天からの贈り物じゃないけど、黙って受け取って?

『Gift番外編』

yukio

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ギフト番外編75話前編『暑中見舞いを届ける』

年賀状でいっぱいいっぱいすぎる私。サクラメールも、カモメールも、長年書いたことがございません。暑中見舞いって最近あんまり書かないっすよね?ね(笑)?私だけじゃないっすよね!?

yukio
 

「あ!」
「え!?」
典子が郵便物を見て声を上げた。
「ど、どしたのっ?」
「やばい、かも・・・」
「何が?」
典子が持っているのは、いつでも来るようなDMにしか見えない。
「これ・・・」
「これって、何・・・?これ、そこの酒屋さんのDMじゃないの?」
「DMであり、暑中見舞いよ」

「あっ!!!」
「ただいま・・・っ!」

正広の絶叫と同時に帰ってきた由紀夫は、じーん、と耳を押さえた。

「・・・なんなんだぁ?」
「あ、に、兄ちゃん、お帰りっ、ど、どぉしよ・・・」
「どうしよって、だから何が?」
「やばいよね、ひろちゃん・・・」
「やばいよね、典子ちゃん・・・」
奈緒美が営業活動の名の元ゴルフに出かけ、野長瀬がお供をしているため、事務所に今いるのはこの3人だけだった。
ひし、と、手を取らんばかりになっている二人を、由紀夫は不思議なものでも見るような目で眺める。
「何やらかしたわけ?」
「やらかしたんならいいよね!」
「そうですよ!やらかしたんならいいんですよ!由紀夫さん!」
「んじゃ、何をやらなかった訳?」
正広と典子は顔を見合わせ、正広は手元の郵便物に目を落とし、それを何度か繰り返し、ようやくその郵便物を由紀夫に手渡す。
「何?酒屋のDM?」
「兄ちゃん、それ、DMであり、暑中見舞いなんだよ・・・!」

「だから?」

もー!兄ちゃぁーーーん!!由紀夫さん、この切迫した事体が解らないんですかぁ!?大変じゃん!大変じゃん!!
口々に責められても、由紀夫はその酒屋のDM兼暑中見舞いの何がいけないのか解らない。奈緒美の好みにあうようにちゃんとかもめーるで後から抽選もできるようになっているし・・・。
「あぁ、どうしよう、どうしよう・・・!」
「ひろちゃん、どうするっ?」
「どうするったって、やるしかないよ!ねぇ!典子ちゃん!」
「そうよね!やるしかないわよね!」
「・・・だから、何?DM?」
「違うってばーー!」
なんで解ってくれないのぅ!と正広が地団太を踏む。

「暑中見舞いでしょーーー!!!」

「暑中見舞い?」

そう。腰越人材派遣センターは、今年の暑中見舞いをまだ用意していなかったのだ。
遡ること一月半ほど前。
奈緒美が、今年の暑中見舞いは、所員が浴衣を着てる写真でも使おうかしら、と言い出した。写真を撮って、ま、無理だったら前の写真もあるし、と。
毎年、印刷所に出していたのだけど、まだその頃は時間的な余裕もあったし、NHKの初めてのパソコンを時々見ていた正広には、そういうものはパソコンでもできるもんだ、という余計な知識があった。
典子も、ポケットポストペットをGETしたところで、ただ、それだけなのに、やっぱりパソコンよね!という気持ちになっていた。
「奈緒美さん、多分それって、印刷所に出さなくても、できるんじゃないですか?」
「ひろちゃん?」
「そうですよ。年賀状とかも、パソコンで作ってくる人いるじゃないですか」
「え。典子、そんなことできるの?」
「できるでしょー!ねぇ、ひろちゃん!」
「多分!多分、できると思うんですよね!」
「そうしたら、経費も浮くわねぇ・・・」
経費が浮くことは奈緒美が大好きなことだ。
「じゃあ、あんたたちに任せるわ。作って出しておいて」
「はいっ!」
先生満足の良い子のお返事をした二人だったが、良い子のお返事は、往々にして、ただ返事がいいだけ、ということになりがちなのだ。

