09/06/15 『クニが好き』
<帰って来た二人>
果たして家からどんくらい離れているのか、いまひとつよく解らない大階段から帰ってきたゆっきーと、春乃。
ゆっきー「結構歩いたね」
春「うん」
ゆっきー「なんか悪かったな」
春「ん?」
ゆっきー「あのほら。こんなかっこじゃなかったら誕生日のディナーおごってあげるのに」
とんかつ屋スタイルのままのゆっきー。
春「よくゆーよぉ!どんなかっこしてても、結局茂のとこだったでしょっ」
ゆっきー「まそっか。じゃ、俺」
春「え?」
ゆっきー「着替えてくるわ」
春「あ、そ。じゃあたしも荷物置いてこよっかなー」
ゆっきー「う、うん。んじゃまたね」
春「うん、後でね」
手がもそもそしているゆっきー。春乃を見送って。
ゆっきー「はー・・・」
どうしたもんかととんくにに入ろうとしている腕をがしっ!とつかんだのは茂!
茂「今春乃と一緒だったよね!てことは無事会えたんだよね!」
ゆっきー「しーしーしー・・・!」
茂「(大声)よかったー!よかったー無事会えてよかったー!」
ゆっきー「しー!」
茂「でもなんでこんな早い時間に帰ってきちゃったの?てか何で春乃帰っちゃったの!?」
ゆっきー「荷物置いてくるって。俺も着替えてここで飲むって」
茂「そっかぁ〜。・・・なんでここなのよ!ありがたい!ありがたいけども!ディナーでしょ!ワインでしょ!」
ゆっきー「トンカツ揚げてたんだって話をしたら、俺に気を遣って、じゃ着替えてって。茂にも祝って欲しいんじゃないかなって」
茂「え?そうか?」
ゆっきー「俺着替えてくるから」
がしっ!
茂「ちょちょっと!!」
ゆっきーをカウンターに座らせる茂。
茂「春乃は邦之くんに何か言った?」
ゆっきー「いや、ま、来てくれてありがとうって」
茂「それから」
ゆっきー「なんでそんな格好してるのって」
茂「じゃなくて!心の想いみたいなものをさ!」
ゆっきー「それは・・・・」
茂「なし!?」
立ちあがるゆっきー。しかし座らされる(笑)
茂「邦之くんは何か言ったの?」
ゆっきー「俺、だから、遅れてごめんって」
茂「いいよね、それから?」
ゆっきー「誕生日おめでとう」
茂「うん。で!?」
ゆっきー「とんかつ揚げた話」
茂「それから!?」
ゆっきー「は別に・・・」
むきーーー!
茂「何やってるのよ!春乃の元に走っていったんでしょ!何か言うこたあるでしょ!伝えることが!春乃がどんな思いで!」
ゆっきー「だから!だから茂な?俺だってよく解んないんだよ。どう喋ればいいのかとか。急だったから。うん・・・」
今度こそ立ち上がり、帰っていくゆっきー。
ゆっきー「な、茂さ。あの、俺が知ってることはあいつに言わない方がいい、んだよな?」
茂「・・・そうだよね」
ゆっきー「ケーキ・・・!俺ケーキ買ってくるわ。な?」
茂「いってらっしゃい」
<ちんまりケーキで誕生日パーティー>
一人でぺろりといけるぜ!という可愛いサイズのケーキを置いて、ハッピバースデーを歌うゆっきーに茂。
二人「おめでとー」
春「ありがとー!」
かんぱーい!のどかー!
茂「よーしじゃあ春乃食べてー」
春「はーい。じゃいただきまーす!美味しいーーーー!」
茂「なんてったって邦之くんセレクトだからね」
春「邦、ありがと」
ゆっきー「う、うんうん」
春「茂も食べよ」
茂「うん。うまい!前にもこうやってなんか春乃の誕生日の日に誕生日に一つのケーキ食べたよね」
春「あたしが高校の時ね」
茂「邦之くん、覚えてるでしょ?」
ゆっきー「あぁ!春乃の誕生日直前に先輩に告って振られてっ・・・・」
春「そうそう振られた時。あん時さー、二人が必死にあたしの事慰めてくれてさ、嬉しかったー」
ゆっきー「そらそうだね、俺たちは兄弟・・・」
あーーーってゆっきー!
