天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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このページの画像は、すべてyen様の作品です♪

スペシャル番外編後編『間違えた荷物を届ける』

スペシャル番外編前編のあらすじ。

「由紀夫が時間指定で荷物を届けようとしていた時、若い男に自転車でぶつかられて倒れてしまった。由紀夫を助けたその若い男は、大事な荷物が入っているバッグを持ったまま逃げてしまう。怒りに震える由紀夫の復讐劇が始まる(ちょっと嘘あり)」

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今日の由紀夫ちゃんのお仕事

その1.届け物「MO」届け先「変な男」

「これだけかよ」
13時15分。招集をかけられ、事故現場までやってきたメンバーを見て、いかにも不服そうな声で由紀夫は呟いた。
「何です!いいメンツじゃないですぁ!」
野長瀬がいい、千明がうんうんとうなずく。
「まぁ、典子がいるだけマシか」
「なぁんで、あたしじゃダメなのぉー!」
「…おまえ自転車乗れたんだ」
「乗れるわよぉ!」
ママチャリに颯爽とまたがった千明が胸を張った。3人ともどこで調達してきたのか、見事なママチャリで、それがまた多少由紀夫に頭痛を覚えさせる。
「…ま、しょうがねぇか」
「由紀夫ちゃん!それにですね、ジュリエットさんも占ってくれるっておっしゃってて!」
由紀夫はじっと野長瀬を見つめ、野長瀬もじっと見つめ返す。
「…丸め込まれてんじゃねぇぞ?」
「何がです?」
「動くのがイヤだからそんなデタラメ言ってるに決まってんじゃねぇか!枯れ木も山の賑わいだと思ってたのによぉ!」
「どゆ意味?」
「千明ちゃんは知らなくてもいいことよぉー」
典子によしよしと頭を撫でられ、ぷぅと千明は膨れる。

自分を含めて4人だが、それなりに目立つ服と、かなり目立つマウンテンバイクと、間違いなく目立つルックスだったから、なんとか見つけられるだろうと思い直した由紀夫は、3人に、探すべき相手の特長を告げた。
「探すのは、20代前半の男。赤いジャンパーと、カーキのパンツ、黒のブーツ姿。ジャンパーと揃いの赤いリュック。ジャンパーの袖と、リュックに揃いの白のマークが入ってる。乗ってるのは、かなり派手なピンクとグリーンのツートンのマウンテンバイク。本人は、170cmくらいで、かなりの細身で、かなりの茶髪、首辺りまでのストレート。流行の小顔で、顔の半分くらいあんじゃねぇかってくらい目がでかい。猫系の二重の吊り目。真っ直ぐに立てば、多分、7・8頭身くらいありそう。そいつが俺のバッグを持ってった」
一気に喋ると、3人の目がぱちくりと動く。
「え…?」
「だから」
もう一度喋ろうとして、由紀夫は野長瀬に押しとどめられた。
「た、端的に言うと?」
「端的ぃー?…これ以上かよ。んー。赤いジャンパーと、派手なマウンテンバイクと、茶髪。これくらいだったら覚えられるな?」
「はいっ!」
13時25分。こうして、『由紀夫ちゃんのバックを奪った男を探せ隊』は出発した。

「やっほー、なっかいくーん」
「中居ちゃん、どーしたのぉー?」
「おっせぇよ!おまえらぁ」
13時15分。こんな状況でも、ちゃんとお昼は食べていた中居は、わざわざ定食屋まで来てくれた香取慎吾と森且行に文句をつける。
「何、その言い方―。しかも、なんか昼飯食ってるし。俺ら途中で来てやったのに。なぁ、慎吾―?」
「そーだよぉー。今度は何やった訳―?」
「今度はってなんだよ、今度はってよぉ!」
中居の前に座った二人は、中居の皿からあれこれつまみながら、中居がメールを無くしかけた時のこととか、間違い配達をして、シャレにならん事態になりそうになったこととか、酔っ払ったらめちゃめちゃタチが悪いとか(それ、関係ない)を楽しげに話し出す。
「い・い・か・ら・ひ・と・の・は・な・し・を・き・け!」
森の右耳と、慎吾の左耳を思いっきり引っ張り、中居は言った。