そしてなってしまったのだ。

「・・・やってなかったか・・・」
「すぐできるって思ってたから・・・」
「あ、じゃあ、やればいいじゃん。まだ暑中見舞い、大丈夫だろ?」
「う、うん・・・。ね?典子ちゃん。・・・典子ちゃんっ!?」
正広が助けて、という目で見ているのに、典子は、バックを手に、そぉーー・・・っとドアに向かっていた。
「典子ちゃん!?どこいくのっ!?」
「だって、だって!私、今日早退だもん!」
「典子ちゃーん!」
「何言ってんだよ、典子!」
「だって、由紀夫さん!今日、TOKIOの誰かに会えたら、千円札2枚を、二千円札1枚に両替してくれるんですよ!」
「典子ちゃん!」
「鉄腕dash見てんじゃねぇよ!」
「許してー!許してぇー!会いたいのー!会いたいのぉー!リーダーにぃーー!!」

すがりつく目の正広を振りきり、典子は出ていってしまった。

事務所に残ったのは、早坂兄弟ただ二人。
「ど、どぉしよ・・・」
「どうしようたって」
兄ちゃんっっ!と正広は由紀夫の腕を取った。取られた由紀夫は、じっと正広を見つめる。
それは真摯なまでの力強さで、その強さを正広は間違いなく受け取った。

「・・・兄ちゃん、パソコン使えないんだね・・・」
「正解」
「ああああ!!!どうすればいいんだ!」
「どうすればっておまえできるんだろ!?」
「だってやったことないもん!どれくらいかかるか解んないもん!」
「キレんな!」
「逆ギレだもん!」
きぃ!と毛を逆立てた猫のような正広を見て、由紀夫は小さくため息をつき、あ!と手を叩いた。
「田村!」
「田村?」
「あいつならできるだろ」
「・・・で、できるかなぁ・・・」
{なんで?田村だよ?」
「だって兄ちゃん・・・!」
正広はキャビネットに走り、大事な手紙が保存されているファイルを取り出してきた。
「これだよ!?田村さんの年賀状!」

「あぁ・・・」

田村の年賀状は、毎年あまりにおかしいという理由で、きちんと保存されていた。
今年は辰年。
黒地に金色の龍が隙間なく埋められているという絵柄だったが、金色の龍は、田村がマウスで描いたものらしく、龍というより蛇に見える。でも、巳年にはきっとワニに見えるようなものを書くに違いない。
ともかく、あまりセンス、というものがないのだ。
「でも、作り方は知ってんだろ?」
「あ、そ、そうだよね・・・。そ、それで、俺が、作るんだよ、ね・・・っ?」
「そうだろ。待ってろ電話してやっから」

田村さんに電話ができるなんて!さすが兄ちゃん、ソンケー!
そんな正広の視線を受けながら、由紀夫は田村に電話を入れた。由紀夫とて、田村に電話をするのが平気だ、というだけで、好きな訳ではなかったが、背に腹は変えられない。

しかし田村は電話にでなかった。
「ん?」
「留守?」
「いや、呼んでるんだけど・・・でない・・・。出かけてんのか!?」
「田村さんが!?」
「どこ行ってんだ!?」
「バカンス!?」
「田村がぁ!?」

戦慄!
早坂兄弟は、ビーチにデッキチェアでトロピカルドリンクな田村を想像した。
バナナボートではしゃぎながら海に落ちていく田村を想像した。
高原のホテルで、バラ園の中を歩いている田村を想像した。

「「想像でき」」
「ねぇーーーー!!!」「ないぃーーーー!!」

その頃の田村。
電話線を抜き、FF\の改造にいそしみ中。

助けてくれる人はもういない。
どうなる!腰越人材派遣センターの暑中見舞い!

つづく


初めてのハガキ作成コーナーか(笑)!がんばれー!正広ー(笑)!

次回更新は、来週水曜日!の予定は未定にして決定にあらずっ!

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