茂「あ!写真!写真撮ろう!23歳なり立ての顔」
春「いいねそれ」
振り向いて写真に写る春乃。ゆっきーも、ちょいと横向いて一緒に写るんですが、鼻かきかきととにかく落ち着かない。
<翌朝のさくら地蔵商店街>
春「おはようございまーす!」
元気にやってくる春乃を続々出迎える、商店街のおじちゃんたち、おばちゃんたち。すごい笑顔たち。
ん?どした??と春乃が首をかしげていると。
スミ「あー春乃ちゃん、昨日の、邦之くんとのデートどうだった?」
春「え?」
なぜそんなことを!と思ったら、それはもちろん茂が大声で春乃の気持ちを言ってしまったから。
春「茂ーーー!!」
きゃーー!!怒られるー!
春「信じられない!あれだけ誰にも言わないって約束したのにみんなの前で!?」
茂「ほんとにごめん!」
かつかつっ!
春「邦にも?」
茂「いや、邦之くんには・・・・・・・・・、ごめんなさい!」
怒られるっ!と思った茂だけども、春乃も神妙でした。
春「ごめんね・・・」
茂「え?」
春「あたし、茂に怒る資格なんかないよね。茂、あたしのこと思って言ってくれたんだよね」
茂「春乃・・・」
春「でも、でも、やっぱり、自分で言いたかった・・・」
しょぼーん・・・と去っていく春乃。
そこに、何も知らないようにした方がいい体で元気に登場してくるゆっきー。あ、私に気をつかって、と、気付いてしまう春乃。人の気持ちはややこしやー。
ゆっきー「春乃、おはよう。何?どしたの」
茂「いや」
振り向かないまま去っていく春乃。
ゆっきー「え?おい春乃!」
茂「ごめん。ばれた」
ゆっきー「えっ!?・・・まじで!」
あぁ、今の何もしらない体が、また大変傷つけるようなことに!
<さて、婚活女王は>
プロポーズされにでかけていった優子は、聞かないで!でも同情の目もやめて!
伊藤勝からプロポーズを期待しているならやめてくださいと言われたけれども、でも私に落ち度はない!と強気です。
このお店も可愛いなーー。どこなんだろう〜。
可愛いお店がたくさん出てきますね、婚カツ!は。
<ゆっきーは真琴に呼び出される>
高台の公園的なところに呼び出されたゆっきー。
真「聞いたよ。春乃ちゃんのこと」
ゆっきー「話があるってそのこと?」
真「で?」
ゆっきー「でって」
真「あーちょっとやめてよ。あたしが邦のこと断ったからって恋に臆病になってるとかっていうの。ていうか、あれ恋じゃないと思うし」
ゆっきー「え?」
真「そりゃ邦の心の奥底なんか解る訳ないけどさ、あたしは恋じゃないと踏んでる」
ゆっきー「え?」
真「大体邦さ、まともに恋とかしたことないんじゃないの?」
ゆっきー「おい、おまえね」
真「冗談。私が知ってるのは、小学校6年までの邦だもん。あたしに解る訳がないよね」
ゆっきー「でも真琴の言ってること、間違ってないかもしれないなー」
真「そっか。でもだからって。人の恋心まで同じだと考えないようにね?」
ゆっきー「・・・」
真「ずっと邦のそばにいて、当たり前のように見て来た春乃ちゃんがさ、特別な気持ちを持つようになったのって、私はすごく素敵なことだと思うな。まぁそこに邦がすごく戸惑ってるんだろうけど。たまにはそういう想いをしてみるのもいいんじゃない?」
ゆっきー「何、人ごとだと思ってさ」
真「人ごとだもん。あたしが何言っても、これは邦と春乃ちゃんの問題。しっかり悩みなさい。あたしの話は以上。帰ってよし!じゃね」
ゆっきー「じゃねー」
男らしく真琴が帰り、ゆっきーは難しい顔。
<しかし婚活バーは楽しげ>
匠「新規の客が結構入ってる」
茂「前ここでカップルになった人の口コミで」
桜「そういうのいいじゃないですか」
ゆっきー「区長の反応どうだったの婚活タウンの」
匠「それちょっと」
にぎわう婚活バーであれやこれや喋ってると、優子も来店。
優「こんばんはー」
茂「いらっしゃいませー」
優「お酒下さい」
ゆっきー「でどうだったの」
匠「あぁそれがさー、伊藤勝に渡っちゃって」
何!?と反応する優子。
ゆっきー「なんで伊藤勝に!?」
桜「素晴らしい企画だから、活用しなさいって伊藤勝に」
ゆっきー「だからなんで伊藤勝に!」
ごん!
