天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

Gift番外編』

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ギフト番外編61話『ひろちゃん、見失った道を探す』

「今日の話ができるまで」
私は、ここ数日、非常に忙しくしている。韓国に行くまでにやっておかねばならないことが山盛りなのだ。あぁ、しかも、ギフトのネタも何もない。どーしよーかなーどーしよーかなぁーーーー今度はあいつら、韓国いかすかなー。そーいや、もう来週は、韓国かー、ふむぅーーー。と思っていたら、赤い怪獣が電話をくれた。私が韓国でHPの更新ができるのかが解らない!頼む!調べてくれ!とお願いしていたら、調べてくれていたのだ。その報告を聞きながら、ついでにネタも貰ってしまった。ありがとう!ありがとう赤い怪獣!LOVE!ふぉーえばーー!!!!」

yukio
 

「ミツオカ・・・」
正広は呟いた。
その言葉は、事務所からの帰り道、正広の耳に入ってきた。
『ミツオカってカッコいいよな』
自分とあまり変わらない年代の高校生同士が喋っていたのだ。

誰だろう、ミツオカって。

正広は考えながらうちに帰りつき、じっと考えていた。が、あ、友達?友達か。と思いつく。
ミツオカくんね。ミツオカくん。カッコいいんだ。うんうん。
ん?でも・・・。

『見たことないんだよぉ』

って一人が言ってたっけ。
ってことは、芸能人・・・?芸能人で見たことないってのはおかしいか。・・・バンドの人とか?
あ!ストリートミュージシャン!
どっかにいるんだよね、きっと、ミツオカさんって人。ミュージシャンで・・・。ひょっとしたら、バンド名かも。なんか、もうなんでもありっぽいしさぁ。
どんなバンドなんだろ。
19とか、ゆずとかみたいなのかな。
・・・あ!?326とかかな!なんて言うんだろ、書家ってゆーか・・・。
あぁいう人たちは、なんて呼べばいいのかな。イラストレーター?でも、イラストだけじゃないんだよね、重要なのは、どういう言葉を書くかなんでしょ?
多分、ミツオカさんって言うのは、そういう人たちなんだな。
原宿とか、そゆとこにいるんだよ。言葉をくれる人でね。
そーいや、なんか褒め殺し屋って言うのがいるって聞いたことある。二人組で、むっちゃむちゃ褒め殺すって。それ、面白そうだよね。
兄ちゃん、野長瀬さんとで褒め殺し屋ってどうだろう。褒め殺し屋って・・・、あ、そうそう、千明ちゃんが教えてくれたんだ。もうちょっと詳しく聞いとこ。黒い服とか着てたら、今まで何百人って褒めて来たけど、こんっっなに!黒い服が似合う人なんて見たことないっ!!とか言うってゆってたよね。
ふーん、褒め殺し屋かぁ。

いつの間にやら褒め殺し屋と断定してしまった正広は、晩ご飯の用意をしながら、そのルックスを兄と野長瀬とで想像する。
どんなカッコしてんだろう。スーツかな。スーツっておかしいかな。でも、褒め殺すんだったらきっちりしてる方がいいよね。

あれ?二人組・・・。
ひょっとして、お笑い!?
お笑いさんかも!だって、最近ひっそり若手お笑い芸人って人気なんだよね。ちゃんとネタをする人たちがさ。
あー、そうかもー!
ジュリエットさん、詳しいんだよね、お笑いさんってさぁ。誰が好きだってゆってたっけ。えーっと・・・。ん?なんだっけ。なんか美味しそうな・・・。
そうそう、ラーメンズだ。
・・・ラーメンズって・・・。
俺も1回だけ見たことあるんだけど、1回だけなんだよねぇ〜。
そーゆーことなのかな。カッコいいお笑い。あるよね、ありえるよ、クールなお笑い。あー、いいかも。そうなると、絶対シュール系だよね。
シュール系はあんま得意じゃないけど、お笑いなら別〜。まぁ、ネタ次第なんだけど。
ミツオカか。テレビとかじゃなくて、ライブ中心って感じかな。後、妙な学歴とかがありそうな感じ。芸術系とかじゃなくて、えーとえーと。なんだろ。
て、哲学科とか。・・・哲学科ってあるよね。
でも、それじゃあ出来過ぎかな。栄養学科とか。
栄養学科出身で、シュールなお笑いをしているミツオカ!おぉ!これはクールだ!

