小ネタの部屋別館

「100日チャレンジ・午後7時に家族揃っていただきます言えたら100万円」 

このチャレンジは、4人以上の家族で挑戦。毎日、午後7時に全員揃っていただきますを言ってもらいます。全員揃っていれば、外食もあり。無事に100日、いただきますを言い続けることができるでしょうか!

チャレンジしていただくのは、こちらのご一家。

☆お父さん:中居正広(26)
SMAPのリーダーとして、一家の大黒柱として、毎日忙しいお父さん。お酒も大好きなので、仕事の後の飲み会を振りきって来れるのでしょうか。
☆お母さん:木村拓哉(26)
週に3日のパート以外は専業主婦のお母さん。夕食の準備はばっちりのはずですが、趣味のサーフィンに出かけることもしばしば。
☆お姉さん:稲垣吾郎(25)
意外にアクティブなお姉さん。広い交友関係からのお誘いが気になります。
☆お兄さん:森且行(25)オートレーサーのお兄さん。仕事場が時々変わるのが心配です。
☆つよぽん:草なぎ剛(24)
素直で元気なつよぽん。お仕事はお父さんに負けないくらい多いので、ちゃんと帰ってこれるでしょうか。
☆慎吾:香取慎吾(22)
明るい一家のムードメーカー。この100日で、さらなるダイエットに励みます。


1日目〜20日目はこちら

21日目〜40日目はこちら

41日目〜50日目はこちら

51日目〜60日目はこちら

61日目〜70日目はこちら


71日目

「ただいま!」
元気よく仕事から帰ってきた慎吾は、妙に家が静まりかえっているのに気づいた。
奥の部屋のふすまの前にいるつよぽんに気がつき、声をかけようとするが、つよぽんは慎吾にはまったく気づかず、一心にふすまの向こうの会話に耳をすませている。そこは既に
12年のしんつよコンビ。すかさず足音を殺して近寄り、剛のとなりにぴたっと張り付き、同じように盗み聞き体制にはいった。
「でさっ、今年のツートップとしては……」
中居のひくーい声がかろうじて聞き取れる。まさかっ、これって……
SMAPファン、オタクと名乗り、自らファンの気持ちが一番わかる男と公言する中居が、スマップの影のプロデューサーであることは周知の事実。そしてこれは噂には聞くが、メンバー誰もが一度も目にしたことはない、ツートップを演出する企画会議、幻のツートップ秘密会談ではっ!

「前の年までは仲悪いツートップ。次の年は仲良しツートップというわけで、今まできたけど……」
ぼそぼそ低いトーンは中居が大真面目である証拠。
「もう、いいかげんいにしねぇ? そーゆーつくりは。自然体でいいじゃん?」

もう一人のトップはいやそうな顔で、中居の言葉をさえぎる。
「まあっ、いいからって。とりあえずこれ見ろよ」
中居がビデオのスイッチをいれると、そこには過去一年間の各番組におけるツートップのいちゃつき、もとい、じゃれあいのシーンだけが、細切れに延々と映し出されていく画像が。
「これぇ、お前、つくったの?」
超はまっているツートップファンでも、ここまではできまいという、見事なツーショットシーンだけを集めた完璧編集版ビデオ。もし、世に出れば、ツートップファン誰もが、どんなにお金をつんでも買いたいと願うA型中居編集のツートップビデオ。
最後が伝説のビストロスマップにおける中居のキスに思いっきり顔をしかめる木村の映像で締めくくられると、思わず木村はため息をついた。
「お前ってば、ほんっとマメ。ことSMAPに関しては」
「というわけでぇ、去年はこんな感じでやってきましたが、今年のテーマはっ」

木村の第六感が、いやーな空気を察知した。それに反して中居のテンションはどんどんあがる。
「けってー! 世話やき木村くんとお世話される中居くんっ!!」
ぶっと、木村は自分で豆から入れたコーヒーをふきだした。
「俺のリサーチによると、世のツートップファンの80%のトレンドが、これよ、この路線なのよ。だからぁ、今年は……」
「俺、いち抜けた。まじ、やってらんねぇー」
「去年はちゃんとやってたべ。できねーことないって」
しれっという敏腕プロデューサー中居に、木村はついにブチきれた。ビデオの間ずっと我慢していたものが爆発したのだ。
「おんぶもしたっ、猫つまみもしたっ、キスもしたっ!これ以上おれに何しろってゆーの?いっそ、プロポーズでもするかっ?!」

ふすまのこっちのしんつよコンビにも、シーンとなる二人の気配が伝わってきた。顔をみあわせるしんつよコンビ。剛はいたたまれず、慎吾をうながしてそっとふすまから離れようとした。

「もう、おれ、プロポーズしたべ。返事はまだきいてねーけど」
ぼそっとつぶやく中居。そっぽを向いているので、その目にどんな表情が宿っているのかはわからない。「いつよ?」とやっぱり低い声できく木村。
「夏コンの最後の日……」
木村には中居の最後の挨拶が鮮やかによみがえった。「おじいちゃんになってもSMAPを……」と照れくさそうに、でもはっきりと顔を上げて言った中居。
「……あれはSMAPに対してじゃん」
「いっしょなの。俺の中では」
中居は、今度は正面から木村をみて言った。
こいつって、ほんときれいなアーモンドアイ。香港の女優さんだって、こんな瞳の奴、いなかったよな……と、木村は関係ないことを思う。
「……恥ずい奴。2万人の前で、いうかよ。ふつー」
木村の目の前で、きれいな瞳が、くしゃっと笑う。
「俺って派出好きだからさぁ」
「……するよ。へんじ」
「うん」
「今度、お前だけに」
「うん」
「俺、じみーな性格だからさ、お前と違って」

ふすまの向こうの空気がなごんだのをきっかけに、今まで凍り付いていたしんつよコンビは、そおっとその場を離れた。あと30分しかない夕食をつくる為に。

7:00 「いっただきまーす」

ぎりぎりに帰ってきた吾郎と森と、ふすまの向こうからやっと出てきたツートップで、しんつよ特製ごはんを囲んだ夕食がはじまる。盗み聞きの分、時間が足りなかったので今日はどんぶり物。
「おっ、うめーじゃん」
と中居。
「ごめんな。まかせちゃって。ちょっと中居とはなしこんじゃってさ」
と料理番木村。
「何はなしてたの?ツートップで」
森は無邪気にたずねる。
「ちょっとね……」
「ねえ、慎吾と剛、何でそんな真っ赤な顔してんの?アツイの?」
吾郎は首をかしげた。

(by MAKO様。なんと海外から!ありがとうございますー!!そっか、あれはプロポーズだったんだ・・・(笑)おまえ100までわしゃ99まで、ともに白髪が生えるまでなのね(笑)!!)


72日目

誰にでも『何となくうまくいかない一日』という日はあるものだ。
たとえば今日俺は、取材が一つ突然キャンセルになった。
余裕があったはずなのに、事故渋滞に引っかかって次の仕事に遅刻した。
インタビュアーと何となく噛み合わなくて、ろくに言いたいことも言えないまま取材が終わった。
おろしたてのコートに水溜りの泥水をはねかした。
喫茶店で原稿を書いてたらファンの子に見つかって散々な目にあった。
猫たちの機嫌が悪くて、手の甲なんて目立つ場所に引っ掻き傷をつけられた。
お昼に食べたパスタが今ひとつ柔かかった。
口直しに飲んだ水がちょっとカルキ臭かった。

一つ一つはそんなにたいしたことじゃない。しょっちゅうだと困るけど、今までだってそんなことは何度だってあったことで、どうやって対処すればいいか、その方法もわかってる。でもこれが全部一日にやってくるとなると話は別だ。
なんだか小さな棘が刺さってるみたいで、何処に刺さってるのかもわかってるのに抜けないときみたいで、気持ちがささくれ立ってくる。
ああやだな。
俺にはちょっとクールな、というか、現実離れしてるような、ザ・イナガキゴロウなイメージがあって、俺自身もそのキャラクターを楽しんでるところがあって、でもなんだか今日は余裕がなくってキャラに入り込めないんだ。

仕事を終えて家に戻る。何となく足元ばかり見てる。
コツコツコツコツ。
自分の足音ばかりが大きく響く。
一つため息をついて、扉を開く。

「おかえりー」
暖かい湯気の向こうにはメンバーの笑顔。
「遅かったね、吾郎ちゃん」
「もう仕度できてるから、手洗ったら席につけよ」
「早く早くー。7時になっちゃうよ」

そして午後7時。

「「「「「「いただきまーす」」」」」」
「ほら、吾郎、ワイン飲むだろ?」
「これ、自信作なんだ、食べてよね」

なんかさあ、まるでドラマみたいじゃない。
みんなで囲む食卓には、俺の好きなものばっかり。
ワインだって、これ結構高いんだよ?
明日マネージャーに文句言わなきゃ。俺がちょっと機嫌悪かったからって、いちいちメンバーに報告なんてしなくていいって。

でもね。
ありがとう。
今日は、よく眠れそうです。

(byひろひろ様。以前の、ふてる慎吾に続きふてる吾郎様〜♪)


