天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフト番外編69話『5月5日

腰越人材派遣センターにGWはあるのだろうか。イベントとかがあって忙しいのかもしれない。でも、早坂兄弟は休んでいた(笑)

yukio
 

「柱ぁ〜のぉ〜、きぃずぅわぁ〜、おととぉーしぃのぉ〜、ごぉ〜がぁ〜つぅ、五日ぁ〜の、背ぃくぅ〜らぁ〜べぇ〜♪」
正広の手には柏餅の入った袋がある。
商店街の和菓子屋さんから買って帰っている途中、ふと口ずさんだ歌は、途中で途切れた。
「・・・柱の傷はおととしの、5月5日の背比べ・・・。それから、なんだっけ?」
『ちぃーまぁーきぃー食べたぁべ、にぃさーんーがぁ〜、はかぁ〜ってくーれーたぁ、せいのぉ〜、たぁけぇ〜♪』って正解?全然違う?あれ?あれれ?

てこてこ歩きながら、正広は思い出していた。
実際に、そういう光景は溝口家で繰り広げられていたのだ。
正広は由紀夫に背を測ってもらって、家の柱にはちゃんとその跡が残っていた。由紀夫の傷もあって、いつかそれに追いつくんだなって思っていた。

のに。

「なんで俺の背は伸びない訳っ!?」
柏餅入りのビニール袋をぶんぶん振り回し、そして仁王立ちで、正広は由紀夫に向かって叫んだ。
「なんでって・・・」
帰ってくるなりそんなことを言われても・・・。
5月5日のお休みを、だらだらと過ごしていた由紀夫は呆然と弟を見つめる。
「兄ちゃんでかいじゃん!」
「でかかねぇーだろ、普通だろ」
「じゃあ俺は普通じゃないってことーー!!」
「正広・・・」
落ち着いてくれ、と由紀夫は柏餅を受け取った。
「なんで俺はおっきくなんないんだろぉー!」
「ちっちゃい方が可愛いからじゃねぇの?」
「可愛くなくったっていぃー!」
牛乳だって飲んでるのにぃーー!!

そう、正広はちゃんと牛乳を飲んでいた。
が。
1日に200mlというのは、小学生程度なので、これだけで身長を伸ばそうというのはど厚かましい話だ。
「だってしょーがないじゃーん!すぐおなかクルクルしちゃうんだからさぁーー!!」
「誰と喋ってんだよ!」
「あー、兄ちゃんっていつくらいから背伸びた?いつからだっけ?」
「さぁ・・・。俺、ふつーだよ。各学年の平均、って感じ?」
「むぅ〜〜・・・!ジェラシィー・・・!」
「おまえ、小学校の頃は、そんな小さい方じゃなかったよな」
「はーい。それから伸びなかったですぅ〜。・・・病気のせい・・・?」
「でかくても体弱いヤツはいるだろ」
「そりゃそうだけどぉ・・・」
「野長瀬なんか、ごつくても、頭弱いんだぞ?」
「そりゃそぉだけどぉぉ・・・」
さらっと失礼なことを言いながら、でもきっと病気のせいだ、と正広は思い込もうとしていた。俺の努力が足りないわけじゃないんだ。うん、そうなんだ。
「まぁ・・・。ひょっとしたら、伸びるかもしんないし」
「正広、足のサイズいくつだっけ」
「24.5」
「・・・」
「・・・何ぃ・・・?」
「大型犬ってのは、子犬の時からぶっとい足なんだよな」
「きぃーっ!どーせちっちゃい足だよぅ!深田恭子はもうすぐ2mになるよぅぅ!」
「あ、でも、正広、手はおっきいし」
「いいよ。重要なのは、この地面を踏みしめるためのあんよのでかさなんだ・・・!そうなんだぁ!」