今晩は鍋なので、材料を切るのがメインで楽。
だから、正広の思考はますますおかしな方向に向かっていく。

でも、ライブ中心で、なかなかチケット取れないんだよね。
それがまたいいんだよー。テレビに出ないなんて、今時あんまり聞いたことないけど、それがいいんだろうなぁ。
気になるなぁ、ミツオカ。
面白いのかなぁ。

材料は全部切り終り、土鍋に昆布もいれて、準備は全部終わった。
でも、まだ兄は帰ってこない。
「兄ちゃん、遅いんだっけ・・・」
遅いんだった。
することがなくなったため、また正広の思考はミツオカに戻る。

ライブないのかなー。ぴあぴあ・・・。
ちょっと前のぴあがあったので、それのライブの欄を隅から隅まで眺める。
ありぃ〜?ない、ない・・・。でも、お笑いのライブって、他、とかって書いてるから、この「他」の中に入ってたら解んないかぁ〜。
この希少性が!!
ジュリエットさんなら知ってるかなぁ。ミツオカって・・・。

そして正広の視線は、パソコンの上に落ちた。
「インターネット・・・」
ぽつりと呟いた正広は、田村貸与の、おっそろいスペック(らしいが早坂兄弟には解らない)の自作パソコンの電源を入れた。

インターネット、インターネット♪
色々検索できるんだよねー。典子ちゃんがやってたもん。俺もやったことあるもん。検索、検索ぅ〜。
って、どーやるの?
んん??
あれ?

腰越人材派遣センターのパソコンでは、お気に入り欄にいろんな検索エンジンを登録してあるからいいものの、田村作のパソコンでは、ブラウザすら普通ではない。
「んん〜?何これ、どーすんのぉー?」
てゆーか、接続はどーすんの・・・?
そんなことを考える間もなく、ひっそり秘密工事によって、常時接続になっているパソコンなのだ。
すでに勝手に回線は繋がれている。けれど、会社では、まず接続、という作業をする正広は、接続はぁ〜?接続ぅ〜と首を傾げ続ける。
田村に電話をして聞く、ということも考えなかった訳ではないが、でも、電話したら、回線ふさがっちゃうから、聞きながらできないし・・・。
あ!PHSがあった!こないだH”にしたんだけどね。それで聞けばいいのか。
でもなぁ〜・・・。田村さん、普通に喋ってくんないからなぁ〜・・・。
じっ、と画面を見つめ、正広はぎゅっ!と唇を噛む。
やれる・・・!きっとやれるはずだ!
だって、パソコンなんて簡単だって、昔ミスターもゆってた!

と、思う!!

んだけど、なぁ〜・・・・・・・・・・・。

接続について探し始めて8分。すでに正広は投げやりな気持ちになっていた。
だって、インターネットってアイコンもないしぃ〜、もぉ〜。
俺って、パソコンのこと知らないんだ・・・。
哀しい気持ちになりながら、適当なアイコンをクリックしていると、突然画面が開き、正広は驚いた。
「えっ!?」
なんか見たことない画面!ないけど、ひょっとして、これってインターネットじゃないの!?ひょっとしてそう!?

