華麗なる一族

07/02/25

第7話

<高炉建設現場、近辺の鉄平しゃん>

昭和43年4月、突貫工事開始から2ヶ月。
作業は順調に進んでおります。鉄平しゃんはサングラスしとります。それを外したのは、銀平を見つけたから。
鉄「銀平」
銀「仕事で近くに寄ったもんだから。これが兄さんの夢か。すごいや。近くでみると壮観ですね」
鉄「ありがと。あ、時間あるか?」
銀「はい」
鉄「昼飯でもどうだ」
銀「いいですよ」
銀平、色しろっ!

<食堂の鉄平しゃん>

鉄平しゃんが飯行く、とゆったらここざんす。食堂ざんす。高炉について熱く語る鉄平しゃん。
鉄「高炉ってのは一度火を入れたら365日一度も火を落とすことができないものだから、だから、特別な瓦を内側に張りつめて。・・・何だよ」
銀「兄さんは鉄の話してる時はほんと楽しそうですね」
鉄「悪かったな・・・」
銀「もっと聞かせて下さいよ(笑)」
ふくれる鉄平しゃん。
鉄「いいよ、どうせ笑うんだろ」
か、可愛いやつめ!!
その可愛い鉄平しゃんのところに、ゲンさんが。
ゲ「若!どっからか助っ人ひっぱってきたのか、それとも金策か」
鉄「バカ言ってんじゃないよ。俺の弟」
ゲ「えー、弟さん。それは失礼しました。全然似てへんな」
銀平、色白ちゃんだから。後、眉ぎゅーん!上がってるから(笑)
ゲ「弟さんやったらもっとええとこ見せんとな。今日も若のおごりやで!」
一気に盛り上がる食堂。今日はなしな、な鉄平しゃん。
ゲ「そんなセコイこと言うたら兄貴のメンツ丸潰れやで」
鉄「よーしゲンさん。勝負だ勝負」
銀「兄さんっ」
慌てて止めに入る銀平ですが、勝負はじゃんけん。
ゲ「じゃんけん、おもろいやないか」
鉄「ここんとこずうっと払わされてるから」
最初は、ぐーであいこ。
次は何っ?と銀平に目で聞く鉄平しゃん。え、え、となりながら、ちょき?な銀平。そのちょきで勝って嬉しい!鉄平しゃん。銀平も楽しそう♪
鉄「ゲンさん、ごちそうさん!いこう」
ひゃひゃっと出ていく鉄平しゃんは、食堂のおばちゃんに、自分につけといてって。
でもそれをゆっちゃうおばちゃんです。関西ですから(←思い込み)
ゲ「若のおごりや、おおきに」
それに、どぉもぉ、って表情で返事をする鉄平しゃんもよかったにゃーーーん!

<食堂を出た万俵兄弟>

銀「なんでもできる兄さんが、ずっと羨ましかった。どうしてこうも違うんだと。いつも自分が歯がゆかったですよ」
鉄「・・・でも僕は逆に銀平のことが羨ましかったよ。なにかにつけて、父さんは銀平のことばかり気にしてた」
銀「出来が悪いからですよ。だからお父さんは僕ばかり気にかけるんです。それが僕には重荷なんですよ」
鉄「・・・」
立ち止まる銀平。
銀「兄さん」
鉄「ん?」
銀「高炉建設、必ず成功させてくださいね」
鉄「あぁ」
にこ、と微笑む鉄平しゃんでした。

『この時の僕はまだ知らなかった。この突貫工事の成否が、今後の阪神銀行と大同銀行の運命を左右することを』

<おうちの鉄平しゃん>

昭和43年5月。高炉完成まで1ヵ月半。
おうちで、太郎の顔を弄ってるパパ鉄平しゃん。
早苗も幸せそうー。
早「食事の準備ができましたよ。太郎、手を洗ってらっしゃい?」
太「はい!」
テーブルにやってくる鉄平しゃんは、日曜日のパパではありえないーー。腕時計までしているー。
早「久しぶりですね。日曜日にあなたがうちにいるなんて」
鉄「やっと工事が軌道に乗ったからね」
そこに芙佐子から電話が。あぁん・・・と変わろうとする早苗。
芙「いえ、お伝えいただくだけで結構なんです。実は、女将が一時こん睡状態になって、今は持ち直しているのですが、どうしても鉄平さんにお会いしたいと申しておりまして・・・」