どうどう。
由紀夫は正広をソファに座らせ、柏餅にぴったりの美味しい日本茶を入れに行く。
「いーよなぁーー!!兄ちゃんはぁ〜〜!」
「いいよなって・・・。はい、お茶。あ、うまいなこの柏餅」
「えっ」
「5つ入りかぁ。食わないの?俺3つ食ってもいい?」
「えっっ!ダメだよぅ!俺がみっつだよぅ!」
わしわしっ!と元気よく柏餅を一気に食べる正広を見て、この食欲は、この小さな体の何を支えるための食欲なんだ?と思う由紀夫。
「お茶、おいしー!」
「奈緒美が、柏餅にはこれっ!って、昨日」
「さ、さすが奈緒美さんっ」
やれやれ、やっと機嫌も直った、とこっちも安心して2つ目の、そして最後の柏餅に手を出した由紀夫は、いいなぁ〜〜、と正広にボディアタックをかまされた。
「いってっ!」
ソファに並んで座っていたところに横から直撃を食らったため、みぞおちに肘が入り、しばし苦しむ。
「・・・まぁさぁひぃろぉ〜・・・!」
「あっ!ごめんごめんっ!兄ちゃん、ごめんっ!」
「おまえなぁっ!身長が低いっくらいがなんだってんだよっ!」
「だぁって、だぁってぇ〜!」
「じゃあ、何か!おまえは俺の身長が150cmだったら兄弟の縁を切るってのかっ!」
「切らないよぅっ!!」
「俺だっておまえが140cmだろうが2m15だろうが関係ないっ!」
「2m15もいらないよぅ〜・・・」
「・・・いや、さすがに2m15ってのは・・・、さすがに、ちょっと、あれか・・・」
「今から2m15まで伸びたらすごいよねぇ・・・」
「すごいって言うか、今からそこまで伸びるのは、なんか病気だぞ、多分」

しばし、2m15の正広を想像する二人だった。
が。
「ダメだっ!俺の想像の範囲を遥かにに超えてるよぅっ!」
「うーん、首をすげ替えただけって感じだなぁ〜・・・」
宙空を睨んでいた由紀夫は、軽く首を傾けて正広に言った。
「2m15だったら、頭身が15くらいになるんじゃねぇか?15頭身」
頭の中で計算していって、あぁ、10頭身くらいか、と言い直す。
「とーしん?」
「おまえ、今の身長で八頭身だし」
正広はきょとんと由紀夫を見つめた。
「八頭身、も、ないよ?」
「あるある。おまえ、安室もびっくりの小顔だし。大体、スタイルいいよな」
立って、立ってとソファの前に立たせて、上から下まで検分する。
「腰の位置が高いもんな」
「そうかなぁ・・・」
「そうそう。はー・・・いいよなぁ〜、顔も小さいわ、足も長いわ・・・」
正広がいなくなったソファに、由紀夫は倒れこむ。
「はぁ〜・・・・・・・」
「に、兄ちゃん・・・?」
「俺なんてなぁ〜・・・、顔もおっきいわ、足短いわ、でべそだわ・・・」
「兄ちゃんっ!?」
正広は驚いて由紀夫の肩をゆすった。
「兄ちゃんっ!」
「なんだよぅ。小顔のナイスバディ〜、同情ならいらねぇよぅ〜・・・」
「違うよっ!兄ちゃんそんなことないよっ!?」

正広は真剣だった。
だって、着こなしとかすごくカッコいいし、細かいパーツがどうこうってことじゃなくって、もう存在自体がカッコいいって行うか、いやカッコいいし!おへそだって可愛いじゃん!
そんなこと気にすることないよっ!!

別段気にしている訳ではなかったが、改めてそう言われると、なんだか複雑な気持ちになった由紀夫だった。

「柱ぁ〜のぉ〜、きぃずぅわぁ〜、おととぉーしぃのぉ〜、ごぉ〜がぁ〜つぅ、五日ぁ〜の、背ぃくぅ〜らぁ〜べぇ〜♪ちぃーまぁーきぃー食べたぁべ、にぃさーんーがぁ〜、はかぁ〜ってくーれーたぁ、せいのぉ〜、たぁけぇ〜♪」
由紀夫から、その歌詞であってると言われた正広は盛大に歌いながら、夕食の準備をしている。
「でーきたぁ〜!兄ちゃんっ!はいっ!計って計ってっ!」
寝室と、リビングを仕切っている柱に背中を預けて、正広が早く早く!と手招きし、由紀夫は渡されたものを呆然と見下ろす。
「あちぃ」
「だって出来たてだもん!それ食べながらだからね!」
「・・・ちまきってさ・・・。こーゆーんじゃないぞ・・・?」
「え。ちまき・・・」
由紀夫の手の中、竹の皮で三角に包まれたものは、紛れもなく中華ちまき。
「だって・・・、ちまきでしょ・・・?」

心配そーに、それでも、背中を柱に押しつけたままの正広に、小さくため息をつき、ちまきの皮を剥いた由紀夫は、それを齧りながら、身長を計ってやったのだった。

「よし!165cmジャスト!」
「うっそぉーーーーん!!」


短いっすぅ!すみませぇん!
柱の傷はおととしの♪というのが、なんというタイトルで、どういう歌詞だったか、私も解らなかった。なのに、インターネットってすごい、ちゃんとこの曲が「せいくらべ」であること、そしてどういうメロディーであるかまで載っているHPを発見した!よかったよぅーー!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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