最初に開いた画面には、なじみのある腰越人材派遣センターの写真が使われていた。
え。いつの間に事務所のHPが・・・?
でも、リンクをクリックしても、クリックしても、工事中。
これじゃあダメじゃーん。田村さんが作ってるのかなぁ。これはやっぱりねぇ、兄ちゃんの顔をどーん!と載せて、女の子集客〜。
って女の子集めてもだめなのか。でも、派遣の女の子がいるんでしょう??
それに、仕事の内容とぉ・・・。あれだよね、やっぱり、基本料金、って言うのは安めに設定しておくんだけど、オプションであれこれつけてくと、おや?って値段になるのが望ましい?
望ましいってのは変か。
でもなー。兄ちゃん、体一つだから、届け屋の業務については、知る人ぞ知るって方がカッコいいかなぁ〜。

それこそミツオカみたいに!!

ようやく正広は、自分が何を調べようとしていたのか思い出した。
そうだよ、ミツオカだよ、ミツオカ。ストリートミュージシャンだよね。
・・・違うよ。なんだっけ。お笑い?
そうそう。お笑い、お笑い。お笑いのライブ〜。
・・・だからどうやって検索するのっ!?

微かな記憶をたどり、検索エンジンのアドレスらしきものを入力してみる正広だが、帰ってくるのはエラーばかり。
あれー。なんだっけーー・・・。or.jp、って大抵最後についてるよねぇ。違うのかなぁ〜、なんだっけぇ〜。
あぁ〜、うーんと、うーんと・・・
あ、ミツオカで直接開けないかな。えーと、mituoka.or.jp・・・・・・
ダメか・・・!
あ!com?comってのもあるよね!ドットコムってやつ。ドットコムドットコム。だから、えーと、mituoka.com。違うかー・・・。

正広は、とりあえず、先頭に「www」をつけるということをすべて省いていた。
そりゃあ、なかなか繋がらないだろう。

インターネットってなんでも検索できるけど、検索するものを検索する方法が解らないよぅーー!!!
画面を前に泣きそうな気持ちになっていた正広は、その見たこともないブラウザにも、お気に入りとか、ブックマークと呼ばれるものがあることに気がついた。
そしてその中に、検索エンジンをようやく見つけることができたのだ。
しかしその検索エンジンは、正広が今だかつて見たことのない、マニアックなものだった。

「・・・・・・・・・田村さぁん・・・・・・・・・・・」

それもこれも、由紀夫が脅すようにしてこのパソコンをかっぱらってきたからだろう。大して欲しくもなかったくせに、どうしても田村を見ると意地悪を言わずにはいられないらしい。それでも、田村は二人のうちまできて、セッティングもしてくれたし、接続もしてくれた。
しかしマニアックな中身までは替えるつもりはなかったようだ。
自分たちの好きな環境にするワザなど知る由もない早坂兄弟。今あるものをどうにか使えるように工夫する手しか残っていなかった。
入力すればいいんだ・・・!
正広は、ここだろう、という場所に、打ちこんでみた。
「みーつー・・・、あぁ!漢字にしなきゃ!漢字は普通だよね!?」
普通だった。漢字入力にはすぐ出来て、みつおか、を変換させると三岡と表示される。
「・・・ミツオカって、三岡?」
それ以外に、光岡もある。
でも、お笑い芸人で、三岡とか、光岡って・・・。栄養学科出身だから、あえて漢字ってことも考えられるか・・・。ほんとかなぁ。
カタカナとか・・・。『ミツオカ』・・・ミツカン味ぽんみたい。こんぶーぽんっ♪みたい。
『みつおか』これだと可愛いよね。女の子のファンがたくさんついてるっぽい。
光岡で、グループじゃなくって、一人かも。一人漫談。
・・・クールかな。クールな漫談。

『クールな漫談』って言う字面がおかしいよな。

まぁ、ともかく。えーっとじゃあ、ひらがなから入れてみようかなっ!

