天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

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ギフト番外編68話『水を届ける?』

香川県高松市に「宮脇アホ屋敷」と呼ばれている建物がある。
今回の話は、そのアホ屋敷で起こった本当の出来事をベースにしている。
しかし、もうその宮脇アホ屋敷はなくなってしまうそうだ・・・!フォーエバー宮脇アホ屋敷(笑)!!

yukio
 

金曜日の夜。
その日は、いつもと同じ、なんだかウキウキっ♪ないつもの週末だった。
まさかあんな悲劇が起こるとも知らず、腰越人材派遣センターの社員一同はそれじゃあねー!と元気に明るくバイバイする。

「えっ!スペーストラベラーズもう見たんですか!」
「見た見たー!ねー、兄ちゃーん」
「そうなんですかぁ〜・・・、さすがに早いなぁ〜」
「ってゆーか、まだ見てねぇの?さっすが野長瀬、遅っ!」
「遅くないでしょー!別にー!」
早坂由紀夫、溝口正広、野長瀬定幸は3人並んで帰っていた。由紀夫が押す自転車の荷台に座った正広はご機嫌で足をぷらぷらさせては怒られている。
「面白かったよねぇ」
「面白かった。見るの?野長瀬」
「見ますよ!」
「あっ!じゃあねぇ、じゃあねぇ!」
「あーー!!言わないで下さいぃーー!!」
「えぇ〜!?」
「だって、楽しみがなくなるじゃないですかっ!言わないでくださいっ!」
「深津りえがな、あそこでな」
「そうそう!」
「やーめーてー!」

「解った」
耳をふさぎ、道にしゃがみ込む野長瀬の前で仁王立ちし、由紀夫は高らかに宣言した。
「何も言わない代わりに、今日は野長瀬のおごりで!!」
「わーいわーい!!」
「えぇ〜〜〜???」

なんでこんなことに?

居酒屋で、きゃあきゃあいいながら甘エビの刺身を食べている早坂兄弟を見つめながら、野長瀬は呆然としていた。
「おいしー!これ、おいしー!」
「ん?野長瀬食わねぇの?」
「この二匹、野長瀬さんの分なのにぃー!」
と言いながら、正広の目は、大きなくっきり二重の猫目は。
そして由紀夫のうるうると濡れたような瞳は。
はっきりと!

「ちょうだい(正広)」「よこせ(由紀夫)」と語っていた。

「あ、いや、よかったらどうぞ・・・?」
「えー!いいのー!ありがとー!!」
ぱくっ!と二人とも一気に口に入れ、しばし口から尻尾だけを出して旨みを味わっている。あぁ、可愛いさ、由紀夫ちゃんも、ひろちゃんも可愛いさ!でもなんでさ!なんで俺のおごりなのさ!!
「何か不服そうな顔してんな。スペーストラベラーズのラストの話するぞ!」
「えぇ!!いくらなんでもそれは!!」
「あのねー、こないだジュリエットさんがゆってたけどね、あるマンガ家さんが古本屋さんで推理小説を買って、さぁ、読もう!と思ったら、表紙めくったとこにある人物紹介の欄に、『こいつが犯人』って書いてあったんだってぇ〜」
「たっち悪ぃー!!」
「えっ!でも推理小説って、ドキドキするから先に犯人知りたくないですかっ?」
「おまえは一生刑事コロンボでも見てろ」
「えー、だってぇー!」
「あ、ひょっとしておまえ、あれ?」
由紀夫が首を傾げつつ、ちょっと下から野長瀬を見上げた。
「あれ?」
正広もおそろいのポーズで見上げる。
「スペーストラベラーズじゃなくて、ピンチランナー見に行きたいんじゃねぇの?」
どきぃ!!!
どういう話の展開だ!と思ったけれども、図星だった。
野長瀬が本当に見に行きたい映画は、ピンチランナー・・・!モーニング娘が主演の駅伝映画だ。
「ちっ、ちがいますよっ」
「ぜってーそうだ。予告やってたもん。スペーストラベラーズで」
「えっ!見たんですか!予告!!」
「見たよぉ?聞きたいぃ〜?」
「あっ。うーんと、えっとぉーー・・・・」
「あのねー!ごとーまきちゃんがねー!」
「や、やっぱり!やっぱりやめてくださいっ!」
「なんだよ、どっちなんだよ、おまえよぉ〜」