<病院にやってきた鉄平しゃん>

女将「急に無理言ってごめんなさい」
鉄「いえ」
女将「鉄平さんの顔見れただけで元気になれたわ」
鉄「よかったです。(じーっと見られてるので)・・・何か」
女将「大介さんとは、うまくいってますか?」
鉄「え?」
女将「あなたが銀行よりも鉄作りの道を選んだことを、敬介さんが亡くなる前に心配してたんです。いつか、親子で衝突する日が来るんじゃないかって」
鉄「祖父が?・・・えっ?」
座る鉄平しゃん
鉄「どういう意味です?」
女将「いえ・・・、なんでもないならそれでいいんです」
鉄「確かに父は僕に厳しいところもありますが、高炉建設が頓挫しかかった時は融資もして助けてくれました」
女将「そう・・・!よかった」
やれやれと寝る女将さん。

<病院のお庭にいる鉄平しゃん>

芙「女将ね?今度手術受けるんだけど、もう助からないかもしれないって。あたし、ボランティアでいろんな国回ってた時は一人でも生きていけるってそう思ってたけど、女将がいなくなるって思ったら一人が怖くなって。・・・てっちゃん、昔言ってたよね」
鉄「ん?」
芙「せっかく生まれて来たからには、誰かを幸せに出来る仕事がしたいって。僕の作る鉄でそれができたらいいって」
鉄「言ったっけ、そんなこと」
芙「言ったよー?それを言い訳に私をほったらかしで研究室にこもってばかりいた」
鉄「そっか・・・」
ベンチに座る芙佐子。
芙「去年のお正月、てっちゃんが家族と泊ってた志摩のホテルにどうして私がいたのか聞かれたことあったよね」
鉄「あぁ・・・」
隣に座る鉄平しゃん。
芙「ほんと言うと、心のどこかで、会えること期待してたの。一目見て、奥さんと幸せそうにしてるの見たら、私の思いに区切りをつけられるって思ってた。でも、てっちゃんと何度も会ううちに、やっぱり、あたし・・・」
目をつぶって聞いてる鉄平しゃん。そして開けて言うのですわー。
鉄「ごめんふっこ」
鉄平しゃんを見る芙佐子。
鉄「僕は父のようには生きられない」
芙佐子を見て、じゃあ、と立ち上がり去っていく鉄平しゃん・・・。

<建設現場の鉄平しゃん>

43年6月。完成まで後1ヶ月
三「とうとう鉄平くんの夢がかないますね」
鉄「僕は仲間に恵まれました。ほんとに感謝してます。後1つ朗報があるんです。GMに移ったロジャース氏から連絡がありまして、当社製品の大量購入の打診がありました」
三「ほんとですか。念願のアメリカ進出も復活ですね」
鉄「はい」
四々彦「専務ー、取材の方が到着しました」
鉄「どうも」
走ってやってくる取材陣って意気込みすぎだろ(笑)!
取材「さっそくですが専務、写真を一枚お願いします」
ゲンさんもやってきます。
取材「専務と頭取で握手をしていただけますか」
握手する二人。
ゲ「「若!もうちょっとにっこりせんと!男前が台無しやで」
鉄「あ、そうだ、みんなも」
ゲ「我々もええのかいな」
取材「どうぞどうぞ」
わーーって集まってくる工員一同。
ゲ「高炉完成まであとすこしや、みんながんばるでー!」
はいチーズ!パシャ!楽しそうな写真のできあがりー。