優「ちょっと。私の前で二度とその名前口にしないで!」
桜「え!?あいつになんかやられたんですか!?」
匠「ふられたとか!」
優「はぁーー!?」
キレる婚活女王。
優「大体ね、何が婚活バーよ」
山田優の残念な弟「こんばんは」
優「ほらまた男!婚活バーってのは、男がいて、女がいて、初めて成り立つの!この店男だらけ!男女の比率くらい考えなさい!あーしょうがない!明日私がどーんと女の子連れてきてあげるから!」
山田優の残念な弟「明日絶対来ます!」
とんくにの店内でさえ、婚活バー深澤の盛り上がりは解るほどの盛り上がりでございました。
<そして閉店後>
茂「春乃来なかったね。やっぱ怒ってんのかな」
ゆっきー「な、茂」
茂「ん?」
ゆっきー「なんか、悪かったな」
茂「何で邦之くんが謝るのよ。春乃との約束破っちゃったの俺なんだしさ。邦之くんは何にも知らなかったわけだし」
ゆっきー「知らないからって、傷つけていいってことでもないし。それに茂にもキツイ想いさせちゃったなって」
茂「え?へへ。何言ってんの。邦之くん、そんなこと気にしてくれてんの?俺は今や春乃の恋の応援団長なんだから。そういうのはいいよ!ね」
ゆっきー「いや俺さ、春乃のこと、ずーっと傷つけてきたんだよね・・・」
<翌日、日が高い時間の婚活バー深澤>
すでに来ている山田優の残念な弟。
ゆっきー「おまえさ、こんな時間にお客さん来るわけないだろ?」
茂「女の子が来るからって張り切り過ぎなんだよ。てか張り切るんならもうちょっと張りきれよ!」
山田優の残念な弟「変ですか」
ゆっきー「変っていうか、このボサボサ頭ないんじゃねぇの?あそうだ」
商店街に椅子を出して、ビニールかぶらされてる残念な弟。ゆっきーは弟を連れてくる。
ゆっきー「ヤス来たぞ、おい」
弟「道具もなくてどうすりゃいいんだよ」
ほら、と渡される普通のハサミ。ハサミはハサミでもそれは無理。一応弟もプロですから。
ゆっきー「プロ用のハサミなんてある訳・・・あ!」
という訳で、青空美容院開設。
春乃が帰ってくると、すでにカット中。
春「こんなとこで何やってるの」
茂「小松改造計画」
スミ「最近の流行りってそういうのなんだ」
スミさんところから道具を借りてやってます。
邦夫「なにやってんだおまえら」
楽しそうなので邦夫ちゃんも登場。
春「あー、邦夫ちゃん!ヤスの青空美容院中」
スミ「ダメだよ、そんなんじゃ!ここはもっとばしゃっと切った方が」
弟「バックも残しとかないとカッコつかない」
スミ「襟足はどうするの?」
弟「抑えめに」
スミ「なーるほどね」
弟「トリマーあります?」
スミ「手動バリカンならあるけど」
それならハサミで、とやってみるけど、普段やってないので、ちょっとぎこちない弟。そこでやってみせるスミさん。
先輩の話は聞いておくもんだという邦夫ちゃん。
あぁ、美しき光景・・・!
にこーっと微笑みながら眺めていたゆっきーは、はっ!と気付きました。
ゆっきー「茂さ、これ婚活バーの売りになると思わない?なに?モテ系に改造しますって」
茂「それいいじゃん!だったら服も春乃にスタイリングしてもらって!」
春「え?」
茂「ね!邦之くん」
ゆっきー「そ、そうだな、服もあれだし、どうだろ、春乃(もごもご)」
春「あ、うん・・・」
ものすごいぎこちない二人。
その後、道具を返して、しんみり喋るゆっきーたち。
弟「ありがとうございました」
スミ「俺の方こそ、ありがとう。流行りのカットが見れたし、楽しかったよ」
ゆっきー「すみさん。もう1度」
スミ「邦之くん、言いたいことは解るけど、やっぱり難しんだよ。この年で一度閉めた店をまた開けるっていうのは」
あぁ・・・ってゆっきー」
スミ「じゃあね」
ゆっきー「どうも」
<婚活バーは今日も盛況>
婚活女王は、これで意外と女性の友達が多い。女性の友達が多いのに、婚活にいそしめるなんて、すごいわ婚活女王!
