OL進化論26巻より (秋月りす著)
●温故知新婚
1コマ目:おばあちゃん「ん〜、最近の若い人はなかなか結婚しないんだねぇ」孫「っはは、そーね」
2コマ目:おばあちゃん「昔はね、『一人口は食えなくても二人口は食える』っていってね、貧乏でもとりあえず世帯を持たせたもんだけど」
3コマ目:孫『あ。年収200万の独身よりも、年収400万の共働きの方が生活の質は上・・・』
4コマ目:孫「おばあちゃん!それ古くないって!これからの考え方だよっ!」
09/06/08 『ずっと待ってる・・・』
<テレビを見ているゆっきーたち>
深澤酒店のテレビで流れているのはスタンダードなトンカツの作り方。
ゆっきー「何これ」
茂「今朝の料理番組。トンカツだったから、慌てて録画したの」
ゆっきー「なんのために」
茂「邦之くんのために」
ゆっきー「なんで?」
茂「だって跡継ぐんでしょ?とんくにの。だからこれ見てトンカツ作りを学んでもらおうかと思ってさ」
ゆっきー「な、茂。俺店継がないよ?」
茂「ふーん。・・・えぇ!?なんで?だって区役所辞めたら店継いでもらうぜって勢いだったじゃん!」
ゆっきー「俺なんか雇う余裕ないんだって」
茂「おじさんがそう言ったの」
ゆっきー「うん。だから消して」
茂「うん。解った」
で、チャンネル変えたら。
区長『こんにちは、区長です』
ゆっきー「・・・消して」
茂「はい・・・」
どんよりゆっきー。その頃、とんくにでは、この腕ならどこいってもやってけるね!というスミさんと、邦夫ちゃんが揉め中。
<春乃かえってくる>
春「ただーいまー」
ゆっきー「おかえりー」
春「あれー?邦仕事休み?・・・じゃなかった」
ゆっきー「そ」
茂「いまニートくん」
ゆっきー「2ヶ月前に戻ったって感じかな」
春「あたしにできることがあったら、何でも言って。手伝うし」
ゆっきー「うん。ありがとう。あ、そうだ春乃。俺もう大丈夫だからな」
春「何が?」
ゆっきー「区長の前でフィアンセのふりしてくれたじゃんか。あのウソはもう終了。ね、俺のことは気にしないで好きな人のもとに突っ走っていいから」
春「・・・お、おぉーー・・・」
しかし突っ走っていいものか。突っ走れるものなのか、春乃。
茂「今ってヒマなんだよね」
ゆっきー「ま商店街のことはあるけど、婚活と仕事はなくなったからね」
茂「たまには3人でぱーっと遊びに行かない?」
ゆっきー「そんな気分じゃないけどな」
茂「そういう気分じゃないからこそ行くの!春乃、明日バイトは?」
春「お休み」
茂「邦之くんヒマだもんね」
ゆっきー「俺ダメだ。商店街の人たちの説明会あるんだわ。別の日が」茂「いや明日!だって午後からだったら!それでいいよな」
強引に明日の予定を入れてくる茂。
じゃあ、明日2時、現地集合ねーととんくにに戻ろうとしたら、とんくにから邦夫ちゃんと、スミさんが飛び出してきて、大揉め。
二度とくるか!な騒ぎに。
ゆっきー「どうしたんだよおやじ」
ふんっ!て店に入っちゃう邦夫ちゃん。
ゆっきー「ほら親父、何があったか知らないけど、キレ過ぎだって」
邦夫「あぁ!?」
ゆっきー「スミさんだってお客さんとして来てくれたんだろ?そんなんだったらお客さん寄り付かなくなっちゃうぞ」
邦夫「うるせぇよ」
<ではなぜ明日であり、現地集合でなければならなかったのか>
それは、茂が現地に行かず、ゆっきーと春乃を二人で遊びに行かせるため。
そして明日は春乃の誕生日。これが茂から春乃への誕生日プレゼント。
茂「俺さ、春乃と邦之くんは、絶対上手くいくと思うんだよね。春乃は今色々と悩んでると思うけど、今の邦之くんは一人の女性として意識してない。こんなに小っちゃい頃から知ってる妹みたいな存在なんだよ。でも大丈夫。一人の女性として意識した時の、春乃の破壊力はもうハンパじゃないから」
春「そんなことないよ・・・」
茂「あるの!それは俺で実証済み。だろ?俺は春乃の恋を応援する」
グッドラック!と春乃を応援する茂でした。
<その頃区役所では>
周五郎さんがパソコンで商店街活性化のための資料を作成中。匠は見てるだけー(笑)
そうして出来上がった資料を、区長にプレゼンしてきてと言われて、ああああ・・・!な匠。区長は苦手なんです。とっても。
区長は区長で、ストーカーっぽい区民からの葉書に困惑中。だから、匠が周五郎さんに区長室に放り込まれた時は、机の下に退避。
機敏。区長は機敏!