73日目

この前のプロモゲリラ。悔しいけど、剛にやられた。
最初「さいあくっ」とか思ってたけど、あとでラッシュみたら、俺って結構、素に近い顔してんだよな。テレビじゃ仕事人の意地にかけても見せたくない素の俺。やっぱ、俺が一番苦手な、おんなしA型の剛だけある。痛いとこ突いてきやがる。
実際、助手席に彼女とか乗っけてたら、きっとこんなんだべ。テレビじゃああいう俺だけど、プライベートは結構、表情筋動かない方なのよ。好きな子とデートできたら、やっぱ照れるっしょ。本当はうれしいけど、にやけた顔、できない。だから「中居君っておもったよりおもしろくないんですね」とか「中居さんって結構しゃべんない」時には「無愛想」とか言われちゃう。若い頃は、人の望む俺を演出して、結構頑張ったけど、仕事でやってること、プライベートでもやるのはさ、きつい。最近は、そういうこと言う子とはそれまでってこと。
そこをクリアして仲良くなれるとまあ、一月はもつ。俺だって好きな子には喜んで欲しいし、結構サービス精神ある方だから、最初は頑張る。スケジュールやりくりして、なるべく会って、あえなけりゃせめで電話して。でも俺ごろーみたいに、かっこいいお店沢山知ってるわけでもないしさ。木村みたく、びしっと女が喜ぶことやれる方でもない。
所詮おやじよ。おやじ。あっちこっちでデートするより、家でまったりする方がいいべ。
かといって俺のきたなーい部屋に来てくれて、掃除なんかしてくれるようになるのがやっと二ヶ月目ぐらい。
その頃には結構俺も安心しちゃって。やだね。釣った魚にえさはやんない、嫌な男の典型みたいなんだけど。俺、本当に外弁慶なのよ。外じゃ、いい顔して、盛り上げて、冗談言って、知らない人が沢山いるほどそうなる。気の許せる人の前じゃ、別人みたいに全然おもしろいことなんか言わないし、ぽつんぽつんとしか、しゃべんなくなる。しゃべりが仕事だから、メンバーだけの時なんかひとっことも話さないで帰ることもあるからね。メンバーはもうなれっこだからいいけど。女はまず我慢できないね。機嫌悪いんじゃないかとビビるでしょ、ふつーは。じゃなかったら怒る。
ごはん食べながら、今日の巨人戦の結果が気になってテレビ見てるのに、「それでね。今日ね……」なんて話しかけられると、「ええぃっ、うるっせ」ってちゃぶ台ひっくり返したり……なんてしないのよ。結構我慢強い方だから。でも、その我慢する感じが嫌で冷めちゃう。
家でデートだったら、こたつでぼーっとしてるか、スポーツ新聞なんか読んで、会話がないなんてことも、よくある。でもまったりしてると、女はすぐどっか行きたいって言い出すんだよなあ。それでもけなげに尽くしてくれる女はいるけど、つくすって結構自己チューだったりしねえ? こんなにつくしてるんだからぁ、ちゃんと返してぇみたいな。それが見えると冷めちゃう。それが三ヶ月目ぐらい。
だから、女と三ヶ月しかもたないっていわれるんだよなー。あれ、俺が自分で言ってんだっけ?
すっごく気がつく子でも、こっちもA型で完璧主義だから、気づかい合戦みたくなってつかれる。かといって生まれぱなしみたいな、おおざっぱなタイプも我慢できねー。ほんっと、わがまま。おれぇ。
こたつでまどろんで、後ろで夕食の仕度なんかの音がして、ひろちゃん、結構幸せな時間なわけ。味わってるわけ。でも、そこで「ご飯さめるから、早く起きて」とか無理矢理起こされると、もう機嫌悪くなる。わがままだねー。中居まさひろ。
あーあ、どっかに、気ぃつかいすぎない程度に俺の空気よんでくれて、言いなりじゃなくてビシッとしめるところはしめて、そんで料理上手だったりする美人はいないもんかね。
カカカ。いるわけねーって。

その時、こたつで寝てる俺の頭の真上で、ことんと音がした。なになにっ、俺、今どこで寝てんだっけ? びっくりして目を開けると木村の顔。
「あれっ、起こした? わりい、わりい。もうちょっとで7時だから、起こさないようにかたずけようと思ったんだけどさ」
あ、そっか。いつの間にか寝てた。もうすぐ「いただきます」の時間じゃん。今日はみんなギリギリに帰る予定。まだ家の中には木村と俺以外の気配はない。
「せっかくだからもう起きろ。手伝えよ、並べるぐらい」
「んんっ」
眠い目をこすりこすりキッチンに行く。鳥から揚げ、味噌汁、おしんこ、中華のえびパン、俺の好きなもんのオンパレード。まじ、うまそ。「ほれっ、そこっ、箸並べて」なんて、てきぱき仕切る木村に促され、俺もちゃんと働く。
茶碗を並べながら気がついた。
そうだっ、木村だよ。木村、女にしたような奴、どっかにいねーかな。それこそ、俺の究極の好みってやつでないかい? そんな女いればさー、誰も三ヶ月で終わろうなんて思わないべ。十二年って三ヶ月の何倍? そんぐらいはつづくべ。こういう女だったらさ、俺も「サンキュ」って感じでなんかしてあげたいって思うべ。
「あのさっ、今日食事終わったらさ……」
「なにっ?」
「ちょっと、車で走ろうぜ。月とかきれいそうじゃん?」
ふーん、と生返事する木村。また、俺の気まぐれだと思ってんだろうな。ちげーよ。これって感謝の気持ちなのよ。12年ありがと。これからもよろしくなって気持ち。

7:00 「いただきまーす」

「今日中居がさ、このあとちょっとでかけようって」
「ふーん、めずらしい、雨でもふんじゃないの?」
「そんなこと言ってるうちに、こたつで寝ちゃうよ。中居君」
「プロモゲリラ以来運転づいてるでしょ。中居君」
やっぱ、にくたらしーわ、剛の奴。たまにはいいべ。俺が運転席にすわって、みんなで月でもみようじゃないの。そんでもって、満月だったらお祈りすんのよ。
「お月様、いつか木村にそっくりな女の子が、俺のこと好きになってくれますように。のんのん」ってね。

(byMAKO様。いや!可愛いー!好きぃーー!!ありがとうございますぅー!)