茂「いやー、優子さんのお友達のおかげで雰囲気ばっちりですよ」
優「これでこそ婚活バーでしょ」
春「小松改造計画もうまくいったし」
ゆっきー「いけるかもねー婚活タウンも」
と、一緒にナッツに手を出し、あぁっ!となる二人。ぎこちなし。
春「(あせっ)優子さん、お友達紹介してくれません?うちのショップ宣伝しちゃいますから」
春乃はその場を離れ、残ったゆっきーはなんともぎこちない。
そんな中、とんくにに出前の依頼で戻ってきたゆっきー。
ゆっきー「串カツ3人前出前頼むって」
弟「どう小松」
ゆっきー「女の子と楽しそうに話してるよ」
弟「やったじゃん」
ゆっきー「ありがとな。おまえ飲んでかないの?」
弟「カットの練習するわ。あ、あのさ」
ゆっきー「何」
弟「ありがと」
ゆっきー「なんで」
弟「なんとなく。じゃあね」
ゆっきー「なんだあいつ」
邦夫「嬉しかったんだろ、スミさんとの青空美容院がさ」
ゆっきー「え?」
邦夫「昔はあそこも繁盛しててな。若い理容師つかって、客が中にはいりきらないときなんか、今日みたいに表に椅子出してやったもんだよ」
ゆっきー「うん」
邦夫「惣菜屋とか茂のとこなんかも、表に椅子と机出して、毎日が祭りみたいだったな」
ゆっきー「祭りねぇ。あ、そう言えば俺が子供の頃、商店街で祭りやってたもんね」
邦夫「あれは楽しかった。一番景気いい頃は花火まであげちゃってねぇ。懐かしいねー」
ひじとついて、顎を手で支えている!それ好き!なポーズのゆっきー♪♪ん??と気付きました。
<お祭りをやりましょう>
とんくにでのランチタイムで説明するゆっきー。
桜「いいですね、縁日」
ゆっきー「でしょ!店を開けるのは無理でも、椅子とテーブル出して、まだある在庫とか食べ物とか売ったらなんとかなるんじゃないかっと」
匠「商店街の人も参加しやすい」
ゆっきー「真琴のアイディアで浴衣きるんだよな」
真「レンタル浴衣の手配は任せて」
ゆっきー「必要な人は真琴が着つけて、ヤスはセット」
桜「いいね、女性の浴衣」
ゆっきー「ま、合コンと言うより、縁結びの縁日になればいんじゃないかなって」
お祭りでは、昔から男女の出会いもあった訳だから、婚活タウンにはふさわしいんじゃないだろうかって周五郎さん。
匠「縁結びのさくら地蔵もあるしね」
ゆっきー「縁結びの町、いいじゃんね」
て訳で、商店街の人たちに出店をお願いにいくゆっきー。
おじちゃんたちは、生暖かい目で見守ってくれてます。春乃とのことを。
<婚活バー深澤の春乃>
春「私も縁日なんかやろうかな」
茂「おぉ!やればいいじゃん邦之くん喜ぶよ。(はっ!あせっ)いや、変な意味じゃなくてさ、縁日の責任者としてさ!」
春「ごめん。また茂に気ぃ遣わせちゃった」
茂「俺は気、遣ってなんか。てかさ、俺のせいでなんか変なことになっちゃったけど」
春「それはもういい。私が臆病なだけだから」
茂「俺は春乃にぶつかってよかった。後悔はない」
春「ふふ」
えいっ!と茂にちょっかいだす春乃。
茂「おいやめろ!なんだおまえ!」
きゃっきゃきゃっきゃ!子供な二人でした。
<ゆっきーはマスコット作り中>
とんくにのカウンターで、ちくちくお裁縫するゆっきー。
ゆっきー「これ、縁日で売るの」
邦夫「なんだこれ」
ゆっきー「見りゃ解るだろ?さくら地蔵のマスコット」
邦夫「さくら地蔵!?これがー!?」
フェルトのマスコットですからね。フェルトの。でかいし(笑)
ゆっきー「うるさいねー、さくら地蔵は町のシンボルなんだから縁日で売ってPRするの」
邦夫「なんだよ、そういうの春乃ちゃん得意なんだから。・・・」
ゆっきー「あいつも、店忙しんだよ」
いてっ!