でも、プレゼンまではできない匠なので、空気が微妙なとこだけを察知して、資料だけ置いて、こそーーっと出ていくことに。
桜「逃げてるわけじゃないですよね」
匠「もちろんです」
<匠から説明変わってと頼まれるゆっきー>
ゆっきー「それは無理だってー」
匠「頼むよ。馴染みのあるお前が説明した方が商店街の人も聞いてくれると思うしさ」
ゆっきー「そんなことないって。言っとくけど、俺無職だからね。そんな俺に将来なんて語れないって」
匠、どよーん。
ゆっきー「匠ー、今のおまえなら大丈夫だって。こないだだってあいつにがつんっ!と言ったじゃないか」
匠「それ周五郎さんにも言われたけどさ・・・」
ゆっきー「この資料だって、俺ちゃんと出来てると思うよ?」
匠「それ周五郎さんが作ったもんだしさ・・・」
ゆっきー「へ・・・?」
<翌日、春乃の誕生日、他色々ある日>
春乃は現地に向かいます。
ゆっきー「おはようございます!」
ゆっきーは商店街の人たちをお出迎え。
ゆっきー「匠、頼むぞ。じゃ、周五郎さん始めましょうか」
桜「お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。お手元に資料配らせていただきますので」
どよーーんとしたまま、そーっと振り返って、ふわーっとしたダメな笑顔に。手にな言うこと書いてます。もうどっきどきね!
同じ頃、春乃は優子から、いかにしてプロポーズされるかのレクチャーを受けており、勝は、可愛い声を出した後、区長に再開発計画を説明中。
桜「二瓶の方からさくら地蔵商店街から再開発プランについてご説明させていただきたいと思います」
よれよれな匠。
匠「みなさんこんばんは。・・・・・・あ、すいません。こんにちは。二瓶です。二つの瓶と書いて二瓶です」
商店街の人「名前なんかどうでもいいから、早くしてよ」
では、ご説明させていただきます。と、3人がそれぞれに説明スタート。
匠「テーマは、縁結びです。まずは皆さん、あちらをご覧下さい。この町のシンボル、さくら地蔵です。ご存知でしたか?あのお地蔵さんには縁結びのご利益があるんです」
神頼みかよ!と文句も言われたり。
しかし、この商店街は、縁結びの町としての可能性を秘めてるんです!
匠「婚活バーとして活動している深澤酒店はかなりの賑わいを見せていますし」
シャッター閉まってます。
匠「・・・今は営業時間外なんであれですけど。素敵な縁を求めて、この町に人が集まってくる。皆さんも様々な営業形態を模索していただき、皆さんの手でこの町を復活させるんです!」
やった!言い切った!
けれど、反応はとても悪かった。具体的ではないと。
ゆっきー「確かにあいつの計画の方が商店街は活性化されるかもしれませんが!そこには皆さんはいないんですよ!だったらみんなで力を合わせて!」
商店街の人「それができるならとっくにやってるよ!」
商店街の人「俺たちだって閉めたくて閉めてる訳じゃねんだからよ!」
ゆっきー「でも諦めんのが早いんじゃないかなーって」
そしたら、おまえ解ってないって言われたゆっきー。
仕事もしてないいい加減なやつが口は挟めない。時間の無駄だったなと帰ろうとする人々。
邦夫「待てよ。最後まで話聞いてやれよ。確かにいい加減なやつだけど、こいつなりに商店街のこと考えてるよ。話聞いてやってくれよ」
スミ「でも邦之くんは跡継ぐ気なんかないんじゃないの。結局、邦之くんにとっちゃこの商店街がどうなろうが関係ないんだよ」
商店街の人「そうだよ。息子だからかばう気持ち解るけどさ」
商店街の人「甘いんだよ。そんなだから邦之はとんかつ屋の癖にトンカツ嫌いなんだよ」
とんくにをどうにかしてもらいたいんじゃないの!?とぎゃーぎゃー言われる邦夫ちゃん。
そしてついに、ゆっきー、切れる。
ゆっきー「トンカツトンカツってうるせんだよ!何だよ!トンカツが揚げられなかったら商店街の将来考えちゃいけないってんですか!あーそうですか!揚げるよ!揚げてやろうじゃんかよ!」
邦夫「は!?」
ゆっきー「だからとんかつ揚げるつってんだよ!」
商店街の人「言ったな!」
ゆっきー「おぉ!おぉぉ!言ったよ!おぉ!」
<ゆっきー、初めてのトンカツ>
携帯おいて、料理人のカッコで、材料の前に立つゆっきー。
オーダーはロースカツ定食。
ゆっきー「・・・かしこまりました」
商店街の人「邦夫さんは手伝ったらダメだからな」
匠「大丈夫、邦之」
ゆっきー「大丈夫じゃねぇよ・・・。でも、1つだけラッキーなことがあったんだよ」
匠「なにが」
ゆっきー「俺、昨日さ、とんかつの作り方をビデオで見た」
桜「じゃ、作り方はばっちりですか」
ゆっきー「ふんわりなんですけど・・・、直視できなかったんですよ。でも見ないよりましでしょ」
桜「ま、まぁね・・・」
邦夫「邦之、ちょっと」
ゆっきー「ん?」
奥に座る邦夫ちゃんに呼ばれるゆっきー。
邦夫「おまえに一つだけアドバイスがある」
ゆっきー「お!なに?」
邦夫「とっとと謝ったほうがいい」
ゆっきー「えっ?」
邦夫「おまえには無理だ。トンカツはそんな甘いもんじゃない」
ゆっきー「それがどこがアドバイスなんですか。もういい。親父には頼らないから」
つんっ!と材料の前に戻るゆっきー。バットの上にお肉がどーん!