74日目

なんかな、変だと思ったんだ。帰り着いたときからさ、いやにあまーい匂いが家からしてくんのよ。

「ただいまーーー」
玄関を開けて、真っ先に目に入るそれぞれの性格反映して脱ぎ散らかしてある、5足の靴。
このめちゃくちゃでかくて重い、そしてなんでこんな端っこと端っこに靴があるんだよ!ってのは、慎吾のだよな。
と、1人頷き、中居はそれをきちんと踵合わせて履きやすいように揃えて置いてやった。
変なところでA型の性格がでる中居である。
と、顔を上げたところで
「おかえりーーーー」と、中居に声がかかった。
「おう」と、返事をする間もなく、中居は慎吾に手を引っ張られて玄関を上がらされる。
「おい、オレまだ靴ぬいでないって!」
「はやく、はやく」
「もぉーーなんだよ一体」
背中押されるようにして座らされたのは、いつもの中居の指定席である、座椅子。慎吾は一旦台所に消えたかと思うと、両手に何かを捧げもって、戻ってきた。
「はい!!」
中居の前に差し出されたのは見事なチョコレートケーキ、だった。
1ホール丸ごとで、見事な艶のチョコレートの上には金箔をのせてある。
「・・・・・・・・なに?」
胡散臭そうに、中居は慎吾を見上げ、慎吾はじれったそうに答えた。
「だから!今日はなんの日?」
「何って・・・・・・誰も誕生日じゃねぇべ?」
「あーーこの人!チョコレート貰わなかったの?!」
「そりゃ貰ったけどさ・・・・・・」
ファンからって言うのはおいといて、もちろん、仕事絡みで接する女性スタッフからはたくさん、チョコレートを貰った。
だって、バレンタインデーだし?
でも、なんでそれとこのチョコケーキと関係があるわけ?
「バレンタインデーだから!!」
「・・・・男が男にプレゼントする日じゃねぇべ?」
「そうだけど!僕が中居君のこと、好きなんだからいいでしょ!」
・・・・・絶対違うって・・・・。
はぁーーと、溜息をついて、ずるずると背もたれにもたれかかった。
何か、絶対企みがあるんだろうな。それがなんなのかわからない。それに、目の前に置かれた、綺麗にカッティングしたケーキ、そして目をきらきらさせて、こっち見ている、慎吾。
なんか、ほら、あれ、茶色のでっかい犬、ゴールデンレトリバー?あれがしっぽ振ってお座りしてるみたいだよ。
これってやっぱり・・・・・・・食べるんだよな。
「いただきます・・・・・・・」
気を取り直して中居はケーキにフォークを入れた。
しっとりとしたチョコレート、その下のオレンジ色は多分オレンジムース。さわやかな芳香が口の中に広がった。
それは、さすがビストロでお菓子担当、パテェシエ香取慎吾と言われるだけのことはある、見事な出来だった。
そう、仕事でぐだぐだに疲れてるのに、中居正広が
「おーいしーーー!!!」って、ハイテンションで叫ぶくらいには。
でもこれは、仕事で言ってるんじゃない。
ちょっと、オオゲサだけど、素の反応。
だから、言われた慎吾も、カメラに向かってリアクションなんかとらない。ただ、顔の中の大きなパーツをさらに大きくして、目を細めて、笑った。すごく嬉しそうに。
「はい、じゃぁ、次は僕だね。」
「森・・・・・」
ブルータス、お前もか?・・・ブルータスって、たれだ?
慎吾のチョコレートケーキを中居が綺麗に食べ終わったとき、今度は森がやっぱり何かを捧げもって、中居の前に現れた。
「はい。クッキーなんだけど」
こんがり、いい色に焼けているチョコチップクッキー。
「中に、チェリーのブランデー漬け刻んだものをいれてみたん だけど・・・・・どう?」
不安そうに、肩を縮めてクッキーを口を大きく開けてほおばる
中居を森は、息を呑んで見つめた。
「おーいしーー!!」
「よかった」
やっぱり、森も本当に嬉しそうに笑った。
慎吾とも目線合わせて。・・・・・・で、なんでオレにチョコレート?
「はい、じゃぁ、オレ次ね。これさ、苦労したんだよ」
「うっわーすごい、手が込んでるね」
「つよぽん、すげーーーーまけそう!!」
「でしょう?」
剛が持ってきたのは、多分、ムースだった。
白い、シンプルなムースの周りには、チョコレートフォンデュした、イチゴ、バナナなんか、フルーツが見た目よく、飾り付けられている。
「なんか、すげーな・・・・・」
「でしょでしょ?中居君。食べてみて」
やっぱり、剛も息詰めて、中居の反応を見守った。
ムースにフォークを入れると、さぁっと、流れ出たチョコレート。
「うわ、すげっ。これどうなってんの?」
いいながら、口に入れる。・・・・・・・・・・うまい。
「おーーいしーーー!!!」
「やった!!」
ぱっと、剛の顔が輝いた。
うん、なんかね。いいんだけどさ。すごく嬉しそうで。
でも、そこまで真剣にやられると、ちゃかしようないべ?
例えば、「まずい」とかさ、言ったら、泣くだろ?
もう、そりゃspeedのあの子みたいに、「オレに泣かされた」って、ずーっと言うんだよな。
「はい」
そうやって、クールにしてるけど、吾郎。
お前がそうやって、何気に笑ってるときは、大抵緊張してる。
・・・・・・・溜息、この状況じゃつけない。
吾郎が差し出したのは、シンプルなチョコレートだった。
四角く切って、ココアパウダーをまぶされている一口大のそれを中居は袖から覗かせた指の先でつまむと、ひょいっと、口に入れた。入れた瞬間、舌の上でとろりと消え去るチョコレート。
「おーーいしーー!!」
「・・・・・・・・・・・でしょう?」
吾郎が何か言う前に間が空いたのは、緊張して息を止めていたからだった。中居が片手あげて、上を向き、チョコレートみたいにとろけそうな「おいしい」を叫んだ途端に、吾郎は静かに息を吐いた。そして、「自信あったんだよ」って、笑顔になる。
つられて中居も笑顔。
実は、お腹を空かせていたとはいえ、決して得意ではない
甘いモノの連発に中居は少し疲かれていた。でも。
せっかく、作ってくれたんだし・・・・。
そして、最後。木村が、中居の前に座った。
無言で差し出される、湯気を立てたマグカップ。
木村は横を向いたまま、中居と目を合わせようとせず、ただ、
「ん」と、言ってカップを滑らせた。
そんな木村に中居は、ちょっと、下を向いて笑った。
しかたないから、って顔してる。きっと、慎吾あたりに作れって言われて、でも、面倒でコーヒーとか、煎れたんだろうな。
そう思って、でも照れてんのかもな、って、くすくす笑いながら熱いマグカップを手に取った。両手で持って顔に近づける。
あれ?何か甘い匂い・・・・・。
ふーーーっと、吹いてから一口。
ホッとした。
予想していたコーヒーの刺すような苦さでなく、チョコレートの甘さと、ブランデーの微かな苦みが中居を優しく包み込む。
「・・・・・・・・・・・うまい・・・」
言ってしまってから、しまった、と思う。
だって、今までの「おーいしー」って、それではなく、
なんだか溜息混じりに「うまい」なんて。
それって、なんかさ、恥ずかしく、ねぇ?
自分一人で、気まずくなって、でも、木村の反応が知りたくて。
中居はカップ越しにそっと、視線をあげた。
目にはいる、木村の横顔。崩れそうな、「してやったり」って、笑顔。
・・・・・・アーア。
自分は、どんな顔していたんだろう。
木村がこっちに目をやって、視線がかちりと絡まって。
同時に、吹き出していた。

「やっぱり、木村君には勝てなかったかーーー」
「勝ちたかったの?慎吾」
「たまには、勝ちたいよね。」
「お、吾郎ちゃん強気だね」
「無理だって。ぜーったい、勝てない」
「なんで・・・・あーーーー、何食ってんのーーーー!!!」
「いいじゃん。これ、うまいよ。慎吾」
剛は慎吾のチョコケーキをパクついていた。
それに負けじと、慎吾も森のクッキーに手を伸ばす。
他の二人だって、お皿を持ってきて剛の余っていたムースをつつきだした。木村もその試食に加わり、中居は黙って、ホットチョコレートをすする。

そんな、甘い時間が過ぎて。

「・・・・・・なぁ」
「このさ、剛このチョコレート、どうなってんの?」
「あ、これはね。意外と簡単で・・・・」
「なぁってば!」焦れた中居の声。
「何?中居君。何か食べる?」
「食べるよ!飯は?まさか、これ?」
恐るべし、というか、当たり前、というか。
あれだけのお菓子を食べてもご飯を食べたいと思う中居であり、
「え?まさかぁ。ちゃんと食べるよ」
と、同意するメンバーであった。
このリーダーにして、このSMAPあり?
メンバーは、中居の急がせる言葉にきょとんとした顔をして、同時に時計をのぞき込む。
「6時50分・・・・・・・やばい!!!」
むすっと、腕を組んで動かない中居を置いといて、他の5人は慌ててテーブルの上のお菓子類を片づけ、食器をだし、木村がお菓子作っているのを横目に、1人黙々と用意した夕食を並べる。・・・だから、一番簡単なホットチョコレートだったのかも。ともかく、吾郎がおたおたしながら一升瓶を抱えてきて。

7時
「「「「「「いただきます!!!!!!」」」」」」

「ま、ここはひとつ・・・・・・」
と、木村が中居に極上の冷酒をお酌する。
「おっとっとっと・・・・・・・・」
ちょっとおどけて、中居は一気に喉に流し込んだ。
「うまぁい!」
「お、いい飲みっぷり!ささ、どうぞどうぞ」
と今度は慎吾がお酌する。
なぜか豪華な懐石料理風の夕食とおいしいお酒。
ご機嫌な中居は何本もお銚子を空けることとなった。

「・・・・・・☆▼@∴∫◯♭〒♭♪§&※・・・・」
「何?」
「だからぁ・・・♪♭〓∵∝@▽◇▼▼★☆・・・」
「わかんないって」
酔いつぶれた中居は、木村の肩に腕を回し、ほぼ、もたれかかった姿勢で、何かをいっているのだが、普段以上にさっぱり聞き取れない。
木村は上手にあしらいながら、席を立ってしまった。
絡む相手をなくした中居は、今度は慎吾に向かった。
「なんで、チョコレートおれにくれたんだよ・・・・。」
「ええー?言ったじゃん、好きだからって」
受ける慎吾もかなり酔っている。
酔っぱらいの会話に、少し頬を上気させた剛と、酔ってはいるけれどあまりの肌の黒さに少しも変わらないように見える森、そして本当は酔っていないのに、気分の良さでへらへら顔を崩して笑っている吾郎は、聞き耳を立てた。
「いくら好きでも、おれは女じゃないぞ・・・・・」
そうだ。おれは女じゃないぞ・・・。あれ?女がもらう方だったけか?
ちがう?あれ?
「おまえ、おれはお前から、もらう筋合いないって言ってんだよ」
そう、これが正しい。なのに。
「あげたかったんだもん。」
「なんだよそれ・・・・。」
「中居君が好きだから、・・・・。」
益々酔ってきた慎吾は中居の膝に突っ伏した。
特にリアクションなく、中居はそれを受け止めて、ぽんぽんと背中を叩く。
「でも、おれホワイトデーなんにもやんねぇからな。」
「いいよそんなのぉ・・・・・・・中居君は!!」
がばっと、起きあがった慎吾に驚いて身をひいた中居の方をがしっと、掴んで、慎吾。
「中居君はおいしいって、笑ってくれたから、たくさんたくさん 笑ってくれたからそれでいいの!!!」
なんだよそれ・・・・・。
慎吾は言いたいだけ言うと、また中居の膝を枕に寝てしまった。
呆然として他のメンバーに視線を流すと、にっこり笑って見つめ返してきた。
酔いが醒めちまったじゃねぇかよ・・・・。

あーあ。

木村が酔いつぶれて寝てしまうだろうと予測してもってきた中居のための毛布は、結局慎吾のために使われた。
出会った頃からずっと変わらない寝顔で寝る末っ子を肴に、お兄ちゃん達の酒盛りは続いたのであった・・・・・。

(by 植木屋様。あーーー!!やっとバレンタインです!随分前にいただいておりましので、忘れやしないかと本人ひやひやでしたぁー!!ありがとうございますー!可愛いー!!可愛いバレンタインだよぅぅぅーーー!!!)