そんなお約束をゆっきーがしてる中、春乃はバーで一人。
今日は毛先がくるくるね。
指をさしながらも、ゆっきーはマスコット作り続けてますが、そのぶっちゃいくな手つきったら♪かわゆらし〜♪
<縁日前日>
準備に時間がかかってー、と、夜遅くに帰ってきたゆっきー。暗いとんくにのカウンターには春乃がひとり。
春「おかえり。邦夫ちゃんね、食肉組合の会合行った」
さくら地蔵マスコットを作ってくれてます。
ゆっきー「あ、そ・・・。春乃、何それ作ってるの」
春「んー?あぁ、お昼ご飯食べに来たら、あったの。あたし、明日バイト休んだから、あたしに任せて」
ゆっきー「いやそれはいいよ。それは俺がやるから春乃は春乃で大事なこと自分で・・・」
春「これだってあたしの大事なこと。あたしだって商店街のためになんかしたいもん。後、言っときますけど、明日は縁日だから、前から休みもらってました!それと。こんなに下手っぴなの、売り物になりませーん!」
あーそーですかって顔をするゆっきー。
春「邦ってこういうお裁縫、昔から全然ダメだったよねー」
ゆっきー「・・・ありがとな」
春「うん」
ゆっきー「だったら最初から春乃に頼めばよかったな」
隣に座るゆっきー。
ゆっきー「一緒に作ろっか」
春「おぉ?」
ゆっきー「おぉー?おぉー?したら、俺がこれ切るから春乃、それ作って頼むぞ」
並んで作る二人。
そして、ゆっきーはちくちくしている春乃の横顔を見てみたり。
ゆっきー「そう言えばさ、春乃」
春「ん?」
ゆっきー「昔さ、俺とヤスの取れたボタン、よく付けてくれたよな」
春「邦夫ちゃんのもねー。あ、覚えてる?邦の入社式朝、スーツのボタンが取れてるの気付いて学校行く途中のあたしつかまえてさ、ボタンつけさせたの。あれで遅刻したんだからね?」
ゆっきー「だからお詫びにケーキ買ってやったじゃんか」
春「その時もケーキだったね」
ゆっきー「今日のお礼もケーキにしよっか。ケーキがあると春乃はいつもにこにこしてたよな」
春「そうだっけ」
ゆっきー「うん。いつも、してたよな」
春「何?」
ゆっきー「え?ううん。あそうだ。春乃さ、花火も大好きだったね。明日、打ちあげ花火あるよ」
春「ほんと!?うれしー。みんなで見に行かない?花火」
ゆっきー「行ったね」
子供時代を思い出してみると、邦之少年が、綺麗だね、春乃と言い、幼児春乃が、私、大きくなったら邦のお嫁さんになる!と宣言し。
あらっ!?私ったら、そんな昔から!?
ゆっきー「どうした?」
春「あ、ううん。なんでもない」
ゆっきー「ん?」
<縁日当日>
ゆっきー「いやー、はじまりますね」
商店街の人たちも大盛り上がり。浴衣の女の子もやってくる。
周五郎さんは、商店街の由来を語ったりして、あちこち楽しんでます。
春乃は、真琴に浴衣を着つけてもらうことに。
春「浴衣きるのはお客さんだって」
真「看板娘が着なくてどうするの。うんと綺麗になって祭りの責任者驚かしちゃおー?」
そして完成した春乃は。
真「邦!」
ゆっきー「何、どした」
真・弟「せーの。じゃーん」
と、大変可愛く登場。
ゆっきー「おぉ〜・・・」
邦夫「春乃ちゃーん!」
真「可愛いでしょ」
茂「やーばい可愛い!