<実家の鉄平しゃん>

鉄「おじゃまします」
その前、結納のことでごたごたしてましたが、相子やや形勢不利な状況で鉄平しゃん登場。
二「鉄平お兄様♪早苗さん♪」
相「あら、今日はどんなご用件かしら」
早「お母様にお食事に招かれたものですから」
寧「高炉建設の前祝ですのよ。相子さんもお祝いしてくださいね」(←イヤミなし)
相「あたくしがいると、鉄平さんも早苗さんも気詰まりでしょうから。街の風にでも当たって参りますわ」
つーん!と出ていく相子。
二「そうだ、今日は銀平お兄様や万樹子さんもお招きしてますのよ」
鉄「なんだ、佐橋さんとのお見合いがあったから心配してたけど、元気そうじゃない」
二「あれは、お父さんの顔を立てるためと、ちょっとした好奇心よ」
早「そうよね、二子さんには、四々彦さんがいらっしゃるんですものね」
そこに万樹子、ふら〜っと登場。
万「あらぁ〜、早苗さん、鉄平さん、お珍しい」
寧「万樹子さん、またお飲みになっていらしたの」
万「だって、この家にいても息が詰まるだけですもの。あたし・・・なんのためにこの家に来たのか・・・」
うっ、おなかいたい!万樹子おなかいたいっ!
鉄「二子、救急車」
万樹子さん、万樹子さん!と大騒ぎだ!

<銀平のうちで、ガーーン、な鉄平しゃん>

妊娠してるならしてるってゆってくれないと!ってお母さんに責められてる銀平。
銀平は、できればおろしてほしいってゆったのです。
寧「なんてことおっしゃるの銀平さん、万樹子さんにお謝りなさい!」
銀「なんだか妙な気分ですね、お母さんに叱ってもらったのは初めてですよ。でもお母さん、僕の気持も察してくださいよ。僕なんかを親に持つ子供が幸せになれると思いますか?」
万「銀平さんのお望み通りになりましたよ!・・・私、流産しました」
銀「「・・・そうか」
大「そうかだと・・・?なんてことをしてくれたんだ!万俵家の跡を継ぐべき銀平の子が!私は銀平の子がほしかったんだぞ!」
銀「僕に期待されても困りますよ、お父さん。お父さんには、鉄平兄さんという優秀な跡取りがいるじゃないですか」
大「私にとっては、息子はおまえ一人だ」
寧「なんてことおっしゃるのあなた!」
大「鉄平はいつも私の邪魔をする。鉄平といると、じいさんを見ているようでおぞましい。いっそ私の前から消えて欲しいと思うことさえある。だから!」
って振り返ったところには鉄平しゃん。
早「・・・・・・・・お医者様は、お帰りになりましたわ」
出ていくお父さん。後追っていくお母さん。
くしゅーんな鉄平しゃん。
万「一体この家はなんなのです?」
ふえーーん!な万樹子。
鉄平しゃんは、くしゅーん。

<お庭の鉄平しゃん>

庭に出る鉄平しゃん。ベンチに座る。早苗もやってきて、阪神特殊製鋼見てます。
鉄「小さい頃からなんとなく感じていたけど、お父さんは本当に僕のこと、あんな風に思ってたんだな」
可愛いよー、髪が乱れて!!
お目々ウルウル?泣いてるっ?あ、違ったわ。光ね。
早苗、隣に座って。
早「あなたにはたくさんのお仲間がいます。太郎もお母様も、二子さんも、みんなあなたが大好きです」
前髪が斜め前髪風に!
早苗、鉄平しゃんの手に、手を重ねます。あぁーー、早苗の服も可愛いよー。
鉄「わたくしはあなたのことを誇りに思っていますよ。今は夢を完成させることだけ考えましょう。銀平さんがね、とにかく一度近くで見てきた方がいい。感動するからって興奮してわたくしに言うのよ?完成したらわたくしも連れてってね?」
ふっ。可愛い奥さんめ。
鉄平しゃんも息小さく吐いて、立ち上がって、ありがとう、早苗。二人で阪神特殊製鋼を見てたんですが、帰ろうとしたところ。

後ろで爆発。遅れて音。

走る鉄平しゃん!