75日目

ある冬の日。
新年が明けて、今年は2000年問題だとか、ミレニアムだとかいろいろ騒がしかった世間もやっとおさまって。
そんなことは全然関係ないけれど、誰もいない家で昼間、こういう風にこたつに丸くなってると、つくづく幸せだよな〜なんて、柄にもなく思ってしまう。でもやっぱり幸せ・・・・・と、中居が愛用のクッションをぎゅっと、握りしめたとき。
ピンポーーン・・・・・・・・・チャイムが鳴った。
舌打ちしながら、中居は渋々こたつから這い出た。
メンバーならチャイムなんて鳴らさないから、きっと宅配便とかそういうものなのだろう。
予想通り、というか。それは慎吾あての宅配便だった。
ただ、その人は「何とか屋」と名乗り、(寝ぼけていた中居には聞き取れなかった)また、出てきた中居に驚いて、しばらくじーっと見つめたりもしたけれど、こういう反応はよくあることだった。
決して慣れはしないけれど、でもこういうときにどういう風に振る舞えばいいのかはよくわかっている。
手際よく受取書にサインして、荷物受け取って。
ついでに握手なんかも求められたりして。
ただ、ユニフォームの背中にサイン下さいって言われたときはさすがに面食らって、丁重にお断りした。
「悪かったかなぁーでも仕方ないし・・・・」
とこんなことまで気にしつつ改めて、その荷物を眺める。
それは、「普通」のサイズの段ボール箱が2つだった。
中身は普通の宅配じゃないみたいだから、わからないけれど開けるなんて、それはプライバシーに関わるし。
とりあえず、それを玄関に放置して中居はこたつにもどり、もう一度寝直した。

「中居、中居」
「んーーー・・・・・」
肩を揺すられて、中居はうっすらと開いた唇から声を漏らす。
「色気振りまいてるんじゃないって。起きて。あれ何?」
「・・・・あれぇ〜〜〜?」
ここで、やっと寝乱れた髪をかき上げながら、中居は身を起こした。木村が眉をしかめて見つめている。
「あれってなんだよ?」
「玄関にある、荷物」
「あーー、なんか慎吾のらしいぜ。書いてあるべ?」
「なかったよ。でもわかるけど。一応」
「ふぅん?」
実はこれにかこつけて、寝ていた中居を風邪をひくから起こしただけなのであった。でもそんなことを木村はおくびにも出さないし、中居もそれ以上追求せずに、台所に向かう木村の背中に「晩御飯何―?」なんて、小学生みたいな問いを投げかけるのだった。

そのうち、森、剛、吾郎と順番に帰ってきて、森は木村を手伝い、吾郎は優雅に部屋の隅で愛猫と遊んでいる。剛と中居はテレビゲームにはまっていた。
これではまるでなんでもない日常生活だ。
SMAPって、こんなことやってていいんだっけ?なんて、森は思ったけれど、みんな楽しそうだし、自分も楽しいから
これでいいか、と考えるのをうち切った。

「あれ、もう6時・・・」
「うっわ、あと15分しかねぇじゃん?!木村ぁ?」
「はいはいはい。あ、吾郎猫踏むぞ」
「ちょっ・・・・踏まないでよ。こんな繊細な子達を・・・・木村君のがさつな子供とは違うんだからね!」
慌てて、木村の進行方向にいた猫を自分の元に引き寄せながら吾郎が言った。
「がさつぅ?」
両手に皿を持った木村がカチンときた!って顔で吾郎を上から睨んだ。その様子をとくに注視したわけでもなく森は木村の後ろから続いて、料理を並べ始めたし、剛もゲームを片づけた。中居は固まっている木村の手から
そっと、落とさないように皿を引き受ける。
「がさつだよね。こんなかわいい子達に比べたら」
言ってからすぐに、失言だとわかったけれど、いつもは引いてしまう吾郎は、今日はなぜか引けずに木村に喧嘩を売ってしまう形となった。
「がさつときたか。うちの子供によくそんなことが言えたな。うちのボニはな、お前の子供より、ぜんっぜん頭いいんだぞ!表情だって豊かだぞ!!それに猫が繊細ね。ふぅーん。どこが!」
「どこが?・・・・・・・・・・」
考え込んでしまった吾郎を見て、木村は腕を組み、仁王立ち。
勝利のポーズをとる寸前。吾郎が呟いた。
「あ?何だよ」
「猫はよく中居君に例えられるから」
「・・・・・・・・・・・・・」
「だから、繊細」
絶句した木村を横目に、吾郎はにっこりと笑って立ち上がると、固まった木村の肩をぽんっ、と叩いてすれ違いざま
「ご飯だって」と、囁いたのだった。

「あと、5分だぜ。慎吾何やってんだよ?」
「連絡もねーし。どうしたんだよ。森、何か聞いてなかったか?」
「別になにもないよ?」
メンバー同士、食卓を囲んで顔を見合わせた。
携帯はつながらない。どうやら電源を切っているらしい。
堪らなくなった中居が外に様子を見に行こうと居間の扉を開けて。
何やら声がしたかと思うと、慎吾が中居に胸倉掴まれて引きずられながら入ってきた。
身長の関係で、慎吾の体は前のめり。
「ほら!!」そのまま乱暴に中居が慎吾の席に座らせた。
「ごめん・・・・・・・」
「いいから、いただきますしよう」

7時。
「「「「「「いただきます!!!!!!」」」」」」

「で?一体何やってたんだよ」
食事のあと。それぞれ好みの飲み物を用意してからくつろぐ時間になってようやく、木村が理由を聞いた。
食事の最中は、ムスッとした中居に、ひたすら旺盛な食欲を見せる慎吾に圧倒されて、誰も口を利けなかったのだった。
「うーん・・・・・・・・」
問われた慎吾はちらっと、横目で中居を気にした。
中居はしらん振りで、渋く煎茶をすすっていた。
と、つっと顔を上げて、「ばぁか」と微笑んだ。それで慎吾はほっとしたように笑って、次の瞬間立て板に水のごとく
喋りだしたのだった。

話は今日のお昼前。
移動中に車の中から昔ながらの八百屋さんを慎吾が見つけたことから始まった。ぱっとみて、お腹が空いていた慎吾は渋るマネージャーに断って、半ば無理矢理車から降り、八百屋のおじさんと話し始めた。
「それがもーすっごいいい人でさーーつよぽんなんか目じゃないくらい?」
「いいから、早く続きを言えよ」
で、なんやかやと話しているうちに、マネージャーが真剣に急かし始め、慎吾自身もヤバイと思い、でも当初の目的
「何か食べる」を達成していなかったので。

「で、みかん買ったんだよね。届けてくれるって言うから、頼んだんだけど」
「あれ、八百屋さんだったのか・・・・・・・・・」
「気づかなかったのか?」
「オレ、寝起きはほとんど自分のやったことだって、覚えてねーんだぜ?覚えてるわけねーじゃん!」
「ああ、そう・・・・・・・・」
あっけらかんとした中居の答えに、木村は「ここに荷物送るときは時間帯指定しないと・・・・」などと、密かに心に留めた。
「で、みかんなの?あれ。」
「そーだぜ。こいつ、さっき何してたと思う?」
「まさか・・・・・・・」
4人は一斉に一つのことを思いついた。そしておそるおそる中居の顔を見る。中居は、精一杯重々しく頷いた。

「・・・・・・・・・うそでしょー・・・・・・」
「うわっ、信じらんない!」
「慎吾、よく食べたねぇ・・・・・・・・」
全員、廊下にでて、慎吾の食べ残し検証、をした。
段ボール箱は二つ。そのうち一つは開封済みで、その中身の半分以上が、ない。そのかわり、すぐ側にみかんの皮の山が一つ、できあがっていた。
「これ食べといて、それでも夕食あんなに食べたんだ・・・」
今夜のメニューは、炊き込みご飯に、お餅入りのおすまし、レンコンのはさみ揚げに、マカロニサラダとホットサラダというものだった。お餅は1人一つだったが、慎吾は自分でもう一個追加し、さらに、ご飯は3杯以上食べたものと思われる。
推測の形なのは、誰もがそこで数えるのをやめてしまったから。
「すごいよねぇ・・・・・・。」
聞いているだけで誰もがお腹一杯になる話だ。
「おっまえ、これ1人で食べるつもりかよ・・・」
「まさか!しないしない!」
オオゲサに首を振る慎吾を、冷たい目で見る5人だった。