こうして、スペーストラベラーズ&ピンチランナーについて話すか話さないかに始まり、最近注目の女性アイドルってゆったら誰?という話になり、別にいないという由紀夫以外の二人が、異常にエキサイトした挙句、じゃあ、こんど野長瀬はまったく個人的に、この居酒屋の全メニューを制覇しろ。しかも、メニュー順に、という話まで到達して、その場はお開きになった。(ちなみに、正広が最近綺麗だなぁ〜、と思っているのは国分佐知子。野長瀬は、ビギン・ザ・ビジンのCM以来、何度もかで辺見えみりにやられている)
すでに12時近くになっており、かなり酒も入った野長瀬はふらふら。人の酒だといい気になった由紀夫もほろ酔い。正広はほとんど飲ませてもらえなかったが、監視の目を盗んで勝手に飲んだため、ちょっとぼーっとしている上、食べ過ぎて体が重い。
そのため、すぐ近所の野長瀬のうちで休むことになった。
「野長瀬さぁ〜ん!何かしちゃいやよぉ〜」
無駄に色っぽい声をあげる由紀夫に、きっ、近所の目が!と気にしつつ、あせりつつ、ドアを開ける。
そして、3分もしないうちに、寝転がった正広は、うつらうつらと夢の世界に向かい出す。
「あー、お風呂ー・・・・・・・」
「風呂?」
夢うつつの中で、兄と野長瀬の会話を聞いている。
「ずっと水はためてんですけど、沸かせてないんですよねぇ」

「うわ!何風呂入ってねぇのっ!?」
「違いますっ!ずっと現場泊り込みだったんですっ!」
工事ではなく、イベントの現場で野長瀬は搬入出などの手伝いのため、夜昼なく働かされていた。
「現場では入ってますよっ」
「あ、そ。遠く離れて寝ようかと思って」
「お風呂、いいの?由紀夫ちゃん」
「んー、朝入るー・・・ってか、今眠ぃ・・・」
そうして、部屋には二人分の寝息がし始めた。
野長瀬の大事な彼女、ミニウサギの智子(♂)もすっかり寝ている。
こたつにもぐりこんでる正広と、スーツのままその側に寝転んでる由紀夫に毛布をかけてあげた野長瀬は、布団を引いて寝たのだった。

 

そして翌朝。

野長瀬が目覚めたのは、11時まで後2・3分、といったところだった。
よく寝たなー・・・と伸びをすると、早坂兄弟はまだ寝ている。
智子はすでに起きていて、朝ご飯は!?てかもうブランチっ!?と厳しい目を野長瀬に向けていた。
「あぁ、ごめんね、智子ちゃぁ〜ん♪」
うさぎ撫で声でいい、智子の朝食の準備。
そして、風呂場が暖まっていることに気がついた。
あれ。もうお風呂沸かしてくれたんだ。きっとひろちゃんだな。由紀夫ちゃんはそんなことする人じゃないし。
野長瀬は、まだこたつの中の正広に、サンキュー、ひろちゃんっ!とウィンクなんぞを送ってみた。
正広の体が、びくんっ!と跳ねあがったのは偶然だと信じたい。
そして野長瀬は、朝風呂!休みの朝に朝風呂っていいよねっ!!!

と裸になり、お風呂場に入り、しかし一気に入ったりはしない。野長瀬はきちんとした躾をされた子供だったので、まずはかけ湯をしてから・・・・・・・・・・

「ぎゃーーーーーーー!!!!!!!!」

その朝、正広は何度か目覚めた。
そして、その悲鳴によって完全に覚醒し、何事っ!と置きあがったら、

「いったぁーーーーーーーーい!!!!!!」

こたつの中だったので、足をぶっつけて非常に痛かった。

「えっ!?」
弟の悲鳴に飛び起きた由紀夫は、

「いってぇーーー!!!」

野長瀬の用意したブランチが気に入らん!と由紀夫の長い髪でうっぷん晴らしをしようとしていた野長瀬智子(巨大ミニウサギ、♂)に髪をひっぱられることになった。

「正広っ!?」
「兄ちゃんどしたのっ!!大丈夫っ?」
「いや、おまえだろ!?なんだどしたっ?」
「たーすーけーてーくーだーさーいぃーーー!!!!!!」

「野長瀬!?」
声の方向、すなわち風呂場に向かった二人は、タイルの上で、かなりみっともない姿でのたうっている野長瀬を発見した。
「何やってんのおまえ一人で!!」
「熱いぃんですぅぅぅ!!」
風呂場は、サウナのように湯気がもうもうだった。どう見ても、煮立ってる雰囲気のお湯でもあった。
「水出せ水!」
由紀夫は蛇口をひねり。
そして、蛇口からは一滴の水も出なかった。