「人探しー?」
「そうそう」
「どんな人?」
「かっけーんだよ、これが!」
「けっけーのぉ?俺とどっちがー?」
ニパっと笑顔で慎吾が尋ねた。中居は、速攻首を振る。
「慎吾とじゃ比べもんなんねーって」
「へー。じゃあ、俺とじゃあ?」
「森なぁー。んー、どーかなぁ、張るんじゃねぇ?いや、やっぱ、向こうの方かな」
「何でよぉ」
「だって、森ってアホっぽいじゃん?そいつ、結構頭良さそうだったし」
「中居ちゃんにだけはアホっぽいって言われたくないっ!」
「やめなよぉー…、君ら、偏差値38コンビじゃーん。仲良くしなってぇ」
「「中卒がでけぇ口叩くなっ!!」」

そして、3人は黙り込む。
「…俺らってさぁ…、俺としてはすっげ不本意なんだけど、我が社の三バカって言われてんだよねぇー…」
慎吾がぽつんと呟く。
「探せんのかなぁ…。やっぱ、吾郎ちゃん呼ぶ?」
「そんでまたあいつにでけぇ顔させんのかよ!」
弱気になっている森と慎吾に、中居は怒鳴る。
「バカにはバカのやり方があんだ!」
「どんな?」
「カンだよカン」
「…聞くんじゃなかった」
「帰るんじゃねぇーっ!」

うるさい!と定食屋を叩き出され、3バカは中居がその男とぶつかった現場に戻って来ていた。
「それで何だっけ」
「あ?」
「カッコいいだけ?」
「あぁ、えっとカッコよくって、スーツがネズ、あ、グレーで、髪くくってて、ちょっとカッケーチャリに乗ってる。銀色の」
「シルバーね」
「だからっ!日本人なら、日本語使えってのっ!」
13時30分。揃いの赤いジャンパーを着ている3人は、わずかその5分前まで、探している男がその場所にいたことを知らなかった。

自分にぶつかった男が飛び出して来た路地を戻りながら、由紀夫は自分の記憶の中の姿を蘇らせていた。赤いリュックと、ジャンパー。あのユニフォームと、日常使いとは思えないマウンテンバイク。何の職種だと考えた時に、自分と一緒なんじゃないかと思い付く。
「もしもし?」
携帯を取り出し、由紀夫は田村に電話した。
『まだ見つかってないけどー』
「職種限定できるかもしんない!」
『えぇ?』
「宅配とか、バイク便!あ、バイクじゃねぇけど、そういう職種?ちょっとそれで探してみてくんない!?」
『あぁ』
電話の向こうで納得したような雰囲気。
『解った。さ、探してみる』
「頼む」

『由紀夫っ!』
2時10分。電話がなり、千明の悲鳴のような声が聞こえてきた。
「いたかっ!?」
『いたぁ!ちょっと違うけど!いたよぉ!』
「ちょっと違う?」
『んとね、なんかずっと大きいのぉ!』
大きい?
「大きいって、体か?」
『そー!あ、行っちゃうぅ』
「バっ…!追いかけろ!」
『解ったぁ!』
「あ!おまえ今どこ…!」
聞く前に、電話は切れる。小さく舌打ちした由紀夫は、とりあえず千明に割り振ったブロックに向かった。

「あれ?」
2時20分。片側4車線の道路を渡ろうと、信号待ちしていた森は、じっと目を凝らした。向いの道路を、シルバーの自転車がえらいスピードで渡っていく。グレーのスーツに、一つにまとめられた髪。
「あ、あれっ?あれ、そうっ!?」
日頃から慌て症な森は、二度ほど携帯を取り落としそうになりながら、中居に電話をかける。
「中居ちゃーん!いた!えっと」
自転車が向かった方向を告げ、信号が変わったため、自分でも追いかけ始める森。
「確かに慎吾よりカッコいいわ!」
『だっろー?おまえ見失うんじゃねぇぞ!』
「解ってるー」
明るく言った森だったが、すでに由紀夫が細い路地に入ってしまっていた事に気付いてはいなかった。