邦夫「な」
ゆっきー「え?、うん。うん」
優「春乃ちゃん、すごく似合ってる」
春「ありがとうございます♪」
優「ま、色気は私の方が勝ってるけどねー♪」
弟「なかなかのもんでしょ、俺がやった髪」
ゆっきー「うん」
弟「ところでさ、兄貴がぐずぐずしてるんだったら、俺先にきしてもいい?結婚?」
ゆっきー「おまえ、春っ!?」
おまえが春乃と!?と突如驚くゆっきー。
弟「違うよ、おれが結婚するのは、俺の彼女」
ゆっきー「びっくりした!」
邦夫「ヤス、結婚するの!?」
春「言っちゃったー」
邦夫「え?春乃ちゃん、知ってたのかよ!」
春・弟「ねーー」
茂「ねーじゃねぇだろ!順番ってもんだあるだろう、順番ってもんが!」
縁日は夜までにぎわいを見せ、ゆっきーはただいまヨーヨー釣りの担当。
春「くに、これで最後だって」
ヨーヨーもってきて、かえっていく浴衣の春乃を見送るばかり。
おじさんらもゆっきーの元へ。
商店街の人「二人のおかげだよ、俺たちがやる気出せたの。邦之くんと春乃ちゃん、盛り上げようと思って参加したんだよね」
ゆっきー「ちょっとあの・・・」
でもやってるうちに楽しくなったし、結構カップルもできたみたいだし、大成功だな、と。
ゆっきー「みなさんのおかげです。ありがとうございます」
スミ「あのー、みなさん。どうでしょう。今日の調子で、ここを離れないで、がんばってみるのって」
こうして、みんなで知恵を絞ってがんばろうか!という話に。
ゆっきー「みなさん!がんばりましょう!ね!」
しかしその後突然の豪雨。打ちあげ花火は中止に。春乃がっくし!
深澤酒店の入口で、春乃がっっっ!くし。
ゆっきー「いやーすごいわ。春乃?残念だったね、花火」
春「うん。でもしょうがないね」
ゆっきー「しょうがないね」
茂「じゃみなさん、打ち上げ始めよか!」
ゆっきー「じゃ、飲もっか」
春「私、いい。じゃね。おやすみ」
豪雨の中、傘さして帰る春乃。絶対やだ!洗える浴衣であっても、そんな豪雨の中帰るのはいーやーー。
茂「邦之くん!乾杯の音頭!」
呼ばれてゆっきーは中に行き、雨の中春乃はさくら地蔵マスコットを手に立ち止まる。
いやー!そんな雨の中出てくのはいやー!下駄がだめになりそう・・・!
ゆっきーは打ち上げ中も外が気になってしょうがなく、ふと出てみたら、もう雨はやんでいたのでした。
ゆっきー「やんだ」
<夏の夜、二人で河原で花火>
お約束か!!
美しいね、お約束は。
ズブ濡れであったろうに、呼び出されて浴衣でやってくる春乃。
呼び出したゆっきーが待ってます。
ゆっきー「お、春乃。ごめんね。急に呼び出しちゃってりして」
春「ううん。花火できるようになったの?」
ゆっきー「ううん。だからこれ。じゃんじゃーん」
花火セットが登場。花火大行列!
春「みんなは?」
ゆっきー「茂のとこでまだ盛り上がってる。春乃が残念そうにしてたからね、2番目に」
ん?って春乃。
ゆっきー「1番目は俺だけどね。ほら、付き合ってよ」
春「うん。どれにする?」
ゆっきー「どれから行く?」
きゃいきゃいと二人で花火。楽しげな二人の美しきお約束。
最後は線香花火になるのも、美しきお約束。
ゆっきー「あぁ、おちたー」
春「ありがとね、邦」
ゆっきー「喋ったら落ちちゃうって」
春「落ちちゃっていいから言うね。私、邦が好き。・・・ちゃんと自分で言いたかった。・・・だーいすき」
ぽろっと落ちる最後の線香花火。
ゆっきー「春乃、俺さ」
春「でももういいの。邦は優しいから、あの時も来てくれた。この花火だって、いつものケーキと一緒。邦にとってあたしは、いつまでもちっちゃい妹の春乃だから」
ゆっきー「春乃」
春「そのうちお嫁に行っちゃうけど、それでも、たまに会うとバカばなして、けらけら笑って、今日のこともけらけら笑えて。あたし、邦に告白したねとか、あたしと邦は、いつまでも変わらない関係でいられて」
ゆっきー「春乃」
春「こないで。優しすぎるのって残酷だよ?」
動けないゆっきー。
春「ごめん。明日になったら、いつもの春乃だから」
そして春乃は駆けていく。さくら地蔵マスコットが落ちている。
困ったまんまのゆっきーは、果たしてどうする!?