「・・・ん?壊れてんのか?」
「あっ!じゃあこっち!!」
洗面器を手に、台所にダッシュした正広は、そこからも水が出ないことに気づく。
「断水・・・!?」
「なんだよ野長瀬!今日断水かっ!?」
熱湯を被ったかのように暴れていた野長瀬は、その瞬間妙に冷静だった。

「・・・止められたんだ・・・」
「水道を!?」
「ウソぉ!」
「何で!電気動いてんじゃん!!水道なんて最後だろ!?」
「でも、払いに行けなかったんですよぅ!」
「そんなの俺に行ってくれたら行ったのに!野長瀬さぁん!」
「う・・・ちょ、ちゅっと痛いかも・・・・」
「水買ってくる!」
「俺行くから、正広冷蔵庫の中から使えるもんあったらそれで冷やせ!」
「あっ!はいっ!」
自転車もあり、よりたくさん水を運べる由紀夫が階段を駆け下りる音と聞きながら、正広は冷蔵庫、冷凍庫を全開にした。
「いいもんあるじゃん!!」
しかし動揺もしていた。
「ぎゃーー!!直はーーー!!」
「あーーー!!ごめんなさーーーい!!!」
冷凍庫のウォッカの瓶を、直で肩に当ててしまったりとか。
氷を、そのまま、こぼしてしまったりとか。
「慌てるな!慌てるな俺!」
自分の顔をパン!と叩き、タオルで氷をくるんで、野長瀬に渡す。そして、台所にあったあらゆる鍋類、コップ類に、つぎつぎ煮立ったお湯を汲み始めた。
「な、何してるのひろちゃん・・・」
「こうしとくと冷めるでしょ!」
「なっ、なるほどぉ・・・!!」
そこに由紀夫も帰ってきて、どうにか、野長瀬の肩は、ケロイド状態に陥るのを免れたのだった。

この二人の迅速な働きに対し、野長瀬はいたく感謝した。
そして、その夜も、二人に豪華なお食事をおごってくれようとした。
「あ、でもそんなの・・・。昨日もご馳走してもらったし。ねぇ、兄ちゃん」
「ねぇ、って、でもいいじゃん。どうせこいつ家じゃ食えないんだし」
「あ、そっか・・・。水道代・・・」
「払えよなー、水道代くらいあんだろうがよぉ〜」
「ありますよ!払いに行けなかっただけなんですから!!」
「でも。あの・・・・あ、じゃあ、野長瀬さん、今晩うちに泊まります?」
「えっ?こいつ泊めんのっ?」
「兄ちゃんっ!困った時はお互い様でしょ?昨日は泊めてもらったんだしっ!!」

あぁ、ひろちゃん・・・!
野長瀬は感動した。
なんて優しいんだろう!ひろちゃんは天使だ!!

そして、そんなうるうるしている野長瀬を冷たい目で見上げている智子だけが知っていることがあった。
その日の朝、こたつからふらりと立ちあがった正広が、ふらーー・・・・っとお風呂に入っていったこと。
夢うつつで聞いた朝風呂、という言葉に、寝起きの悪い体が反応して、勝手に沸かしてしまっていたのだ。
とてもそれを言い出せず、その日、野長瀬を下にも置かずおもてなしした正広だった。


宮脇アホ屋敷には、私の友達と、さらに一組のカップルが住んでいた。家賃は3人で折半していたが、誰も水道代を払っていなかったようだ。
しかしそのカップルが別れ、女のほうが、二度と戻ってこない!と言い残して出ていき、男の方は、彼女との思いでが詰まったうちにいたくないと出ていった。私の友達は、今、1万5千円で住める、という部屋に住もうかどうしようか考え中だ(笑)がんばれよーー(笑)!!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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