ともあれ、みかんをかごに一旦移して、こたつの上に置いて。
それをみんなで囲んでみた。
「うっわ〜、日本の冬って感じがする〜〜〜」
「ほらね、いいでしょ〜〜」
慎吾が得意げに言ったが、吾郎から冷静につっこみが入る。
「君のは食べ過ぎ」
「何だよ、稲垣吾郎〜〜〜」
「はいはい、わかったからね。二人とも」
吾郎に突っかかった慎吾を森が優しく止めた。
「でもさ、あれだよね」
「何だよ、剛」
「電気がついてない廊下でさ、慎吾がこう、うずくまって、みかん食べてる所って、怖くなかった?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「中居、どうなんだよ」
黙って下を向いてしまった中居を、木村が横から肘でつつく。
細い肩が震えていて、「まさか怖くて泣いてるんじゃないだろうな」なんて、木村は思う。木村だけだ。そんなことを思うのは。
案の定、中居は笑いをこらえているだけだった。
「ドア開けたらさぁ・・・何か、でっかい影がぴちゃぴちゃ音立てて両手に何か掴んで食べてるんだよ。・・・・ゴリラみたいに」
慎吾のみかんで膨れた頬と、中居の凝視。一瞬の後、日本猿はゴリラの襟首掴んで明るいところへ引っ張ってきた。
「と、こういうわけ?」
木村の例え話に、中居、慎吾を除く全員が爆笑した。
「もういいから、みかん食べよーぜー」
と、ちょっと遅れてから笑いに加わった中居が、卓上のみかんに手を伸ばした。オレンジ色の皮に爪をかけてから、ふと思い出す。
「そういえば、木村この前言ってたよな」
「ん?」
「オレはみかんの皮を剥くのが上手い!って。」
「あーーー生スマね!」
「あんとき、生なのに、みかんの皮とか向いてさぁーみせなくていいって!」
「だって、中居信じなかったじゃん」
木村はちょっと拗ねたように、横目で中居を見た。
でも中居は素知らぬ顔。ヌケヌケとこんなことまで言う。
「オレ、今でも信じてねーもん」
「なんでだよ」
「比べようがないべ?お前1人に剥いてもらっても」
「・・・・・・わかった。今から剥こう!」
「はい?」
木村の突然の提案に他の4人は顔を見合わせた。
「このひとって・・・・・・」
「つくづく、好きだよね・・・中居君にいいところ見せるの」
「だから、中居君、木村拓哉伝説なんて、つくっちゃって」
「きっと木村くんの中にもあるんだよ」
「え?」
「中居正広伝説」
「・・・・・・あるのかなぁ・・・・・」
「あるって!絶対!」
4人のアイコンタクトだけの会話は、夢中になっている木村には気づかれず、聡い中居は気づいたが、特別注意しなかった。
注意したとしても
「僕たち会話なんてしてないよ、空耳じゃないの?」
「空耳?中居ちゃん歳とってきてきたからね」
「・・・・・おじいちゃんだし」
「おじーちゃーーーん」
って、わけのわからない迷路に入り込んでしまうのだ、きっと。
ともかく、誰が一番綺麗に剥けるかコンクールすることになり、まずは木村のルール説明。
「皮は基本的に、5枚の花びら型に・・・・・・」
「木村」
気持ちよく説明していたのに、何だよ一体、と、木村は不機嫌に中居を睨んだ。でも中居はそんなことお構いなしに、木村の手元を注視している。
「おまえ、それ反対だろ?」
「ん?」一体何が?
「普通、その蔕がある方から剥かないか?」
「うん、そうだね。普通、そうだよね」
「えーーー」
「何だよ、木村。」
「なんで!なんだよ。それって普通なの?」
「普通だよ?なぁ?」
中居の言葉に全員が頷いた。焦る木村。
「この、ちょっと皮と実の隙間!ここに爪いれて、ぷちってなる、それがいいんじゃないの?!!」
木村の言葉に全員クエスチョンマークを浮かべる。
そんな具体的に説明されても・・・・・・。
「僕さぁ、そうやって剥いていたこと、ある」
「剛!やっぱりな!」
異常にテンションが上がる木村に対して、困ったような笑みを浮かべて剛は続けた。
「でも、そうやってむくとこの、白いのが綺麗にとれないんだよね」
と、皮を剥いたみかんの表面を流れる、滝のように白いそれを指して、やっぱり困ったように剛は笑った。
「・・・え・・・・・・・」
やっぱりオレは孤立無援なのか、オレは今まで間違っていたにも関わらず「一番」なんて全国ネットで言ってしまったのか・・・・・そんな風に、沈む込むと、そこに重りをつけてくれるような中居の言葉。
「どうでもいいじゃん、みかんはみかんだし」
「・・・・・・・・・・・・・・」
周囲が暗くなってしまった木村を見て、さすがにまずいと思ったのかフォローに走る年下。
「でもこの白いがあるのとないのとじゃちがうよね」
「食感がね・・・・」
「でもオレそんなこと気にしねーし」
またこの人は・・・・・・!!!!
4人が一斉に中居を睨んだとき、うずくまっていた木村がむくりと体を起こした。
「食べ比べろ」
「はぁ?」
「剥いてやるから食べ比べて見ろよ!」
宣言すると突如楽しげに、木村はみかんをむき始めた。
お尻の方から指をいれて、そこからきれいに、花開かせるように
丁寧、かつ迅速に表皮を取り除く。
さらに、実を二つに割り不揃いな大きさの中から、一番大きなものを選びだし丁寧に、白いものをとって中居の口につきつけた。
「ほら!」
「・・・・・・・・・・・」
「口開けろよ!!」
木村の行為に沈黙した中居だった。
さすがに食べさせてもらうのが恥ずかしいのかな?そういう感覚あったんだーと、4人が思ったとき、中居が口を開いた。
「まだ終わってねーべ」
「え?」
「それ、薄皮剥いてねーじゃん」
この人は・・・・・この人は王子様!!
と、木村は思った。木村だけがね・・・・・・・・・・。
「なるほど、だから白いのがついてても関係ないんだ」
「そりゃそうだよね。薄皮剥いて食べるんなら」
「でも意外だねぇ・・・そのまま半分に割って、食べるかと思ったのに」
「A型だからね」
「血液型なんか関係あんの?」
「つよぽん、知らないの?」
「関係あるよ。星座とかね」
「動物占いとか?」
「そういえば、この前あれ見てたんだけど」
「うん?」
「中居君と木村くんの関係って面白いよね・・・・」
「どういう風に?」
「木村くんは中居君に徹底的に尽くすといいんだって」
「尽くすの?」
「ああいう風にね・・・・・・」
と、また声に出さずに会話していた4人は、木村が綺麗に剥いてやったみかんの実だけを、口を開けて食べさせてもらっている中居を眺める。
そして、なんだか邪魔している気分になって目をそらし、誰もが溜息をついたのだった・・・・・・。

(by植木屋様。あーーー!これは早くに載せときゃよかったですねー!すみませーーん!!みかんはお尻の方から剥くでしょう?剥くよ。そうだよ。私はそうだよ(笑))


76日目

中「おっとぅ」
ちょっとタバコでも、と思いスタジオから出ようとした中居は立ち止り、空を見上げた。
中「雪・・・」
薄暗い空から、しずかに落ちてくる雪を見ていると吸い込まれそうになるのはどうしてなんだろう。そんなことを思いながら、
木「綺麗だなー」
と呟いた中居は、
中「ゆってる場合かよ・・・っ!!」

と我に返る。
もちろん、ゆってる場合ではなかった。いつの間にやら大量に降り積もった雪は、明らかに中居の足を奪っていた。

その日は朝から天気が悪く、カーテンを開けても部屋が暗かった。だから、寒さ対策もかねて、カーテンを閉め、明かりをつけて生活していたのが災いした。
5人はうちの方でごろごろ遊んでいたのだが、ボニータが外に出たがった。
木「なんだよボニ、外、寒ぃのに」
吾「子供は風邪の子だもんねー、ボニちゃん」
木「散歩いっか」
ダウンを羽織って出て行こうとした木村は、ドアを開けて立ち尽くした。
木「おい・・・」
剛「何?どしたの?」
木「いつの間にこんなことになったんだ・・・?」
ぬくぬくした部屋にいた吾郎、森、剛が顔を出す。ちなみに慎吾は寝ている。
森「こんなことって、あぁっ!!」
吾「うわー。久々だねぇ」
剛「すっごい雪ぃ〜!」
まさしくボニは喜び庭駆け回るし、SMAP一同(−2)も、ちょっと童心に帰って遊んじゃおうかなー、と誘惑されるところだったが。

木「・・・今日、中居は・・・!?」
吾「・・・うたばんだっけ・・・?」
森「帰ってこれないじゃん、これじゃあ!」
木「で、電話、電話・・・」

慌てて木村が携帯を取り出そうとしたところに、中居からの連絡が入った。
やはりスタジオから出られないらしい。
中『でさぁ・・・。おまえら、来てよ』
大雪の中なのに中居は簡単に言い、木村も当たり前のように了解する。
木「OK。タカさんの分も用意してやろうか?」
中『やだよ、うちの奥さんズの料理うまいもん。あっちの奥さんに嫉妬されちゃう』
じゃあな、と電話を切られ、奥さんズ・・・?と木村は首を傾げる。
吾「どうするの?」
木「とりあえず、召集かかったよ、奥さんズに」
森「何、奥さんズって」
木「俺ら。俺らって中居の奥さんズなんだと」
奥さんズの筆頭、木村が慎吾を蹴り起こす。
慎「何ぃ・・・!中居くん、帰って・・・これない、のぉ〜・・・?」
木「帰ってこれねぇだろ!あのおっさん車じゃあ!」
中居の車は、若手有名芸能人にあるまじきおっさん車だ。もちろんチェーンなど積んでいない。
森「えーっと、手ぶらで行ってもしょうがないもんねぇ」
吾「用意しなきゃ、用意。お弁当でいっか」
剛「ごはんはもう炊いてあるけど」