「千明!」
2時25分。何時の間にか野長瀬と合流していた千明を由紀夫は見つけた。
「あ、由紀夫ぉ」
「どこ行った?」
「ごめん、ごめぇん、解んなくなったのぉ…」
マウンテンバイクとママチャリじゃあ勝負は見えてたか…。
「…どんなヤツ?」
「ほら、千明ちゃん、由紀夫ちゃん怒ってないから!」
「ほんとぉ…?」
「そんな暇ねぇの。でかいって、どんなヤツ?」
「んと、ねぇ…。とにかく、おっきくってぇ。髪、短くってぇ」
「赤いジャンパーだったんだな?」
「そうそう!でも、マウンテンバイクはピンクじゃなかったよ?」
「え?何色?」
「なんか、いろんな色がいっぱい」
「バイクは一緒じゃねぇのか…」

由紀夫の携帯がなる。
『由紀夫さん!いました!赤いジャンパー、派手なマウンテンバイク、茶髪!由紀夫さんのバック持ってます!』
「今どこ!」
『今、キャ!』
「典子!?」
電話しながら歩道から車道に降りようとした典子は、車にあおられてバランスを崩して転んだ。
「イッタぁ…!」
『大丈夫か!?』
「だ、大丈夫…、あーっ!曲がっちゃったぁ!」

「君の名は、見たいですねぇ…」
世代差を感じさせるセリフを野長瀬が言ったように、赤いジャンパーは由紀夫たちの前をちらちらしては消えた。

「RPG見たいだよぉ!」
浮かれた声で言う慎吾の背中を、中居はよく上がる足で蹴っ飛ばす。
「だったらてめぇ!とっととアイテムでもなんでも揃えて、あいつ連れて来やがれ!」
「フラグが立たないっつーのかなぁ。まだイベントとしては早いんだよね、きっと」
仕事には欠かせない周辺地図で、グレーのスーツの男が見つかった場所をチェックしながら、ずいぶんあちこち動いてるなと中居は思う。
中居たちのいる公園の時計が、可愛らしい音で3時の時報を告げた。

「3時…!」
タイムリミットまで後1時間になったところで、由紀夫の携帯がなった。
『わぁかったよぉ〜ん』
「どこ!」
『やっぱり、メールサービスの会社だった。電話番号が』
電話番号と会社名(確かにSで始まる)を聞き、短く礼を告げた由紀夫は、すぐに電話をかける。

そう言えば、中居はどうしたんだろう。内勤は内勤で忙しく、バタバタしていた吾郎は、ふと思った。
「剛―、中居くんたちから連絡あったー?」
「ないけどー。そーいや、どうしたのかな」
「ねぇ」
オフィスの電話がなり、剛が取る。
仕事に戻った吾郎の耳に、半ば悲鳴めいた剛の声が聞こえてきた。
「ご、吾郎ちゃんっ!」
「何」
「カッコよくて、髪くくってて、ねずみ色のスーツの人から!」
「えぇっ!?」

「なぁんで、こんなとこで待ち合わせな訳?」
吾郎からの指示を受けて、「早坂由紀夫」との待ち合わせ場所にやってきた慎吾は、一番についていた森に尋ねる。時間は3時30分。
「しんないよぉ、吾郎ちゃんに言われて来ただけで…。それより、中居ちゃんは?」
「まだ来てないんだ。あの人かなり方向音痴のとこあるからね」
「そだね」
のんびり喋っていると、遥か向こうから、すごい勢いでぶっ飛んでくるマウンテンバイクが見えた。
「あ、来た来た。何だっけ、あれ変な名前ついてんだよね」
「中居くん?そうだよ。えーと、スーパースペシャルケッタマシーンマサヒロエクストラだって」
「何、ケッタマシーンって」
「自転車のことらしいよぉ?」
「ここかっ!?」
そのケッタマシーンを捨てるようにしながらやってきた中居は、二人がこくこくうなずいたのを確認して、そのままの勢いでゲートをくぐってしまう。
「えっ!?」
「な、中居くんっ!?」
呆然と見送る二人は、恐る恐るといった風情で、顔を見合わせた。
「…俺、さぁ…。中居くんのこと、バカだバカだと思ってたけど…。本当に、バカだったんだねぇ…」
「入ってどーすんだよぉ…」