<車で工場に駆けつける鉄平しゃん>

現場は大騒ぎ。謝る工場長のケガを気遣いつつ、走る走る鉄平しゃん。ああーー。怪我してる人たちがそこらに。えらいこっちゃーー。
おっして、実際の火事をまのあたりに。
鉄「嘘だろ・・・」
銀平もお庭で泣き崩れ。
どんどん奥へと向かう鉄平しゃん。
ゲ「急げ!」
鉄「ゲンさん!」
ゲ「若!こんなもんで高炉建設諦めたらあかんで!解ったな!」
鉄「・・・!」
ゲ「若!大丈夫や!ここはわいにまかしとき!早く怪我人外に出せ!」
って鉄平しゃんが走り抜けたところで、後ろで爆発。ころんっ!と転ぶ鉄平しゃん。
鉄「ゲンさん・・・!」
走って戻って中に、は入れませんよーー。

<鎮火後の鉄平しゃん>

悪夢の事故から二日たち、事故の全容が判明。事故原因はバルブの故障による熱風路の爆発。被害者は死者5名、重軽傷者、数百名に及んだんですよ。
鉄平しゃんはは、事故以来、一睡もせずに犠牲者の弔問、負傷者の見舞い、警察や融資銀行変お事後説明に追われ、苦しい日々が続いてました。
3日目の朝、鉄平しゃんは、はじめて大介の元へ。
ノックためらいつつ、一度ノックして、頭取室へ。
鉄「このような事態になってしまい、大変申し訳ありませんでした。色々とご協力お願いすることもでてくると思いますが、よろしくお願いします」
大「あぁ・・・」
部屋出る鉄平しゃん。
くしゅーん。
あぁ、くしゅーん。

<ゲンさんのお葬式に出てる鉄平しゃん>

鉄平しゃん、ゲンさんに手を合わせてます。早苗も来てます。
数珠をぎゅーーーー。目ぇうるぅーーーーー。

その頃東京では、芙佐子が、自分が鉄平しゃんのおじいさんの子供だということを実の母である女将から聞かされておりました。
えっとーー。
なので、芙佐子は、鉄平しゃんのおばさんです。
いかんいかん。それはいかん!
女将「だから、二人の交際にも反対したの、初めっからあっちゃいけない関係だったの」
そうして、手紙を託される芙佐子

事故のあった高炉に向かって歩いている鉄平しゃん。
阪神銀行では、銀平がきーーー!!となってますが、鉄平しゃんは歩いてます。
早苗と工場長もやってきます。
あぁ、苦しそう!鉄平しゃん苦しそう!
鉄「僕は、彼らのためにも僕は絶対諦めない。高炉は必ず完成させる」
早苗は笑顔だ。

<あれこれ知ってしまう鉄平しゃん>

太郎を寝かせる鉄平しゃん。太郎、なんかゆーたら寝てます。
鉄「こんな穏やかな顔見るの久しぶりだな」
まったりタイムでしたが、
内線がなって、芙佐子が登場。
鉄「どうしたんだ、こんな時間に」
芙「先ほど、女将が亡くなりました・・・」
あいたーな鉄平しゃん。
芙「死ぬ前に、鉄平さんに渡すよう預かった手紙を、お届けに参りました」
鉄「女将が僕に?」
受け取る鉄平しゃん。
何もわざわざ音読してくれなくても、と思うんですが、音読する鉄平しゃんです。
鉄「まず最初に、私と芙佐子の関係をお話しておきます。芙佐子の本当の母親は私です。そして父親は、・・・鉄平さんの祖父である、万俵敬介・・・」
えっ!ってなってる鉄平しゃん。早苗も、えっ!
女将『敬介さんが亡くなる前に私におっしゃったことがあります、いつの日か鉄平が、父親である大介の冷たさに悩み苦しむ時がくるかもしれない。もしかすると大介が鉄平の前に立ちはだかり、鉄平は父と戦わなければならない日が来るかもしれない。もしそんな日が来てしまったら、鉄平に伝えてほしい。
自分の道を、自分の信じる道を貫けと。そう敬介さんはおっしゃいました。なぜ敬介さんがそんなことをおっしゃったのか、それは、鉄平さんの、本当の父親が・・・』

鉄「嘘だ!」
女子二人びっくし

<つづく>