ゆっきー「親父。1つだけ教えてくれないか」
邦夫「なんだよ」
ゆっきー「どっちがロース」
そこからかーーー!!!
あ、でも、私と赤い怪獣ちゃんはとんかつ屋で、ヒレカツ定食を頼んで、これロースじゃあ?という形状のものが出てきたことあったんです。イメージとして、ロースは横長であり、ヒレは、小さい丸、と思ってたもんですからね。でも、食べてみたら、いや、ロースのような脂がないわ。これはヒレね。
とまぁ、形だけではよく解らないという話ですが。
春乃は現地について、茂も追いかけて、プレゼントを渡してたんですが、ゆっきーは、まったくそちらに意識はいかず。
ロースはこれだということを理解して、その肉の塊をぐにぐにしてから、ぐにぐにとカット。揺れるから、菜ばしでぶっさしてぐにぐにカット。それだけでどんだけ美味しくなさそうに見えるか(笑)
どんくさい作業をじーーっとみられ、衣もついたところで、ようやく油に投入したら。
すんごい静か。
ゆっきー「あ、火、火だ」
商店街の人「えぇ・・・・・?」
ゆっきー「ちぇ」
次はいい音が出ましたが、投入したところで次の作業にかかるゆっきー。意外と余裕。キャベツの千切りしてますが、いや、それはなにか違う。何もそんなくしきりみたいにしなくても、それやったら油かけて、オーブンとかに投入して焼きキャベツにしたら美味しい、みたいな(笑)
ポテサラも用意、ネギもカット。目に染みる。その最中も揚がり続けるカツ。
桜「雨宮くん」
ゆっきー「はい」
桜「とんかつ・・・!」
ゆっきー「あぁあぁ。おぉーーセーフ!」
匠「アウト、でしょ」
ゆっきー「えっ?」
桜「黒いもん」
ゆっきー「うそ。まじかーー。まじか!」
春乃からの電話もかかってきてますが、気づかないゆっきー。
ようやくなんとか形になりまして。
ゆっきー「できたー」
商店街の人「おぉーーやっとかよ!」
ゆっきー「ハイお待たせしましたロースカツ」
邦夫「だめだ。こんなのお客に出せねーよ」
商店街の人「でも、一応できてるだろ」
邦夫「こんなもん出したらお客に申し訳ない。作り直せ」
ゆっきー含め、全員ががっくし。
続いて、第2弾完成。邦夫ちゃんに見せに行くゆっきー。
ゆっきー「どう?」
邦夫「ダメだな」
商店街の人「あぁーー!なんで邦夫ちゃんが審査するんだよー!とっとと出してくれよー」
ゆっきー「な、親父、せめてどこが悪いのかだけでも教えてくれないかな」
邦夫「そんなもん食ってみりゃ解る。とんかつを食えない奴には何言っても無駄だよ。自分の口に入れられないものを客になんか出せる訳ないだろ」
ゆっきー「食えばいいのか」
匠「え?」
邦夫ちゃんにお盆もたせて、一切れとるゆっきー。
あぁ、でも無理。やっぱり無理。うじうじしながら、鼻つまんで。
邦夫「鼻つまんで食う客はいねぇぞ」
うぉーーー!!えいっ!思い切って齧って、もぐもぐもぐっ。
商店街の人「食った」
匠「食った!」
桜「食べましたね」
ゆっきー「はぁっ・・・!」
邦夫「どうだ」
ゆっきー「解んないっ。ちょっと油っこいのかな。もっかい・・・!」
邦夫ちゃんからは、油の温度が低いという指摘が。後7度上げ、カツから目を離さない。音を聞く。
邦夫「油がパチパチ言い出した瞬間を聞き逃すな。上げるのはその時だ」
ゆっきー「解った」
そのゆっきーを見て、匠は店を出て区長の元へ。
匠「あいつは、ほんとに苦手なとんかつ食ったんです。だから僕も苦手な区長に会いに行きます」
周五郎さんとともに、始球式の会場へGO!