夕方4時過ぎ。
中居の奥さんズはきびきびと動きはじめた。
料理を吾郎、森、剛が担当し、木村と慎吾は木村の車にチェーンを巻く。道もつけなくてはいけないから、雪かきもする。
慎「すっげー、楽しぃーーー!!!」
木「楽しいのは解ったから、ちゃんと雪かけよっ!」
慎「雪だるま作る!?雪だるま!」
木「後にしろ!後に!」

吾「あ!美味しい!」
森「でしょ、でしょ」
剛「うまいー!森くんさすがー!」
こっちはこっちでお互いの料理の味見に余念がない。今日はお弁当ということで、わざわざお重を用意して、できあがったものから詰めていく。
森「後はおにぎりか」
吾「これは人海戦術で行こう。木村くーん!慎吾ぉーー!!」
結局外で雪と戯れている(ようにしか吾郎には見えなかった)二人は呼び戻され、5人がかりで個性的なお握りが握られた。
慎「ふふ・・・」
森「何・・・?あ!おまえ、なんかやったろ!」
慎「えっ?やってない・・・っ」
森「嘘だ。やったね。ねぇ、こいつなんかやったよねぇ!」
じっと慎吾に集まる8つの目。
木「やった」
吾「やったね」
剛「もー、何やったんだ・・、って何いれたの!?」
剛は慎吾の手に、おにぎりとは関係のなさそうな汚れを見つけて声をあげる。
慎「・・・チョコ」
べしぃぃっっ!!!
森の平手が慎吾の後頭部に炸裂した。
吾「さいてー。中居くんに当たったらどーすんの。何されるか解ったもんじゃないよ?」
木「いいよ、いいよ。なんかあったら全部慎吾のせいにすりゃあいんだから」
慎「ひっでーー!!!」
それ以外にも、みかんひとふさおにぎりなんぞも作ってしまっていた慎吾は、たとえ怒られたって、その方が面白いや。きっと・・・!と腹をくくった。
木「さって、野郎ども。大事なだんな様が腹すかしてまってっぞっ!!」
吾・森・剛・慎「うぃーーす!!姐さん!!」

中居正広の奥さんズはすっく!!と立ちあがった。

その頃、奥さんズの大事なだんな様は。
タレントロビーで時計をイライラと見つめながら、タバコを吸いつづけていた。
勢いで来い!とは言ったものの、やっぱり心配だった。木村の車は四駆だし、雪山にもよく行くから、大丈夫だろうとは思ったものの、都会での雪は訳が違う。雪山を走れるほどちゃんと整備してない車が、運転手の気力だけで走ってるような状態なのだ。
あぁ、SMAPは日本の宝だというのに、俺はなんてことを・・・!

もう6時50分。

時間なんてどうでもいい。せめて無事に・・・!無事な姿を!

木「お待たせっ!」
中「あっ!木村っ・・・!?」
森「早く、早く。もうここでいっか!」
剛「いいでしょ。はい、中居くん、箸!慎吾お茶は!?」
慎「はいはい、ここ。お!?湯のみ」
吾「こっちだよ!何してんの、中居くん、座って!」
中「なんだ!?なんだっ!?」

7:00

「「「「「「いただきまぁす!!」」」」」」

石橋「・・・き、キム様?何してんの・・・?」
木「え?あぁ。食べます?」
石「いや、あぁ、ありがと・・・。じゃなくって・・・」
中「なんでおまえらそんなカッコしてんだよぉ!!!」
おにぎりを右手に、卵焼きを左手にした中居が立ちあがって叫ぶ。
木「だって、奥さんズって言うから」
木村たち、中居の奥さんズは、可愛らしいエプロンや割烹着で決めており、髪も、ちょっとくくって可愛いゴムで止めてたりした。
そんな5人組がタレントロビーにいた。
ちょっとした雪女騒動だった。

中「げっ!」
慎「あ!当たった!?」
中「外れだっつーの!このぼけっ!」
慎「何!?チョコ?みかん!?」
中「そんなもんまであんのかよっ!!」
木「え?じゃあ、それ何?」
中「・・・角砂糖・・・」
慎「え!俺そんなの知らないっ!」
こそーーー・・・っと手を上げたのは吾郎だった。
吾「あっ!このおにぎり、なんも入ってないじゃん、って言うのも、面白いかなぁ〜と思って・・・」
割烹着とかっちんどめの吾郎はうふふ、と微笑み、中居から蹴りを食らった。

番組の収録が終わる頃には雪もやみ、自分の車はおいて、事務所の車で送ってもらった中居は、うちの外がやけににぎやかなのに気がついた。
木「あ、おかえりぃ。迎えに行ったのに」
中「いや・・・いいけど。すげえな」
慎「すごいでしょー!!!」
家の裏にはかまくらが作られていた。
吾「何にする?とりあえず熱燗あるけど、ビールの方がいい?」
森「焼酎お湯割?」
中「それ。それそれ」
中居もいそいそとかまくらに入って、ぎゅうぎゅう狭い中に6人で座る。
焼酎、焼酎ー♪とご機嫌な中居や、もうすでにいい機嫌になりつつある5人だったが、彼らはこのかまくらが興奮しきったボニに突っ込まれ、破壊されるまで、後3分ということを知らない。

(原案ひめ様。ありがとうございましたー!!雪な。雪。スキーも行ってないなぁ・・・)


77日目

こんにちは。
私は稲垣家の猫です。名前はね、稲垣…………やっぱりやめとこうかな。うちのダーが恥ずかしがるから。
私たちは全然構わないんだけど、ダーは私たちの名前を人に言うのを嫌がるの。恥ずかしくてとても言えないんですって。だったらなんでそんな名前付けたのかしら。
あ、ダーって言うのはね、稲垣吾郎っていう人間のオス。職業はアイドルで、かなり人気があるみたい。私から見ても、人間の中でかなりイケてるほうだと思うわ。ま、当然よね。私たちの世話をしてるくらいなんだから。
ここのところ、ダーの友達とかいう人たちと、毎日一緒に夕ご飯を食べてるの。何でもその人たちと100日続けて夕飯を夜7時に一緒に食べると100万円もらえるんですって。変な人たち。私にいわせると、100万円くらいで何を騒いでいるのかしら、って感じなんだけど、まあダーもそれなりに楽しんでいるみたいだから付き合ってあげてる。
でもね、あれだけは何とかしてほしいわ。ダーたちがみんな忙しい人だってことは知ってるけど、たまに私のごはんが猫まんまっていう、ごはんにお味噌汁をかけただけのものになるの。
あれは正直そんなに美味しくない。それしかないからしかたなく食べてはいるけれど、あれをまるでご馳走のように私たちに食べさせる人間なんて、はっきり言ってセンスを疑うわね。幸いダーの友だちには料理上手な人が多いから、まだマシだけれど。
今日も台所からいい匂いが漂ってくる。何か作ってるのはきっと木村くんね。彼の料理は結構センスが良くて好き。体のことまでちゃんと考えてくれてるし。ただ、犬の匂いと海の匂いが染み付いてるのが玉にきずね。ボニータは確かに分をわきまえていていい子だけれど、やっぱり猫にとって犬っていうのはどうしても相容れない部分があるもの。
まあそれでも我慢できないって程のものじゃないから、とりあえず台所に入っていった。足元にでもじゃれついてたら、何かくれるかもしれない。私っていくら食べてもこのナイスバディを維持できる幸せな体質だから、間食したって全然平気だし。
木村くんは鼻歌なんか歌ってる。こんなときはたいてい上機嫌なとき。ほら、ちょっと甘えて見せるとニコニコ笑ってマグロを一切れくれた。
あ、これは食べたことがあるわ。マグロのカルパッチョとかいう名前で、ときたまダーも作ってくれる。だけど、ちょっとダーのとは味が違うみたい。単純にうまい下手だけじゃなくって、味付けにも個性って出るのよね。
そのとき、玄関のドアがガチャリと開いた。普段ならそんなことはしないんだけど、美味しいカルパッチョをもらっていい気分になってたから、お出迎えすることにした。

重たそうに扉を開いてはいってきたのは中居くん。この人も結構好き。何となく同類って感じで、一緒にいてもあんまり構わないでいてくれる。
だけど今日の中居くんはちょっと変だった。玄関に座り込むと、力が抜けたみたいにそのまま床へと倒れこむ。フローリングに頬を寄せて、気持ちいい、なんて呟いてるし。
何かしら?どうかしたの?いつもなら、中居くんはこたつに直行するのに。投げ出された中居くんの腕にちょっと触ってみると、何だか熱いような気がした。ねえねえ、どうしたの?中居くん、って鳴いてたら、台所から木村くんが出てきた。中居くんを一目見ると血相を変えて飛んでくる。
「中居、どうしたんだよ。お前、熱あるじゃねえかっ!」
それからの木村くんは素早かった。
中居くんの荷物を片付け作りかけの料理が散乱している台所を片付け奥の方の部屋から毛布を持ってきてリビングでちょっと足をとめて何か手紙みたいなのを書いて毛布で中居くんをくるむとあっという間に家から出て行った。
私に、留守番頼むな、って一言だけ残して。

「「「「「「いただきまーす」」」」」」

今日もダーたちはみんなで夕ごはんを囲んでいる。
ダーが教えてくれたんだけど、木村くんは中居くんを病院に連れて行ったんですって。
中居くんは熱が高くておかゆを食べることになったって言ってたけど、どうしてみんなおかゆを食べてるのかしら。まあ、私たちはカルパッチョがたくさん食べられるから、文句なんて言うはずないけど。
やっぱりダーたちってちょっと変かも……。

(稲垣家のお嬢さん編、ばーい、ひろひろ様っ!ありがとうございますー!見たいな、お嬢さんたち。吾郎様と一緒のところが見たいです。お嬢さんたちぃ!)


