天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフト番外編47話中・5編『オーストラリア旅行を届けたい』

前回のあらすじ
「早坂兄弟のうちに忍び込んでいたのは、なんと、由紀夫の父、岸和田であった。岸和田は、父の日に何もしてくれなかった息子たちを怨んでいたのだ!頭おかしいんか!岸和田(笑)!
その頭がおかしい岸和田は、27時間テレビ愛は地球を救う、もとい!照れずに楽しく照れずに愛してのスーパーバスケに出るという野望を持っていたのだった!そして岸和田と四匹の小猫たちというラブリィな名前に、猫しっぽつきの可愛い衣装をきて、可愛いメイクまでされた由紀夫たちは、順当に勝ち上がりお台場フジテレビにやってきた!」

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本番が始まり、由紀夫たちの岸和田と四匹の小猫ちゃんチームは、視聴者からも出演者からも大人気で、あれよあれよと勝ち上がる。
司会者のSMAP中居から話し掛けられちゃった!と舞い上がる正広に、何か釈然としないものを感じる由紀夫だった。

そしてここは。

「フジテレビよ・・・!」
「お台場フジテレビですね!社長!」
「あそこがSMAPの楽屋・・・!」
球体を見上げ、正広は感に耐えないといった呟きをこぼす。
「ここに、フジワラノリカとか、タカシマレイコとか・・・!」
「いねぇと思うぜ、野長瀬」
「何でですか!」
「ところであの二人って同じ髪型だって知ってた?」
腰越奈緒美のセリフに、一同驚く。
「え?」
正広の目が丸くなった。
「違うでしょー!」
野長瀬も力一杯否定したが、奈緒美は言いきった。
「一緒!」
「えぇ〜!?」
「一緒なの!イメージが違うだけっ!」

「・・・どーでもいいけどさぁ、そんな顔で言い張ることか?」

由紀夫の言葉に、3匹の猫が振り向いた。
それにしても、崩れねぇメイクだな、と由紀夫は感心した。

妙に愛想のよい岸和田に引率され、岸和田と4匹の小猫ちゃんはスタジオに入る。
そこは。
「ま、まぶしぃぃ〜・・・!」
「え?照明が?」
ギュ!と目を閉じている正広を見て、そうか?とスタジオを眺めた由紀夫は、正広から腕を引っ張られた。
「SMAP、いるぅ〜・・・!」
「・・・オーラにやられてんじゃねぇっ!」
ぴしっ!と頭頂部をチョップを入れ、ごく冷静に床の材質をチェックする。
「どうだ?」
「ちょっと滑るかもしんないけど・・・、シューズはいてりゃ大丈夫だろ」
由紀夫の答えに岸和田は満足そうにうなずく。
「100万円は3人で分ければいいからな」
「おい、まじでオーストラリア二人で行くつもりかよ・・・」
「え、おまえ、行きたいのか?俺と二人で」
「死んでもいやだっつーの」
これでも一応奈緒美にはお世話になっているし、この訳の解らないオヤジに、奈緒美をいいようにされるのも腹が立つ。
『これって・・・、恋・・・!?』
心で呟いた自分に、由紀夫は大ウケした。大ウケしすぎて、仰け反って笑ったため後に倒れそうになるほどだった。
「にっ、兄ちゃんっ!?」
「あ、いやいや」
笑いながら由紀夫は手を振る。
「なんてーのかなー。おかあさん、さいこんなんか、しちゃ、イヤだよぅ、って感じかな」
ぶははは!と笑っている由紀夫を見て、あぁ、おにいちゃまはどぉしちゃったの?おかあさま、おしえて?と天に祈る正広だった。