その現場で、区長のストーカーと遭遇し、一応守ろうとして失敗。顔に傷を負う匠でした。
ハヤミさんがカッコよかったですよ。回し蹴り決まってね!やっぱり、あたしんちの男子の井上さんの友達だと思う。すごいカッコいい。
やたら強い女性秘書とか、やたら強いメイドとかを輩出している組織があるんじゃなかろうか。
<ついにロースカツ定食が完成>
もう4時15分。
なおやってるゆっきー。
4時25分。何度目かは解りませんが、完成。邦夫ちゃんちょっと首傾げるが、何も言わない。
ゆっきー「大変お待たせしました。ロースカツ定食です」
客「これでまずかったらゆるさねぇからな」
当然、これは美味い!となるべきシチュエーションですが、なんとトンカツは食えたもんじゃないほどにまずい!
うわぁ・・・ってゆっきー・・・。
スミ「うーん。まずいね。でも、いいトンカツだ。これは、いいトンカツだよ」
そうだな。確かにいいな。まずいけどな。
口々に言う商店街の人たち。
スミ「邦之くん。これはいいトンカツだよ。まずいけどね」
なんとも言えない顔のゆっきー。邦夫ちゃんも笑ってます。それを見て、ぺこっとおじぎのゆっきー。
<匠にはばんそうこうがよく似合う>
かるーーく顔をナイフでやられたので、周五郎さんにバンドエイドを貼られる匠。
匠「いてててて!」
桜「いやー、でもこの程度の傷ですんでよかったんですよー?」
匠「すいませんでした、周五郎さん」
桜「なんで謝るんですか」
匠「僕、結局、区長になにも説明できなかった」
桜「でも区長を守った。名誉の負傷です。やっぱり似合いますねぇ、ばんそうこう」
匠「せっかく取れたのになー」
そして区長は、やたら強い女性秘書ハヤミさんに、前の日に匠が置いていった資料を見せてくれるように言うのでした。
ハヤミさん持ち歩いてますからね。
<茂が勝手に告白を>
君は、一体それだけの時間何をしておったの?マンガ喫茶でも行っていたの?というのどの時間がたち、茂が戻ってきたところ、とんくに大盛り上がり。
商店街の人「邦夫さんの最高の食材使ってあそこまでまずいトンカツ作るって!」
スミ「ほんと、跡継ぎさせないで正解よ」
茂「邦之くん、何やってるの」
ゆっきー「おー、茂」
茂「おー、茂じゃないでしょ 何やってんのおって」
ゆっきー「おまえこそ何やってんだよ。あれ?春乃?おまえ一緒じゃなかったっけ」
茂「俺は急に行けなくなって」
ゆっきー「俺もなんだよ。急にトンカツ作る羽目になっちゃって。お待ちどうさまでした」
茂「何考えてんだよ!」
ゆっきー「え?」
茂「春乃待ってるんだよ!?」
ゆっきー「ちょと何だよ、茂おまえだって」
茂「俺。俺はいいの」
商店街の人「茂、おまえ急に入ってきて何言ってんだよ」
茂「黙ってて!邦之くんと喋ってるんだから。春乃、今でも待ってるよ。あいつ今日のこと、すごい楽しみにしてんだか」
ゆっきー「いや・・・」
茂「今日は春乃の誕生日なんだよ!」
ゆっきー「あそっか・・・ごめん・・・」
茂「邦之くん、あいつ絶対待ってるよ、早く行ったげて!」
ゆっきー「だったらおまえがさ」
茂「俺が行ったって意味ないんだよ」
ゆっきー「え?」
茂「春乃は邦之くんを待ってんだよ!」
ゆっきー「なんだよそれ」
茂「だから、春乃が好きなのは邦之くんなんだよ!」
はぁ!?と店内一同。
ゆっきー「・・・茂、おまえそれまじで言ってんのかよ」
茂に詰め寄るゆっきー。
ゆっきー「おまえそんなこと・・・!」
しかし茂の目は真剣だ。
こりゃいかん!トンカツ作りのカッコのまま現地に急ぐゆっきー。走って、走って、これまでの春乃のことを思い出しながら!
だから!物理的にどんくらいの距離の場所なの!その大階段は!
カップルが鈴なりだった大階段、ゆっきーがたどりついた頃には、春乃が一人っきり。
寝ちゃってます。
隣に座るゆっきー。
あら、凛々しい横顔ねー。
でも、ちょっと距離のある二人の背中でした。