3人が由紀夫と待ち合わせをしたのは、巨大迷路の入り口。
勢いに任せて突っ込んだ中居は、初めての道で迷わずにはいられない典型的な方向音痴だった。

その巨大迷路が、由紀夫が荷物を渡すための場所だった。依頼者から渡された地図があり、その印をつけられた奥まった場所に、もうすでに渡す相手は来ているはずだった。
「あ!あれ…?」
森と慎吾の前にやってきた由紀夫は、小さな姿がないのに戸惑う。吾郎と電話をした段階で、中居に何の悪気もなかったことは確認してあって、もうこれで大丈夫と思っていただけに。
「あの、ごめんなさい!うちの中居、ちょっと、ってゆーか、かなりバカなんで、中入っちゃったんですぅ!」
「えっ?」
「そんで、中居くん、ちょっと、ってゆーか、かなり、方向音痴で…。こんな迷路ミイラになるまで出られません!」
今時、まだ残っている巨大迷路であるから、ちょっとやそっとで抜けられるようなタイプではなく、由紀夫は宙を仰ぐ。
そこに、森の携帯がなった。
「あ!中居ちゃんっ!!何やってんの、出てきなよ!…中居ちゃん?中居ちゃん!?」
森は、呆然と耳から離した携帯を眺める。
「切れた…」
「え?じゃあ、かけ直さなきゃ!」
慎吾がその携帯で中居の番号を押すが。
「…電源が切れてるぅ?」
「まただよ!充電せずに使うからぁ!」

「中居っての?」
「そう。中居正広」
由紀夫は大きく息を吸い込み、思いっきりな大声をあげた。
「中居っ!」
「…何ぃーっ!?」
わずかなタイムラグがあって、返事が帰って来た。
「そこ動くなよっ!!」
地図を片手に由紀夫は迷路に入る。声のした方向に向かえるように、地図を見ながらどんどん進む。
「中居―っ!!」
「ここーっ!!」
さすがの方向感覚で、由紀夫は着実に中居の声が近寄ってくる方向に近づいて行った。

「中居―!?」
「あっ!ここ!なぁ、ここだろ!?」
中居は壁をバンバン叩き、その向いに由紀夫がいる。壁一枚を隔てて、ついに二人は近寄った。さっと地図に目を走らせ、向いの道に入るための道を探す。来た道を戻って、二つ目を左…。
「そっち行くわ!」
「えっ!?」
ダッシュする足音が聞こえて来た。
「バカ!動くな!!」

中居は方向音痴だったが、それに無自覚なタイプ。さらに始末の悪いのは、自信をもって違う道を選んでしまうところであった。
「だって、この向いの道だったら、俺さっきまでいたもん」
『動くな』などという言葉など、まるで聞いていない中居は、まるっきり自由気侭に走りまわっていた。
「あっれ?どっちだっけ…」
どっちもへったくれも、自分がどこに向かってるのかまったく把握できていない中居は、立ち止まって声を上げる。
「なぁーっ!どこーっ!?」
「ここだよ!!だから、動くなっつってんだろーっ!」
「でも、もうすぐだってぇ!」
「何の根拠でっ!!」
由紀夫は、中居の声の大きさ、遠さから、大体の位置を判断して、そちらに向かおうとする。止まってさえいてくれればすぐに捕まえられるのに!と舌打しながら、走っていた由紀夫は、いくつめかの角を曲がり、この場に不釣り合いなスーツ姿の男がいるのに気がついた。

やべ…!届け先だ…っ!
「見つけたーっ!!」
思わず立ち止まったその背中に声がかけられる。
振り向けば、顔中くしゃくしゃにして笑っている、中居正広が由紀夫を指差していた。