「さて、今のところうちはパーフェクトゲームで勝ち上がってきているが、実際の功労者はこの方!」
岸和田は、フジテレビ女子アナを連れてきて由紀夫たちに紹介する。実際のゲームで、どちらも失敗がなかった場合、スタジオで女子アナがフリースロー対決をしていたのだった。フジテレビ入社2年目のあんどーゆーこ(仮名)アナは、ちょっと照れながら由紀夫たちに挨拶した。
「彼女のフリースローは見事だったねー・・・」
「ほんと!すごいうまかったです!バスケしてたんですよね!」
「そんな!ほんとにちょっとだけなんですぅ!」
「いや、すごいよ」
岸和田はさりげに小柄な彼女の肩を抱き、いかにも親しみを込めてます、といった感じでその肩を叩いた。
「お、そうだ、由紀夫」
「え?」
「おまえ、カメラ持ってるだろ。ちょっと撮ってくれ」
「はぁ!?」
由紀夫は何を言ってんだ!?と耳を疑ったが、正広、奈緒美、野長瀬は、撮って撮って!とあんどーゆーこ(仮名)アナを取り囲む。
「え?写真?撮るの?」
「急げ、急げ!あんどーさん(仮名)だってお仕事があるんだし!」
「急ぎなさいよ!由紀夫!」

テレビ局だし!持っていきなよ!と正広に言われて、由紀夫はポラロイドを持って行っていた。そんなことしてもいいのかなぁ、と思いながら、とりあえず1枚撮影する。
「1枚じゃ分けられないですよ!由紀夫ちゃん!」
「てめぇの映ってるとこ切りとりゃいいじゃねぇかぁ!」
「それじゃあ、記念写真にならないよぅ、兄ちゃぁ〜ん」
「解った、解ったっ!」
残り4枚をばしゃばしゃとって、はい!全員分!と手渡すと、正広が今度は兄ちゃんも!と撮ろうとする。
「あら、ひろちゃん、一緒に映りなさいよ。あんた撮って」
が、それは奈緒美に阻止され、野長瀬が再度5枚の写真を撮影した。
「フィルムいくつあってもたんねーじゃん・・・」
「大丈夫っ!」
正広はトランプのように顔の前にフィルムを取り出す。
「たっくさん持ってきた!」
「・・・SMAPの写真は撮れないと思うぞ・・・」
「えー!がんばろーよぉー、兄ちゃぁ〜ん!」
「そうよがんばりなさいよ!大丈夫!別に売ろうって訳じゃないんだから!」
「売る、売らないの問題じゃ・・・、っておまえいいの?岸和田、あんな状態だけど?」
「いいのよっ!!」
こめかき、ぴっきーーーーーっ!!!!と引きつらせながら奈緒美は唸った。
岸和田は気にせず、あんどーゆーこ(仮名)と談笑していた。今ごろ携帯番号の1つくらいは聞き出しているに違いなかった。

しかしそんなノンキな時間はすぐにすぎ、スーパーバスケの準々決勝が始まった。
各地からノーミスで勝ち上がってきているだけに勝負をつけるのは難しそうだったが、岸和田と四匹の小猫ちゃんチームは、そんな手間をかけるのは嫌いなタイプ。
各チームに必ずいる女性にターゲットを絞り、渋い中年が好きそうなら岸和田。どこをどうつついてもおっとこまえが好きそうなら由紀夫、かわゆい弟タイプが好きそうなら正広、ゲテモノ食いそうなら野長瀬をぶつけ、最初っから心をつかんでおく。
そして彼女がスタートする時に目線に入る場所にいて、ウィンクだの、がんばって!ってポーズだので足並みを乱させるのだった。

卑怯!

しかし使えるものは親でも使え、寝てる親を起こしてでも使え!という岸和田と4匹の小猫ちゃんチームは、自らの魅力も最大限に使う。
そうして、堂々(それは堂々か!?)、決勝まで勝ち上がってきたのだった。

「これ可愛くないー?可愛いよなー!」
由紀夫たちを見て、司会の中居が声をあげる。
「中居さん、こちらね、しっぽ動くんですよ!」
あんどーゆーこ(仮名)に紹介され、正広は指先で操作してしっぽを動かす。
「すげー!!」
「でも、これさぁ、ふっざけたカッコしてんだけど、パーフェクトで来てんだよな」

「あぁ・・・木村拓哉・・・!地上に舞い下りた天使・・・!」
「あったま悪そーな表現・・・」
「うるっさいわね!あんたにはわかんないわよ!素敵よねぇ〜・・・!オーラが違うっていうか・・・」