78日目

こんにちは。
お久し振りです、木村ボニータです。寒さも少しずつ和らいで、春の足音が待ち遠しい今日この頃、皆様はいかがお過ごしですか?
ボニは、こんなふうに季節の挨拶もできるくらいに大きくなりました。
あれ?春?でもパパとお友達の100日チャレンジって、前に花見とかもしてたような……100日?
あ、今「天の声」とゆーのが聞こえてきました。『それは言わないお約束(はぁと)』なんだそうです。

今日、ボニはちょっと困っています。なぜならパパもお友達もみーんなご機嫌ななめだからです。
ボニがパパに甘えてみても、いつもなら頭をいっぱい撫でて、ぎゅって抱きしめてくれるのに、今日は怖い目でどこかを睨んでたり、ゴミ箱やなんかを蹴飛ばしたりしてるんです。
吾郎くんのところのお姉さんたちも何だか不満そうです。お姉さんは、「今日ダーったら全然私たちの話を聞いてないの。くやしいから後で肩と頭に一度に飛び乗ってやろうかと思ってるんだけど、ボニータ、あなたも来る?」なんて言ってました。ボニはパパに仕返しなんて思いつきもしなかったけど、やっぱりお姉さんたちはすごいです。でもお姉さん、ボニが吾郎くんに飛び乗ったら、吾郎くんがつぶれちゃうかもしれないので、やっぱりやめときます。

「ただいまー」
森くんが帰ってきました。森くんはパパたちとは違うお仕事をしているので、帰ってくる時間も違うんです。
「うわ……どしたの?みんな」
森くんはご機嫌ななめのパパたちを見て、おろおろしています。
「今日さあ、ビストロの撮りだったんだけどさあ」
パパの声、怒ってる……。森くんもちょっとびくびくしてるみたい。
「ゲストがさあ、あのおばさんだったんだよ」
誰?あのおばさんって。ボニにはわからなかったけど、森くんは誰のことかわかったみたいで、げっ、て顔してため息をつきました。
「そっか。それじゃあしょうがないよね。だったら今日は俺が夕飯作るよ」
?????
何が『しょうがない』の?なんで、『だったら』森くんがご飯作るの?
ボニの頭の中は?マークでいっぱいになってしまいました。

それから森くんは、台所でみんなのご飯を作り始めました。最初は一人で作ってたけど、だんだん台所に一人二人と集まってきて、結局、パパたちはみんなでご飯を作りました。

「「「「「「いただきまーす」」」」」」

もうパパたちは誰も怒ってなんかいないみたい。みんなにこにこしています。
ボニの頭の中はまだまだ?がいっぱいだけど、ひとつだけ、よくわかったことがあります。それは、パパたちは本当に仲良しなんだなあってこと。
パパたちのことがとってもうらやましくなった、ボニなのでした。

(木村ボニータ編今日のわんこ風、ばーい、ひろひろ様!もう撮影しちゃったのね・・・。あのおばちゃん・・・!怖い!!怖いわ!!あのおばちゃん(笑)!!)


79日目

某雑誌の対談を終えてフフンと鼻歌なんぞを歌いながら、上機嫌で楽屋のドアを開けた。
「たっだいま〜」
「「「・・・おかえり、木村くん」」」
室内にいた吾郎と慎吾、そして剛が声を揃えて俺を出迎えた。けど、その声は暗くてしかもどことなく不機嫌で・・・。
「? どうしたの、おまえら。そんな顔して・・・」
吾郎は、髪型が気に入らない状態で本番を迎えた時のような顔で雑誌をめくっているし、慎吾なんかは顔にでっかく『不機嫌』の三文字が書いてあるかのような表情で頬づえをついているし。だけど、この二人がむっとしているのはそう珍しいことじゃないんだな、これが。俺が驚いたのは、この二人に加えて剛までもおもしろくないような顔をしていたからで。剛がこんな顔するのって、最近なかったよな?
「おい・・・」
「おかえり、木村くん。お疲れさま」
「あ、森。一体どうしたってんだよ、こいつら」
今日は生放送のMステだから、晩ご飯は楽屋で弁当ってことにしたんだっけ。森はそのために、さっきこの局にわざわざ潜り込んだってわけだ。
(どうやって入ったかは俺にも謎だ(笑))
森は秀麗な眉を困ったように寄せて、おかしさを堪えるようにそっと俺に囁いた。
「あのねえ、さっきJr.の子たちが挨拶にきたのね。ほら、今日少年隊のバックで踊るじゃない?」
「Jr.全員でここに来たのか?」
「ううん。Jr.代表として数人来ただけなんだけどね」
「じゃあ、そいつらがうざったかったから不機嫌ってわけじゃないのか」
「違うよお。そこまでみんな心狭いと思う?木村くんじゃあるまいし」
 ・・・悪かったな。
「問題だったのはね、代表で来たJr.の子たちの面子なの。どうもさ、『尊敬する人・中居くん』っていう子ばっかり来たみたいで・・・。もう、目をきらきらさせ て中居ちゃんにまとわりついちゃってさあ。で、中居ちゃんもああいうひとだから無視できなくって、にこにこと相手しちゃってんの」
「中居はJr.の間で結構慕われてるもんな。そいつらだけじゃなくて、今日きてるJr.の中にもまだいるんじゃねーの」
「そうなんだよねえ。それで中居ちゃん、その子たちにお願いされてJr.のいるリハ室に行ったきり、まだ帰ってこないの」
「・・・でも、それとあいつらの不機嫌ってなんか関係あんの?」
「だからあ、要するにね」
 森はくすくすと慎吾たちを盗み見た。
「みんな、すねちゃってんの」
「はあ?」
「自分たちの中居くんなのに、Jr.に取られちゃった感じがして面白くないの、みんな」
 ・・・マジかよ・・・。みんなガキじゃあるまいしさ。
「木村くんも間近であの光景見たら、きっと僕らと同じ気持ちになると思うよ」
 本当かあ?たかがそれくらいで・不機嫌になるわけ?
「まあとにかく!俺、そろそろ中居呼んでくるわ。もうすぐ7時になることだしさ」

リハ室に着いた俺は、そっとその扉をあけて中の様子を窺ってみた。中居は室内の中央にいた。わらわらと詰め寄る大勢のJr.に囲まれて、中居は綺麗に微笑んでいた。
ちくしょう、(性格はともかく)相変わらず可愛いじゃねか。なーんか、年取るごとに綺麗になっていくよな、こいつって。
頬を紅潮させて話し掛けてくるJrの一人一人に平等に笑いかける中居。顔見知りのやつには特に優しい笑みを浮かべて対応している。
・・・そんなに愛想よく笑いかけなくてもいいだろ!
そうした光景をじっと見ているうちに、俺のこめかみに青筋が浮かんだ気がした。
あっ!馬鹿、そんなに中居にくっつくな!・・・どこのどいつだ、あいつはっ!なんか、すっげーむかつくんだけど・・・!
そう思ってから、俺ははっとした。だって、これじゃあ俺、慎吾たちとほとんど変わんねえじゃん・・・。
苦笑を浮かべながらも、堂々と中に入って中居に近づいていった。何人かのJr.が俺に気がついて、きらきらした目で見てきたけど、眼中に入らない。
悪いが今の俺の使命は、敵陣の中から囚われの中居を救い出して、無事にみんなの元へ連れて帰ることなんだからな!
「正広」
あえて『中居』ではなく、名前で呼んでみた。呼び方ってのは、親密度があらわれるっていうしさ。
すると中居は、目尻の切れ上がった大きな瞳をさらに大きくさせて驚いたように俺を見た。
そりゃそうだよな。局とかスタジオでは、最近ずっと苗字で呼んでたし。でもさ、「中居くん」「中居くん」って苗字を連発してるJr.と同じ呼び方なんて、ぜってー嫌。・・・うわ、俺って結構ガキでやんの・・・。
「正広、もうすぐ7時だぜ。みんなもう準備できてるんだけど」
「あ、わりい。・・・んじゃ、またな」
最後にまたJr.に向かってにこっと笑った中居を見て、何だかさらにむかむかした。
だから俺は、隣に並んだ中居の背中にさりげなく手を回した。
どんなに慕っても、中居は俺たちの中居だって示すために。俺たちSMAPの中居だって見せつけるために。性格悪いって思うなら勝手にそう思えってんだ。Jr.にどう思われようが、関係ないね。
ちょっぴり不機嫌な俺をいぶかしそうに中居が見上げる。こいつって、ホント綺麗なアーモンドアイだよな。
「行こうぜ。『みんな』がまってる」
「? あ、うん」
中居に笑いかけながら、俺は背中に回した腕に力を込めた。