何が起こったんだ?という届け先に異常を気付かれないよう、平然とした声で由紀夫は言った。
「中居、荷物」
そのあまりの平然さに、中居はとことこと近づき、バックごと由紀夫に渡す。
「と、届け屋か?」
「「そうです」」
二人の声がハモり、え?と隣を見た由紀夫は、中居が、「あ」と小さく舌を出してるのを見た。
ちょっと下がってろと手で合図すれば、勘は悪くないのか、2・3歩下がってじっと立っている。
MOを渡した由紀夫は、受け取りがわりのポラロイドを撮る。
ジャスト4時。
由紀夫は、心の中だけで、大きくため息をついた。

荷物を受け取った男が、そそくさとその場を離れ、由紀夫は髪をほどいて、大きく頭を振った。
「つっ…かれた…」
「うわー、髪、なっげぇなぁ」
「あ?」
「天使の輪出来てんじゃん。すごくねぇ?」
すごい、すごいと髪に触れてくる中居をじーーーーっと見下ろし、由紀夫は小さく息をすって体勢を整える。
「何で動くんだよっ!!」
「え?何が?」
「ここん中で!方向音痴の癖にっ!」
「俺ぁ、方向音痴じゃねぇよ」
何せ無自覚なため、胸を張って中居は答える。

それだけでも、頭痛がしそうだったのに、次の答えで由紀夫は倒れそうになった。
「だって、迷子になったの、おまえじゃん」
「…はぁ…!?」
「荷物は忘れてくしさぁ、迷子になるしさぁ、探すの、ホンット大変だったんだからなぁー?」
『感謝しろよー?あ、お礼は焼き肉食べ放題でいいや。言っとくけど、メニューに、肉と野菜しかねぇとかはやだよ』などと、キャイキャイ喋っている声を聞きながら、もしかして自分はバカに苦しめられる運命にあるんだろうか、と、由紀夫は考える。

「んねぇー!!由紀夫ぉー!どこぉー!?」
バカ1号の声。
「由紀夫ちゃん!由紀夫ちゃん、間に合ったんですかっ!?」
バカ2号の声。
「…何であいつらまで入ってんだよ…」
「なぁ、出られなくなるぜー?」
それはおまえもだ!!!と思いながら、地図に従ってゴールに向かう由紀夫。
「なぁんかつかれたけどさぁ」
ニコニコしながら中居もついてくる。
「まぁ、ちゃんと渡せたんだから、万事休すだよなっ」
「…万事休す?」
「なぁんだよぉ!おまえもバカチームぅー?結果オーライって事じゃーん!」
違う…。それは、違うぞ…。
学校には行かなかったが、IQ的には結構高かったりする由紀夫はひっそりと頭を抱えた。

「あー!中居ちゃーん!」
「おぉ」
ゴールに待機していた森と慎吾に、中居は鷹揚に手を振る。
「よかったぁ。もう死体探しに行かなきゃいけないかと思ったよ」
「なぁんで。こんなの楽勝だぜー」
由紀夫の地図のおかげで帰ってこれた事は丸っきり念頭にない中居は、くるんと由紀夫に振り向き、そしてにっこりと笑顔になる。今までの無数の細々とした失敗をフォローしてきた、抜群の笑顔。
「見つかってよかったー」
「あ?あぁ…」
迷子になった訳じゃないし、動かないでいてくれたらもうちょっと早くみつけられたけどとか、そういう事は口にせず、一応由紀夫は頭を下げる。
「あ!そんで、今度お礼に焼き肉食わせてくれるって!」
「えーっ!!やったぁ!」
言ってねぇ!!そんな事、ひとっことだって!言ってねぇっ!!

もう2度とあいつとは付き合わねぇぞ!野長瀬と千明を見捨てての帰り道、堅く心に誓った由紀夫だった。

けれど、そんな最悪の出会いをした中居正広と、由紀夫は想像だにしなかった場所で再会することになるのだが、それはまた、別の話。

<つづく>

そんな「別の話」なんぞ考えている訳はないのだった(笑)さ、次週はいったいどんな話だ!?

次回、来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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