「決勝戦は、パーフェクト対決!両者とも失敗がなければ、女子アナの方々にも入っていただいてのサドンデスフリースローになりますからね!がんばってください!」

今回、相手チームはごく真面目なチームで、ひたすら練習をしていたものだから、たった一人の女子と接触する機会を持てなかった。
「・・・あの人、準決勝の時、木村拓哉と握手してたから由紀夫あたりねらい目じゃないかと思うのよ」
「俺かなぁ」
「俺。今からでも遅くないわ。あっつぅぅぅーーーい!!!まなざしを送るのよ!ほら!送って!送って!」
(由紀夫、熱いまなざし送り中)
「ごめん、俺、完璧シカトされてんだけど」
「・・・あの人、ずぅーっと木村くんのこと見てるんだもん」
「木村っ!木村っ!ウィンクしてやんなさいよっ!ウィンクっ!」

ウーインクっ、ウーインクっ!

四匹の小猫たちは小さく手を叩きながらウィンクコールをしたが、木村拓哉は気がつかなかった。
か。
気がついていて、敢えて無視したかのどっちかだった。

「参ったわね・・・」
奈緒美が小さくため息をついた時、岸和田がその両肩に背後から手を置いた。
「何言ってるんだ!」
オヤジ上司がOLにするように肩をもみもみしながら岸和田は豪快に笑った。
「ここまでパーフェクトに来てるんだぞ!今更そんなせせこましいことを考えるな!」
「おとおさん・・・!」
正広が感動したようにうなずく。
「ここまで来たら俺たちが負ける訳がないじゃないか。100万円とオーストラリア旅行は俺たちのもんだ」
女子アナ、あんどーゆーこ(仮名)も、ポーっと見とれていた。

先攻は岸和田と四匹の小猫チーム。
今までパーフェクトな成績を収めてきた不敗のラインナップが動き出した。
まず、
奈緒美が落ち着いて走り、弱いボールを受け止めた岸和田が綺麗な位置にボールを戻し、野長瀬が。

「あーっ!!」
「お父さんっ!?」
「ちょ!待て、正広・・・っ!」

「なんとか成功ー!」
「って、大丈夫か!?」

木村拓哉が立ち上がって見ているのは、地面に倒れてしまった岸和田だった。
岸和田はジャンプした後、マットを踏み外し、フロアに倒れ込んでしまったのだ。驚いた正広が変な方向にボールを飛ばしてしまい、慌てた由紀夫だったが、そこはそれ、伊達に早坂由紀夫を張っていないから、ワンハンドでキャッチして、無理矢理ダンクした。
「ちょっと!あんた大丈夫なの!?」
「あぁ、平気平気・・・」
笑いながら岸和田は体を起こそうとしたが、眉間に皺を寄せてうずくまってしまう。
「足・・・!?」
「あぁ、大丈夫、大丈夫。ちょっとぶつけただけだから、あぁ、泣くんじゃないよ、ひろちゃん」
「・・・泣いてまでは、まだ・・・(笑)」
「立てるのか?」
「平気、平気。由紀夫ちょっと腕貸せ」
由紀夫の腕に捕まって、岸和田は片足でたった。
「右足か・・・」
岸和田の踏み切り足は右だった。
「ちょっと、無理か・・・」
「バカ言ってるなよ!」
岸和田は笑った。
「目の前に100万円と、オーストラリア旅行がぶら下がってんだぞ?」
にや、と笑った岸和田は、あ、てめちきしょっ!と言う男前っぷりだった。
「とりあえずテーピングして、後・・・最後にまわしてくれるか」
「解った」
由紀夫は即答し、みずからの手でしっかりしたテーピングを施した。
正広は、相手チームに、熱い視線を投げかける。誰か!誰か動揺して!
そして相手チームの第一回が始まった。

<つづく> 


あぁ!中・5って何!?
これはね、中編の半分って意味よ。おかしい終わるはずだったのに!ごめんなさーい!!

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!