そして、午後7時。

「「「「「「いただきます」」」」」」

慎「このからあげ食べる?中居くん、好きじゃん、からあげ」
森「中居ちゃん、お茶飲むよね?あ、それとも違う飲み物の方がいい?」
吾「中居くん、ちゃんと野菜も食べなきゃだめだよ。君はただでさえ野菜不足なんだから」
剛「あ、じゃあ僕のサラダあげるよ、中居くん」
さっきまでの不機嫌さを振り払うかのように、「かまってオーラ」全開でにこにこと中居にまとわりつく4人。さっきは余裕かましてた森まで加わって中居を甘やかしてるし・・・。
中「・・・どしたの、おまえら。なんか気味わりい・・・」
剛「何いってんのっ」
森「こんなに僕ら中居ちゃんのこと愛してんのにっ」
慎「あ。中居くんは僕たちのこと愛してないんだーーーーっ!!!」
中「・・・馬鹿、ちっげーよ」
中居は微笑みながら、きーっとなる慎吾の頭をよしよし、と昔よくやったように撫でてやった。その笑みは、少し困ってたけど、すごく綺麗で・・・。
慎吾なんかは、それだけですぐに上機嫌になった。
でも、機嫌がよくなったのはみんな一緒で。何だか中居の本当の笑みを見てたらほっとしたっていうか・・・。
うーん、きっとみんな今の気持ちは同じなんだろうな。
『中居は誰にも渡さない』
だって中居は、俺たち『SMAPの中居』なんだからね。

(by山口海青様。きゃーーーーー!!!すみませーーーん!!そう・・・これはMステ出演の時にいただいていたもの・・・。すっかり韓国レポなどにかまけて・・・さぁ〜・・・。ありがとうございましたぁ〜!)


80日目

「きーむらっ!」
「・・・・・・・・何?」
中居の満開の笑顔の呼びかけに、声だけ聞いたら不機嫌そうに、顔だけ見たら、つられて蕩けそうな笑顔で木村は答えた。
「晩飯、肉が食いたいな〜〜」
「昨日もそれじゃなかった?」
「昨日は刺身だったじゃん!イカそうめん〜」
そうそう、昨日はクール便で、直送されたとれたてのイカをきれいに捌いて生卵と、醤油をかけて食べたんだった。あれはうまかったよな〜すっごい甘くてさ。二人でおいしさを頭の中で再現していると。
「中居さん、打ち合わせお願いします!」
「あ、はい。今行きます」
中居は、一瞬前とはまったく違った厳しい顔でスタッフの声に振り向いた。
それを見て木村は、苦笑する。苦笑して、中居のリクエストどおり夕食を「肉」にすることにして、中居より一足早くスタジオを去ったのだった。

「ただーいまー・・・・・」
靴を脱ぐ木村の両手には、スーパーで買い込んだ夕食の材料。
お出迎えにきたボニータの頭をなでてやることを後回しに、居間へ。
「なんだ、お前らだけか」
と、こたつに並んではいっているしんつよを横目に、台所に行こうとして、慎吾に止められた。
「木村君冷たい・・・・・・・」
「ああ?」
「だって、こんなにかわいい弟が苦しんでるのに・・・・・・・」
上目遣いに慎吾に睨まれて、木村は小首をかしげた。
別に慎吾具合が悪そうには見えない。今だって、コタツの上には自分で作ったんだろうクッキーがのっているし。
と、すれば、剛だけど。
その剛は、慎吾の肩に頭をもたれさせて目をつぶっている。
「剛、具合悪いわけ?熱?」
「うん・・・・・ちょっと歯がね・・・・・」
そろそろと慎吾の肩から頭を起こして、頬を押さえ、くぐもった声で剛が答えた。痛そうに、眉をしかめている。
「虫歯?」
「いや、親知らずかな・・・・わかんないけど、虫歯はこの前治療したし」
「ふぅん?」
そうか、それは大変だな、そんな感じで鼻から息を出すと木村は今度こそ、台所へ荷物を置きに・・・・・・・・・。

「・・・・・・・やっぱり冷たいよ」
消えた木村の背中を恨むように見ていた慎吾が、再びもたれてきた剛の頭をなでながら、呟いた。
「・・・・そうかな」
瞼を閉じて、剛が相槌を打つ。はっきりいって、どうでもいい。
「そうだって!つよぽんが中居君だったら、せめて近寄って口の中みるくらいはするんだって」力説する、慎吾。
「するのかなぁ・・・・・・・」
「するよ、木村君、中居君のこと大事なんだから!!」
「そうだね・・・・・・・・・」
「・・・・・・・誰が冷たいって」
急に慎吾の背筋が伸びたので、剛の頭は肩から滑り落ち膝へ着地した。
ふわふわとした布団が、柔らかく受け止めてくれる。
「・・・・・木村君、何?」
「いや、剛に氷」
その氷よりも冷たい声に、慎吾は黙って膝の上の剛の頬に、受け取った氷枕を乗せてやる。一瞬、剛の表情が緩んだ。
「・・・・・・・・病院、いったわけ?」
「行ってない・・・・・・」
木村の顔が見えてない剛はごくごく普通に、答えた。
木村の顔が見えている慎吾は、視線をはずして無駄な抵抗をしてみた。
「熱とか腹痛なら、まだなんかしてやれるけど、歯だったら、専門家でもないんだから、俺は何もできねーだろ」
「はい」
「俺が口の中みて、治るんならともかく」
「はい」
「気持ちの問題って言うなら、それが俺の気持ちだし」
「・・・・・・・・はい」
「中居なら、確かに口の中見てやるけど」
「・・・・・・・・・・・うん」
「ということで、剛連れて病院行って来い」
「・・・・・・・・・・はぁい」

二人を見送って、木村は一つ、ため息をついた。
そして、携帯を取り出す。

6:00

「ただいまーーーー」
「おう、お帰り」
「あれ、中居ちゃん早かったね」
「ん〜〜」
中居の返事に苦笑して森は台所で孤軍奮闘している木村のところにも顔を出した。
「木村君、一人?」
「うん?お帰り」
「手伝うよ。しんつよは?」
「歯医者」
「へぇ〜〜〜で、中居ちゃんなんで拗ねてるの?」
「・・・・・・・・・」

6:34

「ただいま」頭と肩に一匹ずつ猫を乗せた稲垣吾郎、帰宅。
「吾郎、爪立てられてないわけ、その状態」
「平気。ちょっと立てられているほうが、気持ち良いんだよ」
「・・・・・・・・・・・へぇ・・・・・」
その反応に、吾郎はあれっと思った。
「中居君、元気ないね」
「元気だよ!」
「そっかな」
「そーだって!」

6:51

「ただいま帰りました!!」
「おかえり〜二人とも」
「剛、大丈夫?」
「うん、平気、ちょっと詰め物がとれてたみたいでさ」
「あ〜〜痛いね、それ」
「おい、誰か手伝えよ」
「は〜〜い」

7:00

「「「「「「いただきます!!!!!!」」」」」」

スマ家。今夜の夕食のメニューは。
豪華具入り、中華粥。
プラス、柔らかくて、噛まなくても済むおかず数品。
木村の心遣いが、剛は嬉しくて、治療が終わったばかりなのにも関わらず、元気に箸を動かした。

10:00

誰もいない居間でニュースが始まった画面をぼんやりと見ている中居を風呂上りの木村が発見した。
黙って、部屋を横切り冷蔵庫からビールを2本取り出すと、中居の前に1本置く。
「つきあえよ」
「・・・・・・いや、いい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・あっそ」
プルを勢いよく抜くと、ぐいっと、飲み干した。
たちまち1本空く。そんな木村のハイペースな飲み方に興味を示すでも止めるでもなく、中居はやっぱりぼんやりとテレビの画面を見ている。
なんだか、無性に腹が立つ。
俺だって、別にいつもいつも、中居に甘いわけじゃないし、剛の虫歯は突発的事故なんだから、約束反古にしたって、しかたねーだろ!
なんでそんなに、俺と目、あわせないんだよ!
そんなもやもやをぎゅーーーっと、小さく小さくまとめると、大きく一つ息を吐いて外に出す。
2本目を少しずつ木村が飲み始めると、中居が唐突に口を開いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おれも、虫歯になろうかな・・・・・・・」
「なんで」
不機嫌な声で答えたら、中居はやっぱり唐突にこちらを向いてきれいな笑顔で小さく言った。
「木村に、甘やかしてもらえるから」
「・・・・・・・・・・・・・・ばっかじゃねぇの」
「俺、ばかだからいーーーの!!」と、すばやく腕を伸ばすと中居は木村の手元からビールを奪い去った。
何も言わずに睨んだら。
「いいじゃん、俺にくれたんでしょ」
CMよりもずっと自然な笑顔で言われて何もいえなくなった。
ーーーーーーあーーー俺ってやっぱり、こいつに甘い!

(by植木屋様。いつもありがとうございますぅーーーー!!かぁわぁいぃいぃぃーーー!!)


<ぼしゅーちゅー!!>

SMAP100日チャレンジの、ある1日を書いてくれる人、ぼしゅーちゅぅーーー!!こんな1日はどう?というネタだけでも嬉しいの!書き方は自由なので、どんどん書いて、100日チャレンジぼしゅーちゅぅー!!係までお送りくださーい。特別に、何日目かがいいっ!って人は、それも書いてやってくらさいね!集まったら、どんどん発表していくじょ!
不明点がくさるほどあると思うので、お問い合わせくださーい!

 

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