製鋼、鉄平しゃんに頼りすぎ(笑)!
その鉄平しゃんのお力で無事蘇生したところで、救急車呼んで病院へ!ずたぼろ鉄平しゃんも運んであげて欲しいところです。

その頃、万樹子は赤ちゃんできました♪報告を銀平にしてましたが、やさぐれ銀平は子供なんていらんのです。
銀平、やさぐれの上にマザコンで、ついでにブラコンでもありますか?

<お着替え済みの鉄平しゃん>

社員「専務、ゲンさんがお礼をというのでお連れしました」
鉄「ゲンさん?あ」
とっくりのニットー。可愛いー。なんか呼び名違ってますかー。可愛いー。
ゲンさん、ちゃんと喋ろうとしてまんまと失敗(笑)
鉄「似合わないよ(笑)、えっと、ゲンさん」
ゲ「へへへへ!お礼に一杯おごるわ!飲みいこ!」
鉄「嬉しいけど、今から人集めにいかないと」
ゲ「今から?そんな困ってんのか」
鉄「いや、6月中に高炉を完成させないと」
ゲ「6月中に高炉を・・・?アホか!そんなことできる訳ないやろ!無理や!」
鉄「できる!人員を増やして昼夜二交代制の突貫体制をとれば。できる」
きっぱし!言う鉄平しゃん。
ゲ「そうか。ほな、がんばりや、若!」
鉄「???若?」
自分を指差す鉄平しゃん。
ゲ「いや、いや」
鉄「それじゃ。あ、お酒、期待してますよ」
ゲ「へへへへ!」
若鉄平しゃん、人集めへGO!

<人集め中の鉄平しゃん>

10人でも20人でも、とお願いしてる鉄平しゃん。子供が出来たといわれて、あーん、んもーーぅ、とふらふら歩く銀平。
担当「一般作業員が、ね、すべて万博工事で取られてまったく集まらんのですわ。うちもね、お宅の突貫工事助けたい気持ちありますよ」
鉄「お願いします!」
担当「いやすいません、ほんますいません」
銀「突貫工事?」
道におっても聞こえるってどんなオープンな事務所ですか(笑)!
鉄平しゃんが出てきたら、銀平が。
銀「突貫工事って」
鉄「銀平。また飲んでるのか」
銀「兄さん、銑鉄の供給が止まるまでに高炉を完成させるつもりなんですか」
鉄「あぁ」
銀「ははは・・・!」
鉄「どうしたんだ」
銀「どうして兄さんはそんな風に生きられるんですか。お父さんに歯向かったと思ったらら、今度は、帝国製鉄と。相手が強すぎますよ」
鉄「どんなに強い相手でも、わずかでも望みがあるうちは諦めるつもりはない。それよりおまえどうするんだ。このまま、お父さんたちの言う通りに生きて」
銀「よしてくださいよ。僕は兄さんみたいに強くない」
鉄「落ち着いたら、今度ゆっくり飲もう」
大丈夫か?と銀平を気遣い、またまた人探しに向かう鉄平しゃんでしたー。

<その間に色々>

鉄平しゃんたちが人を集めてる間に、20億の追加融資は一時返金されてて、そのまま再入金されなくなっていました。
しかし、鉄平しゃんが突貫工事を考えてるってことで、鉄平しゃんは、阪神銀行のアキレス腱に!
銀「これでお父さんのアキレス腱は兄さんになったってことですよ。6月までに高炉を完成できなければお父さんの勝ちです。もし完成したら、大同も手に入らない上に、将来有望な阪神特殊製鋼を系列にかかえる阪神銀行は、上位行から格好の標的と見なされて一気に飲み込まれます。お父さんの負けです」
二子のお見合い話もすすんでますーー。

<まだまだ人探してる鉄平しゃん>

特殊作業員は集まったんだけども、一般作業員が見つかりません。
もう10人だもダメとか言われてますが、諦めずにどんどん当たっていきます。
さらに、突貫工事開始の日程も近づいてきてます。
3人でも4人でもいいんですよ!って一之瀬工場長手をついてのお願いだけども、ない袖はふれずーー。

<ちょっと頑張った銀平>

頭取室に呼ばれた銀平。
銀「お父さんは兄さんに負けます」
大「何をいってるんだ」
銀「今のお父さんには信念がない。阪神特殊製鋼を潰そうと考えた時から、企業を育てるという銀行家としての信念をなくしてしまった」
大「私には阪神銀行を守るという大儀がある」
銀「お父さんは大儀の名の元で策謀を巡らせてるだけじゃないですか。でも兄さんがはいつだって、技術者としての理想と経営者としての信念を持って行動しています。お父さん、それに人がついてくるんですよ。おじいさんのように。たとえ今回は勝てたとしても今のままのお父さんじゃ、いつかきっと兄さんに負ける日がきます」
大「そう思っているのか」
銀「おじいさんがよく言っていたじゃないですか。理想と新年を持つ人間が、策謀だけの人間に負けるはずがないと」
大「じいさんの話はもういい」
銀「失礼します」
鉄平しゃんたちは、まだまだ探し中ですーー。

<突貫工事開始日の鉄平しゃん>

3月1日、突貫工事の開始日がおとずれました。
しかし、特殊作業員100人では突貫工事には入れません。もう作業員を帰そうって人たちに抵抗する鉄平しゃん。
鉄「もう少しだけ待って下さい。銭高さん。一つだけ可能性のある業者が残ってるんです」
ブツブツと祈ってる鉄平しゃんですが、遠藤建設では人員の確保はできなかったそうです。
あぁ〜・・・。もうお引取り願うしかしょうがないのか!
しかし鉄平しゃん諦めません。
一人歩きだす鉄平しゃんにはなんか聞こえてます。
私の耳にはデスペラードが聞こえております。
ラジオで、この曲は本当の愛があるときに流れるとゆっていたので、曲が流れると自動的にスイッチが入りますね。愛ね!愛が溢れてくるのね!と(笑)
その音の方にむかって走る鉄平しゃん。やってくる大勢の作業員。
鉄平しゃん手がアタックチャーンス!
大事な大事な、アタックチャーーンス!
ゲ「若ー!連れて来たでー!」
うるうる鉄平しゃん。

鉄「当社はこれより、突貫工事に突入する」
にこー!

<つづく>