「みーつーおーかっ」

・・・・・・・・・・・・・・・。
なんか、違うみたい・・・・・・・な、気がする。
光岡課長って絶対違うし、みつおかくんの似顔絵もなんか違うし、みつおかくんと会ったって言うのがそうなのかな。みつおかくん・・・。違うか・・・。

「ミーツーオーカッ」

今度はカタカナで入力して検索をかけてみる。
そうして、ようやく正広は事態を把握することができたのだった。

夕方、高校生たちの話を聞いてから3時間。彼の中での、ミツオカ伝説は、たった今、スタートに立つことができた。

「車かぁ!!!」

MITSUOKA、は、車のメーカーの名前だった。男子高校生の友達でも、ストリートミュージシャンでもなく、書家でも、イラストレーターでもなく、褒め殺し屋でもない。当然、お笑い二人組でもなければ、漫談家でもないのだ。
「なんだよ、車かぁ。でも聞いたことないな、MITSUOKA・・・」
どんな車なんだろうと探してみると、それはもう愛らしい車の数々が現れた。うわ!うわー!!うわぁーー!!!!可愛いー!!
え!カッコいいー!!えー!こんな車があるんだー!えー!!すごーーーい!!

正広は夢中になり、MITSUOKA車オーナーや、オーナー希望車がわいわい楽しんでいる掲示板に書きこみまでしてみた。
『はじめまして!今までこんな可愛い車があるなんて知りませんでした。もうすぐ免許も取れる年だから、こんな車に乗ってみたいです。また色々と教えてください!』
なんか可愛い書きこみをして、へへっと思いながらブラウザを終了させ、パソコンの電源を落とした。

接続はどうやって切るの!?というのは解らなかったが、電源切っちゃえば大丈夫だろう!と思う。

「ただいまー」
「あ!兄ちゃんおっかえりー!!」

やけに機嫌のいい正広に、何かあったのか?と由紀夫は尋ねた。
「あのねぇ!すっごい!!可愛い車見つけたんだよぉー!」
「え。ファンカーゴ、Will Viに引き続き?」
「もっと可愛いのー!可愛いのー!兄ちゃん、知ってる?MITSUOKAって車・・・」
「あぁ、知ってる。可愛いよな。マーチだろ」
「・・・マッチのマーチじゃないよ。MITSUOKA」
「・・・おまえほんとに10代・・・?」
「10代ですぅ〜」
「違うよ、あのMITSUOKAって、マーチを改造して作ってんだろ?」
「えっ!?そうなのっ!?」
掲示板に書きこみもしたし、もう1回調べてみよう!と鍋もそこそこにパソコンの電源を入れた正広は。
「あぁっっ!!!!」
悲劇的な悲鳴を上げた。
「どした!?壊したかっ!?」
「アドレス、わかんない・・・・・・・」
「・・・・・・・・・え?」
「わかんない、だって、リンク、リンクで跳んでったから、わかんない・・・・・・・・・・・・・」
「正広・・・・・・・・。あ、でも、前に行ったとこって、履歴とかで残るんじゃないの?」

こうして、また接続がどうなってるのか解らないまま、どうにかこうにかブラウザを立ち上げ、どこかに履歴ってのがあるんじゃないかと探す早坂兄弟。
しかし彼らは田村を甘く見ていた。
自らの足跡を残すことを嫌う田村は、お気に入りに登録しない限り、すべての足跡を自動的に消すように設定してあったのだ。
田村!おそるべし!!
「なんで登録しとかねぇんだよ!!」
「だってー!だってー!!解ると思ったんだもんーー!!!」

MITSUOKAを求め、早坂兄弟の冬の夜は更けていくのだった。


それではみなさんも、「みつおか」で検索をしてみてください。これが、「ミツオカ」だと車にすぐぶつかりますが、ひらがなだと、なんだかすごく違うものがみつかります(笑)
MITSUOKAの車は、確かにとても可愛い車です。私も思いっきり勧められましたが、多分香川では売ってないんだろうと思います(笑)

赤い怪獣ちゃん。なんかゆってた話と違ったわ、ごめんね(笑)

てことで、次回は来週の水曜日!の予定は未定にして決定にあらずってことを人々はもう知りすぎている!