天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフト番外編72話プロローグ編『そば職人を届ける』

お詫び。
い、忙しいのだ・・・!来週まで忙しいのだ・・・!こんな中途半端な状態でごめんなさいなのだ!!!

yukio
 

むしゃくしゃする。
多恵子はそう思った。
どうして、いつもこうなんだろう。
仕事に疲れ、会社を辞めて、社内恋愛をしていた相手と結婚でもするかと思っていたら、捨てられて、転職したら、仕事内容が最初の話と全然違い、ちょっといいなと言う人と話せるチャンスが出来たのに、そこに、気に入らない男がしゃしゃりでる。
あぁ。むしゃくしゃする。
もう梅雨だし。今朝も雨だし。
雨の中しぶしぶ会社に来たら、どうしてかスーツの背中のど真ん中に、泥はねがついてるし。

どゆこと!?

何か、スカッ!とすることはないの!?

「大石くん」
「はい」
それでも多恵子はOLなので、にっこり笑顔で返事をする。たとえ相手が気に入らない上司であったとしても。
「今日の3時からの会議なんだけどね」
多恵子は笑顔のままそのおっさん上司の話を聞いていた。
そのおっさん上司の言葉が耳に入っているであろう、他の社員たちも、動揺を押し隠した。
「それじゃあ、大石くん、よろしく頼むよ」
肩を揉まれても、笑顔のままだった。
が。
今日だけはどうにかしてやらなければ・・・!
スカっとすることを待っているくらいなら、自らスカっ!としてやる!!

「はい。あ、はい。それではご連絡いたします」
かちゃん。
電話を切った正広は、小さく首を傾げ、うーん、と唸った。
「正広?」
「これって、届け屋って言うか・・・。いや、いいのか・・・」
「なんだよ、また変な仕事かよ」
「うん」
「・・・うんって・・・」
普通の仕事がしたいなぁ、と由紀夫は思うのだが、小さな仕事からコツコツとをモットーにしている正広は、出来る限り受けようと考えている。
「あのねぇ」
手元のメモを見ながら正広は言った。
「そば職人を連れてきて欲しいんだって」

そば職人・・・。
由紀夫は遠くを見上げた。
それを探し、連れていく、というのが俺の仕事か・・・。

「そば職人!」
野長瀬も驚いた。
「夏はもりそばですかねぇ」
「もりだろうが、かけだろうがいいけどさ、どうすんだよ、そば職人なんか!」
「そばを打ってもらいたいからって」
「出張料理人にでも連絡しろよぅ!」
「だって、前にも使ってもらってる人からなんだもん!」

多恵子は、かつて友達とお金を出し合い、由紀夫に仕事を頼んだことがあった。まだ楽しく仕事をしていた頃だ。仕事も楽しく、彼ともラブラブで、毎日幸せだった。
学生時代の友達の誕生日パーティに、由紀夫に花束を運んでもらったのだ。
その頃、そういう遊びが流行っていたっけ・・・。
まだバブルの余韻もあった、いい時代だったなぁ・・・。
大体楽しかった。
おしゃれして、美味しいもの食べて、つまんないことでも笑えた。

そう。
今の私に足りないのは、目の前にあるお金とかじゃない。
だって、お金ならちょっとはある。自分を捨てた男におまえ、後からストーカー行為されたくなかったら、慰藉料よこさんかい!と
『ほんの冗談で』すごんだら、へこへこ出しやがったから。
あぁ・・・。そうよね。あれで愛想も尽き果てたのよ。調子ばっかりいい男だったわ。
あんな男と結婚しなくて正解よ!!
だってだって!!!こつこつ500円玉貯金とかしてる男なのよ!?何を買うのって聞いたら、500円玉が好きだから、って真面目な顔で答えた男なのよ!!

だから慰藉料はその500円玉で貰ったわ・・・!
あの時のあの哀しそうな顔ったら!溜飲下がったわぁーーーー!!!
今の私に必要なのは、あの時の、溜飲下がるわぁ!おほほほほーーー!!って気持ちよ!!

それがないから、つまんない運を引き込むのよ!
スーツの背中にドロはねがしたりすんのよ!

下がれ溜飲!!
戻ってこい幸運!!

ポールペンも折れよ!とばかりに握り締めていた多恵子は、右頬に温かさを感じた。
「あ・・・晴れてきた・・・」
今朝、多恵子のスーツの背中に泥はねを飛ばした雨が上がり、陽がさし初めている。
今日はいける・・・!
多恵子は確信の笑みを浮かべた。

つづく


多恵子の身に起こったことに2割程度は私の友達のたえちゃんに実際起こったことだ(笑)たえちゃん、ごめんよ!そしてありがとう(笑)!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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